課金厨のソシャゲ廃人がリリカルなのは世界に神様転生してまた課金するようです   作:ルシエド

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【前回までのあらすじ】

 刹那的で放っておくと先のことを何も考えないくせに、生き方に譲れない所を持っている上、生き残れるだけの強さも無いから頻繁に死にかける雑魚ことかっちゃんは、また死にかけていた。
 彼はそこで、課金王と課金王神なる人物に出会う。
 ファイナルフラッシュ(爆死の輝き)、浪費風風拳(生活費は消える)、一万円斬(気円斬)、などいった技を習得していく。

「よかろう、そこまで熱心ならば教えてやらんでもない。
 課金で金を溶かす速度を倍々に加速させる技……課金王拳を!」

「最初から二十倍でお願いします!」


名前を呼ばない、けれども友達

 エリオは、スカリエッティの砲撃で焼かれた肌が魔法で治される優しい感触と、魔力の暖かさで目を覚ました。

 

「ん……」

 

「! エリオくん、大丈夫!?」

 

 目覚めたエリオを、エリオに回復魔法をかけていたキャロが抱き起こす。

 エリオは自分が仮設テントの下に居ること、そこでキャロの治療を受けていたことを把握した。

 キャロの力を借りて体を起こして見れば、自分の他にもやられた魔導師達が多数見え、その中にはティアナやスバルの姿もある。

 魔力が尽きた魔導師達――キャロ含む――がカートリッジ等の魔力ソースを使ってじっくり治療を行っているのを見れば、勘のいい者は戦いの終わりを理解したことだろう。

 

「あ、待ってエリオ君! まだ動いちゃダメだよ!」

 

 止めるキャロの方を振り向きもせず、エリオはテントの外に出た。

 エリオは腹を抑えて亀の歩み。そんな彼を、追いついたキャロが優しく支える。

 仮設テントの外で二人が空を見上げれば、空高く雲の向こうで、最上位の強さを持つ二人の魔導師が次元違いの激戦を繰り広げていた。

 

「なのはさん……」

 

 力を絞れるだけ絞り出してゼスト達に勝った新人達に余力は残らず、本領を発揮しきれずに意表を突かれて負けたゼストには、起きてすぐもう一戦交えられる程の余力が残っていた。

 最後の最後、スカリエッティとの最後の戦い。本当に踏ん張らなければならなかった場面でものを言ったのは、長い年月が積み上げた地力の差だったのだろう。

 

 言うなれば、鍛錬不足だ。小賢しい策でたった一度の勝利を掴んだところで、実力の差が無くなったというわけではない。

 空を見上げるエリオには、そのことがちゃんと分かっているのだろう。

 エリオは拳を握り、歯を食いしばる。

 

「もっと、強くなりたいな」

 

 エリオの胸中に満ちるは、ゼストを倒し一つのラインを越えたという『達成感』と、もっと強くならなければという『衝動』だった。

 劣等感や無力感ではない。そんなものは混ざっていない。

 それは、"強くならなければ"という男の意志だった。

 

 キャロは空を見上げるエリオの横顔に見惚れ、ぼーっと眺め、一分ほど経ってからハッとなり、エリオの手を両手で握る。そして自分の方に顔を向けてくれたエリオに、語りかけた。

 

「なろう、一緒に」

 

「キャロ……」

 

「私達は、一人で強くなろうとしなくてもいいと思うんだ」

 

 一人で鍛錬するのもいい。

 一人で誰かに習うのもいい。

 一人で強くなろうと決意するのもいい。

 だが、一人で強くなっていく必要はない。仲間が居るのなら、一人一人が別々の努力をしていても、皆で同じ場所を目指していけるはずだ。

 肩を並べて歩んで行くのなら、強くなるために歩んでいく道がどんなに険しくても、励まし合いながら進んで行けるはずだ。

 それがエリオと、キャロと、スバルと、ティアナが持っている本質的な強さであるのだと、エリオはキャロから伝えられていた。

 

(そうだ、僕は……)

 

 気付けば、ゼストがエリオの前に無言で立っていた。

 キャロが突然目の前に幽霊が現れた時のホラー映画女子高生のような無言の絶叫を見せたが、エリオはまるで驚いた様子を見せない。

 無言のゼストは、まだ学ぶ気はあるか、と問いかけているかのようだ。

 エリオの意志一つで、ゼストはこれからもエリオに指導を続けてくれるということなのだろう。

 その厚意にエリオは乗って、熱い目をして無言に頷く。

 

 ゼストが無言で頷き、エリオが無言で頷きを返す。

 キャロが怪訝な顔をしてしまうくらい分かりづらい、男の世界がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはとシュテルは、一呼吸の間に星の周囲を一周するような戦いを繰り広げていた。

 

 シュテルの猛攻を、なのはの飛翔が回避する。

 数ヶ月の交戦によりなのはに刻み込まれた、シュテルの戦闘法への理解。数ヶ月間なのはが行っていたシュテルの分析が活かされた先読み。その二つが、なのはの回避を成功させていた。

 魔力弾として放たれる無数の炎の合間を縫うように、なのはは飛ぶ。

 

「ナノハっ!」

 

 だが、シュテルも既になのはの絶対的な格上ではない。

 ゆえに、彼女もなのはの動きを研究していた。研究期間はなのはよりも短いものの、彼女は理のマテリアル。研究と分析はお手の物だ。

 最初は回避と防御を行えていたなのはも、次第に追い詰められ始める。

 

「シュテルっ!」

 

 そして、なのはは逃げ場を失った。足を止め、彼女は全力での防御に移行する。

 

(ヴィータちゃんの攻撃を受け止める時みたいに)

 

 重い攻撃、高密度の魔力弾を受け止める。

 

(シグナムさんの攻撃を受け止める時みたいに)

 

 鋭い射撃、飛んで来た炎の刃を受け止める。

 

(はやてちゃんの攻撃をしのぐ時みたいに)

 

 広がる攻撃、広範囲を焼き尽くす広域攻撃を受け止める。

 

(フェイトちゃんの速さに付いて行く時みたいに!)

 

 そして弾速重視の攻撃、ライフル弾よりも遥かに速い魔力弾の掃射さえも受け止める。

 驚くべきことに、なのはは生来持っていた頑強な防御魔法の才能と、それを磨き上げてきた年月及び実戦で応用してきた経験をフルに活用し、シュテルの攻撃を捌き切っていた。

 なのははシュテルの攻撃の合間を見つけ、低空を飛ぶシュテルを囲むように誘導魔力弾を連射する。

 

(空を速く駆けるものあらば、ウェンディを相手にしている時のように)

 

 シュテルは上から来る魔力弾を、友との戦いを思い返しながら撃ち落とす。

 

(地を速く駆けるものあらば、ノーヴェを相手にしている時のように)

 

 地面スレスレで上昇し下から来る魔力弾を、友との戦いを思い出しながら撃ち落とす。

 

(爆発するものあらば、チンクを相手にしている時のように)

 

 なのはが爆発効果を付加した魔力弾を、近寄らせないまま撃ち落とす。

 

(撃つ時はディエチ相手に押し切るつもりで、意表を突くならばセインのように大胆に!)

 

 そうしてシュテルは、なのはの反撃をものともしない。

 それどころか更に攻勢の勢いを強め、なのはの反撃を押し込む勢いで攻め立てた。

 

 己の人生全てをぶつける勢いで、なのははシュテルの攻勢をしのぎ、シュテルはなのはを仕留めるべく仕掛けて行く。

 片手では数え切れないほどの親しい友人、両手では数え切れないほどの背中を預けられる知人、両手両足の指を使っても数え切れない仲間達。

 それらと共闘した記憶、訓練した記憶、模擬戦をした記憶が、なのはとシュテルの強さの隙間を補完していた。

 二人の戦い方は似ているようでどこか違う。

 その違いには、彼女らの周囲に居た友人達の存在が多大に影響している。

 友の存在が、友との記憶が、彼女らの歩んで来た人生の違いを証明していた。

 

「貴女は強い……されど、押し切る!」

 

「っ!」

 

 双方とも限界突破を行っている、比類なき強化付与を施された状態。

 

 だが、それでも両者のスペック差は埋まったわけでも、逆転したわけでもない。

 

 二人の力は拮抗していたが、それでもまだ、シュテルの方が強かった。

 

「今日私は、貴女を越えて行く!」

 

 魔力弾、砲撃、バインドを理詰めで撃つシュテル。

 シュテルの狙った位置に追い込まれるなのは。

 なのははシュテルに誘導されていることに気付いていたが、シュテルの凄まじい気迫から来る連撃が凄まじく、シュテルの"追い込んでからの大火力攻撃"をかわしきれない。

 かくして、シュテルの桁違いに太く速く高密度な砲撃は放たれた。

 なのはは咄嗟に砲撃で迎え撃つが、拮抗すらせず、シュテルの砲撃が迫る。

 

「くっ、ずっ、ぐっ、うううっ……!」

 

 勝ちたい。

 

 その一心が、なのはに最後の札を切らせた。

 

「ブラスター……(スリー)!」

 

 まばゆい光がなのはを包み、桜色の砲撃が、シュテルの砲撃を押し返す。

 

 両者の口元には、自然と小さな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空に赤い光(ルベライト)が輝いて、空に桜色の花が咲く。

 半ば夜空、半ば夕焼け空に変わった空に輝く人造の星光を見上げ、名も無き人々はその光に目を奪われていた。

 二人の戦いを見上げていた名も無き老人の一人が、しみじみと呟く。

 

「若いのう」

 

 なのはとシュテルは星の周囲を瞬く間に一周するような戦いをしているために、その戦いは星の上の誰もが見ていた。

 先のガジェットのこともあり、二人の戦いは多くの者達の興味を引いている。

 ミッドチルダのそこかしこで、空を見上げて誰かが何かを言う。隣の友人に、この戦いで初めて出会った戦友に、手を繋いだ子供に、抱きしめる恋人に、空を見上げて思ったことをそのまま口に出していた。

 

「あー、やだやだ。学生の内からゲームやってて。

 ゲームやってる内になんか微妙に落ちこぼれて。

 落ちこぼれても結構惰性で生きていける社会に甘えて。

 社会に出てからも独身でゲームばっかやってる俺が、情けなくなってきたぞ」

 

 誰かが、自分が若かった頃のことを口にする。

 

「私、青春のほとんどを部活に打ち込んでてさ。

 大会の後のことなんて、何も考えて無くて。

 都市大会でいいとこまで行ったけど、結局てっぺんなんて取れなくて……

 大会終わった後、何もなくなった自分が、適当に選んだ道が今なんだよね」

 

 誰かが、まだ自分が十代だった頃の話を口にする。

 

「自分にあった学力の学校を選び続けてきた。

 だけど、私は最初から分かってたんだ。

 それは、自分の学力以外に将来を決める材料を何も持ってないんだってことに。

 そのうち学生で居られなくなる時が来て、ゼミの先生が勧めた職場に就職した。

 "そこに就職するのが嫌というわけじゃなかった"程度の理由で、さ。

 お前は私みたいにならん方がいいぞ。君が見ている今の私は反面教師だと、私は思う」

 

 誰かが、なってはいけない大人の例として自分を挙げる。

 

「子供の頃は何にでもなれると思っていたのに、なぁ……

 二十代半ばになってもなお、ソシャゲとバイトで惰性の毎日を送ってるんだよなあ、僕……」

 

 誰かが、こんな現状に至ってしまったことを後悔しながらも、現状を改善する気のない自分に嫌気が差したような声を漏らす。

 

「小学生の頃作文に書いた将来の夢を叶えたんですけどねえ。

 それでもあっしは、時々不安に思っちまいますよ。

 この道でよかったのかと。別の道もあったんじゃないかと。

 でも日付が変われば、そんな不安なんて何処かに飛んで行ってしまうのが嫌ですねえ」

 

 名も無き人々が、がむしゃらになれた後の時の自分を、空を見上げて思い出す。

 

「そうよ」

 

 なのはとシュテルを見ていると、自然と、大人達の胸中に湧き上がるものがあった。

 

「負けたくないって、そう思うのよ」

 

 ありきたりな共感?

 いや、違う。共感しているのは"ここに居る大人達"ではない。"大人になる前の彼ら"だ。若かった頃の彼らが、今ここに居る彼らを通して、なのはとシュテルに共感している。

 

「いつからか、そう思わなくなるんだ。

 本気で他人と向き合うのは疲れるからって、やめて。

 本気で他人と話し合うのは面倒だからって、適当に流すようになって。

 本気で他人とぶつかりあうのは嫌だから、適当なところで譲歩して回避して……」

 

 シュテルとなのはは大人と子供の間にある年齢に居て、その中でも大人寄りな位置に居る。

 そんな彼女らの苦悩と、本気でぶつかり合いたいという感情は、既に思春期を終えて大人に成り終わった彼らの共感を呼び覚ましていた。

 

「子供の頃だけだったな。

 本気でぶつかりに行けたのも、本気で受け止めてもらえたのも……」

 

 空に輝く二つの魔力の炸裂は、空に咲く花であり、空に輝く星光だった。

 

「まるで、星の花だ」

 

 誰かが、ポツリと呟く。

 

「思いっきりやれよ! 悔いなんて残すなよ、今時珍しいバカなヤング達!」

 

 誰かが、大きな声で両方を応援する。

 

 二人の戦いは、多くの人々に見守られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この戦いの前にフェイトとプレシアが見せた、スカリエッティを倒すために使ったデバイスの限界を突破させるモード。あれを、リミットブレイクという。

 常時身体限界の六割の出力しか出していない魔導師に十割の力を出させるフルドライブ以上に危険なシステムであり、『十割以上』の力を出させる余りにも危険なシステムだ。

 限界突破の流れを見れば分かるが、Kは限界突破発動時にフルドライブとリミットブレイクを擬似的に同時発動させている状態にあり、ガチガチに制御している理由も伺えるというものだ。

 

 なのはが発動させた『ブラスターモード』も、その一つ。

 自分に強化魔法を発動し、術式起動中は術式が勝手に自分を強化することを利用した、術式と自分の両方による多重強化魔法展開による、自己強化の究極系の一つである。

 キャロがゼスト隊戦で見せた強化魔法のような、身体負荷軽減などできようはずもない。

 それではこのモードの最たる売りである、"長時間使えば後遺症が残るが、短時間であれば爆発的な強化が得られる"という特性が死んでしまうからだ。

 

 命を削るリミットブレイク。長時間使えば更に命を削るブラスターモード。

 これを用いた高町なのはは、シュテル・スタークスと実力の上で完全に拮抗していた。

 

「ディバイン! バスターッ!」

 

「ブラストファイアーッ!」

 

 二人の砲撃がぶつかり合い、相殺される。

 砲撃と砲撃の相殺の際に莫大なエネルギーが大爆発を起こしたが、この二人の実力が完全に互角となった戦いは一度もなかったため、両者共にこれは初めて見る光景だった。

 

「ナノハ。その力は命を削る、愚か者の力です。ですが……」

 

「うん」

 

 シュテルはなのはの力の正体をひと目で見抜き、されど彼女らしくもなく心配そうな声を出さない。対しなのはも、何故か嬉しそうに、自分の胸に手を当てていた。

 

 ブラスターシステムは、命を削るリミットブレイク。

 されど、なのはの命は削れない。

 彼の加護が削らせない。

 なのはの命は、彼が守る。

 リミットブレイクの負荷が全て打ち消されている感覚を、なのはは感じていた。

 暖かく優しい、そんな感覚だった。

 

(かっちゃん)

 

 なのはが嬉しそうに笑い、シュテルも不思議と嬉しそうに微笑む。

 

(ええ、そうですとも。私が敬愛するマスターは、そういう人だ)

 

 二人は違うところもあるけれど、同じところもあったから。

 二人は同じものが好きだったから。

 目の前の相手に共感し、目の前の相手が自分と同じものを好きでいてくれていることに、不思議な嬉しさを感じていた。

 こんな感情、この二人の間でしか発生しないに違いない。

 

「ナノハ!」

 

「シュテル!」

 

 規格外の威力の砲撃を、次元違いの速度で撃ち、極大の攻撃範囲が一瞬で相殺し合う。

 常人であればまず目で追えず、魔力の残光を数えてなお両者の攻撃回数を数えられまい。

 砲撃、砲撃、砲撃。

 両者の間で、空に見える星の数にも等しい砲撃がぶつかり合う。

 

「負けません! 貴女には! 譲れないものも、渡したくないものもあるから!」

 

「負けない! 私だって! きっと、同じものを見てると思うから!」

 

 勝っても負けても、得られるものや失うものはない。

 勝っても負けても、周りの自分を見る目が何か変わるわけではない。

 勝っても負けても、人間として目の前の相手より上に行けるわけではない。

 

 それでも二人は、本気の本気で戦わずにはいられなかった。

 

「ルベライト!」

 

「チェーンバインド!」

 

 二人が全力の魔力行使で、敵の逃げ場を塞ぎ絶対に当てるバインドを展開……しようとした、まではよかった。

 だが今のこの二人が"それ"を全力で行えば、尋常でない光景が出来上がる。

 なんと二人の視界の全てが二種類のバインドの光で埋まり、km単位の立体空間全てがバインドだけで埋まりきってしまったのだ。

 

「はああああああああっ!」

 

「せやあああああああっ!」

 

 それでいて、二人のどちらもバインドには捕まっていないという異常な光景。

 彼女らのバインドに捕まれば雁字搦めにされるのは勿論のこと、その気になれば窒息死させることすらも可能だろう。

 バインドの拘束力で四肢を引きちぎることすら、理論上は可能だ。

 そんなバインドすらも見せ札にして、二人は共に杖を構える。

 

(( 今! ))

 

 細く、細く、自分の腕の太さほどまで収束して圧縮した細い砲撃を二人は放つ。

 バインドで相手の視界が潰れるこのタイミングにこそ、バインドに捕まるかもしれないリスクを押してまで攻める価値があると、二人は考えた。

 二人、同時に。

 

 ゆえに、二人の砲撃は互いに対し、同時に綺麗に直撃していた。

 

「かっ、はっ……!」

 

「……あぐっ……!」

 

 走る激痛。削られる魔力。叩き込まれる衝撃が、意識と脳をガツンと揺らす。

 

 二人の意識は、同時に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはは夢を見た。

 刈り取られた意識が、記憶の海から引き上げた想い出を夢と成す。

 

「"なんでそんなに私を信じられるの"とか、こっ恥ずかしいこと聞くなぁ」

 

 なんでそんなに私を信じられるの、となのはは問うた。

 彼は答える。

 

「なっちゃんは諦めないし、心が折れないし、最後の最後まで頑張ってるからな」

 

 彼はなのはをちゃんと見ていて、なのはが物心ついた時にはもう、今の彼だった。

 なのはがダメだったら遠慮も気遣いも何もなく口にして、なのはの長所や頑張りをちゃんと言ってくれる少年だった。

 なのはが太れば太ったなといい、なのはがテストのために勉強した程度のことでも、ちゃんとそれを褒める少年だった。

 

「なっちゃんは人と話そうとする時、負けそうだけど踏ん張ってる時、凄え輝いてるんだ」

 

 彼は誰に対してもそう接する人間で、だからこそ幼い頃からソシャゲ厨で課金厨だった彼の評価は、真っ二つに分かれていた。彼を好む人も、心底嫌う人も、沢山居て。

 

「それはなっちゃんからは見えないけれど、オレからはいつも見えてるものなんだよ」

 

 だけどなのはは、彼を嫌ったことはなかった。

 

 幼い頃、なのはが迷った時や自信を無くした時、友達だった彼がくれた言葉が、いつだって自分の心を奮い立たせてくれたことを、覚えていたから。

 

 

 

 

 

 シュテルは夢を見た。

 刈り取られた意識が、記憶の海から引き上げた想い出を夢と成す。

 

「ん……」

 

 記憶の中で、シュテルは睡眠から目覚めたところだった。

 シュテルは寝ている時、時々涙を流してしまう時期があった。

 最近のなのはとの交流で不安定になっていた時期や、召喚されて少し経った頃の幼い時期などがそれにあたる。

 拭いきれない孤独。

 拭い去れない不安。

 例えようもない苦悩が、夢でしか会えない"自分の同類である二つの存在"への想いと絡まり、シュテルに涙を流させていた。

 

「……マスター?」

 

 だがその記憶の中で、目覚めたシュテルの手を握って寝ている少年が居た。

 少年は、消えるはずだったシュテルの可能性を拾い上げてくれた命の恩人。

 そして、彼女のマスターだった。

 

 シュテルも、起きて自分の状態をしっかりと見て、少しづつ状況を理解し始めた。

 夜中に悪夢を見てないていた自分の手を、彼がずっと握っていてくれたことを。

 うなされていた自分がタオルケットを落とすたび、彼がかけ直してくれていたことを。

 自分がベッドから転がり落ちそうになるたび、彼が止めてくれたことを。

 涙を流すたび、彼が拭いてくれたことを。

 震える自分の手を、彼がずっと握ってくれていたことを。

 それら全てを、シュテルはベッドの状態・自分の状態・彼の状態から察していた。

 夜通しそんなことをしていたのなら、シュテルが落ち着くなりすぐに、疲れからここで眠ってしまったというのにも頷ける。

 

「……余計なお節介を」

 

 シュテルは呟く。

 そこに愚か者を見下す感情はない。むしろシュテルが自分の内に湧いた感情に戸惑うがゆえに、出た言葉であった。

 

 彼は誰にでもこういうことをするのだろう。

 彼は自分の人生を楽しみたい。

 近くで泣いている誰かが居ると人生を素直に楽しめない。

 だから涙を止めようとする。

 彼はそういう人間で、彼のそういうところが、シュテルは嫌いではなかった。

 

「本当に」

 

 目尻を下げて、無表情を崩して、嬉しさがこぼれるような笑みを、シュテルは浮かべた。

 

「馬鹿な人」

 

 眠る彼の髪を撫でる、シュテルの右手。彼女の胸の内に、小さな火が灯る。

 彼の手は優しくて、暖かくて。

 自分が貰った暖かさを、この人に少しでも返したくて。

 もしも叶うなら、彼の一番になりたいと、シュテルは思った。

 

 

 

 

 

 なのはの意識が目覚める。

 

(そうだよ)

 

 気絶から復帰する。

 

(かっちゃんは、私が諦めないことを、私が勝つことを、私が不屈であることを、信じてる)

 

 想い出が、なのはに力を与える。

 

(そう、いつだって―――!)

 

 シュテルの意識が目覚める。

 

(あの人の窮地で、あの人が一番最初に助けを求める人は、私であって欲しいから)

 

 気絶から復帰する。

 

(今は、そうじゃないのかもしれない。それでも)

 

 想い出が、シュテルに力を与える。

 

(過去は変えられなくても!

 今を変えようとする想いがあれば!

 未来はきっとそうなると、信じたいっ―――!)

 

 気絶していたのはほぼ一瞬。

 二人は『理屈では説明できない力』で気絶から復帰し、戦うために必要な意識を引き起こし、壮絶な戦いを再開した。

 

 目覚めた直後、なのはは右斜め前に超スピードで移動し、シュテルの横を取ろうとする。

 目覚めた直後、シュテルは左斜め前に超スピードで移動し、なのはの横を取ろうとする。

 結果、バインドの嵐で視界がほぼ潰れているのもあって、二人はほぼ一瞬で拳が届くほどの至近距離まで接近していた。

 

「!?」

「!?」

 

 転移魔法が使える二人にとっての"超スピード"だ。当然、接敵に要した時間は転移魔法のそれに等しい。

 二人は目の前の敵に対し、位置的に振るい難かった杖を振るおうとはせず、なのはは左手にシュテルは右手に、それぞれ魔力を集約した。

 一瞬後、二人の拳が同時に放たれる。

 

 近接戦闘技能はシュテルの方が遥かに上で、土壇場での爆発力ではなのはが遥かに上だった。

 そのため、二人はここでも完全に互角に拮抗する。

 両者の拳の威力は完全に互角、放たれたタイミングも完全に同時。

 なのはの左拳はシュテルの右頬に、シュテルの右拳はなのはの右頬に、それぞれ突き刺さった。

 

「ッ!」

「っ!」

 

 両者は同時に、自分の拳が相手の頬を殴った手応えと、自分の頬が相手に殴られた痛みを感じ取る。そして、正反対の方向に殴り飛ばされていった。

 天地を揺らがす一撃に、二人の意識が完全に飛ぶ。

 

―――信じてるさ、生まれた時から……生まれる前からずっと。一度も疑ったことなんてない

 

 想い出の言葉で、なのはは立ち上がる。気絶していたのは一瞬だった。

 

―――お前がどんな結論を出してもオレはお前の味方で、お前を嫌いになったりしない

 

 想い出の言葉で、シュテルは立ち上がる。気絶していたのは一瞬だった。

 

「負けない……私は、勝つ! 勝ちます! ナノハ、貴女に!」

 

「負けない! 絶対、絶対……諦めるもんかっ!」

 

 二人の拳による相打ちは、台風が比べ物にならないエネルギーと衝撃波を発生させた。

 二人は一瞬の気絶の内に既に砲撃戦の距離まで吹っ飛ばされ、周囲のバインドは全て拳撃の衝撃で吹き飛ばされている。

 それが、決着のための最高のシチュエーションを作り出していた。

 二人の判断、思考、選択が完全に一致し、重なる。

 両者は杖を構え、周辺地帯全ての魔力をかき集め始めた。

 

 『収束砲撃で決着をつける』。

 二人は申し合わせたかのように、同じ終焉の一撃を選んでいた。

 

「集え、明星。夜空に燃える焔と変われ!」

 

 シュテルの魔法が、代金ベルカ式の特殊転移魔法の応用が、この世界と幾多の次元世界を繋ぐ。

 彼女の周囲に浮かぶ魔法陣が、別世界の魔力で燃える恒星とこの戦場を繋げ、恒星から魔力と熱量を吸い上げる。

 彼女の収束砲は、熱も巻き込むという特性を得ていた。

 シュテル・スタークスは、無限の世界から無限の熱量を吸い上げる。

 

「行くよ! これが私の全力全開!」

 

 なのはの魔法が、代金ベルカ式の特殊転移魔法の応用が、この世界と幾多の次元世界を繋ぐ。

 彼女の周囲に浮かぶ魔法陣が、別世界の魔力が濃い場所とこの戦場を繋げ、使用可能な魔力を世界の壁を越えて吸い上げる。

 彼女の収束砲は、ただひたすらに強力だった。

 高町なのはは、無限の世界から無限の魔力を吸い上げる。

 

「極真・ルシフェリオン――」

「全力全開! スターライトブレイカー――」

 

 二つの無限が、そのベクトルを完全に制御された状態で、解き放たれる。

 

「――ブレイカーッ!!」

「――ミーティアストリームッ!!」

 

 無限魔力、無限熱量が衝突する。

 二つの無限は対手だけに及ぶ破壊の嵐となり、それ以外の何も破壊しないまま、空に凄まじい魔力の波動を呼び起こした。

 空に魔力が、波紋を立てる。

 

「くっ……うっ……!」

 

「つっ……づっ……!」

 

 実力拮抗。されど二人の意志に、諦めなど浮かぶはずもない。

 

「「 カートリッジ、フルロードッ! 」」

 

 二人はデバイスにカートリッジマガジンを装填しフルロード。更にマガジンを交換してフルロード。更に装填してフルロード……そしてなお、カートリッジロードは止まらない。

 カートリッジの魔力は二人の体内に叩き込まれ、より膨大な魔力の呼び水として使用される。

 

「私は……あの人に貰った名前にかけて……! 勝つっ……勝ちたいッ……!」

 

 シュテルが収束砲を押していく。

 

「かっちゃんが見てる戦いでは負けないって、誓った過去の私に、嘘をつきたくないッ……!」

 

 なのはが収束砲を押し返す。

 

「ナノハ、貴女に――」

「シュテル、あなたに――」

 

「「 ――勝たなければ、私はきっと、本当に行きたい場所に行けやしない! 」」

 

 収束砲が、二人の中間で拮抗する。

 

 実力は完全に拮抗した。もはや毛の先程の差も存在しない。

 

 ゆえに、人事を尽くした今、勝敗を決める要素は天命のみ。

 

「―――」

 

 運の問題だった。

 角度の問題で、位置の問題だった。

 なのはとシュテルの全身全霊の戦いの中、シュテルだけが『彼』が見える位置に居た。

 

 シュテルの視界の中で、彼がむせこむ。

 彼はただむせこんだだけだ。血を吐いてすらいない。

 しかし限界突破の維持を彼がしているという前提が、彼女らの戦いのために頑張りを見せているというこの状況が、シュテルの心を揺らしてしまった。

 

「―――!?」

 

 シュテルは彼を心配し、思わず彼の下に駆け寄ろうとし、思い留まる。

 その迷いが、衝動を抑え込んだがために生まれてしまった一瞬の隙が、この二人の戦いにおいては致命的なミスとなってしまった。

 

(ああ)

 

 収束砲が、既に押し返せないラインにまで迫っていた。

 迫る収束砲を、シュテルはどこか他人事のように眺めている。

 諦める、諦めないの話ではなく。既に決着は付いていた。

 

(なんて、私らしくもない、結末―――いや、もしかしたら、私らしいのか―――)

 

 桜色の光が、シュテルを呑み込んでいく。

 

「ブラスト! シュートッ!」

 

 勝者と敗者。

 敗者の側からは収束砲の光しか見えず、勝者には収束砲に呑まれていく敗者が見える。

 それは、二人のどちらが目にしていてもおかしくなかった光景。

 彼の姿をどちらが見るか、二人のどちらが動揺するかは、完全に運だった。

 すなわち、"最後の最後で幸運の女神がどちらに微笑んだか"の話でしかなく。

 

 それが、因縁の二人の勝敗を分けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全てが終わり、なのはとシュテルは戦いを始めた地に戻る。

 杖を地面に突き立て、シュテルはなおも立ち続けていた。

 妄執や執念なんてものでは足元にも及べない、強靭な鋼鉄の意志がそうさせるのだろうか。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「シュテル」

 

 なのはは、言葉を尽くす。言葉も魔法も、彼女にとっては"分かり合うための道具"だから。

 

「私たちは諦めない。

 今日負けても、明日挑んで勝つ。

 負けた方が勝った方に挑んで、勝者と敗者が入れ替わって、きっとそれがいつまでも続く」

 

「……ナノハ」

 

「きっと、私達の戦いは、どちらかが諦めた時に終わるんだよ。

 どちらも諦めないなら、きっと私達だけじゃ勝敗は決まらない。

 だって、譲りたくない。渡したくないんだから。

 それでも私達は互いに嫌いになれなくて、憎むこともできないんだから、しょうがないよ」

 

 絶対に諦めない者、本物のヒーローの素質を持つ者、そして『彼』が最後の最後に頼りにする者……そんな二人が戦うのなら、その戦いに普通の決着はありえない。

 なのはがシュテルを好きで、シュテルがなのはを好きで、二人が好きなものが同じであるのなら、なおさらだ。

 

「今日は私が勝ったけど、それは運が良かったから。

 明日戦えば分からない。明後日戦えば分からない。

 だって私もシュテルも、守るために成長を続けるだろうから」

 

「……本当に、ナノハらしい答えですね」

 

 戦い一回ごとの勝者敗者なら決められる。

 けれど、二人の因縁に本当の決着をつけるには、どちらかが諦めなければならない。

 なのに、二人は絶対に諦めない。これでは二人だけで決着をつけることなど不可能だろう。

 

 ならば決着(それ)は、シュテルやなのはの意志では決まらないのかもしれない。

 二人の『勝敗』が本当に決まるのは、二人以外の人が二人のどちらかを選んだ、その時に―――

 

「感謝しています、ナノハ」

 

 シュテルは汚れと怪我にまみれた顔で、年相応に可愛らしく笑む。

 

「きっと、どんな友人と出会ったとしても。

 どんな仲間と出会ったとしても。

 どんな敵と出会ったとしても。

 あなたと私のような関係は築けなかった

 きっと、私が貴女に向ける共感と友情は、唯一無二のものです」

 

 彼女の手から愛杖(ルシフェリオン)が落ちて、カランと音を立てる。

 

「だから、とても悔しいけれど、今日は笑って貴女に言えます」

 

 シュテルの膝が折れ、けれどせめて前のめりに倒れようと、最後に残った力で足を動かす。

 

 

 

「―――高町なのは。貴女の、勝ちだ」

 

 

 

 意識を励起させておくために必要なエネルギーの最後の一滴すら使い果たし、もうしばらくは気絶から復帰できないという状態で、シュテルは倒れていく。

 そんな彼女を、新しくガチャで引いた車椅子に乗ったKが受け止めた。

 

「かっちゃん」

 

「スッキリしたか?」

 

「……うん。決着は、付いたわけじゃないんだけどね」

 

 彼はシュテルを抱え直し、"よしよしよく頑張った"と意識の無いシュテルの頭を撫でてやる。

 対処が小学生しか喜ばないような子供扱いのアレなのだが、シュテルは意識がない身でどこか嬉しそうだ。

 なのはは頬を掻いて、損して得を取ったような現状のシュテルに苦笑いする。

 

「どっちが勝ったのか、分かんないね」

 

「戦いの後に"よく頑張った"と頭撫でられるのは大抵敗者だろ」

 

「……確かに!」

 

 どこか懐かしさすら感じるやり取り。

 十年前と変わっていない部分を探すような、二人らしさのある会話が始まる。

 けれど、もう十年前とは違うのだと、なのはは思い知らされる。

 

「こほっ」

 

「! かっちゃん!」

 

 彼がむせて、なのはが駆け寄る。

 既に限界突破は解除されていて、なのはとシュテルはデバイスの起動すら停止している。

 だがそれでもむせたということは、彼の体が根本的に脆くなっていることの証明だ。

 今、ほんの少しだが彼の咳からは血も出ていた。

 

「かっちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫。イベントの完走目安が一日四時間のイベントマラソンな時くらい大丈夫」

 

「わ、分かりづらい……」

 

 なのはは彼に駆け寄ったが、そこでハッとなる。

 息を呑み、目を見開く。

 そして彼女は、彼の頬に手を添えた。

 

「痩せたね」

 

「そう見えるか?」

 

「うん」

 

 彼女も"ここまで"とは思っていなかった。

 近くで見なければ、彼の摩耗具合は分かるまい。

 彼はいつだって朗らかに笑っているから、魔法で多少誤魔化しているのもあって、遠目にはその体調の悪さが見えないようになっているのだ。

 

 なのはが悲しい顔をしている。真っ直ぐな目で彼を見ている。

 青年は顔を逸らしそうになるが、ぐっとこらえた。

 彼はこの真っ直ぐな目から逃げるようにして、十年も彼女と会っていなかった。

 

 「大丈夫、私に任せて」となのはに言われたら、それに甘えてしまいそうな自分が嫌だった。

 自分の体調を理由に彼女に悲しい顔をさせるのが嫌だった。

 課金癖でなのはを泣かせているくせに、彼はなのはの涙が好きではなかった。

 シュテルという、頼れる相棒が居た。

 ウーンズと闇の書の残滓という、自分が決着を付けなければいけない相手が居た。

 ユーリという、そこから助けなければならない少女が居た。

 クラウスがくれた強さがあった。

 オリヴィエがくれた覚悟があった。

 エレミアがくれた義腕があった。

 だから彼は今日までずっとなのはに会おうとせず、なのはと会わないまま十年を強く生きていくことができていた。

 

 それも、今日で一区切り。

 

「なっちゃん。受け取ってくれ」

 

「リボン?」

 

 青年はなのはにリボンを渡す。

 それは、この時代まで残った数少ない友情の証。

 オリヴィエが彼に渡し、この時代の聖王のゆりかごが彼を課金王ベルカであると認識するために用いた、オリヴィエのリボンだった。

 

「これ、大事な物なんだ。必ず取りに帰るから、それまで預かっといてくれ」

 

「うん」

 

 そして、なのはは自分の髪を留めていたリボンを外して、彼に手渡した。

 

 バリアジャケットを纏っても形を変えてそこにあり、限界突破のたびに少しだけ色を変えてそこにあった、彼女が愛用しているリボンだ。

 

「これ、私の大切な物。かっちゃんに私がリボンを返す時、かっちゃんが私に返してね」

 

「……これ、入学式の時にオレがプレゼントしたやつじゃん」

 

「うん、私の宝物だよ」

 

「……分かった。必ず返す」

 

 リボンを交換し、彼らは再会の約束をする。

 

「また、いつか」

 

「私のピンチか」

 

「オレのピンチに」

 

「また会おうね」

 

 背を向けて、別の道を行く二人。

 同じ道を行くのが仲間。

 別の道を行っても心繋がっているのが友達。

 そして、どんなに離れていても魂で繋がっているのが、この二人だ。

 

 いつかまた、二人の道は交わるだろう。

 けれども、それが交わっていない時、二人の心が離れているということを意味しない。

 心繋がっているがゆえに、二人の道はいつか交わる。それだけのことだ。

 

 なのはと、シュテルと、彼が、共に戦う日は―――また、いつかの未来の日に。

 

 

 






リボルビングフォーム「どっかで使えよ」

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