鈍感な提督と艦娘たち   作:東方の提督

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こちらにはヤンデレ要素はありません。
少々変態ですが。

全編ほのぼの、ちょっとシリアス?

(一応、時間軸的には前話の日の夜です。ですが勿論、読まなくても大丈夫なはずです。)




提督と潮

「雨も風も強くなってきたな…」

 

もう真っ暗になった外を窓越しに眺め、僕はそう呟いた。

朝からしとしとと降っていた雨は、いつしか強く叩きつけるようなものに変わって、雷まで鳴りだした。六駆の方ではなく。

 

こんな日は、彼女が来るかもしれないな―――そんな怖がりなあの子の事を考えていると。

 

弱弱しく扉を叩く音が、執務室に響く。

 

「いいよ、入って」

 

「すみません、提督。…今日も、お願いします…」

 

そっと扉を開けて入ってきたのは、潮。

彼女、雷が非常に嫌いらしい。

 

 

その事に気づいた…いや、気付いてしまったのはつい先日の事。彼女に秘書艦をお願いしていた時の事だった。

 

 

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その日も、鎮守府は強い雷雨に見舞われていて。

 

空が光ったので、大きい音がするだろうなぁ、なんて暢気に考えていると。

雷の落ちた音とともに、同じくらい大きな悲鳴がすぐ隣から。

 

大丈夫、なんて声をかけつつ、隣を見れば―――

 

「…あっ、あ、て、提督…み、見ないで…見ないでくださぁい…」

 

 

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「提督?…提督っ?…すみません。聞いておられますか…?」

 

「はっ、ごめんごめん。…少し惚けてしまった。」

 

彼女は―――彼女の尊厳もあるため、口が裂けても他人に言えない―――そんな状態になっていた。

その後、悲鳴を聞いた潮の姉()に、強烈なビンタをお見舞いされたのは、言うまでもない。痛かった。

 

「お疲れなのですか…?しっかりお休みしてくださいね?」

 

「いいや、心配いらないさ」

 

その罰として、何でも一つ言う事を聞く。

僕からではなく彼女の姉に言わされたのだが。その結果が、これ。

 

今日のような天気の夜は、潮に添い寝をする事、である。

 

態々曙を執務室から帰し、二人っきりになって頼んだ事が、何故そんなお願いなのか。

理由は分からないが、一対一の状態で、彼女に潤んだ目で、しかも上目遣いでお願いされてしまうと、どうにも断り切れず。

雷が鳴ると毎回、こうして添い寝しているのだ。

 

 

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時々思い出したかのように鳴る雷に怯える潮と話しながら仕事を片付け、ついに。

 

「よし、今日の仕事終わりっ。…じゃあ、潮」

 

「は、はい!」

 

仕事も終わったので、後は一緒に寝るだけだ。…他意はない。

先にベッドに入って、潮を呼ぶ。

 

「潮、おいで」

 

「…はい♡」

 

心なしか声がとろんとしている気がする。目尻も下がっているし、眠いのだろうか。

彼女は、毛布の中に入ってくると、僕に手を伸ばし。

 

「ふふっ、暖かいです…」

 

「なら良かった。でも潮、僕と寝て本当に安心できるの?」

 

「はい、勿論です。まるで―――」

 

「お父さんみたい?」

 

ちょっとショックだけど。

 

「違います」

 

そんな。バッサリ斬られてしまった。

 

「じゃあ、どんな感じ?」

 

「ふふっ、内緒です。…きゃあっ!」

 

突然鳴った雷に、吃驚して僕を思い切り抱きしめる潮。ちょっと痛い。あと当たってる当たってる。

 

「ふふふ、大丈夫大丈夫、怖くないよ」

 

「あっ…えへへ…♡」

 

そんな事を彼女に言って聞かせながら頭を撫でる。暗闇の中でも分かるほど、嬉しそうな反応をするので、こっちまで嬉しくなってしまうな。

 

 

潮はスタイルが良いから、抱きついてくると、こう…

そんな、口には絶対出せないような事を考えつつ、潮と話していると、眠くなってきてしまった。

 

「明日も朝早いし、もう寝ようか」

 

「はい。お休みなさい、提督」

 

あぁ、今日も疲れた。明日も頑張ろう。目を瞑る。意識は微睡み、段々と薄れていく。

 

 

だが、そのせいで。

 

「提督?………さっきはごめんなさい。でも、潮は―――」

 

潮が小声で僕に語りかけてきた事に反応できなかった。何の話?と聞こうとしたが、もう口は動かない。頭も働かなくなってきた。

 

 

明日の朝、覚えていたら聞こうかな―――そこまで考えて、僕の意識は途絶えてしまった。

 

 

 

 

 

「提督の娘じゃなくて、提督のお嫁さんになりたいんです…♡」

 

 

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翌朝。

二人で抱き合いながら寝ている所を、今日の秘書艦である曙に見られてしまった。

 

「あ、曙ちゃんっ、これはねっ!?」

 

「最近、潮が時々部屋に戻ってこない事があると思ったら…クソ提督?」

 

潮の声は、もう届かない。曙の背には、鬼が見える。

そんな彼女は、口答えするならば殺す、と言わんばかりの冷淡な瞳で、跪く僕を見て一言。

 

 

「最後に何か、言いたい事はあるかしら?」

 

 

潮よ。せめて、自分の姉ぐらいには話を伝えておいて欲しかった。

 

 




以上、潮回(少し曙もご登場)でした。いかがでしょうか。
まぁ、変態なのは私なんですけどね(笑)

と、言う訳で、潮にお漏らしさせました(直球
だって似合うんですもの。潮は恥ずかしい目に遭うのが似合いませんか?
そんな事を言ったら、きっと曙だけでなく、潮にも殺されます。あと社会的にも。
私は好きな子をいじりたくなってしまう小学生男子みたいな奴だと思ってください。
ダメですね。許されません。

今週投稿するのは難しい、なんて言ったのにどんどん更新してます。どんどん思いついてしまうのでね。
あまり私の言葉は気にしすぎないようにしてくださいね。

次回は、今回の続きかもしれないし、全く別のお話かもしれません。
続きを書くなら七駆の子ですね。曙が最有力です。多分。

思いの丈は綴ったので、ここで失礼します。



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