幸せはどこにあるのだろう?   作:グリグリハンマー

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感想もらったら書くしかないですよね!!
しかしどこまでモチベーションが続くかどうか……。


2.病弱すぎる同級生

「この学園って、勉強も運動も専門的に伸ばしてくれるんだって!」

「そうみたいね」

「私、家から一番近かったから受けてみたんだ。試験に通ったとき、色んな人にビックリされたよー!」

「俺も似たようなもんだ。受かればいいなくらいの気持ちだったし」

「あたしもそんなものよ。特に優れた才能なんて思いつかないし、どうしてあっさり受かったのか」

 ヒバリさんは普通に勉強出来そうな感じするけどな。

「それじゃ、何か好きなものはないの?」

「えっ!?」

「唐突だなおい。ヒバリさんビックリしてるじゃねえか」

「す、好きな……えっと、趣味……なら。ええ、少し……あっ、あなた達は?」

「私はね、動物が大好きなんだ! 何でか分からないけど、色んな動物が私のところに寄ってきてくれるんだよ! ほら、さっきも助けたわんこが」

「あれ噛まれてただけでしょ!?」

「大体いつもあんな感じだからな。杏の片思いで終わることが多い」

「えー、そうかなあ」

「じゃあ清瀬君は?」

「俺はそうだな……強いて言えばゲームかな」

「あら、てっきりアウトドア派なのかと」

「運動するのも嫌いじゃないんだがな」

「でもゆー君って毎日運動してるよね! ほら、さっきも橋の上からダイビングして」

「あれはお前が川に落ちたからだろうが!」

 本当に死ぬかと思ったんだからな……。思い出すだけで身震いしてしまう。

 

「クスクス……」

「「「?」」」

「あ……ごめんなさい。お三方の会話がとても楽しくてつい……」

 口元に手を当てながら微笑んでいたのは、メガネをかけた三つ編みの女子だった。……何というか、凄く気品に満ち溢れている。

 ……ってあれ? この娘、入学式のときに遅刻してきた娘じゃないか? 確か、息も絶え絶えで死に掛けていたような気が……。

「他人の会話を盗み聞きした上……こんな得体の知れない気持ち悪い女が笑っていて、さぞご気分を害されたでしょうね……」

「いや……そこまでは思ってないけど……」

「考え方がネガティブすぎるだろ……」

 上品な振る舞いとは裏腹に、斜め下の方向に思考がぶっ飛んでいるようだ。あ、ネガティブだから斜め上ではなく斜め下ね。

「まあ! では、こんな私を法に訴えないでいて下さるんですか? 綺麗な方だと思っていましたが、まさか天使様だったなんて!」

「は、はぁ……」

「ヒバリさんマジ天使ってか」

「清瀬君? からかってるの?」

「睨むなよ冗談だよ」

 只でさえちょっと吊り目なんだから、そんな風に見られると普通に怖いわ。

「私、久米川(くめがわ)牡丹(ぼたん)と申します。名前負けする病弱でクズな人間ですが……どうぞ宜しくお願い致しますね♡」

「よ……宜しく」

 すっげー微妙な表情してんなヒバリさん。握手してるようでしてないし。

「宜しく。えっとぼたんさんって呼べばいいかな?」

「はい、ご自由にお呼び下さい。「家畜」でも「奴隷」でもお好きなように……」

「ぼたんさんって呼ぶからな!! 「家畜」とか「奴隷」なんて呼んだら、周りから何て思われるか……ところで、式のときぶっ倒れてたと思うんだけど、体調の方はもう大丈夫なのか?」

「私のような路傍の石以下の存在に、そのようなお気遣いをいただけるとは……本当にありがとうございます」

「いや、もう……何というか……」

 何かつっこんだら負けな気がしてきた。ぼたんさんってこういう性格なんだな、うん。もうそういうことにしておこう。あれこれ考え出したらキリがねえわ。

「ぼたんちゃんって可愛い名前だねぇ。私は……」

「はなこさん、ですよね?」

 

 そう言いながら杏とぼたんさんが握手をした瞬間、聞こえてはいけない音がした。具体的に言えば、骨がやられちゃったような。

「? ビキ?」

「何、今の音……」

「……そうであってほしくないけど、ぼたんさんの方から聞こえた気がするぞ」

「……お……お気になさらないで下さ……い。よくあること……です……っ。きっと指の骨に、少々ヒビが入った程度で……大したこと……ありません……から……」

「大したことあるでしょう!?」

 いやいや握手しただけで骨折ってシャレにならんぞ……。

「本当に……よくあるんです。少しのことで骨が折れたり、倒れたりしまったり……」

「ごめんね……」

「残念ですが、HR(ホームルーム)後に早退しますね。はなこさんは悪くありませんから、お気に病まれませんよう……」

「でも……っ」

「まあ、無理はすんなよ……?」

 見ていてとっても心配になってくる。いや、心配っつーか、不安というか、何でこうなってしまったんだっていう疑問が湧いてくる。

 ヒバリさんも複雑な表情してるし、多分俺と同じようなことを思ってるんだろう。

 

 少しすると、俺達のクラスの担任がやってきた。おっとりした感じの優しそうな先生だ。これで厳つい、まさに体育教師っていうような先生だったら、正直俺はかなりガッカリしていたと思う。せっかく一年間一緒になるんだから、どうせなら女の先生がいいってもんだよな。

 ……そう思っていたことが、俺にもありました。

 担任、小平(こだいら)先生が、掻い摘んでこの学園のことについて説明してくれた。

 1~3組が勉強、4~6組がスポーツのスペシャリストを目指すクラスになっているそうだ。クラスがそういう風に分かれるっていうのは、珍しいことじゃないし、そこは「ふーん」って感じで聞いていた。問題はそこじゃない。

 俺達のクラスは7()()だ。勉強でもスポーツでもないクラスということになる。じゃあ、一体何のスペシャリストになれって言うんだ?

 

「あなた方皆さんには……クラス全員、幸福(しあわせ)になってもらいます♡」

 ……はい? 多分、クラス全員がこんな反応だったと思う。一体何を言っているのかと。

「ねえねえゆー君、ヒバリちゃん! 皆で幸せになれるんだって! 凄いよ!! ヒバリちゃんにも知り合えたし、やっぱり私……すっごくついてるんだよ!」

「あー、うん。そうだな……俺もお前みたいにそう考えられたらどんなによかったことか……」

 全く持って意味が分からない。「幸福」になるってどういうことなんだ?

「せ……先生、それってどういう……」

 クラスメイトの一人が質問をする。

「戸惑うのも無理はありませんね。理解する時間はこれから沢山ありますから、ズバリ言っちゃいましょう」

 

「ここにいる皆さんは、全員「不幸」です」

 ……はい? 一日にこう何回も戸惑ったのは、もしかしたら初めてかもしれない。いや、でも面と向かっていきなり「不幸」なんてのたまわれたら、誰だってこういう反応になると思うんだ。

「世の中、多大なる幸福を持って生まれる人あれば……。不幸……「負」の業でせっかくの才能を発揮出来ない人もいます! 皆さんは大なり小なり負を背負う、「不幸」側の人間なんですよ!」

 すっげー笑顔でとんでもないことを言われている。しかもこれから最低一年は担任となる人から。

 もちろん教室内は騒然となった。当たり前だ。しかも「不幸」だなんて、言われて嬉しいことでもないし。

「……すみません。せっかくですけどあたし、人に言われる程「不幸」な人間だと思えないんですが!」

 ヒバリさんが立ち上がって抗議した。流石はヒバリさん、こんな場面でもズバッとものを言えるスタンス、見習いたいところだ。

「あら、あなたは……雲雀丘瑠璃さんね。……はたしてそうですか?」

 ん? どういうことだ?

「学園は受験前に、しっかりとした極秘調査を行います。あなたには、本当に()()()心当たりがないと……?」

 おいおい、極秘調査って何だよ。もしかして、ここにいるクラスメイト全員が調査されてるっていうのか? その結果、全員が「不幸」と呼ぶのに相応しい人材だから、この7組に集められたっていうことなのか。えーと……じゃあ、つまりは俺自身も「不幸」ってことなるのか?

 ……ナンダソレ。

 さっきよりも教室内は騒がしくなった。ますます意味が分からないから、なのかもしれない。いや本当に何なんだよこれ。

 とか何とか考えていると。

 

「さっさと黙れよガキ共。そんなだからロクな運持ってねえんだろーが」

 え……だれこれこわい。小平先生の豹変っぷりに、あれだけ騒がしかった教室内も、見事なまでに静まりかえった。ってか、差し棒へし折ってたけど、あれって金属製じゃないのか? どんだけ馬鹿力なんだよあの先生。あ、ごめんなさい。謝りますから睨まないで下さい。

 少し前まで、優しそうとか思っていた自分がバカみたいだ。これなら、厳つい体育教師の方が、もしかしたらマシだったのかもしれない。

 

 とりあえず、「不幸」認定されてしまったこのクラスで、俺達は「幸福」になることを目指すこととなってしまった。色んな意味で右も左も分からない状態。いやもう先行きが不安過ぎて、今からもう頭やら胃が痛くなりそうだぜ……。




うーん、やっぱり難しい……。
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