暗殺者がHunter×Hunterに転生   作:ジュースのストロー

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4. 執着

 

 

「もう離して! イルミお兄ちゃんの馬鹿!!」

 

「馬鹿って……。そんな子に育てた覚えはないよ。」

 

現在イルミお兄ちゃんと喧嘩の真っ最中。何故こんな事になっているかというと……

 

「カルトに会わせてよぉおおお!!」

 

この一言に尽きる。

 

「だから駄目だって言ってるでしょ。カルトは今、母さんがミルクあげてるだから邪魔しちゃいけないよ。前にミルク瓶を割ったの忘れちゃったの?」

 

「それは1時間前にも聞いた! 赤ちゃんてそんな頻繁にミルク飲まないでしょ!!」

 

「そんな事ないよ。うちの家族は皆赤ん坊の時にいっぱい食べるんだから。」

 

「えっ、そうなの?……」

 

「そうそう。だから一緒に暗殺道具の手入れしようねー。」

 

そうなのか? 空気中のプロテインだけではやっぱり足りないのか?? HUNTER×HUNTEの世界の常識と私がいた世界とでは違うので判断に迷う。

 

だけど、イルミお兄ちゃんが私とカルトを合わせない様にしているのは事実だと思う。やっと無菌室から出てきて思う存分愛でられると思いきや、私からひょいと取り上げられて離されてしまった。曰く3歳児だと危ないから、まだ首が据わってないからと散々理由をつけて離されるが私は分かっているのだ。それに両親が苦笑いしているのを。1度両親に訴えた時にお兄ちゃんの事を咎めてくれたが、何故かあまり強く出られない様で改善はされなかった。

 

「カルトォ……。」

 

自分でも妹にここまで執着心がわくとは思わなかったけど、可愛いものは仕方ないじゃないか。

それにしても何でイルミお兄ちゃんは私とカルトを離したがるんだろう? キルアお兄ちゃんやミルキお兄ちゃんと一緒にいる分には何も言わないのに……。いや、ミルキお兄ちゃんの時はミルキお兄ちゃんだけ汚物を見る様な目でいるかもしれない。

 

「もう、何でそんなに会いたくなるかなぁ?」

 

「仕方ないよ。カルトがカルトなのがいけないんだから。」

 

「意味分からんない。何であんなのが……」

 

「あんなのって何?! お兄ちゃんは何ですぐカルトの事を悪く言うの?」

 

「だって……ねぇ。」

 

「またそうやって誤魔化す!」

 

(「言えるわけないじゃないか……。」)

 

「えっ、何て言ったの? 聞こえなかった。」

 

「何も。」

 

「……あっそう。もうお兄ちゃん何て知らない!」

 

「ちょっと、アリア何処行くの?!」

 

「言う必要ないでしょ!」

 

そう言い捨ててダッシュで逃げ出す。私はキルアお兄ちゃんと同じで小柄なせいもあってかスピードがある。お兄ちゃんでも追い付けないだろう。

ただ、初めてこんなに大きな喧嘩をしたからだからだろうか? 足がいつもより重い。イルミお兄ちゃんから離れるのもそういえば久しぶりだ。お兄ちゃんから逃げ出して来たばかりだけど、さっきまでの怒りが何だったのかという程に戻って抱きつきたい衝動が強くなって来た。

しまいには、足が完全に止まってしまった。

 

「イルミ、お兄ちゃん……。」

 

寂しい。とにかく寂しい。頭が白くなっていって息が出来ない位に。

 

「アリア」

 

後ろから包まれた暖かさとその声を聞いて、やっと寂しさが消えた。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん……」

 

「ここにいるよ。」

 

またお兄ちゃんに頭を撫でられる。今回は優しく撫でられているせいか、気持ちよかった。いつもこうしてくれれば良いのに……。

 

「アリア……。」

 

髪を掬われる。目の近くをすぎたので少し驚いてしまったが、何か布が肌に触ったのが分かった。

 

「お兄ちゃん?」

 

「誕生日プレゼントだよ。アリアに似合うと思ってね。」

 

これはもしかして眼帯だろうか? 自分では見えないのでどんなデザインなのかさっぱり分からない。

 

「ありがとう……。」

 

そっと触れてみるとお兄ちゃんのオーラが感じられた。プレゼント何て貰ったのは初めてだから嬉しい。欲しい物は言えば大体買ってくれるから、人から物を贈られるというのは無かったのだ。

確実に何らかの念能力が掛かっている眼帯だけど、嬉しいものは嬉しいのだ。

 

「本当は後で渡すつもりだったんだけどね……。まさかこんな事になるとは思わなかったから。」

 

「うっ、あんな事いってごめんなさいイルミお兄ちゃん。」

 

「じゃあ約束してよ。もうオレから離れないでね。」

 

「うん? 何で??」

 

「こっちの台詞。何で? 反省したんでしょ。」

 

「それは……うん。」

 

「なら良いでしょ。早く約束してくれないとリアの足を折っちゃうよ。」

 

これは……ヤンデレ兄降臨か? カルトが産まれてからはキルアお兄ちゃんだけでなく私にもそう言った言葉を暗にかけて来てたけど、ここまで直球に言われたのは初めてだ。

 

「ええっ、それは困る……というか、急に何故そこに話が飛んだの? 」

 

「……そんなに折られたい?」

 

「いやいや、そんな訳ないでしょ!? そもそも自分からイルミお兄ちゃんと離れようなんて思わないって! さっきも少し離れただけで凄っごく寂しかったし!!」

 

あれ? 何で私はイルミお兄ちゃんから離れたくないんだ?? 何であそこまで寂しいと感じ……

 

「それなら良いよ。」

 

よく分からないけど、やっぱり頭ぐしゃぐしゃに撫でるのは止めてよ!もう!!

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

キルア・ゾルディックside

 

 

最近、アリアとの時間が減って寂しい。前は半ば義務感の様に一緒にいたのに、訓練が別になったのもあって離れる時間が増えた。その分アリアは何故かイル兄と一緒になる事が増えたからアリアを1人にはしてないんだけど……。

それと俺とアリアにカルトを近付かせないのも何故なんだろうか。きっと何かしらの理由があるのだろうけど、さっぱり分からない。アリアが1人でいる時なんて無いから相談も出来ないし、じいちゃんに聞いても答えてくれなかったから恐らく誰に聞いても無理なんだろうな。

 

まぁ、アリア程はカルトに会いたいと思わないから別に良いんだけど。あんなのただのぶよぶよしただけのやつだと思うんだけど、それを言ったら怒られるのが目に見えているから言わない。アリアは怒らせると怖いの典型例だと思う。普段は優しくて可愛いのに……。

 

「もう離して! イルミお兄ちゃんの馬鹿!!」

 

そんなアリアの珍しい声が聞こえてきて、思わず体がそちらに向かった。

俺が現場に着く頃にはアリアがイル兄に言いくるめられたらしく話は解決していた。だがアリア、赤ん坊が1時間に1回ミルクを飲まないのは当たり前だぞ。そこで自信を失くすんじゃない。

たまに発揮するアリアの馬鹿な一面は、普段頭が良い反面どうしてそうなるのか理解に苦しむ。パスタを食べる際にスプーンとフォークを使い出した時は慌てたものだ。何故にスプーン? フォークで食べられるなら必要ないだろう? しかも二刀流?? 何故に?

本人はしきりに首を傾けていたが、正しい食べ方を見せたら「日本の常識って……。」と訳の分からない単語を呟いていた。パスタといえば、ナポリタンという料理を知らないと言ったら馬鹿にされ、家族に聞いたら皆知らない何て事もあった。一体何と間違えて覚えていたのだろうか? グラタンの事だったら電気流してやろう。

 

とにかく、仲直り?した様なら良かった。俺はじいちゃんにジャポンの寿司って料理を食べさせてももらう約束だから行かないといけない。

そしてその場から離れている時、後方から何故かアリアが駆けて来た。どこか悲しそうな顔をしている。また何かあったのか?

いつもならすぐ俺に気付く筈なのによっぽどの事があったのか気付かずに走り抜けられてしまった。本当に大丈夫か?

アリアを追い掛けようとしたら今度はゆっくりとイル兄がやって来た。

 

「キル……。」

 

「何、泣かせてんだよイル兄。」

 

「泣かせてはないよ。」

 

「そうだな。あいつは絶対に泣かない。でも泣きそうな顔してたぞ。」

 

「……分かったよ。」

 

イル兄は眉を寄せると走ってアリアを追い掛けて行った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

その日の夜、アリアにイル兄にプレゼントされたという眼帯を見せられた。嬉しそうな様子なので、あの後しっかりフォロー出来たのだと思い安心する。

それにしても真っ黒な眼帯でどことなくイル兄の雰囲気が伝わって来るのは気の所為だろうか? アリアは肩下の長い銀髪なので黒と対照的で似合ってはいるが……。装飾であろう飾り紐の先に吊るされた青い宝石が一瞬怪しく光った。

 

 

 

【原作との相違点】

魔王アルカのせいでイルミが原作より更に苦労性に。カルトは悪くないのにまた宝物達が傷つかないか心配な兄。

アリアの束縛が激しくなったせいかキルアが多少放任されている。但し、しっかりと教育はしております。

 

【小ネタ解説】

海外でのパスタの正しい食べ方は、フォークオンリー。スプーンはフォークを正しく使えない子供がパスタを切って食べるのに使うらしい。

ナポリタンは実は日本発症。イタリアンかと思いきや、イタリアは全く関係ない。

 

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