秘密結社 鷹の爪 vs 天体戦士 サンレッド ―まさかの遊戯王大戦― 作:ミクニップ
夢を見た。それは、まだ私が小さかった頃の記憶。
当時の世界は、突如出現した謎の生物[ワーム]による侵略活動や、各部族による大規模な戦争によって目覚めた神々[魔轟神]による狩りと言う名の破壊活動によって、混沌とした世界になっていた。
自分達の居場所を守る為、大切な家族や仲間を守る為、領地を広げる為と、様々な思惑が交差する戦乱の中を私達は生きていた。
当時の私は、そんな戦乱の中で母を亡くし、族長代行として戦地に赴き、家に居なかった父の帰りを、双子の妹と一緒に待っていた記憶がある。その時は早期に母親が戦死して、さらには戦争によって何時も父親が居ない事もあったからか、孤独による寂しさと恐怖で毎日妹が泣いていたと思う。
「ぅぅ…ねぇおねぇちゃん…。おとうさんはいつになったら帰ってきてくれるの…?」
「大丈夫!お父さんはきっとすぐに帰って来てくれるよ!だから待っていようよ?」
ハッキリと言えば、正直当時の私も妹と同じように寂しさを感じてはいたし、妹と同じように泣きたかった。けど、姉としての威厳と責任感もあり、何より父親に代わって妹の面倒を見なければならなかったその時は、決して泣く事は出来なかった。
「でも、おとうさんがでていってもう一週間だよ…?もしかしておかあさんとおなじようにおとうさんも…」
「お父さんはすっごく強いんだよ!だからぜったいに帰って来るよ!だからそんな事言ったら駄目だよ!」
「でも…!」
私がどんなに言っても、妹の顔は決して晴れなかった。…やっぱり、母さんが死んだのが相当ショックだった事もあり、不安で仕方が無かったんだと思う。でも、私だって姉として、無駄だと解ってはいたけど、何とか妹を励まそうと必死だった。そんな時である。
「…おーい。誰かいるかー?」
「居たら返事してくれる~?」
「…?」
ふと、泣きじゃくる妹をあやしていた最中に、聞きなれない声を聞いた。その声を聞いたらしく、妹は嗚咽を漏らしながらも、私と一緒に窓の外を覗いてみた。
「お~居た居た!いやぁ~返事しないから居ないのかと思ったよ~!」
「……」
外に居たのは、私達と同い年位の三人組の男女だった。一人は赤くて長い髪をした、ボールを持った女の子。もう一人は青い髪をして本を読んで居た女の子。そしてもう一人は、銀髪を一まとめにして、仏頂面をしている男の子である。
「…何か用?私達、今お留守番してるんだけど?」
「知ってる。…実はオレ達、ウィンダールさんに頼まれて、おまえ等の相手をしろって言われて来たんだよ」
「お父さんが!?」
父の名前に反応して、それまで泣いていたのが嘘のようにピタリと止んだかと思えば、妹はそのまま外に出て行ってしまい、それを見た私も慌てて後ろについて行った。
「ねぇねぇ!おとうさんは?おとうさんは元気なの!?」
「うん、元気元気。それでウィンダールさんが、多分娘たちが寂しそうにしてると思うから、自分が帰って来るまでの間、遊び相手になってほしいって言ってね?…それでっさぁ、早速だけどあそぼっか?」
「うん!わかった!」
そう言うが速いか、妹はそのまま赤髪と銀髪の二人と一緒に、泣いていた事すら忘れたらしく、喜々としてそのまま遊びに出かけて行ってしまう。…そして私はというと、3人に興味が無いのか分からないけど、そのまま黙々と本を読んでいる青髪の子と二人で取り残されてしまい、そのまま沈黙が続いていた。
「…えっと、一緒に行かないのかな?」
「…なにか?」
「いや、ほら。貴女も一緒に遊ばないのかなーって」
「…興味無い」
「そ、そうなんだ…」
そのままさらに沈黙が続く。…ちゃんと言葉のキャッチボールとかしようよ!物凄く沈黙が重く感じられるよ!
「…じゃ、じゃあ。私と何か話さない?見た所、貴方氷結界の子みたいだし、私色々とお話し聞きたいなー」
「…あそこは氷と雪で覆われた場所。大して面白い話は何もない」
「そ、そうなんだ…。じゃあさ!今から皆といっしょに混ざって遊ぼうよ!きっと楽しいよ?」
「…ボクは、体を動かすより本を読むのが好きだから」
「…」
だ、駄目だ…。全く話にならない。というか、この子自体あんまり話そうとする気が全く見られない。これじゃあこのまま痛い沈黙と無駄に流れる時間しか残らないよ。私、そういうのは苦手なのに。一体どうしたら……あ、そうだ。
「…ねぇ、それじゃあ今読んでる本って何か教えてくれるかな?」
「…?」
「貴女が見てるその本だよ。読んでる時に、たまに笑顔になったりするから、どんなのか気になっちゃって」
「……見る?」
そういってその子が見せてくれたのは、その子が言うにはライトノベルとかいう類の諸説だった。何でも、大分前に別の世界から流れ着いたモノの一冊らしく、今ではこうして暇さえあればよく見るようになる程ハマったらしい。そしてそれを聞いた私も、興味本位で彼女からもう一冊借りて読み始め、気が付いたら何時の間にか仲良くなっていた。
「…ねぇ、一つだけ聞いていい?」
「ん?どうしたの?」
「…どうして、ボクにこう構ってくるんだ?里でもボクに話かけてくるのは、エミリアとアバンス位なのに」
エミリアとアバンス…。多分、妹と遊んでくれてる二人の事だと思う。…どうやらこの子、聞いてみれば氷結界の里でもかなりの変わり者らしく、あんまり友達が居ないんだとか。
「ボクに構った所で、キミにメリットは無いだろ?…それなのに何でなの?」
「え?う~ん…」
…どうやら、あんまり話とかもした事も無いのか、意外に難しい事を聞いて来る。でも…
「…何となく、かな?」
「え…?」
「何となく、私は貴女と仲良くなりたいし、友達にないたいって思っただけだよ?理由とかメリットとか、そんなもの一つも無いよ?」
…正直言えば、当時の私が気の利いたセリフ何て言える訳も無く、思った事を口にするのが精いっぱいだった。ハッキリ言って、仲良くするのに理由やメリットなんて要らないし、あったとしても、友達になりたいから以外に無かった。そして、私のそんな言葉を聞いたその子は、暫くの間ブツブツと独り言を言っていたが、そのまま待っていると、徐に口を開いて…
「…エリアル」
「?」
「…ボクの名前は、エリアル。キミの名前は…?」
「…!うん!私の名前はウィンダ。よろしくねエリアル!」
「…夢、か」
何だか懐かしい夢を見た気がする。今となってはもう見る事も出来ないだろう昔の夢。幼い頃の私と親友であるエリアルとの出会いの記憶…。
「…そっか。私、
蘇るのは二週間前の記憶。あの変な穴にエリアルと一緒に吸い込まれてしまい、そのまま来てしまったこの世界で最初に出会った人達の事だ。
「…えっと、今何時だったっけ?」
窓を見た感じ、外はもう明るい。とりあえず壁にかけてある時計を確認してみると、短針が7時を指していた。…確かこの時間帯だと、お世話になってる管理人さんが回覧板廻しに出ていたっけ?丁度良いなら、そろそろ帰って来る筈…
「ちょっとウィンダちゃーん!さっさと起きてこっち手伝っておくれよ!」
「あ、はーい!今行きまーす!」
丁度良く、この部屋の主である大家さんが帰ってきた。私が住んでいるこのアパートの大家でもあるこの人は、豹柄の服装とケバケバしいメイクを愛用している中年の女性で、こう見えて3歳の子供が居るシングルマザーでかなりの行動派です。現在私は大家さんの好意で、こうして一緒の部屋に住まわせてもらっていたりします。
「やっと来たのかい。アタシは之からあのロクデナシ共から家賃請求しに行かなきゃなんないから、とりあえず帰って来るまで部屋の掃除と、ついでに娘の面倒見といてくれないかい?一応朝飯も置いてあるから、其れ喰った後でも良いし」
「ハイ!任せて下さい!」
口調こそちょっとキツメだけど、意外と面倒見もいいし何だかんだ言って優しい一面もある大家さん。こっちに来てしまったお蔭で住む所が無い私の為に、「アンタ等みたいなロクデナシと一緒に住まわせるより、女のアタシと一緒に住んだ方が色々とマシだよ!」とか言って、こうして一緒の部屋に住まわせてもらっている位ですからね。…まぁそれはさておき。
「…よし!先ずは朝ごはんを食べよう!」
腹が減っては戦は出来ぬ!先ず一日の始まりは朝食からだね!ついさっき歯も磨いたし、大家さんから貰った服に着替えて、そして今起きた大家さんのお子さんのエリカ様の身支度も整えて、それから用意されてる朝ごはん(献立:白米、焼魚、大根と人参の味噌汁、法蓮草の和え物)を頂く。…うん!炊き立てで仄かな甘みのあるお米といい、焼魚の適度な塩加減と言い、私達の世界じゃあまり味わえないような独特の食感や味付けは、何時食べても癖になる。流石は
「…エリアル、ちゃんと食べてるのかなぁ…?」
そんな時に思い出すのは、ある理由で此処にいない
#03 エリアル 恐怖の古代儀式!!
あ、どうも今日は。突然現れた変な穴にエリアルと一緒に吸い込まれたかと思えば、気が付いたら変な場所に二人一緒にいて、そして今は、多分偉い人だと思われる二人にいろいろ聞かれてるウィンダです。気が付いた当初は、あまりに突然だったからエリアル同様パニック起こしていたんだけど、今じゃこうして落ち着いて、こうして尋問されています。あ、ちなみにエリアルはと言うと…
「もぐもぐもぐ…」
「す、すげぇぞ此奴!もう7合位白飯食ってもまだ食ってやがる!?」
「ヴァ、ヴァンプ様~!もう白飯無くなっちゃいました!」
「あ、じゃあ折角だから後3合位炊いちゃおうか。丁度お米使い切りたかった所だったし」
…えっと。どうやら相当お腹が空いてたらしく、私も食べたんだけど、元々大食いだった事もあってか今もこうして大人しく色々食べてます。
「何か、色々とスミマセン。手当してもらっただけじゃなくて、こうしてご飯まで…」
「いいのいいの気にしなくて!困った時はお互い様だから!それに、お腹が空いてるならなおさらだよ~」
この家の主だと思われる兜と紫のローブ人…確かヴァンプさんだったかな?ともかく、ヴァンプさんは結構人当たりのいい人みたいで、こうして笑顔で対応してくれた。…ついさっき聞いた話なんだけど、どうやら此処は、ヴァンプさんとその怪人達が住んでる家らしく、今日はある理由で隣にいる人…総統さん率いる[鷹の爪団]の皆さんと一緒にいた所、突然降ってきた私達に最初は驚きながらも、今はこうして簡単な応急処置所か、こうして夕食まで御馳走してくれました。…何ですかこの人達?見ず知らずの女の子にどうしてここまで親切にしてくれるんだろうか?
「あ~それで話を戻す訳なんじゃが、出来れば君達が誰なのか教えて欲しいのじゃが…」
「出来たら名前だけでも教えてくれたら嬉しいかな?」
「え、う~ん…」
見た感じ恰好は怪しさ満点なんだけど、どうやらこの人達は悪い人達では無さそうなのは私にも判る。出来るなら、私も名前とか快く教えたい所ではあるんだけど…。やっぱり助けてくれたとはいえ、見ず知らずの人に名前を教えるというのは少し抵抗が…
「もし教えてくれたら、俺の読み終わったライトノベル何冊かやるからさぁ~」
「吉田君。流石に女の子がライトノベル程度で釣れる訳が…」
「わかりました!名前どころか住んでる場所や私の好物だって教えますよ!」
「嘘っ!?」
「いいのかよ!?」
す、凄い!このライトノベル前見たかった奴の次巻だ!前の巻で銀の鴉な主人公がまるでガーゴイルに似た姿になっちゃって、敵に圧勝した後にその事が発端になって新しい事件が起こる所で丁度終わったから、次の展開が気になってたんだ~!うわぁまさかこんな所で見る事が出来るなんて思わなかったよ!うん、手当やご飯所か、見たかったライトノベルまでくれる何て。紛れも無くこの人達は絶対にいい人だね、断言してもいい!
「え、えっと~…。色々と問題はあるけど、まぁいっか。それじゃあ、改めて君の名前とか教えてくれるかな?」
「はい!わかりました!」
ここまでよくしてくれて、今更名前を教えませんなんて絶対に出来ないよね。とりあえず私は私とエリアルの名前、住んでいる場所、そして此処に流れ着いた経歴まで、自分自身が知っている範囲で快く質問に答えた。
「ふむ…。
「残念だけど、どれも聞いた事が無い名前の場所だねぇ…」
「そうですか…」
予想はしていたけど、やっぱり此処は私達が居た世界とは全く別の場所だった。逆に私がこの世界について色々聞いてはみたけど、日本だの東京だの聞いた事が無い地名ばっかりだったし…。どうやら私達、本当に別世界に来てしまったみたい。
「ウィンダ…エリアル…あぁ!思い出した!!」
「うわっ!?行き成り大声出してどうしたんじゃね吉田君」
「ハイ!さっきからこの二人見てて妙に違和感があるなーって思ってましたけど、さっき名前聞いてようやく思い出しました!総統、ヴァンプさん!ちょっとデッキ貸してくれませんあ?」
「あ、はい。どうぞ…」
?何だろう、吉田君って呼ばれた子が何か大声出したと思ったら、今度は総統さん達にデッキとか言うモノを借りて何か探し始めたけど…。
「…あった!総統、ヴァンプさん。後そっちの二人もちょっとこのカードを見てください!」
「あ、はい。別にいいですけど…って、えぇ!?」
「あ、これって…」
…何ていうか、正直驚いた。吉田君が其々のデッキから1枚ずつカードを取り出して私達に見せてくれたのは、紛れも無く私達が描かれていたカードであった。…え、どういう事?何で私達の絵が有るの?
「吉田君、これってまさか…」
「そうです。最初この二人を見た時に、つい最近どっかで見たような気がしたんですよ。そして二人の名前と
「でゅえるもんすたーず?かてごりー?」
「あ~、正直ちょっと解らないかな?ちょっと待ってて、今から教えるから」
‐少女説明中。‐
「ゴクンッ…つまりデュエルモンスターズというのは、この世界に存在するカードゲームとやらの事で、ボク達はそのカードゲームに登場するキャラクター…って言いたい訳か」
「吉田君が言うにはそうらしい」
…えっと。つまり総統さんからしたら私達は、本来ならライトノベルに出てくるキャラクターみたいな架空の存在で、
「正直、私達からしたらとても信じがたい話ですよね。私達にとっては現実なのに、こっちの世界だと架空の存在だなんて…」
「いやいや!流石に君達の言ってる事が嘘だなんて微塵も思っては居ないワイ!…でも、ワシ等としても同じように信じろと言われても難しい部分はあるがの」
そりゃあまぁ、突然空から降ってきた子が、実は別世界の住人でしかもゲームに登場するキャラクターだった何て言われても困惑するだけだろう。
「けどよぉ、逆にスゲーよな。カードのキャラクターが現実に現れるなんてさ」
「確かにスゲーッすよね!僕等って黒魔術とか怪人製造とか当たり前にやってますけど、こういうのはあんまり無いから逆に新鮮っていうか!」
「ウチも超能力者だの博士のトンデモ大発明だのよく見てるけど、確かに之は之で良いな」
…えっと、何ですかこの人達の適応力。やっぱり聞いた限りだと何時も非現実的な事やってるせいもあるのか、こういうのには耐性があるのは解るんだけど。いささか適応し過ぎなんじゃないかな…?
‐コトッ
「…ごちそうさま」
「あ、もういいの?遠慮しなくてもいいんだよ?」
「うん。もうお腹いっぱいだからいい。意外と美味しかった」
どうやらようやくお腹がいっぱいになったみたいで、何時ものように仏頂面ではあるけれど何処か満足そうなエリアル。…にしても、テーブルの上に山のように積まれたお皿を見る限り、本当によく食べるよね。昔、久しぶりにお父さんが帰ってきたから、皆でちょっとしたパーティ開いた時も、アバンスやウィンも結構食べてたけど、この子だけダントツだったな確か…って。
「ちょっと待ってエリアル。一体何処に行くの?」
食事が終わったかと思えば、何を思ったのか近くに置いてあった自分の杖を持ってそのまま外に出ようとするエリアル。
「…何って、之から帰る方法を探しに行く」
「帰る方法って…此処は異世界なんだよ?当てとかあるの?」
「そんなのは知らない。…当てが無いなら探せばいいだけ」
探すって…探す当て所か手掛りすら無いのに、一体どうやって探す気なの!?闇雲に探したって手掛りなんか見つかりっこ無いのエリアルだって解ってる筈なのに…流石に之は無謀だよ!
「ちょっと待ってエリアル!闇雲に探したって方法は見つからないよ!何だったら私も…」
「馬鹿かお前?ボクとお前は敵同士。何で敵であるお前なんかと協力しなければいけないんだ?」
「敵とか味方とか関係無いよ!此処は私達にとっては異世界なんだから、二人で力を合わせれば…」
―ヒュッ!バシュンッ!!
「ギャァァァッ!?」
「総統~~!?」
エリアルに協力を持ちかけようとしたその瞬間、空気を切る音と一緒に何かが私の頬を掠めた。その後頬に感じる鈍い痛みと、まるで氷のように冷たい眼で私を睨みながら杖を突き付けるエリアルの姿を見れば、嫌でも何が起こったのか解ってしまう。エリアルは自身の杖を銃身に見立て、先端から得意の水系魔術で作り出した水の弾丸を撃ち出したのである。…後ろで誰かの悲鳴が聞こえたけど、多分気のせいだと思う。今はこっちが問題だし。
「…何度も同じことを言わせるな。リチュアであるボクとガスタであるお前。例え異世界だとしてもボクにとってお前は敵だ。昔みたいに仲良しごっこ何て出来る訳が無いに決まってるだろ」
「そんな事無いよ!また昔みたいに皆で仲良く出来る日が必ず来る!だからお願いエリアル、今だけでも良いから私と一緒に…!」
確かに今私達は互いに敵同士、それは紛れも無い事実だ。…けど、それだけで諦めるだなんて絶対に嫌!エリアルは何時も口ではあんな風に言ってるけど、絶対に私は…
「あのー。エリアルちゃん…だっけ。ちょっと聞いてもいいかな?」
「…何?ボクに何か用?」
エリアルと私の間でそんな剣呑な雰囲気が醸し出されている最中、それまで黙っていたヴァンプさんが、私達の会話に入ってくる。
「別に用って訳じゃぁ無いんだけど、エリアルちゃんもウィンダちゃんも、こうして自分達の知らない世界に来ちゃったから、家やお金とかの心配とかってあるんじゃないかな?」
「え、あ、まぁ確かに…」
「…一体、其れが何だって言うんだ?」
突然そんな事を聞かれて面食らう私達。…まぁ確かに、不慮の事故とは言え、現に私達は異世界に来てしまった訳だし。当然あっちで使えた通貨はこっちでは絶対に使えないし、当たり前だけど寝床だって存在しない。最悪野宿は覚悟しなければならない。
「もし二人さえ良かったら、私達のウチに住まないかな?それなら、食料や寝床の心配はしなくて済むし」
「…一体何が目的だ?」
「目的何て無いよ?唯単に、私が好意で住む場所やご飯とか何とかしてあげたいって思っただけだから」
多分、ヴァンプさんが言ってる事に嘘は無いと思う。さっきまでの行動や言語から見ても、この人に裏があるとは到底思えないから、好意というのは多分本当の事だろう。…そしてそれを聞いたエリアルも、少し考えた後で口を開いた。
「…分った。お前が言うなら、ボクはこの家で厄介になる。但し、此奴とは一緒の屋根の下で暮らす気は無い。でなければ、ボクは今すぐにでも此処を出て行くから」
…ハイ、回想シーン終わり。
そんな事があったので、流石にエリアルを一人で行動させない為、私はこうしてエリアルとは別に総統さんに連れられて、鷹の爪団さん達がお世話になってるアパートまでやって来た訳です。来た当初は大家さんが総統さんが私を誘拐した誤解して総統さんに質問攻め(物理)したり、私の住居場所の事でいざこざがあったり、資金集めとしてアルバイト先探す為に四苦八苦したりと色々ありましたが、此処では割愛させて頂きます。
え、今私が何をしているかですか?今私はというと…
「いらっしゃいませ!今日もBookお麩を御利用頂き、真に有難う御座います!」
はい。現在私はこの世界についての勉強や今後の資金調達の為、古本屋チェーン店のBookお麩でアルバイトをしていたりします。エリアル共々、ひょんな事からこの世界に来てしまった私達は、あっちの世界のお金は使えないし、持ってるのは服一着と杖、勉強用の魔導書や羽ペン。…そしてお気に入りのラノベ数冊だけという実質一文無しなのである。一応大家さんのお世話になっている身でもあり、やはり何時までも甘えてばかりというのも気が引けた為、鷹の爪団さん達の協力もあり、今はこうしてアルバイト先を見つけて働いているという訳です。
「お~いウィンダ君。売り上げの集計終わってる?」
「あ、店長!集計なら1時間前にしてみたんですけど、200円程プラスでした!」
「おーそうか!それじゃあ私は他の店員と一緒に本の整理するから、このまま接客お願いしていいかな?」
「はい!任せて下さい!」
最近、ちょっとやり方とか慣れては来たけど、まだ始めたばっかりだし油断しないで頑張らなきゃね!フィリップさんや大家さんも言ってたけど、総統さん達もちょっとした油断で必ずと言っていい程墓穴掘ってたって言っていた位ですし、気を引き締めなくちゃね。うん!
「お~い、ウィンダ君!」
「あ、総統さん!」
総統さん達の事考えていたら、丁度良く総統さん達がやって来た。…両手に荷造りの紐で束ねた古本の山を持ってる当り、今日は本を売りに来たんだろう。
「どうじゃねウィンダ君。最近の様子は」
「はい!まだ慣れない部分とかもありますけど、何とかやって行けてます。総統さん達は、今日は本を売りに?」
「最近はデュエルディスクを売りだしてガッポリ儲かったとはいえ、油断してるとまた埃と油汚れが主食の貧困生活に逆戻りしてしまうからの。だから今日は要らない本とか処分する為に此処に」
実は最近、経済難に陥った鷹の爪団さん達が、自分達が作ったデュエルディスクを売って大儲けしようと計画したんですよ。結果は見事大成功し、デュエルディスクは全国規模で大流行。現在は結構纏まったお金があるとか。…にしても、大儲けするまではそんな生活してたんですか?私の家もそんな裕福とまではいかないにしろ、たまーに
「あの~、当店ではこの雑誌や漫画は買い取れないんですけど…」
「別にいいじゃないかよ!どうせ本には変わらないんだし」
ていうか私雑誌とかあんまり詳しくは無いけど、どう見たってこの[ジャソプ]って雑誌、年号見る限りかなり古いよね?何1995年って?よくあったよね之?しかもよく見たら所々汚れてたりページの端っこ千切れてる部分もあるしで、素人の私から見ても絶対に買い取れないよ。
漫画だって、気のせいかコーヒーっぽい独特な匂いと茶色いシミが着いてるし。
「とにかく駄目なモノは駄目なんです!残りの本は買い取り出来ますけど、流石に之等は無理ですってば!」
「あの、そこを何とか頼めないかね?」
「だから駄目ったら駄目です!あんまりしつこいと私怒りますよ!」
尚も食い下がる総統さん達に一喝する私。一応此処にお世話になってる以上、私の一存で勝手に買い取ったら私が大目玉喰らっちゃいますからね。総統さん達にはお世話になってはいますけど、私にだって色々とあるんです。此処は私も心を鬼にして…
「ハァ?何だとゴラァ!?」
…?何だろう、隣のカウンターから怒鳴り声が…
「で、ですから!当店ではその本は扱えないと…」
「ごちゃごちゃ五月蠅ぇなぁ。俺が買い取れっつったら、素直に買い取ればいいだけだろが!?」
「で、ですけど…!」
あ~、あのパンチパーマとグラサンにアロハシャツ。そして極め付けのあのガラの悪さは…。
「何じゃねあの見た感じチンピラすって言ってるような男は?」
「見た通りのチンピラですよ。昨日もああして売れない本を押し売りして来たんですよ」
嫌でも思い出すよ。当店ではファッション雑誌の買い取りはやってないって何度も言ってるのに、怒鳴るわカウンター蹴るわ騒ぐわで、直ぐに店長が来てくれて、警察呼ぶって脅してくれたからよかったけど、本当に迷惑だったよ…。あ~、何度も怒鳴ったりして来るからあの娘涙目になってるよ…。
「…御免なさい総統さん。ちょっと待ってて下さいね?」
「え、ちょ、大丈夫かねウィンダ君?」
「大丈夫ですよ。それに、お客様のクレームに対応するのも定員の仕事ですから」
まぁ私正社員じゃなくてバイト何だけど。
「すみませんお客様。当店ではその類の雑誌の取り扱いはしていませんので、申し訳ありませんがお持ち帰りいただけますか?」
「あぁ!?誰かと思えば昨日のバイトか。バイト如きが俺様に口出ししてんじゃねぇよ。俺は客だぞ?客の要望に応えるのが店員の仕事だろうが!」
「確かにそうですが、それにも限度があります。これ以上騒がれると他のお客様のご迷惑にもなりますので、此処はひとまず落ち着かれては―」
「五月蠅ぇな!テメェに指図されてたまっかよ!いいからこの雑誌買い取れよ!俺はお・客・様だぞ!?」
…あぁ~どうしよう。私達の世界にもこういったのは少なからずいるけどさ、言ったら悪いけどこういう類の人って本当に面倒臭いんだよね…。多分読者の皆さんは一応デュエル小説なんだからデュエルで何とかしろよ~とか言ってるかもしれませんけど、生憎私のデッキは調整中で家に置いてあるし…。大体仕事中にデッキ持ってくる人が何処に居るって言うんですか。いくら遊戯王系小説でもそこまで非常識じゃないですよ多分。…あぁ~、誰でもいいからこの人何とかして欲しいなぁ~…
「…五月蠅いぞチンピラ。いい加減その口閉じろ」
「あ"ぁ?」
…そんな風に私が現実逃避しようとした最中、突如入った第三者の言葉。…ハァ、確かに何とかして欲しいとは思ったけど、幾らなんでもその言い方だと火に油を注ぐような…って
「え、エリアル!?」
「…フンっ」
何と其処に居たのは
「おい、何か変な事考えてないか?」
「気のせい気のせい。…それよりどうしてエリアルが?」
「ナイトールに本を売ってる場所が無いか聞いて、此処を教えてもらったんだ。…それよりも、早くこの馬鹿を何とかしてくれないか?早く家に帰って本読みたいんだけど?」
あ~もしかしてエリアルの後ろにある籠の中身って全部本なのかな?…買ってくれるのは別に良いけど、全部読めるの?相変わらず本好きだよねエリアル。
「…テメェ、俺様の目の前で好き勝手言ってくれるじゃねぇか。そんなに痛い目に合いてぇのか?」
「ボクは本当の事を言ったまでだ。…それにお前も本当の事を指摘されたからって、そんなに睨まないでくれるかな?ハッキリ言って不快だ」
「この野郎…!!」
あ、エリアルの挑発でチンピラのこめかみに青筋が出来た。
「…さっきから人が大人しく聞いてやってりゃベラベラと喋りやがって…!目上に対する常識ってモンがねぇみたいだなぁ?」
「その前に店員に向かって口喧しく怒鳴っていた馬鹿は何処の独逸だ?ボクに常識云々語る前に、先ずはお前が社会の常識を学び直したらどうだ?」
―ダンっ!!
「ったま来た!!ようし決めた、テメェ絶対にぶっ殺す!!今更謝っても遅いからな、殺すっつったら殺すからな!!」
「馬鹿みたいに殺す殺す連呼するな低能。…丁度良い、ボクも丁度イライラしていた所だ。運良くデッキも持ってるし、この際遊戯王小説に因んで、デュエルで決着をつけようじゃないか?」
あ~やっぱり。タイトルとこの小説の趣旨がアレだから薄々感じてたけど、やっぱりデュエルするんだね。
「言っておくがなぁ。俺様はこの街では(自称)最強と呼ばれた
「精々吠え面かけば良いさ。…お前には、このデッキの試運転に付き合ってもらうんだからな」
『デュエル!!』
‐【先攻】チンピラ[???] vs 【後攻】エリアル[???]
「先攻は俺からだ!ドロー!!…俺は手札から、[
『ブルルッ…!』 ATK1700
「さらに俺は、カードを3枚セットしてターン終了してやるぜ!」
チンピラ T2
LP:8000
場:馬頭鬼(攻)
魔・罠:セット×3
「…ボクのターン、ドロー」
…さて、エリアルのプレイングに入る前に、何故彼女がカードを持ってるのか気になってる人もいるかと思いますから、私が説明しようと思います。実は私達、こっちの世界に来た次の日にレオナルド博士からカードを貰ったんです。多分必要になるだろうからって名目で、軽くデッキ、サイドが其々簡単に出来る位、どっから出したのかポーンって。…そんな訳で、私達は吉田さんやフロシャイムの怪人さん達の助力もありながらも、何とかデッキ作った訳です。…果たして、エリアルのデッキはどんな風に仕上がったのやら…
「説明乙。…ボクはとりあえず、[ガガギゴ]を召喚」
『シャァッ!!』 ATK1850
ガガギゴ
☆4/水/爬虫類/攻1850/守1000
かつて邪悪な心を持っていたが、
ある人物に会う事で正義の心に目覚めた悪魔の若者。
「バトル。ガガギゴで馬頭鬼を攻撃」
『グォォォッ!』
ガガギゴ 攻1850 vs 馬頭鬼 攻1700
「チっ!馬頭鬼の攻撃力は1700。攻撃力1850のガガギゴには負けるな」LP:8000 →7850
「(リバースカードを使わなかった…。対攻撃用じゃなかったかあるいは…)…ボクはカードを1枚セットしてターンエンド」
エリアル T4
LP:8000
場:ガガギゴ(攻)
魔・罠:セット×1
「俺のターン、ドロー!…俺は手札から魔法カード[手札断殺]を発動!互いに手札を二枚捨て、その後カードを2枚ドローする!俺は[ゾンビ・マスター]と[ゾンビ・キャリアー]の2枚を捨てるぜ!」
「ならボクは丁度手札で腐ってた[イビリチュア・マインドオーガス]と[フィッシュボーグ-プランター]を捨てるか…」
手札断殺 速攻魔法
お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。
その後、それぞれ自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「さらに俺は、手札から[ピラミッド・タートル]を召喚!」
『ギギィッ…!』 ATK1200
「そしてバトル!ピラミッド・タートルでガガギゴを攻撃!」
ピラミッド・タートル 攻1200 vs ガガギゴ 攻1850
「…ピラミッド・タートルの攻撃力は1200、ガガギゴの攻撃力に程遠い。…馬鹿だろお前?」
「馬鹿はテメェだよ!確かにタートルは破壊されるが、破壊されたこの瞬間に効果が発動!此奴が戦闘で破壊されて墓地に送られた時、デッキから守備力2000以下のアンデットを呼び寄せる!」LP:7850 →7200
ピラミッド・タートル
☆4/地/アンデット/攻1200/守1400
効果
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
「…成程。ソイツはリクルータだったのか」
「今更気が付いても遅い!俺はタートルの効果で、守備力2000の
「却下、罠カード[昇天の黒角笛]。お前が特殊召喚した龍骨鬼を破壊する」
「…」
…えぇ~、此処で躊躇無く破壊するの?
「勝負は常に非常」
昇天の
相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。
龍骨鬼
☆6/闇/アンデット/攻2400/守2000
効果
このカードと戦闘を行ったモンスターが戦士族・魔法使い族の場合、
ダメージステップ終了時にそのモンスターを破壊する。
「…で?もう通常召喚してるし、これで終わり?」
「うるせぇ!!…俺はこのままターンエンドだ!!」
チンピラ T2
LP:7200
場:無
魔・罠:セット×3
「ボクのターン、ドロー。…そろそろ行くか。ボクは[リチュア・チェイン]を召喚」
『シャァァッ!!』 ATK1800
リチュア・チェイン…。リチュアに属する海竜の戦士。その槍捌きと勇猛な戦士としての経験には私達も一目置いていたけど、カードだとどんな効果なんだろう…?
「チェインの効果発動。此奴が召喚に成功した時、デッキトップのを3枚を確認し、確認したカードの中に儀式モンスターか儀式魔法があれば、1枚だけ相手に見せて手札に加え、残りを好きな順番でデッキの上に置ける。デッキトップは…」
[フィッシュボーグ-ランチャー] [強欲なウツボ] [イビリチュア・ガストクラーケ]
「…じゃあボクは、この中からガストクラーケを選択。残りはデッキトップに戻すか」
リチュア・チェイン
☆4/水/海竜/攻1800/守1000
効果
このカードが召喚に成功した時、デッキの上からカードを3枚確認する。
確認したカードの中に儀式モンスターまたは儀式魔法カードがあった場合、
その1枚を相手に見せて手札に加える事ができる。
その後、確認したカードを好きな順番でデッキの上に戻す。
「さらに、墓地に存在するプランターの効果発動。此奴が墓地に存在する時に1度だけ、ボクはデッキトップ1枚を墓地に送る事が出来、その時送ったカードが水属性モンスターなら、此奴を墓地から特殊召喚出来る訳だが…」
「ついさっきチェインの効果でトップが操作されてるから、何が来るかは最初から判ってる訳だしな…」
「そう言う事だ。そういう訳で、ボクはトップのカードを落とす。…落としたカードは水属性モンスターの[フィッシュボーグ-ランチャー]。よって、プランターを守備表示で特殊召喚する」
『シューッ…シューッ…』 ATK200
フィッシュボーグ-プランター
☆2/水/魚/攻 200/守 200
このカードが墓地に存在する限り1度だけ発動できる。
自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。
墓地へ送ったカードが水属性モンスターだった場合、
さらにこのカードを墓地から特殊召喚する。
「フィッシュボーグ-プランター」の効果は
1ターンに1度しか使用できない。
「さらに、墓地に居るランチャーの効果発動。ボクの墓地のモンスターの属性が水のみの場合、此奴を墓地から特殊召喚出来る。…但し、この効果を使用した時にフィールドから離れた場合、此奴は除外されるけどね」
『ギギッ』 ATK200
フィッシュボーグ-ランチャー
☆1/水/魚/攻 200/守 100
チューナー・効果
「フィッシュボーグ-ランチャー」以外の自分の墓地のモンスターが全て水属性の場合、
自分のメインフェイズ時に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、
ゲームから除外される。
このカードをシンクロ素材とする場合、
水属性モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
「フィッシュボーグ-ランチャー」の効果は1ターンに1度しか発動できない。
「フィールドにチューナーとそれ以外のモンスターが出たって事は…」
「そうだ。ボクはレベル4のリチュア・チェインに、レベル1のランチャーをチューニング」
☆4 + ☆1 = ☆5
「災害の名を持つ心無き兵よ。悪しき侵略者に無情の鉄槌を与えろ!シンクロ召喚。起動せよ、[
『ギギギ……ッ!』 ATK2200
「先攻2ターン目で行き成りシンクロだと!?」
「念の為。…ボクは手札の儀式魔法[リチュアの儀水鏡]を発動。フィールドのプランター、ガガギゴの2体を贄に、手札のレベル6儀式モンスター[イビリチュア・ガストクラーケ]を呼び出す。異界より降臨せよ、イビリチュア・ガストクラーケ!!」
『グォォォッ!!』 ATK2400
す、凄い。たった1ターンで2体の上級モンスターが…!
「儀式召喚に成功した事で、ガストクラーケの効果を発動。相手の手札をランダムで2枚確認し、内1枚をデッキに戻す。…といっても、お前は既に2枚しか無いから意味は無いけど」
「チっ…!」
えっと…。相手が持っているのは、レベル3の効果モンスターの[バーニング・スカルヘッド]と[強制転移]の2枚だけ…。
強制転移 通常魔法
お互いはそれぞれ自分フィールド上のモンスター1体を選び、
そのモンスターのコントロールを入れ替える。
そのモンスターはこのターン表示形式を変更できない。
うーん、確かあのカードって相手と自分のモンスターを入れ替えるカードだったよね?…多分、相手は次のターン、自分が持ってるモンスターとエリアルの高レベルモンスターを入れ替えて、エリアルにダメージを与えようとしてたのかな?…だとしたら、やっぱり此処は強制転移をデッキに戻した方がいいかも…
「…じゃあ、ボクは[強制転移]を選択するか」
「ケッ…!」
「…伏せカードが気になるけど、このままバトル。先ずはカタストルでお前にダイレクトアタック」
カタストル 攻2200 vs チンピラLP:7200
「そうダメージ喰らってたまるかよ!俺は罠カード[リビングデッドの呼び声]を発動!俺の墓地から表側攻撃表示でモンスター1体を蘇生できるこのカードを使い、墓地の[ピラミッド・タートル]を蘇生!」
『ギギィ…!』 ATK1200
あ、ヤバっ!確かあの亀は、デッキからアンデットを引っ張って来れる厄介なサーチモンスター!このまま攻撃すれば、またデッキから強力なモンスターが…!
「…馬鹿が。ボクはこのままカタストルで攻撃続行。そのモンスターを攻撃する」
「え、ちょっと待ってエリアル!そのモンスターは…!」
カタストル 攻2200 vs ピラミッド・タートル 攻1200
―ピピピッ、バヒュンッ!!
『ギィィィッ!?』
私の忠告も空しく、そのまま攻撃続行を宣言したエリアル。ソレに応えるかのようにカタストルの目の部分が一瞬で光ったかと思えば、そこから一筋のレーザーが発射され、それに当たったピラミッド・タートルは消滅してしまう。
「馬鹿が!ピラミッド・タートルの効果も忘れて態々破壊してくれるなんてなぁ!破壊されたピラミッド・タートルの効果発動!俺はデッキから[スカル・フレイム]を特殊召喚だ!」
―シーン…
…あ、アレ?如何したんだろう、モンスターが来ない…?
「な、何だ…?カードをセットしてもモンスターが出現しない…!?」
「そりゃあ反応しないだろ。[召喚条件満たしてない]から」
「は?ど、如何いう事だよ!?」
え、如何いう事なのエリアル?さっきのヴィジョンを見ても、タートルは破壊された訳だから、ちゃんと条件は満たしている筈なのに…
「確かに、ボクはカタストルでピラミッド・タートルに攻撃宣言を行った。通常なら攻撃力が上のカタストルに戦闘で破壊され、タートルの効果が起動する」
「そ、そうだろ!なのに何でタートルの効果が発動しねーんだよ!?」
「簡単な話だよ。だってタートルは[戦闘で]破壊された訳じゃ無いんだからね」
…はい?如何いう事?
「カタストルには戦闘を行う時に攻撃対象の属性が闇以外だった場合、ダメージ計算すら行わずそのモンスターを破壊する強制効果がある。つまり…」
「…ピラミッド・タートルは[戦闘で]破壊されたんじゃなくて、[効果で]破壊されたって訳か…?」
「そうだ。…まぁ、相手が裏守備表示で特殊召喚して来たら、流石にタートルの効果が発動するけど」
A・O・J カタストル
☆5/闇/機械/攻2200/守1200
シンクロ・効果
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが闇属性以外のフィールド上に表側表示で存在する
モンスターと戦闘を行う場合、
ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。
成程。確かにピラミッド・タートルの効果の発動条件は[戦闘で破壊された時]。[効果で破壊された時]は能力は発動出来る訳が無いね。
「…それじゃあフィールドがガラ空きになった訳だし、次はガストクラーケで直接攻撃」
ガストクラーケ 攻2400 vs チンピラLP:7200
「ぐごげっ!?」LP:7200 →4800
「じゃあボクは、このままメイン2に移行し、カードを1枚セットしターンエンド」
エリアル T2
LP:8000
場:カタストル(攻),ガストクラーケ(攻)
魔・罠:セット×1
「クソッタレがぁ…!ドロー!!…俺は伏せていた永続魔法、[ミイラの呼び声]を発動!このカードは、俺のフィールドにモンスターが存在しない時、1ターンに1度だけ手札からアンデットを呼び寄せる事が出来る!俺は手札から[バーニング・スカルヘッド]を特殊召喚!!」
『ォォォ……っ!』 ATK1000
「さらに、手札から特殊召喚された事で、スカルヘッドの効果が発動!此奴が手札から特殊召喚された時、手前ェに1000ポイントのダメージを与える!」
「…チっ、バーン効果か。ウザったい」LP:7000
「これで終わりと思うなよ?俺は手札から、魔法カード[闇の誘惑]を発動!デッキからカードを2枚ドローし、その後俺は手札から闇属性モンスターを除外する!俺は手札の[マンモス・ゾンビ]を除外だ!」
バーニング・スカルヘッド
☆3/炎/アンデット/攻1000/守 800
効果
このカードが手札から特殊召喚に成功した時、
相手ライフに1000ポイントダメージを与える。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する
このカードをゲームから除外する事で、
ゲームから除外されている「スカル・フレイム」1体を墓地に戻す。
闇の誘惑 通常魔法(制限)
デッキからカードを2枚ドローし、
その後手札の闇属性モンスター1体を選んでゲームから除外する。
手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
「さらにさらに、墓地に存在するチューナーモンスター、ゾンビキャリアと馬頭鬼の効果発動!ゾンビキャリアは手札からカードを1枚デッキトップに戻す事で此奴を墓地から特殊召喚出来、馬頭鬼は此奴自身を除外する事で墓地から同族を蘇生させる!俺は手札から[スピード・キング☆スカル・フレイム]をデッキトップに戻し、ゾンビキャリアを蘇生!そして、馬頭鬼を除外してゾンビ・マスターを蘇生だ!来い、ゾンビキャリア!ゾンビ・マスター!!」
『グォォォ……!』 ATK400
『ハァっ!!』 ATK1800
ゾンビキャリア
☆2/闇/アンデット/攻 400/守 200
チューナー・効果(制限)
手札を1枚デッキの一番上に戻して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
馬頭鬼
☆4/地/アンデット/攻1700/守 800
効果(制限)
自分のメインフェイズ時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
自分の墓地からアンデット族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
「チューナーモンスター…来るか」
「行くぜオラァ!俺はレベル4のゾンビ・マスターにレベル2のゾンビキャリアをチューニング!」
☆4 + ☆2 = ☆6
「冥界に彷徨いし魔王の怨念よ。
『ヴォォォ……!!』 ATK2450
な、なんと。予想はしてはいたけど相手もシンクロ召喚してきました!しかも出てきたのは、デッキがアンデットだから予想は出来たけど、何だか魔王っぽいボロボロな服装をしたゾンビモンスターだ。…攻撃力は何だか中途半端だけど、エリアルのモンスターより高いし、侮れない…!
「このままバトルだ!ハ・デスで邪魔なカタストルを攻撃ィ!!」
ハ・デス 攻2450 vs カタストル 攻2200
『グォォォォッ!!』
唸り声を上げながら腕を振るうハ・デス。カタストルはその攻撃を受け止めようとするも相手の腕力に歯が立たず、そのまま鉄屑になってしまう。
「…カタストルの効果が発動しないという事は、そのモンスターは闇属性か…」
「そういう事だよ!…そして俺は、このままターンエンド!!」
チンピラ T1
LP:4800
場:ハ・デス(攻),スカルヘッド(守)
魔・罠:ミイラの呼び声,セット×1
「ボクのターン、ドロー。…このままバトルだ。ガストクラーケでスカルヘッドを攻撃」
ガストクラーケ 攻2400 vs スカルヘッド 攻1000
「そうはいくかよ!トラップカード[ガード・ブロック]発動!俺が受けるダメージは0になり、カードを1枚ドローだ!」
「チッ…、だったらこのままメイン2に移行。モンスターとリバースカードを1枚ずつセットしてターンエンド」
エリアル T1
LP:7000
場:ガストクラーケ(守),セット×1
魔・罠:セット×2
「俺のターン、ドロー!!…クククッ…!来たぜ来たぜ、テメェのその可愛げのねぇ面を明かすカードがよぉ…!」
どうやらエリアルを倒す為のキーカードが来たのか、下品に笑うチンピラ。…対するエリアルは相変わらずの仏頂面ではあるが、若干眉をひそめている。
「ケヒャヒャッ!それじゃあ行くぜぇ!俺は手札から魔法カード[おろかな埋葬]を発動!その効果で俺はデッキから[スカル・フレイム]を墓地へ!!そして、手札にある[スピード・キング☆スカル・フレイム]の効果発動!此奴は通常召喚出来ない代わりに、墓地の[スカル・フレイム]1体を除外する事で、手札から此奴を特殊召喚出来る!見せてやるよ、これが俺様の切り札、[スピード・キング☆スカル・フレイム]だぁ!!」
『グォォォォ、トゥァッ!!』 ATK2600
チンピラの掛け声と共に目の前に出現したのは、炎髪を靡かせたケンタウルスのようなアンデットモンスター。…レベル10でありながら、脅威ではあるけどそれ程高くは無い攻撃力だが…
「スピード・キング☆スカル・フレイムの効果発動!1ターンに1度、墓地のバーニング・スカルヘッドの数×400のダメージを与える!燃えちまいなぁ!!」
「っ…!」LP:7000 →6600
スピード・キング☆スカル・フレイムが呟く呪詛と共に出現したスカルヘッドが炎となってエリアルを襲う。ダメージこそ微力だけど、之は何度も受けてたら辛い…!
スピード・キング☆スカル・フレイム
☆10/風/アンデット/攻2600/守2000
効果
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地に存在する「スカル・フレイム」1体を
ゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、自分の墓地に存在する「バーニング・スカルヘッド」の数
×400ポイントダメージを相手ライフに与える事ができる。
また、このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分の墓地に存在する「スカル・フレイム」1体を特殊召喚する事ができる。
「さぁらに!墓地のスカルヘッドの効果発動!此奴を除外する事で、除外されているスカル・フレイムを墓地に戻す!そして手札の[死者蘇生]を発動!墓地に戻した[スカル・フレイム]を蘇生させるぅ!」
『ォォォッ…!』 ATK2600
一気に相手フィールドにアンデットモンスターが3体も…!
「このままバトルだ!先ずはハ・デスで伏せモンスターを攻撃ィ!」
ハ・デス ATK2450 vs ???
「セットモンスターは[リチュア・エリアル]。反転したからリバース効果が発d―」
「無駄無駄ァ!!ハ・デスがフィールドに存在する限り、俺のアンデットモンスターは戦闘破壊したモンスターの効果を無効に出来る!!」
「っ面倒なモンスターだな…!」
つまりハ・デスが居る限りは、破壊される事で効果を発揮するようなサーチャーやリクルーターのような類は唯の壁に成り下がるって訳!?うわぁ…これは本当に厄介なモンスターだわ。
蘇りし魔王 ハ・デス
☆6/闇/アンデット/攻2450/守 0
「ゾンビキャリア」+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
シンクロ・効果
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上のアンデット族モンスターが戦闘で
破壊した効果モンスターの効果は無効化される。
「続いてスカル・フレイムでガストクラーケに攻撃ぃ!」
スカル・フレイム 攻2600 vs ガストクラーケ 攻2400
「っ…」LP:7000 →6800
「そしてぇ!スピード・キング☆スカル・フレイムでテメェにダイレクトアタックだぁ!!」
スピード・キング☆スカル・フレイム 攻2600 vs エリアル:LP6800
「っ…!」LP:6800 →4600
「ヒャハハッ!之で形勢逆転だなぁ!?ターンエンド!」
チンピラ T0
LP:4800
場:ハ・デス(攻),スカル・フレイム(攻),速王☆スカル・フレイム(攻)
魔・罠:ミイラの呼び声
「…いい気になるな。ドロー!…ボクはモンスターをセットしてターンエンド」
エリアル T1
LP:4600
場:セット×1
魔・罠:セット×2
「ケヒャヒャ!どうやら運にも見放されたみてぇだな餓鬼ぃ!ドロー!」
「…」
どうやら良いカードが引けなかったのか、そのままターンを終了するエリアルに対し、下品な笑い声をあげるチンピラ。対するエリアルは不快そうに眉をひそめるも、それでもポーカーフェイスを崩さない。
「よぅしこのままバトルだ!ハ・デスでそのセットモンスターを攻撃ィ!」
ハ・デス ATK2450 vs ???
「…セットモンスターは2枚目の[ガガギゴ]。このまま破壊される」
「ハッ!何かと思えばそんな雑魚モンスターか!このまま残り2体のモンスターで1,2フィニッシュだぁ!」
スカル・フレイム, 速王☆スカル・フレイム 攻2600×2 vs エリアルLP:4600
「攻撃宣言時、罠カード[ガード・ブロック]発動。スカル・フレイムからのダメージを0にして1枚ドロー」
「だが、スピード・キングの攻撃は受けてもらうぜぇ!!」
速王☆スカル・フレイム 攻2600 vs エリアルLP:4600
「っ…!」LP:4600 →2000
「ケッ、シツコイ奴だな…!俺はリバースカードをセットしてターンエンドだ!」
チンピラ T0
LP:4800
場:ハ・デス(攻),スカル・フレイム(攻),速王☆スカル・フレイム(攻)
魔・罠:ミイラの呼び声, セット×1
「ケッヒャヒャヒャ!!どぉだ糞餓鬼ぃ、之が俺の実力って奴だぁ!これ以上無様な姿晒したくなかったら、早く土下座でもして謝罪しろよなぁ?…ま、それでも許してやるつもりはねーけど?ヒャーヒャヒャヒャっ!」
…クッ。その嫌味ったらしい笑い声とその笑顔が非常に不愉快だけど、確かに自称最強を名乗るだけあって実力は本物ね。私達、デュエル始めてまだ一週間か其処等の駆け出しで、しかもお世辞にも上手いとは言い切れない。デッキだってレオナルド博士やフロシャイムの怪人さん達が持ってた奴を貰って作った即席の奴だ。ハッキリと言えば勝てるかどうかも怪しい…けど。
「…ハァ、何勝ったつもりになってるんだお前?」
「あ”?」
正直に言います…それでも此奴は倒さなきゃ気が済みません!
「…何言ってんだテメェ?俺のフィールドには強力なモンスターが3体。対するテメェのフィールドにはモンスターは0!何処をどう見たってテメェの負けが確定してるも同然―」
「だからその程度でいい気になるなと言っているんだ。…次のターン、ボクがカードをドローする。勝敗は其れで決めれば良いだけの話だ。違うか?」
「…ハッ!何を言うかと思えば、そんなの無理に決まってるだろうが!寝言は寝てから言えや!」
「どうかな?この類の小説ってこういう状況に限って逆転出来るカードが出てくる事が多いから、もしかしたら次のターンでお前に勝てる可能性だってあるんだぞ?」
エリアル、メタいメタい。
「言わせておけば…!そう言うんなら見せてみろや!その逆転劇って奴をよぉ!?」
「ああ、お前に言われなくても見せてやるよ。ボクの実力をね。…ドロー!!」
―シュッ!!
「…どうやら、本当に決着が着くみたいだ。[お前の負け]でな」
「…!?」
「魔法カード[貪欲な壺]発動。墓地のガガギゴ2体、ボク…リチュア・エリアル、ガストクラーケ、プランターをデッキに戻し、2枚ドロー。さらに、魔法カード[ブラック・ホール]発動!お前のモンスターを一掃させてもらうぞ」
ブラック・ホール 通常魔法(制限)
フィールド上のモンスターを全て破壊する
ブラック・ホール。昔読んだ本に書いてあった、超重力空間の通称。その強力な重力はあらゆる物を飲み込み、1度入ってしまえば2度と戻れないとされている。そしてそんなブラック・ホールがモンスター達の頭上に出現したかと思えば、その強力な引力でモンスター達をあっという間に吸い込んでしまう。
「なぁっ!?お、俺のモンスター達が!?」
「これで邪魔者は居なくなった。…ボクは手札から、[深海のディーヴァ]を召喚」
『ハァッ!!』ATK200
「ディーヴァの効果発動。此奴が召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のモンスターを特殊召喚出来る。ボクはデッキからレベル3の[ニードル・ギルマン]を特殊召喚する」
『ギョギョ!!』 ATK1300
深海のディーヴァ
☆2/水/海竜/攻 200/守 400
チューナー・効果
このカードが召喚に成功した時、
デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を特殊召喚できる。
チューナーと非チューナー…来る!
「行くぞ。レベル3のニードル・ギルマンに、レベル2のディーヴァをチューニング!」
☆3 + ☆2 = ☆5
「深海に眠りし竜王よ。全てを飲み込む津波となれ!シンクロ召喚!浮上せよ、[
『グォォォォッ!!』 ATK2300
エリアルの口上と共に咆哮を上げ出現したのは、全身が水みたいな竜のモンスター。
「…ハッ!何かと思えば攻撃力がそれっぽっちしかねーじゃねーか!それでどうやって俺にトドメを―」
「黙って見てろ。…墓地のプランターの効果を発動。デッキトップを捨てるぞ」
落ちたカードは…[イビリチュア・ソウルオーガ]!!
「落ちたのは水属性のソウルオーガ。よってプランターを特殊召喚」
『シューッ…シューッ…』 ATK200
「さらに、墓地の儀水鏡の効果発動。此奴をデッキに戻し、墓地のソウルオーガを手札に加える。…そして、手札から魔法カード[ダブルアタック]を発動。このカードは、自分の手札からモンスター1体を捨てる事で、捨てたモンスターよりもレベルが低いモンスター1体を自分フィールド上から選択し、そのモンスターに2回攻撃を付与する。ボクは先程手札に加えたソウルオーガを捨て、ギシルノドンに2回攻撃を付与」
ダブルアタック 通常魔法
自分の手札からモンスターカード1枚を墓地に捨てる。
捨てたモンスターよりもレベルが低いモンスター1体を自分フィールド上から選択する。
選択したモンスター1体はこのターン2回攻撃をする事ができる。
「このままバトルだ。ギシルノドンでお前にダイレクトアタック」
ギシルノドン 攻2300 vs チンピラ:LP4800
「掛かったなアホがぁ!罠カード[聖なるバリア―ミラーフォース]!!これでテメェのギシルノドンは破壊されr―」
「馬鹿はお前だ。カウンター罠[魔宮の賄賂]発動。ミラフォを無効にして破壊する!」
「げぼらぁ!?」LP:4800 →2500
魔宮の賄賂 カウンター罠
相手の魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
相手はデッキからカードを1枚ドローする。
「…さて、これで頼みのミラフォも潰したから、心置きなく止めを刺せるな」
「が…ぎぐ…!…だが、今の俺のライフは2500!!ギシルノドンの攻撃力は2300!どう考えても200は残r―」
「だから之を使う。手札から速攻魔法[神秘の中華なべ]発動!このカードは、ボクのフィールドのモンスター1体をリリースし、そのモンスターの攻守どちらかを選択して、その数値分回復する。ボクはプランターを選択して攻撃力を選択。この瞬間、ギシルノドンの効果が発動!このモンスターがフィールドに存在する間、フィールド上に表側表示で存在するレベル3以下のモンスターが墓地へ送られた時、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで3000になる!!」LP:2000 →2200
「だ、ダニィ!?」
ギシルノドン ATK2300 →3000
そっか。何で態々プランターを蘇生させたか疑問だったけど、鍋のコストにしてギシルノドンの効果を発動させる為だったんだ!
神秘の中華なべ 速攻魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。
生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、
その数値だけ自分のライフポイントを回復する。
神海竜ギシルノドン
☆5/水/海竜/攻2300/守1800
チューナー+チューナー以外のレベル3モンスター1体
シンクロ・効果
フィールド上に表側表示で存在する
レベル3以下のモンスターが墓地へ送られた時、
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで3000になる。
「そ、そんな馬鹿な…この俺が…この俺が負けるってのか…!?み、認めねぇ!こんな結末、認めねぇぞぉぉぉぉッ!?」
「諦めろ、之が現実だ。ギシルノドンでお前にダイレクトアタック![スプラッシュ・ブレス]!!」
ギシルノドン 攻3000 vs チンピラ:LP2500
「ひぎゃぁぁぁぁぁっ!!?」LP:2500 →0
―WINNER エリアル
「…(チーン」
「フゥ…」
デュエルに勝利し、屍(死んでないけど)になったチンピラに背を向けこっちに戻って来るエリアル。表情はいつも通りのポーカーフェイスだが、長年幼馴染やってるだけに、私から見れば何だか少し満足そうに見える。
「ありがとうエリアル。お蔭で助かったよ」
「勘違いするな。ボクはお前の為にやった訳じゃ無い。此奴の行動が一々癪に障ったからだ」
私の褒め言葉に対して、そう言ってそっぽ向いて、そのまま籠下げてレジに向かうエリアル。…ふむ、アレが噂に聞く[ツンデレ]って奴かな?
「しっかし、さっきのデュエルは中々じゃなった」
「ですよね~。デュエル始めてまだ一週間経ったかどうかなのに、あそこまでデッキ使いこなす何て中々出来ませんよ?」
確かに其れには私も驚いた。…確かエリアルのデッキは、ヴァンプさんの持ってる[リチュア]の派生形で、本来儀式召喚を主軸にした[リチュア]に、水属性のチューナーモンスターを組み込んでシンクロに対応させた[シンクロリチュア]って奴だったっけ?派生デッキの中では構築も割と簡単で扱いやすいらしく、構築次第ではかなり強い部類のデッキとの事。元々呑み込みが早く、頭も回るエリアルにピッタリなデッキだ。
「総統。あの調子だったら、今度開催される大会でも良い成績が期待できそうですよね」
「うむ、確かにアレ位ならいけるかもしれん」
「大会…?」
「実は一か月後に、フィリップがデュエルモンスターズの大会を開くみたいでさぁ。出場する為には二人一組のチームででなくちゃいけないらしくって、それで今は総統と一緒に其々パートナーになってくれる人探してるんだよ」
「へぇ…?」
そういえばフィリップさんって、アレでも[フィリップDEATHホールディングス]って大企業の社長さんなんだっけ?前にテレビで見た事あるけど、食品製造や医学等といった、様々な分野に精通した大手株式会社…だったっけ?
「ハイ。そして今回デュエルモンスターズ業界ニも乗り出したのデ、その記念に我社で大会を開こうという事二なったんデス。…もし良かったら、ウィンダちゃんも一緒に大会に出ル?」
「…え。わ、私もですか?」
何と、件の社長さん自らが私を誘ってくれました!…まさか誘われるとは思わなかったから、一瞬面食らったけど、之って何気に凄いことだよね?
「お、ソレは良いアイディアじゃねーか。ウィンダはバイトとかしてるとはいえ、コッチに来てまだ間もないし、こういうのに出してやるのも、良いかもしれねーな」
「あ、デモ嫌だったら嫌だって言って欲しい。無理維持とかさせたく無いカラ…」
「い、いえいえ!嫌だとかそんな事思ってませんから!」
正直に言って、この申し出は私も嬉しい。…実は私、前々からこういうデュエルモンスターズの大会の事は話には聞いてはいたけど、時間が取れない事もあってか中々行けないでいたから、之は之で嬉しい誘いだ。…そもそも私、あっちの世界では、こうした遊びの誘いに誘われた事なんて今まで無かったから、それも相まってかなり嬉しかったりする。
「…そういえば。エリアル君、何時になったら会計が終わるんじゃろうな?結構時間経ってると思うんじゃが…」
「あ~、言われてみれば確かに…エリアル~?本の会計ってまだ掛かるのか……な…」
…えっと、何ていえばいいんだろうな。総統さんに言われるまで気が付かなかったけど、会計に時間が掛かってるのかと思ってエリアルが居るカウンターの方へと顔を向ける。本来ならば、其処に居るのは会計を済ませようとしているエリアルが居る筈だけど、其処に本人はおらず、何故か気を失って倒れているチンピラの傍で座っており、しかも…
「…へぇ?この[ゾンビキャリア]って言うカード、意外と応用が出来そうだな。…こっちのカードも、ボクのデッキとも相性が良さそうだし―」
「何してるのエリアル!?」
何とエリアル。気絶してるチンピラのデッキを勝手に盗りだして物色しており、あろう事か何枚か抜き出しては鞄に入れようとしてましたよこの子。
「…何だ?今ボクはこのチンピラから使えそうなカードを頂いている所だから、邪魔しないでくれ」
「いやいやいや!他人のカード勝手に盗っちゃ駄目だから!私達の世界ならともかく、此処現代日本だから駄目!」
私の言葉に応じたのか否か判らないけど、渋々といった感じにカードを元に戻すエリアル。…危ない危ない。気が付かなかったら本気でカード盗んでたよこの子は。幾ら相手がチンピラでも、流石に窃盗は犯罪だからね?…読者の皆様も、相手のカードを手に入れるなら、交換とかで解決しましょうね?
「…まぁいいか、今回はカードを頂くのは止めておくよ。…それじゃあボクは帰る」
「あ、ありがとうございましたー!」
そう言って店を出るエリアルの背を見送りながら、マニュアル通りにお辞儀して見送る私。…今一瞬聞き捨てならない言葉聞いたような気もするけど、多分気のせいだよね?
「それじゃあ僕等も御暇しましょうか」
「むぅ…。古雑誌処分できなかったのは残念じゃが、仕方がないか。それじゃあウィンダ君、また後で」
「はい。ありがとうございましたー!」
エリアルが店を出て暫くした後、同じように店を出る鷹の爪団さん達。その後私達は、営業の邪魔になるので未だに気絶しているチンピラを外に放り出した後、まだ店内に居るお客様に謝罪してから営業に戻った。
「只今帰りましたぁ~」
「お疲れさん。晩飯もう用意してるから、手ぇ洗ってさっさと食べな」
「は~い」
そんなこんなで、後日談というか今回のオチ。
あの後は何事も無く順調に、定時までバイトに励み、そして帰ってきたのが夜の8時過ぎ。住み込み先の大家さんも仕事を終わらせて帰ってきており、今じゃこうして私が帰って来る頃には、温かいご飯を用意して待っててくれます。
「…しっかし、ウィンダちゃんは本当に偉いねぇ~。こっちに来てまだ2週間かそこらで、右も左も解らないのに、こうして必死にバイトや勉強頑張ってるし。あの穀潰し共に爪の垢煎じて飲ませてやりたい位だよ」
「い、いえいえ!別にそれ程でも…」
確かに聞いた話鷹の爪団さん達は、聞けばアホで間抜けで甲斐性無しで、それでいて貧乏だけど、色々あってこっちに来てしまい、行く宛が無かった私達の為に色々としてくれた、その親切心は確かである。
「…まぁ何というかさ。アンタは女だしまだ若いからさ、同じ女としてアドバイスしておくけど、何やるにしてもあんまり無茶だけはするんじゃないよ?」
「は、はぁ…」
大家さん、何だかんだ言って、家賃さえちゃんと払えば本当は面倒見がいい性格だし、こうして何かと気遣ってくれる心強い人なんだよねぇ…。
「…ふぅ、御馳走様でした」
「はい、お粗末さまでしたッと。これから勉強でもするのかい?」
「はい。今日は店長さんから昔使ってた教科書とか貰ったので、デッキ調整の後にでも」
「そうかい。…それじゃあアタシ等はこれから寝るから、あんまり遅くならないように気を付けなよ?」
その言葉を最後に、早速寝る準備をする大家さんとは対照的に、私は勉強に取り掛かる。この世界に来たはいいけど、実質私もエリアルもそれ程この世界に詳しくは無い。なので、私もエリアルもこうして空いた時間になると、この世界の一般常識等を学ぶべく勉学に励んだり、デッキ調整したり、ラノベ見たりと色々やってます。ちなみに今日は店長さんから貰った、教科書って言う参考資料を使って、数学に励もうと思ってます。
「よっし、今日も頑張るぞー!」
そんな気合の一言と共に、今日も私は深夜まで勉強に励みます。そしてそんな一日が終わり、明日も同じような1日が待っています。
…エリアルと2人だけで来てしまった異世界。今日も私達は頑張って行きます!
…そういえば、これは余談なんだけど、最近素行の悪いデュエリストを対象としたカード狩りが起きてるって噂があるんだけど…。何でもその人物は蒼くて長い髪をした女の子だって噂だとか。…流石に気のせいだよね?
‐to be continued...
吉田「吉田と」
1号「1号の」
『後書きコーナー!』
吉田「どうも今日は。皆様お馴染み、島根の吉田と」
1号「フロシャイム戦闘員1号がお送りする後書きコーナー。第2回目となりますこのコーナーも、張り切っていきましょうか」
吉田「それよりも1号。今日は3話なのに結構話進んだよな」
1号「そうそう。まさかデュエルモンスターズのキャラがそっくりそのまま出てくる何て驚きだよな?」
吉田「作者が言うには、前々からあの二人は出したかったんだけど、作者自身の筆記力の無さもあってかどう出そうか迷った挙句にこんな形で出したんだと」
1号「出すのは良いけど、そのままグダグダになって読んでくれる人達に迷惑をかけるような好意だけは絶対にして欲しく無いよな」
吉田「だよな~。…それじゃあ、此処で今週のカードをピックアップだ!」
1号「今回は、エリアルちゃんがフィニッシュに使ったモンスター、[神海竜ギシルノドン]を紹介します」
-今週のカード-
神海竜ギシルノドン
☆5/水/海竜/攻2300/守1800
チューナー+チューナー以外のレベル3モンスター1体
シンクロ・効果
フィールド上に表側表示で存在する
レベル3以下のモンスターが墓地へ送られた時、
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで3000になる。
吉田「ギシルノドンは、素材がレベル3モンスター1体という縛りを持っている水属性レベル5のシンクロモンスターだ」
1号「前回紹介したガルドスと同じく、攻撃力の低さとその縛りで扱い辛そうなイメージだけど、作中で出て来た[深海のディーヴァ]の効果なら難なく召喚出来るし、さらには自身の効果をうまく使えば、攻撃力3000の強力なアタッカーになる、水属性モンスターが主軸のデッキなら、かなりの活躍が期待できるカードだ!」
吉田「今回使ったシンクロリチュアとも相性がいいから、もし作るんだったら入れてみてくれよな」
1号「さて、今日は此処まで!次回、秘密結社鷹の爪vsサンレッド第4話![GOGO!カードショップ]!」
吉田「次回も、暇潰し程度でいいから見てくれよな?」