最大Lv1の俺が魔王を倒すことになりました。 作:上井カルタ
もう少しがんばります。
魔王の使い、グリモワール・アスモデウスとの戦いから2日が経過した。
俺達は神器【聖剣 エクスカリバー】の探索を控えながらも、訓練を重ねた。
おかげで千春のLvは25まで上がったが、俺のLvは変わらず1。まぁ最大Lvが1だからな。
さらに千春は『異能の加護』でステータスがもはや上級職レベルに達しているので、適正Lv50以上のボスなどもあっさり倒してしまうぐらいにまである。
対して俺は、『異能の加護』でステータスが上がっているが千春ほどではない。
実際、『
「んん~頭痛いな~」
俺が頭を抱えていると、クスッと千春が口に手を当てて笑った。
「勇也、最近いろいろおもしろいね」
「なにが面白いんだ?」
「いや、なんでもない」
笑顔で去っていく千春に俺は首を傾げるしかなかった。
――――――エクスカリバー探索は明日、決行となる。
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「それじゃあみんな、準備はいいか?」
『『『おう!!』』』
「これより、神器【聖剣 エクスカリバー】の探索に向かう! 死ぬ覚悟のあるものはついて来い!」
『『『おおおおおおお!!!』』』
ついに来た! 待ちに待ったこの時が!
「神器探索きたああああああああああ!!」
このゲームで初めての神器探索だあああああ!!
一人でテンションを上げまくっている俺を見ながら、千春は苦笑いをしながら言った。
「何にそこまで喜ぶのかよくわからないけど、まぁがんばろうね」
「おうよ!」
そんな軽い会話をしていると、奥のカウンターからお姉さんが大量のポーションを持って出てきた。
「えー、探索に行く前に回復ポーションを配布します。順番に受け取ってくださーい」
『『『おー!!』』』
冒険者がゾロゾロとポーションを受け取りに歩き出した。
てか多い!! 冒険者多い!! まぁプレイヤー10億人もプレイヤーがいればそりゃそうか。
「おい千春。流されないようにな」
「う、うん」
込み合ったギルド内で俺と千春はお互いの手を強く握り締めた。
その手は小さくて弱々しかったけど、優しい温もりを感じた。
ふと俺が千春の顔を見ると、その顔はリンゴみたいに真っ赤になっていて、ちょっと可愛かった。
あれ? 俺、何思ってんだ?
「おーい。千春ちゃん! 勇也君!」
人混みの中から現れたアーサーが疲れた様子で話しかけてきた。
「いや~大変だね~。どんな難しいクエストよりも難しいと俺は思うよ」
深くため息をつきながら、DGA最強の男は言った。
「ハハハ・・・・・・・あ、そういえば光剣の騎士団の団員ってどのくらいいるんですか?」
DGA最強のギルド全員が冒険者ギルドに収まるはずがない。
俺の予想だと3万人はいると思うんだが・・・・・・
「ん? 団員? 確か1000人くらいだったと思うが・・・・・・」
「あれれぇ? おかしいぞぉ?」
どこぞの高校生探偵の真似をしながら、俺は首を傾げた。
てか1000人は少なすぎだろ!
俺の知ってるギルドは1万人はいたぞ!
「人数は他のギルドよりは少ないが、その分腕利きが揃っているから大丈夫だ」
「そ、そうか。なら安心だな」
アーサーは笑いながら自分の準備をしに、人混みの中に消えていった。
「さて、俺達も最終チェックをしなくちゃな」
「そ、そうだね」
俺は未だ顔の赤い千春を連れて最終準備に取り掛かった。
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ギルド内のすべての冒険者の準備が終わり、500超の移動用地竜が用意された。
「よおし! みんな今日は集まってくれてありがとう! 俺のワガママで神器探索なんてするけど、みんなで楽しく行こう! 目指すは『魔王討伐』の称号だ!!」
『おおおおおおお!!』
その場にいた冒険者たちが心の底から声を上げた。
その声を聞き、俺自身も気合が入った。
「では! 出発!!」
アーサーの合図と共に、俺を含めた冒険者たちが一斉に街を出た。
俺が地竜で走っている最中に、千春が不意にこんなことを言った。
「ねぇ勇也。私、未だにこの世界がゲームの中だって実感が無いんだけど」
「ああ・・・・・・俺もいきなりこの世界に来たときはびっくりしたけど、今はそんなにかな」
俺が軽くそう言うと千春は。
「・・・・・・やっぱり凄いね勇也は」
千春は微笑みながら言ってきた。
だが、その笑顔には、少し暗い感情が混ざっていた。
「・・・・・・不安なのか?」
「ちょっとね。私達はあの世界の運命を握っているし、それにもしこの世界で死んじゃったらどうしようって。まだあの世界でやり残したことがいっぱいあるから・・・・・・」
「大丈夫。俺がお前を守る。きっと帰れるし、きっと世界も救えるさ。俺が保障する」
俺は千春の頭を撫でながら言った。
「・・・・・・ありがとう」
小さな声でそう聞こえた。
――――――――――3時間後。
やっとのことで船着場に着いた。
ここから【聖剣 エクスカリバー】の目撃された大陸、【セイクリッド】に夜明けに掛けて向かう。
なぜ転移魔法を使わないかと言うと、なぜかセイクリッドだけは魔法での移動を使えないのだ。
情報によれば、セイクリッドには店も無く、いざポーションが無くなった時は買いにいけないのだという。
「よし! 各自荷物を積み込んだら船に乗り込むように!」
アーサーが大声で指示すると、冒険者たちは荷物を持って船の方へ向かった。
「俺も荷物を持って、船の中で休むとするかな」
今の時刻は丁度午後10時。
休むには丁度いい時間だろう。
俺は荷物を持って船へと乗り込んだ。
「おお。船の中は綺麗だな」
「当たり前だ。何せ大型高級船を手配したからな。内装もそれなりじゃなきゃ困る」
いま高級船って言ったか。
「・・・・・・どのくらいするんだこれ?」
俺が指で円を作ると、アーサーは。
「ん? ざっと1億ゼニーくらいかな。まぁ安いほうかな」
「い、一億!?」
一億ゼニーって言ったら、この世界でもっとも価値の高い希少鉱石の100倍の値段じゃないか!!
「まぁギルドの金だから全然大丈夫だ。金庫にはまだ50億ゼニーは残っている」
もう金銭感覚がおかしくなってきた。今日はさっさと寝よう。
俺が自分の部屋に戻ろうとすると。
「ねぇ勇也。ちょっといいかな?」
パジャマ姿の千春が声を掛けてきた。
「ああ。どうした?」
俺が聞き返すと、千春はもじもじしながら言った。
「勇也はさ・・・・・・さっき私を守るって言ったよね?」
「ん? ああ言ったぞ」
「そ、それなら・・・・・・わ、私も!! 勇也を守るから!!」
顔を真っ赤に染めて、千春は走って行った。
「まったく・・・・・・俺の言葉も聞かないで・・・・・・」
走っていく千春の後ろ姿を見ながら。
「おやすみ。千春」
その一言を言い、俺は自分の部屋に入った。