英雄の息子   作:U33

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第1話

1話

 

「まいたか……?」

 

 呟きながら周囲を見回す。

 周りに軍船らしき影は無い。

 

「ふう……とりあえず、一息つくか」

 

 帆影になっている部分に腰を下ろす。

 季節は夏。

 額に浮き出る汗を掌で拭う。 

 

「しかし、驚いたな。人が考えた事はおおよそ実現可能って、いうが、さすがにこれは……な」

 

 そう。

 俺はよく二次小説にある、神様転生というのを行ったらしい。

 

「ワンピースの世界に転生するって言われたけど、まさかあの人の息子とか勘弁してくれよ」

 

 三歳の誕生日に記憶が蘇ってからの、一ヶ月。

 夜のジャングルに放り込まれたり、千尋の谷に突き落とされたり、風船をつけて空に飛ばされたり……。

 まさか、自分が体験すると思わなかった非常識に苦笑がこぼれる。

 

「それでも何とか生き残れる、この血筋の生命力は恐ろしいな」

 

 いや、本当に原作の主人公は偉大だと思う。

 

「さてと、じゃあ、俺の悪魔の実の能力を確かめてみるか」

 

 親父の船から盗んできた銃弾を床に置く。

 針を指に刺し、血を垂らし、銃弾にかける。

 すると、銃弾が変化して、液体金属に変化した。

 

「成功だな」

 

 想像していたのは、月霊髄液。

 型月世界でケイネス先生が使っていた魔術礼装だ。

 取り合えず、動けと念じると、モゾモゾ動き出す。

 手の上に乗るように念じて、重さを確かめて見るが、手で持てるぐらいの重さである。

 重量に関しては任意で変更できるようだ。

 

「動物系幻獣種ネコネコの実モデル“白虎”。五行の金を司る、神獣だから、金属を操れると思っていたが想像以上だな」

 

 現在、俺が確認している能力は、

 

 1.体を金属に変更できる能力。

 2.血をかけた物を任意の金属に変更でき、操れる能力。

 

 これで動物系の能力もついて来ているのだから、まさにチートな悪魔の実だろう。

 この世界にいるのかどうかは分からないが、錬金術師が聞いたら激怒しそうな能力である。

 転生特典は全部で3つ。後の2つだが。

 

「3つの覇気と六式を体得できる身体能力を身につけられる才能。まあ、あの一族に生まれたんだ、これも大丈夫だろう」

 

 鉄塊に関しては特に必要ない気もするが、ワンピースに転生するとなると、これはテンプレで選ぶべき特典だろう。

 

「最後が、自分の習得したスキルを確認できる能力」

 

 RPGでよくある能力だ。

 ちなみに他人の物は確認は出来ない。

 現在、俺が習得している能力は、悪魔の実の能力、二刀流、対術、武装色の覇気である。

 レベルは全て1。習得してないスキルはレベル0で表示されている。

 この能力を選んだ理由だが、人は具体的な目標があった方が頑張れるということだ。

 この世界で手探りで生きている皆さんには申し訳ないが、現代人のメンタリティの弱さゆえ、容赦して欲しい。

 そして、ステータス欄の一番上にあるのが自分の名前なのだが……

 

「モンキー・D・レオン」

 

 脳裏に表示されているステータスを確認して呟く。

 

 そう、俺の親父はモンキー・D・ガープ・兄はドラゴンだ。

 つまり、ルフィの叔父ということになる。

 

「東の海に転生させてくれるというから、安心していたんだが、思わぬ落とし穴だった」

 

 少し落ち込む。

 まあ、これだけチートな能力を持っているんだ。そうそう死ぬことはないと思う。

 思いたいが、この一ヶ月で死ぬような目に何度もあっている。

 大きくなったら、子育て方針について絶対物申すと決めている。

 まあ、おかげで武装色の覇気に目覚めた訳だが……。

 

「レ~オ~ン!」

 

 何か、遠くから声が聞こえる。

 なんつーでかい声だ。一緒に乗っている軍艦の皆さんの耳は大丈夫なのだろうか。

 と、小船の横に巨大な水柱が立ち上がる。

 おい、待て。悪魔の実の能力を持っている息子の船を沈めるつもりか、あの馬鹿親父は。

 

「拳・骨・隕石!!!」

 

 もう一発きやがった。これ直撃コースだ。

 これ、DVとかいうレベルじゃないぞ。

 咄嗟に、さっき作った液体金属を砲弾目掛けて飛ばす。

 頭上で砲弾を貫いたことにより、爆発が……起きない?

 なるほど火薬を抜いたただの砲丸って事か。

 本人気を遣ったつもりだろうが、そもそも三歳の息子に砲丸を投げつけるというのが、間違いという事に気づいて欲しい。 

 

 軍艦が目に見えるところまで近づいていた。

 

「さあ、帰るぞ。わしが東の海におるあいだに立派な海兵になれるように育ててやるからな!」

「アホ言え。アンタ一ヶ月くらいで、本部に帰ってこいってセンゴクさんに言われてただろう。それに、三歳の子供が一ヶ月で大人の海兵と同じ強さになれるか!!!」

「大丈夫、お前はわしの息子じゃ!!!」

「どういう理由だよそれ!?」

 

 もうやだ、この馬鹿親父。

 息子を愛してくれているのは間違いないのだが、愛し方を根本的に間違えていると思う。

 そら、息子や孫が、革命軍、海賊にグレるのも無理はないと思う。

 

「さあ、今なら拳骨一発で勘弁してやるから大人しくするんじゃ」

「アンタ、拳骨に覇気纏わせてるじゃねえか。死ぬわ!!」

「お前が変な悪魔の実を食うからじゃろうがァ~~~!!」

「あれ、食ってなかったら、ジャングルに放り出された瞬間に死んでるわ! マジで間一髪だったんだぞ!!」

 

 だんだん腹が立ってきた。

 

「ムゥ~、口答えばかりしおって、よし分かった。性根をまっすぐに叩き直してやる」

「ハハハ、できるものならやってみな、今日こそ、おれにゴメンナサイと言わせてやるからな」

 

 液体金属を二つに分けて、二本の刀の形状に変化させる。

 握った刀に武装色の覇気を纏わせ、馬鹿親父に相対する。

 

「ほう、その歳で覇気を扱えるようになったか。さすがはわしの息子じゃ」

「感心するより、この歳で覇気を扱わなきゃいけない環境に放り込むことをまず考え直しやがれ」

 

 そう良いながら、馬鹿親父に斬りかかるべく、軍艦めがけて跳躍した。

 

 数時間後、俺は頭に瘤をこしらえて、再度ジャングルに放り込まれた。

 

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