多分それさえも平穏な日々〜オーバー艦これ後日談〜   作:ウェステール

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平時のお仕事2

「文月はパトロールに出てますよ〜。今日は戻りませ〜ん」

 

僕が拡声器で喧伝して、ようやく居座ってた連中が出て行く。

野郎の顔なんか見たくないってか。

中には露骨に舌打ちしたり、唾を吐き捨てる者まで。

……っの野郎……

気持ちは分からんでもないが、そこまでするか?

 

「爆撃デモ掠メテヤルカ?」

 

僕のイラつきを察した白水さん。

完全に目が座っている。

貴女が言うと冗談に聞こえませんよ?

でもまぁ、「爆撃するか?」ではなく「爆撃を掠めてやるか?」なのは、丸くなった証なのかも知れない。

 

 

文月に間違えられた若葉は、先刻のファンに囲まれて話し込んでいる。

普段はクールでストイックな若葉だが、ちやほやされて赤面しきりだ。

そういう「いつもは見せない顔」を見ると、ファン冥利に尽きるんだろうなぁ。

と相好を崩していると、同様にほっこりしているファンの一人と目が合った。

無言で互いにサムズアップ。

うむ、推しメンに違いはあれど、艦娘を愛でる心に違いはないのだ。

 

 

 

 

ファンとの語らいを切り上げると、若葉は本来の業務である船内点検に取り掛かった。

(いなずま)(うしお)などといった気の弱い艦娘などは、いつまでも切り上げる事が出来ずにズルズルと続けてしまうのだが、不知火(しらぬい)や朝潮、若葉などはシッカリしていて助かる。

逆に(あけぼの)(かすみ)満潮(みちしお)といった“罵倒系”艦娘は、「叱られたい勢」が集まるので、厳しい言葉で拒絶しても寄って来るという異様な光景が展開されるのだが。

 

 

 

「“妖精さん”、頼む」

 

船内に入った若葉は、“妖精さん”達を解き放った。

全ての艦娘を揃え、こなすべき任務も無くなり、長らく無聊を(かこ)っていた工廠妖精さん達が、ワラワラと大挙して若葉の艤装から検査対象の船に乗り移る。

その様は、さながら映画『黒い絨毯』のグンタイアリだ。

“妖精さん”が常人には見えない存在で良かった、と思わずにはいられない。

 

……なんで常人である筈の僕が“妖精さん”を見る事が出来るのか……

 

考えるのは止めておこう。

 

 

船内に散った“妖精さん”達は、内部を隈なく探す。

隔壁なんか物ともせず透過する“妖精さん”達に与えられた任務は、「武器の廃棄」だ。

船内に隠された武器を“妖精さん”が見つけるとーーーー

 

 

カーン!カーン!

 

 

あ、見つけたな。

ハンマーの音も高らかに、隠し持っていた武器は資源に分解され、鎮守府に納められる。

 

テロリストだか軍隊だか知らないが、何処かの誰かよ、ありがとう!

君達の無駄な努力は、今日も鎮守府を潤してくれてるぞ!

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