なかなか書きあがらずこんな時期になってしまいました。
内容かなり短いです……
一体何度、人を傷付ければこの地獄のような日々は終わるのだろうか。
港に隣接する形で建設された倉庫群の一角で、複数の人間を、無慈悲な力で打ち倒しながら、俺はそんなことを考えていた。
目覚めてから、これまで何度も自分に向かってくる存在を傷付け、壊す日々を送ってきた。
その日々の中で、俺の記憶にあるのは、痛みに苦しみ、涙を流す人々の姿だけだ。
それ以外の記憶は存在しない。
自分が何故こんな事をしているのか。
どうして全身、機械仕掛けの体なのか。
何故、自分の意思とは関係なく、指示に従うだけの体なのか。
考え出せばきりが無い程、疑問は止めどなく溢れる。
「ここは、絶対に通さん」
一人の屈強な男が俺の前に立ち塞がる。
その背後では、震えていた女が背を向け出口に向かって駆け出していた。
頭の中に声が響く『目撃者を逃がすな』と。
俺の体は、俺の意思とは関係なく、頭の中に響いた声に従い、動き出す。
動きを見せる俺に対抗するように、相対する男が構えをとる。
どこかの流派の構えだろうか、普通のファイティングポーズと違い、少したが、独特なものが混ざっているその構えを見て、頭の奥がチリチリと痛んだ。
「目撃者ハ排除スル」
ヘルメットに着けられた変換器によって、俺の声がノイズ混ざりの機械音声に変わり発せられる。
「更識流の名に懸けて、貴様に一矢報いてやる」
男から発せられる気迫が更に、張りつめたものに変わっていく。
ゆっくりと息を吐いた次の瞬間、男の姿を一瞬見失う。
直ぐ様、相手の位置を知らせる解析機によって男の位置が割り出されるが、その僅かな特定の時間が反応を遅れさせた。
「グウゥゥッッ」
左脇腹の辺りに強い衝撃が走る。
衝撃の威力で体が揺らぐ、その隙に男は連続で攻撃を仕掛けてくる。
「グッ、ガッ!」
打撃が与えられる度に声が漏れる。
只の人間であれば最初の一撃で決着はついていただろう。
しかし、俺は人間ではない。
衝撃で体は揺らげども、実際には大したダメージを受けていない。
というよりは、ダメージを受けていると体が認識しない。
この機械の体は、痛覚を遮断するように造られているから。
さらに付け加えるなら、この体は俺の意思ではなく、どこからか与えられた命令によって動いている。
俺がどれだけダメージを喰らいたく無いからと動きを止めようとしたところで、動く指示を出しているところが別物なので決して止めることは出来ないのだ。
自分には関係ないと意識を戦いとは別のところに逸らしていると、状況が変化しようとしていた。
俺の体は、途切れること無く加えられる攻撃によろめきのけ反る体を、地に着けた足の踏ん張りでのみ支え、無理矢理に右腕を左手方向に振るった。
振るわれた腕は、男の折れた腕に直撃する。
肉を潰すぐちゃという音と共に、血飛沫が舞う。
痛みで男の動きが固まる。
その瞬間を見逃すこと無く攻勢に移る。
折れた方とは反対の手を捻りあげ、可動域の限界を超えさせ、腱や筋肉を断裂させる。
そして、相手が痛みに呻く暇を与えず、頭を掴み持ち上げる。
手を振りほどこうと、足を振り、体に当ててくるが、ただ、抗うようにして繰り出された蹴りには体重など乗ること無く、ダメージを与えるには至らない。
「はなせっ」
途切れ途切れに言葉を発せられるものの、その言葉に素直に応えるものなど此処には存在しない。俺の体は、相手の頭を掴んだまま、倉庫の天井に届くほどの位置まで飛び上がる。止めを刺す為に。
「うぐぅ、あぁ」
空中で無理矢理に姿勢を変えられたことでかかった負担が男の体にかかる。
苦悶の叫びを浮かべながら必死に俺の腕を話そうとするが全てが無駄に終わる。
「死ネッ!!」
空中で重力が途切れ落下を始める前に、掴む男の体を下にし、自分はその男の体の上に乗るように体勢を入れ替える。
これから行われる行動は至極単純、落下速度と自身の体重による衝撃により、男を地面に叩きつけ、その衝撃で殺すのである。
準備は整った。
男と俺の体が重力によって落下していく。
振りきれない男は、涙を浮かべ呟く。
「か、…な。……ざし、れ……くん。すまない」
激しい衝撃と共に、倉庫が揺れる。
濛々と立ち込める砂煙、二つの存在の生死すら確認できないほどに巻き上がるそれが全てを覆い隠す。
お待たせしてしまい申し訳ございません。
今後もこの作品は不定期での更新となります。
しれっと上げてを繰り返すと思いますが。
お付き合いいただけると幸いです。