鈍感な提督と艦娘たち   作:東方の提督

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提督が一人考え事をする回。
艦娘とのイチャイチャだけが読みたいの!という人は読まなくても構いません。
艦娘は誰も出てこないので。


提督の独り言

「ふぅ…」

 

僕はほっと息をついた。今日も朝から目が回るような忙しさだ。

この鎮守府で提督として艦娘(彼女たち)と生活するのも楽ではない。辛い訳でも、楽しいこと、嬉しいことがない訳でもないけれど。

 

今は落ち着いてコーヒーを飲んでいるが、まだ今日の仕事は終わっていない。

 

彼女たちは今この時間も頑張ってくれているのだから、僕がいつまでも休んでいる訳にはいかないな。

 

気合を入れ直し、残る書類を片付けるため、僕は机に向かった。

 

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僕がこれほど忙しいと感じているのは、書類の山を片付けること以外にも原因があると思う。

 

艦娘というのは、しばしば兵器と人間の中間に位置付けられる。

深海棲艦という、突如海に現れた人類を脅かす生物へ、対抗する唯一の手段―――として数年前に存在が発表されたのだったか。

この国の全員に対し適性検査を行い、一般人、軍人を問わず艦娘になる素質のある者は片っ端から海軍に選ばれた。

 

そこで、駆逐艦―――として今生活している子供たち―――まで連れて来るのは非人道的ではないか、とよく言われる。

 

しかし、形振り構っていられないのが現状だ。

初期の段階では勿論深海棲艦側が圧倒的であったし、現在は人間側が優勢である。が、いつ巻き返されてもおかしくない状況なのだ。

酷い言い方をすれば、使えるものは使わなければならない。無論、心苦しいが。

 

そして、

「男性は艦娘には()()()()()()()()」「深海棲艦に対しては、()()()()()()()()()()()()()通用しない」

という学者達の研究結果により、後に適性検査は女性のみに行われ、男性は海に出ることができなくなった。出たとしても戦闘時は足手まといになるだろうから。

 

 

つまるところ今現在、彼女たちの力に頼り切りな状態なのだ。だからこそ、僕は今できる限りの事をして、彼女たちを支えたい。

 

 

しかし、目下の懸念はそこではない。

前述の問題に対しての電話対応(非難であるとか、様々あるのだ)などがあるため、ゼロではないのだが。

 

「今できる限りの事」に、彼女たちの健康管理、精神面でのサポートがある。

勿論、彼女たちが苦労しないように、多くの戦果を上げ(てもらい)、僕の海軍内の地位も大分向上させた。

地位が上がれば、自由度も増すし、待遇も下っ端のそれより格段によくなる。

 

そうした事だけでなく、人類を守るためとはいえ深海棲艦(いきるもの)を殺す仕事である以上、精神的に病んでしまわないように、彼女たちとコミュニケーションを密にとる事もし始めた。

 

僕が男(しかも一応上司)なので、言いたくても言えない事もあるだろうと思うけれど。

彼女たちも人間なのだ。きっと、誰かに話すという事は大切な事だと思うから。

 

話は少し変わって。

 

これを実行する前までは、彼女たちの僕への印象は非常に悪いものだろう、と勝手に思っていた。

 

彼女たちからすれば、僕は自分の都合のいいように彼女たちを使い倒す悪魔のような人間に見えていたはずだと思っていたから。

 

しかし、これがなかなか悪くはない反応で、僕は非常に嬉しかった。心の奥底で、何を考えているかは分からないが。

 

というのも、僕の評価は

「イケメンで、優しくて、私たちを気遣ってくれるとてもいい人」(個人差あり)というものが多かったからで。

 

勿論、僕の事を思い切り罵倒してくれる子も居た(Mではない)。が、そういう子は例外なく顔を赤らめていたので、風邪をひいているのかと思い、部屋へ連れて行った。すぐ良くなったようだけど。

 

僕の事をイケメンだなんだ、なんて慣れないお世辞を言わせてしまったからだろうか。

 

そして、その頃から彼女たちからのスキンシップも増えた気がする。

 

そして最近、それが過剰になった気がする。

駆逐艦に頬を叩かれる(今朝の叢雲)ような事ではなく。(あの後、ちゃんと謝ってくれた。優しい)

具体的にいつから、とは分からない。ケッコンカッコカリ用の指輪が届いた頃からだったかもしれないし、もっと前からだったような気もする。

 

見目麗しい彼女たちからハグをして貰ったり、手料理を振る舞って貰ったり。時間に余裕のある時や非番の時には、2人でどこか行かないか、なんて誘って貰ったり。

 

正直大変嬉しいのだが、僕は幼少期以来、女性と接する機会が殆どなかったし、女性の提督もなかなか居ない。

なので、女性と触れ合う経験が少なかった僕が彼女たちに気を遣わせていないか、どこかおかしいところはないか、など心配事が尽きない。あと単純にドキドキする。

 

 

彼女たちとの接し方。これが、今の僕の悩みだ。

 

 

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少しコミュニケーションについての勉強をしてみるべきか。

そんな事を考えて、ふと、時計を見た。そろそろ、他の提督の元へ演習に行った第一艦隊が帰ってくるはずだ。

と、思った時、執務室の扉が開いた。

 

 

確か、第一艦隊の旗艦であり、今日の秘書艦は―――

 

 

 

 

 

 

 

 




ね、誰も出てこなかったでしょう?
すいません、調子乗りました。

茶番はここまでにして。
今回は提督と提督(と艦娘)を取り巻く環境(あと少々の鈍感アピール)について書いてみたかっただけの回です。
またタイトル詐欺です。ごめんなさい。
こんな文章、書いてみたかったんです。我儘にお付き合いしてくださってありがとうございました。
設定に関しては穴や矛盾があるかもしれませんが、よほど違和感がなければ無視していただけると…
前回よりも調子よく書けてしまったのはここだけの秘密(しかも前回よりも文字数多いね。叢雲、ごめんね)。
調子が良すぎて1話でまとめようと思っていたのが増えてしまったのもここだけの秘密。

これを書き始めて分かったのは、文章を書くというのは難しいという事。なめていた訳ではありませんが、改めて実感しました。本を読むときは大切に読もうと思います。

次回は私の好きな艦娘の一人です。嫌いな艦娘いないですけど。
私はツンデレとか幼馴染系とかそういう非実在系な性格の子(私の勝手なイメージ)が特に好きなのかもしれません。これも書き始めて分かった気がします。金剛みたいな直球な子も好きですが。

ヒントにならないヒントも書いたので、これで失礼します。次もそんなにかからずに投稿できるのではないかと思っております。

P.S.
前回の評価が思った以上に高く、私びっくりしてます。設定したボーダー(見ていただけるだけで御の字。お気に入り登録なんて夢のまた夢だと思ってました)が低かった?のもありますが。これからも見ていただけたら嬉しいです。

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