夏のある日のお話です。
「暑いなぁ……」
―――澄み渡るような青い空。まさに、快晴という単語がぴったりの空である。
日光を遮る煩わしい雲は、一つも浮かんでおらず―――
暑すぎる。
僕は今、鎮守府近くのとある海岸へとやって来ている。
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職務上、普段あまり外出する事のない僕が、何故そんなところにいるのか。
ご存知の通り、現在我々は深海棲艦と日々死闘を繰り広げている。
一時はその戦力に押されていたが、最近は深海棲艦の根城を壊滅させる事に成功した。
それが功を奏しているのか、いないのか。
彼女たちが近海まで接近する事は、滅多に無くなって。
その数も、ある程度減っている。
そんな訳で、一般市民が日常生活を送るのに、差し支えはなくなりつつあるのだった。
(勿論、貿易面等完全に回復したとは言い切れないところもあるが)
そして、そんな市民たちは、段々と娯楽を求め始め―――
長々と話してしまったが、要するに。
深海棲艦の出現後、暫くの間閉鎖されていた海水浴場が、ここ最近解禁されたのだった。
勿論数は限られているし、『周辺の鎮守府が海水浴場周辺の海の索敵を行う事』等条件がある。
が、市民が知る由もないため、ここでは詳細な説明を割愛する。
……そんなこんなで、夏の暑いこの時期。その暑さを乗り切るためだろうか、この海岸も多くの人で賑わっている。
そして、僕は今。
上からは、焼き付くような強烈な日光。
下からは、白い砂浜から照り返される日光。
この炎天下で、海岸周辺―――主に陸地―――の警備に当たっているのだった。
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日よけの一つでも持ってくるべきだったな。
判断を誤った事を少し後悔しつつ、問題がなさそうか確認して回る事にした。
暑いからといって、職務の手を抜くわけにはいかないしな。
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「ありがとうございましたー」
にこやかに手を振り、去っていく親子連れに、会釈した。
……何故、僕が声をかける人は必ず女性なのか。そして、何故いつも一悶着あるのか……
先程のお子さん(勿論女の子)には、溺れかけていたところを助けたお礼に、と頬にキスをされてしまった。
その前には確か、怪我をしたという女性を医務室へ連れて行ったところ、お礼に遊びに行こうと誘われたのだったか。
仕舞いには、何故か僕に絡んでくるグループもいただろうか。やたらとべったり近寄ってくるため、身の危険を感じていた。
(曰く、見た目と反応のギャップが可愛いとか)
……何か裏があるような気がしたし、第一仕事中なのでお断りしたのだが。
どっと疲れたため、どこかで休憩しようかと思案していたところ―――
ふと。
「あっ、提督!」
どこかからそんな声が聞こえたので、その主を探す事にした。
辺りを見回して―――おや、あそこで手を振っている娘が。
あれは―――
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海岸の端の方。人も少なく、少し開けたところで、無邪気に手を振っていたのは朧。
そうそう。彼女たち第七駆逐隊は今日、休暇だったはず。
「楽しそうで何よりだよ」
「はい!来てよかったです、提督!」
そう言って、はにかむ彼女の傍らには砂の城。
自信作ですよっ、とは彼女の弁。その顔は、どこか満足気だ。
「朧、この季節大好きなんです!それに―――」
ちょっと待っててくださいね、と砂の城をがさごそ。
そして。
「ほら!カニさんも嬉しそうでしょ?」
朧がこちらに手を差し出してきた。その上には、カニさん。
元気さをアピールするように、右手(彼ら?の場合は脚か)を上げて爪を動かす。
しゃきんしゃきん。
そんな音が聞こえてきそうでした。ちょっと怖い。
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二人で他愛のないお喋りをしていると。
「……ところで、提督?」
いきなり、もじもじとし始めた朧。
暫くして、意を決したかのように一言。
「あのっ!……朧の水着、似合っていますか……?」
休日、という事もあってか、いつものセーラー服ではない。
淡い緑のビキニ―――と呼ぶのだろうか、あまり詳しくないけれど―――を身に着けている。
……彼女は緑が好きなのか。覚えておこう。
「ああ、似合ってるよ。朧らしくていいと思う」
「……可愛い、ですか……?」
「うん、可愛いよ?」
僕がそう素直に感想を述べてみる。
すると。
「~~~~~っ!?」
急激に耳まで赤くなってしまった。
「顔赤いけど、大丈夫?……まさか、熱中症とか―――」
この暑さなので、やはり心配だ。
……と思ったのだけど。
「……はぁ……」
呆れた、と言わんばかりにため息を一つ。
顔の赤みもなくなっている。どうやら杞憂だったようだ。
「いえ、朧は大丈夫ですっ。心配いりませんっ」
なんだかご機嫌斜めなご様子。
また何か間違った事を言ってしまったのか、僕は……
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不甲斐なさに自己嫌悪しながら、ふと気が付いた事を口にする。
「あっ、そうだ……朧、七駆の他の子たちはどうしたの?」
僕が見かける時はいつも一緒に行動している第七駆逐隊。
が、今日、朧は一人でいるから、先程から違和感があったのだ。
「そういえば……帰ってくるの遅いですね」
聞けば、昼食を買いに海の家へと向かったそうな。
大分前に出かけたようだが、連絡はないという。
……彼女たちが戻ってきていない事に今まで気づかなかったとは、朧は意外とマイペースなのか……?
「ちょっと心配だな。探しに行ってくる」
みんな可愛い娘たちだし、変な奴らに絡まれてなければいいんだけど。
よし、そうと決まれば早速行動しよう―――と立ち上がると、朧も腰を浮かせた。
「あ、朧も―――」
七駆の中でも真面目な彼女だ。僕と探しに行くつもりなのだろうが―――
「いや、君は残っていて。もし何事もなく帰ってきた時、誰もいないと困るだろうからね」
「……そうですね。では、朧はここでお待ちしております!」
物分かりが良くて助かった。……さて、ぐずぐずしていても仕方がない。
「すぐ戻るから!」
彼女にそう言い残し、僕は喧騒の中へと戻るのだった。
珍しく季節ネタでした。いかがでしたかね。
個人的な目標として、『夏イベ開始前までに投稿する』というものがあったのですが、
思い切り遅刻しました。ダメダメですね。
今回は七駆の朧さんです。
ボイス可愛いですよね。人気がそれほど高くないのが疑問です。
私のよく見るサイトやSNSが偏っているせいなのか。
ちなみに前後編であります。こちらが前編という事になっています。
後編は七駆のあの娘メインの予定です。あと一人なので分かるとは思うのですが。
イベント期間に必ず投稿します。本当ですよ?
どうでもいい予定としてもう一つ。
私の大好きな艦娘に水着グラが実装された事が嬉しすぎた為、記念に書きます。
こちらもイベ期間には。多分。
今回は以上です。お付き合いありがとうございました。