暗殺者がHunter×Hunterに転生 作:ジュースのストロー
あれから皆には良くして貰っている。あの後直ぐにゼノさんが家に帰って来て紹介された。血の匂いがする以外は優しいおじいちゃんって感じの人だ。両親が基本無表情なのもあり、正直ゼノさんの方が一緒にいて落ち着く。また、やっと言葉が話せるようになってキキョウさん、シルバさん、ゼノさんと話しかけたら焦った顔でお母様、お父様、お爺様と呼ぶ様に言われた。呼びたくないかと悲しそうな声色で聞かれたがそんな事はない、家族の一員としてちゃんと認められていたのだと嬉しかった。
イルミお兄ちゃんはよく私とキルアお兄ちゃんを連れて外に出掛けてくれる。いつも私の事を気にかけてくれてて、何か嫌な事があると抱きしめてくれるのが嬉しい。優しくて頼りになるお兄ちゃんだ。ミルキお兄ちゃんは始め敬語+お兄様呼びをしたら、何かをブツブツ唱えた後にひときしり悶えてからタメ口+お兄ちゃん呼びに直された。両親には敢えて敬語らしいが、よく分からない。ゲームが強くてユーモアのある面白いお兄ちゃんだ。キルアお兄ちゃんは何故か私と一緒にいたがる。少しでも側を離れると必死になって探してくれるからなるべく一緒にいる様に私も努力している。
そんな家族にまた1人、新しい仲間が増えるらしい。名前はカルト。私が両親と出会った時には既にお父様とお母様で今度は女の子が欲しいと相談していて名前だけは決まっていたらしい。私にも妹が出来ると思うと純粋に楽しみだ。カルトは確か可愛いくて優しい娘だった気がする。
いざカルトが産まれるとなって私達は執事達と一緒にいた。お父様とお爺様は2人ともお母様の病室にいる。兄弟全員で遊びながらも皆どこかソワソワしているのが感じられる。かくゆう私も朝から酷く落ち着きが無い。初めての妹にテンションがあがり、既に何回かイルミお兄ちゃんに窘められている。
キルアお兄ちゃんが意地悪く取ったジェンガを眺め、その内の1つのブロックに手を伸ばした時にそれは来た。地面が揺れた様に感じ、空気が震える。病室の方から大きな産声が聞こえて来てやっと妹が産まれたのだと分かった。
イルミお兄ちゃんの方を見ると苦笑いをしながらも頷いてくれたので、皆で病室に移動する。私があんまりにも落ち着きがないので、産まれるまでは離されていたのだ。病室に近付くにつれ産声が大きくなり、自然と歩みも速くなる。
「わぁあーー♪」
可愛い。もう可愛いという言葉では足りない位に可愛らしい。生きてて良かった……。赤ちゃんてこんなに柔らかいのか……。この前まで自分がそうだったけど。
「ふふっ、抱っこしてみる?」
「良いの!? お母様」
赤ちゃんは抱っこした事があるが自分の家族だと思うとやっぱり違う。まだ首が据わってないので頭を抑えながら優しく抱っこする。前世含めてもここまで幸せを感じたのは初めてかもしれない。自然と笑みがこぼれる。
キルアお兄ちゃんも何だか嬉しそうだし、赤ちゃんの良さが分かってくれたみたいで私も嬉しい。イルミお兄ちゃんとミルキお兄ちゃんが何故か複雑な顔をしているのが不思議だけど。
◇◇◇◇◇
「……この世は地獄です。」
「何言ってんの。オレ達侍らせといて。」
「そーだよ。」
今は私がぬいぐるみを持ち、キルアお兄ちゃんがわたしを抱っこし、イルミお兄ちゃんがキルアお兄ちゃんを抱っこするという第3者から見たら大変ほっこりする体制である。ミルキお兄ちゃんは遠くからフラッシュをたいてくるのは眩しいから止めて欲しい。
「だって……足りない。」
ぬいぐるみをぎゅつと抱き締める。だってカルトとずっと会えていない。あれから直ぐに無菌室に入ってしまい、全く触らせてもらえないのだ。今日も朝に1目見たきりで、煩いからとお昼までは部屋で待機しなければならない。それまで会えないとか酷すぎないだろうか。今なら大好物の水羊羹もほんのり塩の味がするに違いない。……それも美味しそうだな。
キルアお兄ちゃんが頭を撫でてくれるのがありがたい。ごめんね、お兄ちゃんも大好きだよ。
そういえば、カルトが産まれてから何故かキルアお兄ちゃんに加えてイルミお兄ちゃんも一緒にいる様になった。私は一緒にいられて嬉しいけど、一体どうしたんだろうか?
「皆様、お食事の用意が整いました。」
「お昼ご飯!」
やった!ご飯の時間だ!!
別に食い意地を張っている訳ではないのだがご飯を食べたい後にはやっとカルトに会う事が出来る!! ここまで長かった……。
「まずはご飯でしょ。」
どうやら、イルミお兄ちゃんには全てお見通しみたいだ。恥ずかしい。だってやっと会えるんだよ……仕方ない。
だから頭ぐしゃぐしゃするの止めて! 髪質サラサラだから癖は付かないけど頭が揺れて気持ち悪い。
「ほら行こう。」
キルアお兄ちゃんが助け舟を出してくれて助かった。手を引かれて広間に向かう。
◇◇◇◇◇
お爺様は知り合いの所に出掛けていていないが広間には既に両親がいて、私達も席に座った。
今日の昼食はパン、サラダ、チキン、ジャガイモのポタージュ、デザートにフルーツゼリーだ。早くカルトに会いたいのでばくばくと食べ進める。
「アリア、好き嫌いは良くないよ。」
チキンの上にのっていたマッシュルームを皿の端に寄せていたのを咎められてしまった。
「だってイルミお兄ちゃん。このマッシュルーム毒入ってる。」
「ちゃんと食べないと耐性が付かないでしょ。経口摂取以外にも毒は入れられるんだから食べなきゃ駄目。」
「げっ!! このマッシュルーム毒入ってんの?!」
「キルはそれ位気付こうよ。」
両親が微笑ましいものを見た様にくすくす笑う。……カルトが産まれてからよく2人は笑うようになったな。以前は……あまり思い出せないけど、もっと難しい顔をしていた気がする。ミルキお兄ちゃんは無心で料理を平らげていて、どこにそんな量が入るのか不思議だ。
私はポタージュでマッシュルームを流し込む。前世ではとても毒に耐性を付けるなんて無理な体をしていたので避けていたのだが、空気にプロテインが含まれているこの世界では耐性を付けなければ生きて行けないらしい。毒の嗅ぎ分けが出来るのもあり、無味無臭の筈でも食べるのはあまり好きではない。
「イルミお兄ちゃん、早く早く!」
「もう食べ終わったの? ちょっと待ってよ。」
「ちょっ、アリア早いって!」
うん?イルミお兄ちゃん?? 何で私はキルアお兄ちゃんじゃなくてイルミお兄ちゃんを呼んだのだろうか?
「アリア、お待たせ。」
また頭をぐしゃぐしゃ撫でられてしまった。だから揺れて気持ち悪いんだって!
……まぁいい、さっさとカルトの元に行こう。
「えっ、俺まだ食べてるんだけど。」
後ろで何か言ってる気がするけど気のせいだろう。
◇◇◇◇◇
「カルト♪ カルト♪」
ガラス越しに見えるカルトに小さく声を掛ける。今は寝てるみたいで可愛いけど反応が無いのは少しつまらないかもしれない。
「はぁ……良かったね。」
「うん♪ カルト可愛い。」
「アリアって、いつもそればっかりだよなー。」
イルミお兄ちゃんと、ダッシュで追い掛けて来たキルアお兄ちゃんに溜息をつかれた。キルアお兄ちゃんは最近私がカルトカルト言うせいで拗ねているのもあるだろう。
「アリア、そろそろ……。」
「……うん、分かった。」
今日はこの後イルミお兄ちゃんに戦闘指導をつけてもらう事になっている。キルアお兄ちゃんはお父様に教わるのだ。
「じゃあね、キルアお兄ちゃん。」
「うん、またな。」
こうやってキルアお兄ちゃんと離れる事も増えた。前は2人一緒に指導を受けていたのだが、今は別々だ。その代わりイルミお兄ちゃんと一緒にいる時間が増えた様な気がする。何でだろう?
「アリア、集中しないと怪我しちゃうよ。」
攻撃の速度が速くなる。今はお兄ちゃんと執事達が投与してくる武器や念弾を避ける訓練をきている。基本は全て避けるのだが、不安定な体制の所に敢えて投与してくるのでその時は硬や流で防ぐのだ。
「……やるね。」
「ふふっ、まだまだ余裕だよっと♪」
更に多くの武器が投与される。避けられないナイフを流で防ごうとしたが、何か嫌な予感がして目に凝をして正解だった。ナイフの後ろに圧縮された念弾がある。これをナイフを防ぐ程度の流で防いでいたら、腹に穴が空いていたところだ。慌てて硬に切り替えて防ぐ。
「今のは意地悪じゃない?」
「何言ってんの。集中しないアリアが悪いよ。」
「そうだけど……。」
言いながらも攻撃は止まらない。今日はこれを夜ご飯の時間までぶっ通しで行うのだ。ずっと避け続ける私も疲れるけど、攻撃をし続けているイルミお兄ちゃんも凄いと思う。執事達は交代しながらじゃないとやってられないのに。お兄ちゃんもこれが訓練の一環らしく最後の方はバテているが、私よりは大部余裕があり練度の差が感じられる。
「訓練が終わったらカルト、訓練が終わったらカルト……」
「またそれ……。」
私は楽しみを考える事で集中力を発揮するタイプなの! ……だから溜息をつかなくてもいいと思う。
【原作との相違点】
バタフライエフェクトによりカルトの誕生が2年遅れた。
(バタフライエフェクト︰蝶の羽ばたき程度の事でも未来が変化する所から、この場合アリアと魔王アルカの影響で原作との違いが生じるという意。それが果たして羽ばたく程度の影響だったのかは突っ込まないで欲しい。)
イルミの一人称が僕→オレに。ここからヤンデレ兄が加速して行く。
ミルキと両親が空気。(それぞれ暖かく見守ってくれている)