最大Lv1の俺が魔王を倒すことになりました。 作:上井カルタ
「勇也!」
千春が泣きながら俺に向かって叫ぶ。
俺は最低な男だ。女の子を泣かせてしまうなんて、男の恥だ。
俺は人として、男として、千春の幼馴染として、彼女、風瀬千春を守らなくてはいけないのだ。
俺はその場で息を深く吸い込み、アスモデウスに向かって、こう言い放った。
『いいかクソ野朗!俺の名前は切坂勇也!普通の男子高校生にして最大Lv1の異能者だ!今から俺はテメェをボコボコのメッタメタに叩きのめして、アーサーと千春と3人で、一緒に先へ進むんだ!邪魔すんじゃねぇ!!』
俺は俺の全身全霊をこめた声で告げた。
「ほぉ・・・・・・言いましたね・・・・・・私を、ボコボコのメッタメタにすると」
アスモデウスはにやりと笑うと、杖の先を俺に向けてきた。
『ならば私も、全身全霊をこめてアナタを殺します!』
アスモデウスはそう俺に言い放った。
なんだ?アスモデウスの体から紫色のオーラが出てきたぞ。
たぶん、千春が怒った時に出すオーラと同様のものだろう。
なら、俺もそういう雰囲気を出してみよう。
俺はその場で集中をしてみた。
・・・・・・ん?何やら体全体から何か溢れる感覚があるんだが。
「おや?アナタも【オーラ】を出せるようですねぇ」
アスモデウスは驚いた表情を見せた。
「なんだそれ?」
オーラ?ナニソレオイシイノ?あるからどうゆう意味があるんだ?
そんな俺の心の問いに答えるようにアスモデウスが俺に告げた。
「戦う前に、アナタに少し教えて差し上げましょう。【オーラ】というのは簡単に言うと、その人の強さ、存在感、威圧感などを表すものです」
「ご丁寧にどうもありがとう。【オーラ】ってそういうものだったのか・・・・・・」
「まぁ話はここまでにして、早速始めましょうか。楽しいゲームを!」
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「さっきからゲーム、ゲームってうるせぇな!殺し合い=ゲーム?ふざけんな!殺し合いとゲームは違うんだよ!」
俺は怒りを拳にこめて、アスモデウスをにらみつけた。
さっきよりも風が強く吹き始め、草木が激しく揺れ始めた。
「・・・・・・少し違いますね」
アスモデウスはさっきとは打って変わって、鋭い眼差しを向けてきた。
「この世界はゲームですが、ゲームではないのです」
「どうゆう意味だ」
「この世界は・・・・・・『現実』です」
は?
「現実?何を意味わからないことを言っているんだ?」
「知らないのであれば教える必要はありませんね。いずれ知ることでしょうし・・・・・・」
さっきからコイツは何を言いたいんだ?この世界は現実?ここはゲームの中だろ?そして俺はそんなことを聞いた覚えは無い。
「では行きますよおおおおおおおおお!」
アスモデウスは満面の笑みで俺に向かってきた。
が、俺は――――――
「遅い」
杖で殴りかかってきたアスモデウスを俺は思い切り蹴り飛ばした。
「グフゥゥゥ・・・・・・アナタLv1ではありませんね!?そのパワー!明らかにLv1のものではありません!」
額から血を流したアスモデウスはかすれた声で俺に訴えかける。
「勇也君!今君は何をしたんだ!?」
アーサーが檻の中から問いかける。
「俺の持つ異能の力『
「なっ!100000!?」
まぁそりゃ驚くわな。自分自身でもビックリしたからな。
「《
アスモデウスがいきなり怒鳴り声を上げた。
「その能力は・・・・・・なぜ・・・・・・なぜアナタが『ネロ』の能力を!!」
・・・・・・今、なんて言った?
「なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
アスモデウスが口から血を吐きながら叫んだ。
「アナタは・・・・・・絶対に殺さなければ!」
殺意をむき出しにしたアスモデウスは、スキルの詠唱を始めた。
『我が力の根源である、地・空・海の精霊よ!我、グリモワール・アスモデウスの命に従い、我と共に目の前の敵をなぎ払え!』
「デス・ディストラクション!!」
アスモデウスが詠唱を唱え終わった瞬間、突如上空に黒く、漆黒の雷を帯びた巨大な球体が現れた。
「食らうのです!我が破壊のスキルを!」
アスモデウスが杖を振り下ろした。おいおい、黒い球体が俺に向かって飛んできたんだけど。
だけど、俺はもう、今までの俺じゃないんだよ!
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
黒い球体を俺は全力の力で受け止めた。
「死ねええええええええええええええ!!」
血走った目でアスモデウスが叫ぶ。
この球、意外とズッシリくる。だけど――――――
「跳ね返せないわけじゃないんだよ!うおおおおおおおおおおお!!」
俺は球体をサッカーボールの如く、蹴り飛ばした。
はるか上空に飛んでいった球体は、強烈な光を放って、大爆発を起こした。
その爆発はとてつもなく、もし跳ね返せていなかったら、ここら一帯が消し飛ぶぐらいの爆発だった。
「そんな・・・・・・私の最強のスキルが・・・・・・」
アスモデウスは目を丸くして上空を見上げた。
「アスモデウス、お前に言っておくぞ。お前は俺には勝てない。」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ。雑魚の分際で・・・・・・」
アスモデウスが歯軋りをしながら、俺に言ってきた。
「・・・・・・まぁ今回は引くとしましょうかねぇ・・・・・・ちょうどお迎えも来たようですし」
「迎え?」
俺はふと空を見上げた。
そこに現れたのは、闇の色と同じ漆黒の翼、剣すら刺さらないような黒く硬い鱗、そして岩でさえ噛み砕きそうな鋭くて頑丈そうな牙を持つ巨大なドラゴンだった。
「貴様!なぜエンシャントドラゴンを!」
闇の檻の効果が切れたのか、アーサーが檻から出てきた。
エンンシャントドラゴン?どっかで聞いたことがあるな・・・・・・
「そんなことをアナタに話す必要はありませんねぇ」
アスモデウスはそう言うとエンシャントドラゴン?に飛び乗った。
乗った後、アスモデウスが俺を見ながら。
「切坂勇也・・・・・・次こそアナタを殺します!」
などと調子に乗ったことを言ったので。
「ハッ!やれるものならやってみやがれ!」
と言い返してみた。
てかもうお前二度と来んな。
俺が言い返してすぐに、アスモデウスはドラゴンと共に遥か遠くの夜空に飛び去って行った。
「勇也!」
「うおっ!」
千春は涙目になって俺に抱きついてきた。
柔らかな胸の感触がダイレクトに俺の背中に伝わる。
めっちゃやわらかいな。
俺はゆっくりと千春を引き離した。
「私、勇也が死んだって思って・・・・・・」
千春の頬に涙が流れる。
「大丈夫だって。俺は死なないから」
そう言いながら、俺は千春の頭を優しく撫でた。
撫でられて恥ずかしかったのか、千春は頬を赤く染めて俯いた。
「ところで勇也君。なぜ君の全ステータスが+100000したのか詳しく聞かせて欲しい」
あぁそうか。知らないからな。俺の
俺は長々とアーサーに説明を始めた。
まず、俺の《
つまり今回は+100000というバカみたいな強化だったが、さらにその上をいくかもしれないということだ。
さらに、《
アスモデウスのスキルは俺にとって一撃必殺のダメージだったのだ。その時から俺の『戦闘不能耐性』のがあったため、俺は吹っ飛ばされたが生き残ったのである。
「――――――ということだ。わかったか?」
「ふむ、大体わかったぞ。さすが異能の力だ」
「あぁ。本当にこの力に感謝だな。しかもどうやら俺が知らないうちに、『異能の加護』と呼ばれる加護で元々のステータスが上がっていたらしい」
もうほとんどチートの力だよ『
――――――まぁそんな話はさておき、さっきのアスモデウスとの戦いで気になる点がいくつかある。
一つ目は、アスモデウスが言っていた、『この世界はゲームであってゲームではない』の意味と。
もう一つはこの『
2つ目は察しがついていたが、一つ目に関してはまったく理解できない。
「ゲームであって、ゲームではない。か・・・・・・」
「?何か言ったかい?」
「あ、いやなんでもない」
まぁ深いことは考えず、今は生き残ったことを喜ぼう。
夜が開け、日が昇ると共に、俺とアーサーと千春は街へ向けて歩き出した。
ご閲覧ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。