最大Lv1の俺が魔王を倒すことになりました。   作:上井カルタ

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SaveNo.6 ~最大Lv1の俺の前には立ちはだかる大きな壁がありました~

「――――――千春!援護頼む!」

 

「任せて!」

 

 勇也がその場から飛びずさり、同時に千春が前に出る。千春が杖を構えて、スキルを唱える。

 

「くらいなさい!『ネオ・フレイム』!」

 

 千春の持つ杖から、直径約2m程の超高密度の炎の塊が射出された。

 射出された炎の塊は、見事にダークビーストの顔面に直撃した。

『闇の加護』を持つダークビーストも、これには耐え切れなかったのか、地面が震えるほどの唸り声を上げた。

 

「ざまあ見ろ!」

 

「勇也君!油断しちゃダメだ!」

 

 アーサーは何かを感じ取ったのか、そう俺に告げた。

 それを聞き、俺が身構えるよりも先に、さっきまで唸り声を上げていたダークビーストが、俺に向かって飛び掛ってきた。

 

「だあああ!コッチくんな!」

 

 俺は即座に飛び退いたが、ダークビーストの方が早かったのか、飛び退いた俺に合わせて前足を力強くスイングしてきた。

『ドスッ』という低い音と共に俺の身体は森の中に吹き飛ばされた。

 

「ガハッ!」

 

 吹き飛ばされた先にあった木にぶつかると同時に、勇也の口から血が流れた。

 

「勇也!」

 

 千春が勇也の元に駆け寄って行った。

 

「勇也!大丈夫!?」

 

「だいじょうぶ・・・なわけあるか・・・モロに食らったんだぞ」

 

 正直言って深刻だ。まるで体が動かない。たぶんHPの7割ぐらい持ってかれたと思う。

 ふと、自分のHPを見ると、たったの10ダメージしか食らっていなかった。

 

(ア、アレェ?)

 

 俺が思っていた以上にダメージを受けていなかった件。じゃあなんで血が出たんだろうか。

 そう悩んでいる一方では―――――

 

「・・・・・・ッ!」

 

 そんなことはつゆ知らず、千春は勇也が瀕死の大ダメージを負っていると思い込み、体の表面から怒りのオーラを発していた。

 

「よくも・・・・・・よくもよくもよくも!」

 

 あーダメだ。もう止められねぇ。千春の目がマジになってる。どうしよう。千春からダークビースト以上の気迫と殺気を感じる。

 

「もう怒った!完全に消してあげる!」

 

 千春が杖を空にかざすと、千春の足元に赤い魔方陣が浮かび上がった。そして、千春は魔法の詠唱を始めた。

 

『すべての炎の精霊よ。我と共に炎の力を合わせ、我と共に炎の力を今ここに証明せよ!【ギガ・バーストフレイム!】』

 

 詠唱を唱え終わった直後、魔方陣が輝き始め、空に巨大な炎の塊、いや『隕石』と呼ぶべき塊が生成された。

 

「いっけえええええええええええええええ!」

 

 千春が杖を振り下ろすと同時に、塊がダークビースト目掛けて射出された。

 この攻撃を当てれば、確実に倒せる。だが問題なのは・・・・・・。

 

「勇也君!早くこの場を離れるんだ!巻き込まれるぞ!」

 

 ですよねー!

 俺はその場から離れようとしたが・・・・・・

 

「体動かないの忘れてたああああああああ!」

 

 ドッカーン!

 

 こうして、ある一つの森の一部が消滅したのだった。

 

 ――――――――――――――――□■□■□―――――――――――――――

 

「――――――ええと・・・・・・クエストお疲れ様でした。まさか、ダークビーストの住処ごと消滅させるとは・・・・・・」

 

 レンジャーギルドのカウンターのサクヤさんが苦笑いしながら言ってきた。

 仕方が無い。まさか初心者の千春がフレイム系統の上級スキルをダークビーストに発射して、まさかのダークビーストの住処ごと消滅させるとは誰も思ってもいないだろう。

 《無限魔法(インフィニティマジック)》ねぇ・・・・・・本当にチート能力だよチクショウ。

 俺も早く《現実壊し(リアリティブレイク)》を使いこなして、戦力にならなきゃだな。

 

「あの・・・・・・報酬はどのくらいですか?」

 

 千春が恐る恐る聞いてみる。

 まぁ、森の一部が消滅したんだから、損害賠償で報酬が減ると思っているのだろう。

 

「ご安心ください。これはゲームですので、損害賠償などありませんし、森も運営のほうで修正しますのでそんなに気にしないでください。」

 

 その一言を聞いた瞬間、さっきまで暗かった千春の顔が明るくなり――――――

 

「よかったー!」

 

 その場で笑顔を見せた。

 マジ天使だわ。

 

 

 ――――――そんなこんなで、エクスカリバー探索まで残りあと3日となった。

 

 過酷なクエストを乗り越えた末、千春はLvが16まで上がったが、俺は相変わらずのLv1。

 だがしかし!最大Lv1の俺が新たに手にした『スキルコピー』で、通常では入手できないスキルを約40種類も入手した。

 

 

 最大Lv1の俺は自身のステータスなどが上がることは無い。だが、実力だけなら自力で上げることができる。

 

 

 どんなに強い装備をしていても、実力が無ければ意味を成さない。そんな俺が新たに始めたのは、誰もがやったことがある『自主トレ』だ。

 俺はクエストを終えた後、たった一人孤独で草原に出て、入手したスキルで何かできないと思い練習した結果、あっさりとスキルを入手することが出来てしまったのだ。

 

 

 ちなみに入手したスキルの名前は『アクアフレイム』と言うなんとも矛盾した名前だ。入手条件は多分初級炎属性スキル『メル・フレイム』と初級水属性スキル『メル・ウォーター』の継続使用だと思われる。

 

 

 味を占めた俺はいろいろなスキルの相性を調べつくした。その結果、なんとさらに20種類ものスキルを獲得した。これで俺も戦えると思うと、だんだんワクワクしてきた。

 

「もっとがんばらなきゃな」

 

 俺はゆらゆらと風で揺れる草むらの中で拳を握りこみながら呟いた。

 

 

 

 そして――――――エクスカリバー探索まであと2日となった。

 俺と千春とアーサーはいつも通り、クエストをしていた。

 

「よし、今日のクエストはクリアだ」

 

 アーサーは汗を拭きながら言った。

 

「結構キツかったね~。それにしても、勇也のスキルの使い方は凄かったな~」

 

「まぁ俺なりに特訓したからね」

 

「えっへん」と胸を張りながら威張ってみた。

 

「あははは!何ソレ~」

 

「ハハハハハ」

 

 互いに笑い合っていた和やかな雰囲気は、突如現れた『ヤツ』によって壊された。

 

 パンッパンッと高い手を叩く音が勇也の後ろから聞こえてきた。

 

「ブラボーブラボー、おめでとう勇也君一行」

 

 突然声をかけてきたのは、風で揺れる銀髪、血の色と同じ赤い瞳、一歩踏み違えばただの中二病の服装をした、俺より明らかに歳を取った男が立っていた。

 

「何者だ貴様!」

 

 男を見た瞬間、アーサーは腰にあった剣を構え、戦闘態勢をとった。

 俺は、男を見た時、あまり悪いやつには見えなかったが、その気持ちは、一瞬にして裏返った。

 

「私の名前は『グリモワール・アスモデウス』。現魔王、『デビルガニア・ルシフェル』の使いで、あなた達を抹殺しに来ました」

 

 手を叩くのをやめた男は目の色を変えて、俺たちにそう告げた。




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