多分それさえも平穏な日々〜オーバー艦これ後日談〜   作:ウェステール

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南極行再び2

 

「オ前達ガ人間ナドニ与スルトハナ……」

 

中枢棲姫の目は半ば死に、半ばは憎悪に燃えていた。

その怒りの矛先が向いているのは、裏切ったこちらの棲姫達に対してか、この世界に対してか、はたまた自分を捨てた造物主(運営)に対してか……

 

大村さん(戦艦棲姫)が反論の口火を切った。

 

「ココノ海ハ、我等ガ求メタ海デハナイ。我等ノ役目ハモウ、終ワッタノダ」

「戦カウヨリ、皆ンナト遊ブ方ガ楽シイモンネ」

「ネー」

 

レ級と防空棲姫が続く。

 

「私達ヲ見捨テ廃棄シタ造物主ニ、マダ義理立テスルノカ。酔狂モホドホドニシテオケヨ」

 

空母棲姫は、むしろ中枢棲姫こそが裏切り者だとでも言うかの様だ。

 

あれ?

なんか無茶苦茶ケンカ腰じゃね?

みんな中枢棲姫を説得に来たんじゃないの?

 

「ハ?私達ハ、私達ノ邪魔ヲスル不届者ヲ誅シニ来タダケダケレド?」

 

水母棲姫の「何を分かりきった事を聞いてるんだ?」という態度に僕とあきつ丸は青ざめた。

まさか……こんなトコで大口径主砲のドンパチ始める気か、コイツ等!?

 

「転進!であります!」

 

あきつ丸がすかさず内火艇を反転させる。

真っ先に逃げ出すな陸軍!

 

「これは提督殿を安全な場所まで移動させる為の転進であって、逃亡ではないのであります!」

 

全速で後退しつつ、持論を展開するあきつ丸。

えぇい屁理屈を。

僕に中枢棲姫と話す機会を寄越せ!

 

「もう、というか最初からそんな機会無かったであります!」

 

むぅ、ハッキリ言ってくれる。

確かに、広間で見た中枢棲姫の顔は、以前ここで見た南方棲戦姫達のそれとは一線を画していた。

……ような気がする。

南方棲戦姫達と違うタイミングでこの世界に飛ばされた事に、何か関係があるのか無いのか。

 

 

どうやら、それを確かめる機会は永遠にやっては来ないようだ。

 

 

白亜の宮殿を揺るがす大口径主砲の轟音。

ダース単位の撃ち合いには、大量の艦載機も参加しているだろう。

宮殿の外まで退避した僕等の足下が、衝撃に震える。

 

やがて…………

 

 

「ギャアアアァァァァァァァ!」

 

耳をつんざく断末魔の悲鳴と共に、宮殿が崩壊を始めた。

味方の棲姫達は、まだ脱出して来ない。

 

まさか……いや!

 

僕は不安を振り払った。

僕の“嫌な予感”は、よく当たる。

だから予感は感じない、と心に決めた。

彼女達は必ず帰って来る!

 

宮殿は完全に瓦解して、微細な氷の煙に包まれていた。

僕とあきつ丸は、その煙に目を凝らす。

と、煙の中に人影が……五つ!

 

中大破してボロボロだが、全員無事だ!

と確認した瞬間、僕はあきつ丸にチョークスリーパーを決められた。

 

「な……なんで……?」

「これは、余りにも目に毒、なのであります」

 

五人の深海棲艦達は、ゲーム中では見られなかった『中破グラフィック』な状態だった。

特に空母棲姫は、元々中破グラフィックみたいな容姿が更に過激な事に!

 

一瞬の記憶を脳裏に焼き付けつつ、僕は意識を失った。

 

 

 

 

僕が意識を取り戻したのは、『佐世保鎮守府』に戻った後だった。

目を覚まして直ぐに中破していた深海棲艦達を探したが、当然のように全員回復済み。

この時ほど高速修復材(バケツ)をカンストするまで溜め込んだ自分を呪った事はない。

 

大村さんの報告によると、広間の天井近くに空間の歪みのような物があったそうだ。

恐らく深海棲艦達は、そこから送り込まれて来たのだろう。

誰が?何のために?

考えた所で解が与えられる物でもない。

しかも広間での戦闘によって、空間の歪みも爆砕してしまったと言うのだから、これはもう解決した事案と判断しても問題ないだろう。

 

 

その内北極海もガッツリ探索して、鎮守府が送り込まれて来たポイントとか探さないとかもだな。

 

執務室でボーッと深海棲艦達の中破姿を思い出しつつ、そんな事を考える僕であった。




深海棲艦にも中破グラが必要だ!
と切に思う私です(笑)
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