仕事が少し忙しくなってしまいまして……
できる限り更新早めに対応しますので、お付き合いいただけますと幸いです。
今回短いですが、楽しんでいただけたら思います。
それではどうぞ
部隊の前に立ちはだかった正体不明の存在を一言で表すなら『黒』だろう。
全身に纏う漆黒のライダースーツ、胸部や腕部、脚部は同じく漆黒の装甲で覆われている。
顔全体を覆う昆虫ーバッター、もしくは髑炉を模したようなヘルメットに隠され、表情は伺うことが出来ない。
「IS?それも全身装甲!?」
全身を機械の装甲に包んだその立ち姿に、隊員たちは、現代において最強の兵器となった存在を思い浮かべる。
「観測機には、コアの反応は出ていない!見せかけだけだ!」
潜入において、人やトラップの有無を探索する役割の隊員が、すぐさまISコアの反応を捉える機械を操作し、反応がなかった事を伝える。
「各員、油断せずに攻撃を行え!」
楯無が指示を出し、隊員たちが従う。
正体不明の存在の後ろに居る仲間たちに攻撃が当たらないよう、近接装備である伸縮警棒や、ナイフを取り出して構えをとる。
ジリジリとゆっくりとした動きで相手に近づいていくが、正体不明の存在は、余裕があるのか動きを全く見せない。
「はあぁぁぁっ!」
「喰らえっ!!」
二人の隊員が、先手を打ち攻撃を開始する。
正面と背面を挟むようにして繰り出される一撃は、その狙いと速度により、絶対なる威力をもって、正体不明の存在に打ち付けられた。
「なっ!?」
「無傷だとぉっ」
鈍い打撃音を響かせた一撃を喰らってもなお、正体不明の存在はその場から微動だにしない。さらに、その身に纏う装甲には傷ひとつついていない。
打ち付けた際に響いた衝撃によって手に流れる痺れを感じながら、驚きに目を見開く二人の隊員であったが、直ぐ様、思考を切り替えて次の行動に移る。
「一撃で傷を与えられないならば」
「行きますよ!」
選んだのは強力な一撃の単発攻撃ではなく、素早い連続攻撃。
攻撃後に行う、構えを取り直す動作を極力省き、途切れる事なく攻撃を繋げる、威力よりも手数を優先した攻撃方法。
正体不明の存在に、次々に攻撃が当たり、一撃のみでは微動だにしなかった体が、徐々にだが揺さぶられる様にして動いていく。
「はあぁぁぁっっ!」
「りゃりゃりゃりゃぁっ!」
「終わらせるぞ!!」
「はい、これで終わりです!」
気合いを込めながら、連続攻撃を行う二人がタイミングを合わせる為に声を掛け合う。
そして、回転する体の動きを殺さぬまま、二人同時に正体不明の存在の顔面に蹴りを叩き込む。
息の合った強烈な一撃によって起こる打撃音が再び倉庫内に鳴り響き、その威力によって、正体不明の存在が、隊員たちの山の前からずれ、数メートル離れた場所に飛ばされる。
「「全隊員、射撃武器をありったけぶち込め!!」」
攻撃を終え、相手が仲間から離れた位置に移動したのを確認した二人の隊員は、同時に手の空いている隊員に指示を出す。
その指示に応えるように、一斉に隊員たちは銃を抜き、発砲を開始する。
砲身から放たれた弾丸が次々に正体不明の存在に向けて飛んでいく。
それらは地面に着弾すれば、火花を起こし、積まれた荷物に当たれば粉砕し、破片を撒き散らす。
強大な力を持つ獣が激しい唸りを上げるかのような轟音が途絶えることなく響き続ける。
「発砲を止めろ!」
数分間に渡り打ち続けられた発砲が終わる。
倉庫内に反響していた音が発砲の終わりと共に消えていく。
着弾によって発生した土煙が、徐々に薄くなっていく、積まれた荷物が跡形もなく砕けている状況がうっすらとだが隊員たちの視界に映る。
「やったか……?」
隊員の一人がボソッと呟く。
「流石に、この銃撃の嵐の中で無事でいるわけないだろ……」
「ISだったとしても、シールドエネルギーが減る位の物量で圧したんだ。ただの機械装甲なら大破しててもおかしくないぞ」
呟いた隊員に答えるように別の隊員が話す。
そこにいる隊員たち全員が、正体不明の存在がボロボロになり横たわる姿を想像し、そうなっているものと確信していた。
しかし、砂煙が晴れた瞬間、脆くもその確信は崩れ去る。
そこには、倒れ伏す存在など無く、機械装甲の一部すら一片も見当たらず。ただ、砕け散った荷物の破片などだけが、無惨にも散らばっているだけだった。
瞬時にスイッチを切り替える隊員たち、周囲を見渡して襲撃に警戒すると共に、直ぐ様反撃に移れるように、銃への弾の補充を怠らない。
しかし、その警戒を嘲笑うかのように、遂に正体不明の存在が行動を開始する。
「上だ!っあぐわっ!」
隊員の一人が叫んだ後、くぐもった声が倉庫に響く。
その声に反応した隊員たちが振り返る。
そこには、襲撃されたであろう隊員が昏倒して伏しており、それを見下ろすように正体不明の存在が『無傷な姿』で立っていた。
「組織ニ反抗スル勢力ヲ、危険度Aト認定、行動ヲ開始スル」
抑揚のない単調なトーン、機械によって変えられたであろう人間味の欠片も感じさせない声で、正体不明の存在が言葉を発する。
それは、直接的な攻撃開始の宣言。
正体不明の存在が被るヘルメットの複眼部分に赤い光が灯る。
不気味に光るその赤に、隊員たちは本能的に危険を感じた。
一歩、ゆっくりと正体不明の存在が足を前に出す。
これまでの任務で感じたことのない恐怖に、隊員たちの足が竦んで動かなくなる。
もう一歩足が踏み出され、正体不明の存在との距離が縮む。
速くなる鼓動の音が耳に響くのを隊員たちは感じていた。
もう一歩、もう一歩と前に出される足の数が増えていく。
手が触れられそうな距離に迫られているのに、体が反応しない。
正体不明の存在の歩みが止まる。
まるでカウントダウンが終了したかのように……
そして、容赦のない暴力による、一方的な蹂躙が始まった。
いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたら本望です。
お気に入り登録していただいた方々ありがとうございます。
それではまた次回!!