鈍感な提督と艦娘たち   作:東方の提督

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全編ほのぼのです。






提督と呑兵衛な艦娘たち

突然だが、今日の僕はいつもより気分が良い。

 

 

本日も無事に業務を終了する事ができたので。

今、僕は軽い足取りで鎮守府のある場所へ向かっている。

 

「こんばんは、鳳翔さん」

 

「…あっ、提督…♡」

 

雰囲気のある和風な引き戸を開け、挨拶をした。

 

 

―――そう。ここは鎮守府の一角にある、鳳翔さんの切り盛りする小料理屋だ。

 

 

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着任して暫くして。

彼女から、お店を開かせてほしい、と頼み込まれたのだ。

 

しかし、僕自身としては最初はあまり乗り気ではなかった。

 

何故なら、彼女は間宮さん、伊良湖ちゃんと違い、軽空母である。

前線に立つ可能性があるため、仮に店を開けば、負担が二人以上のものになる事は容易に想像できる。

彼女の事を考え、断ろうとしたのだが…

 

 

考えても見て欲しい。

 

 

彼女のような見目麗しい女性に、上目遣いで(しかも涙目で)、さらに庇護欲をそそる可愛らしい声で懇願されて、その願いを断る事のできる男は存在するだろうか。いや、いない。

 

 

そんなこんなで、僕は彼女の願いを叶える事になった。

 

 

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「提督、今日もお疲れ様でした。…軍服、こちらに掛けておきますね」

 

「ああ、すみません。それと、お久しぶりです」

 

「ええ。…私も、提督が来て下さるか、毎日楽しみにしているんですから…ね?」

 

怒られてしまった。気を付けよう。

 

「ところで…提督…?」

 

こほんっ、と一つ、可愛らしい咳払いをして、

 

「お帰りなさいませ。…お風呂にしますか?ご飯にしますか?…それとも…うふふっ…♡」

 

そんな風にからかってきた。案外お茶目な人だ。顔が熱くなってしまう。

 

「………冗談です。…最近の新婚さんはこんな事をする、なんて聞いていたのですが」

 

情報源は誰だ。というか、少し古い気も…ん?

 

「新婚…?」

 

「…あっ」

 

みるみるうちに顔を真っ赤にする鳳翔さん。大丈夫だろうか。

 

「…あらやだ…忘れてくださいね、提督…?」

 

ぱたぱた、と手で赤い顔を軽く扇ぎながらそう言った。可愛い…じゃなくて。

 

「…そろそろ、頼んでも?」

 

「あらあら、失礼しました…それでは」

 

 

「今日は何になさいますか、提督?」

 

可愛らしい彼女とのやりとり。それと、美味しい料理。

今日のような夜の、僕の楽しみなのだ。

 

 

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「ああ、美味しかった。…ありがとう、鳳翔さん」

 

「いいえ。…おいしそうに食べて頂いて、ありがとうございます」

 

事実、美味しいからね。

食後、また鳳翔さんとそんな他愛のない会話をしていると。

 

戸の開く音がした。

どうやら、お客さんが来たようだ。首を向ければそこには―――

 

「ひゃっはー!鳳翔さん、こんばんはー!」

 

「うるさいぞ、隼鷹。貴様、まだ飲んでいないだろうに…」

 

「まあまあ、二人とも…あらっ、提督?」

 

「ふう~ん…ここがそうなのねぇ~。なんだかぁ~、いかにもGiapponeってかんじ~」

 

「ポーラ、今日こそはあまり飲み過ぎないようにね………?」

 

入って来たのは、隼鷹、那智、千歳、Zara、Polaの五人だ。

 

「あらあら、賑やかになりましたね、提督?」

 

とは鳳翔さんの言。

その発言で、みんな僕の存在に気付いたようだ。隼鷹が話しかけて来る。

 

「おっ、提督じゃん!飲んでるかい?」

 

「いや、今日はこれで…」

 

もう自室に戻るつもりだ、と言おうとして―――

 

「えぇ~、提督ぅ、そんな事言わないでくださいよぅ~」

 

片腕にポーラが抱きついてしまった。引き留めるつもりらしい。

 

「ちょ、ちょっとポーラっ!?何やってるの!」

 

「何って…抱きついているだけじゃないですかぁ~、ザラ姉様ぁ~?」

 

「離れなさいよっ!提督だって嫌がってるでしょ!」

 

嫌じゃないです。でも恥ずかしいよね。鼻の下が伸びていないか心配だ。

 

「えぇ~?提督ぅ、そんな事ないですよねぇ~?…すんすん…あっ、いい匂いです~」

 

「羨ましぃ…じゃなくてっ!いい加減にしなさい!」

 

ポーラの自由奔放な行動に大層ご立腹の様子のザラ。

実力行使と無理矢理僕の腕からポーラを引きはがそうとする。ちょ、痛い痛い。

 

ポーラと一緒に引っ張られていると、今度は反対側の腕にも。

 

「あまり一緒に飲む機会もないですし…いいじゃないですか、ザラさん、提督?」

 

「そうそう、提督はノリ悪いからなぁ~、たまにはいいだろ?」

 

「そうだな。貴様も一杯付き合って行くといい」

 

千歳が腕に絡みつくように抱きつき、そう呼びかければ、

隼鷹と那智が同調する。

艦娘とのコミュニケーションを悩みの種としている僕にとって、少し耳の痛い話だ。

この間、大規模な作戦を終了したことで、少し業務は落ち着いているし。

 

 

たまには、いいか。

 

 

「分かった、一緒に飲もう」

 

 

 

 

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数時間前、そう言ってしまった自分に少し後悔し始めている。

 

 

「ひゃっはー!みんな飲んでるかぁー!いやっほーい!」

 

「いいか、提督?貴様はどうしてそんなに鈍感なんだ?大体…」

 

「うふっ、うふふっ、提督ぅ?飲んでますかぁ?」

 

「あぁもぉ、暑いぃ~。服が邪魔ぁ~」

 

「んん~んぐんぐ、ぷはぁ…あれぇ、提督が二人にぃ~?」

 

 

…どうして、こうなった…

 

 

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さて、ここは努めて冷静に、今の状況をよく確認してみよう。

 

まず僕。僕自身は割と酒には強いつもりだ。意識は確かだし、まだいける。

しかし、彼女たちというと…

 

 

「ごくごくごく…ぷはぁー!…あっはっはっは!」

 

隼鷹。よく笑い、賑やかさが増している。あと擬音語が多くなっているようだ。

彼女も酒に強いらしく、酔っぱらったのはつい先程のはず。明日に響かなければいいが。

 

 

「我らが妙高型姉妹があれだけアプローチしているというのに、一向に襲い掛かって来ないというのはどういう事だ?…全く…」

 

那智。一見、(話している内容は穏やかではないが)口ぶりはしっかりとしている為、一番ましに見える。

…が、話し相手は彼女が飲み干した酒瓶だ。そして、一番最初に酔っぱらったのは彼女。

度数が高いものをあれだけ凄い勢いで飲んでいれば当然なのだが。

 

 

「うふふっ、あぁ、楽しい…♡」

 

千歳。やたらと僕に酒を勧めてくる。意識を保っているのか、いないのかは分からない。

もしかしたらこの中で一番強いのかもしれない。

それと、大胆に服を肌蹴させている為目のやり場に困ってしまう。

 

 

「暑ぅいぃ…そぉだぁ、脱いじゃおうっと…ごそごそ、もぞもぞ…」

 

ポーラ。この中で最も注意しなければならない。彼女は、酔うと服を脱ぎ始めてしまうからだ。千歳以上に危険である。

いつから酒を飲んでいたのだろうか。もしかして、最初から…?

 

 

「提督ぅ~?ひっく、ザラぁ、酔ってないですよう?」

 

ザラ。姉として、良い妹のストッパーとして頑張ってくれていたのだが…

途中でポーラに無理矢理酒を呷らされ、一瞬でノックアウト。…彼女からは、酒を遠ざけるべきだ。

次があるならばそうしよう、と一人心に誓った。

どうでもいいが、姉妹で酔い方も似ているようだ。

 

 

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もう僕だけでは収拾がつかない。

 

そう思った僕は勿論、鳳翔さんに助けを求めたのだが…

彼女は頬を膨らませ、ぷんぷんっ、と不機嫌そうに裏へ引っ込んでしまった。

 

 

…何が彼女の逆鱗に触れたのだろうか。やはり、女性の心は難しい。

この惨状から目を背けようと現実逃避しながら、僕は酒を呷った。

 

 

 

 

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翌日、みんなで二日酔いに悩まされたのは言うまでもない。

 

 

 

 




私は帰ってきた!

どうもご無沙汰しております。
かなり投稿が開いてしまいました。待っていてくださった方には申し訳ない限りです。

今回はどうでしたか?楽しんでいただけたなら幸いです。

酔っ払った艦娘、というのもいいと思います。はい。
こんな人いる訳無いだろ、なんて思う方もいるかもしれませんが許してくだち。

ポーラはいいキャラしてますね。ダウナー系の子は好きですよ。

そろそろ嫁艦(仮)で書いてみたいなぁ、なんて考えてます。
次回がそうかもしれません。違うかもしれません(
私の嫁艦(仮)。ヒントは…CV東山さん。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。次の投稿も気長に待っていただけたらなぁ、と思います。



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