六階層まで降りた僕は初めてのモンスターと対峙している。
ギルドの人からはサーペントと教えてもらった怪物だが、その見た目は太く村でもよく見かけた蛇の大きい姿のようだ。
行動が読めず待ちの姿勢で互いに見合っているとサーペントが痺れを切らしたのか襲いかかってきた。緊張のせいで反応に遅れた僕の腕にサーペントの牙が当たる。噛みつきで身体が伸びきったサーペントに対し攻撃を仕掛けようとするがサーペントは身体を捻りやすやすと回避。僕は止まらず攻撃を続ける。サーペントは全て躱し距離をとって嘲笑うかのように舌をチョロチョロとだす。
「すばしっこいなっ!!」
攻撃の当たらない相手に若干焦りを感じ、冷静になろうと深呼吸をする。
(奴は動きが早く、柔らかい身体を上手く利用している。ならいっそさっきみたいに攻撃をわざと受けてから当てる? いや、受け身の考えは良くない。奴の口が開いたタイミングで切り込めれば理想かな…)
考えている内にサーペントが僕の腹部を目掛け飛んでくる。
その瞬間、僕の視野から色が失せた。白と黒だけのモノクロな世界。光に反射し異彩を放っていたサーペントの鱗に、鮮やかさは無い。自身の体が重く感じ、時間の流れが遅く見える。その時サーペントの首が僅かに動く気がした。僕はその直感に従いサーペントの首元に斬撃を入れる。そしてサーペントの動こうとした動きと僕の斬撃が重なりサーペントの首は音を置き去りにしていとも簡単に落ちた。
「いまのは…?」
必死で戦っていたから疑問に思わなったが、先ほどの光景は明らかにおかしい。
最近よく分からない事が多い。ミノタウロスで攻撃を喰らい彼女に出会ってからぼくの身体は異常だ。
ダンジョンに潜っているとたまに右手に痛みが走る。幸い戦闘中に発症することはないが、危険でしょうがない。
僕はそんな事を考えながら唯一の魔法を使用する。
「ヒール」
【ヒール】無詠唱 回復
先程での戦闘で傷ついた僕の身体が淡くひかり、みるみる傷を癒していく。ただ回復した肉体に対して身体は段々と怠くなってくる。魔力量の少ない僕にはたった一回魔法を使用しただけで精神が追い詰められてしまう。
今日はこれ以上戦闘すると身の危険があると考え、ダンジョンを後にした。
お腹が減った僕は帰宅途中に見つけた飲食店に寄った。
客は皆、剣や斧、弓などの武器を携えている。恐らくここは冒険者が集う店なんだろう。
僕は席に座りメニューに目を通したが手に汗をかく。
ひとつひとつの金額がやけに高い。軽い飯にするつもりがガッツリ食べるものしかない。
近づいてきた店員に断るのも言えず、渋々一番安いのを頼んだ。
今日の戦闘は無駄に攻撃を受け過ぎてしまった。そのせいでダンジョンに長時間籠ることが出来なっていた。その為、相手をよく観察して行動しなければ。攻めに徹するより、守りに徹した方が危険が減りダンジョンの時間も増える。
と考えてると今後のためにも考えていたら店員が料理を持ってきた。
「カイルのスパゲッティです」
店員は素っ気無い態度でテーブルに料理を置きこちらを見つめてくる。
「ど、どうかしましたか?」
「冒険者…ですよね?」
「はい…いちよう…つい最近なったばっかですけど…」
「そうですか。頑張って下さい」
彼女はそう言い残し他の客に向かう。
彼女はなにか悲しそうだったのが気になったがスパゲッティを食べ終え立ち去ろうとする。店を出る時に獣人が暴れていたがをみなかったことにした。
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