〜艦これ〜指輪付きの死神   作:高山 蓮

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16/6/26・校閲及び一部内容を修正


#1 Lost Ship編
#1 Lost Ship 「遭難船」


これよりブリーディングを開始する。

今日は新人もいるが挨拶は手短に済ませる。

私は第106対深海棲艦隊司令の滝川だ。

知っての通り第106対深海棲艦隊は警備区を持たない攻勢部隊だ。

我々を「海賊」と呼ぶ連中もいる。

これでも自衛艦隊隷下対深海棲艦艦隊直属の正規の艦隊だ。

せめて「呉遊撃水雷戦隊」と呼んで欲しいもんだ。

先程、海上幕僚監部から第106艦隊に出動要請が来た。

今回は東京湾沖での哨戒任務であったが状況が変わった。

一機の所属不明飛行物体がエリアJ5S横須賀基地に向けて飛行している。

今、我々がいる場所だ。

飛行物体は深海棲艦の偵察機の可能性が高い。

念の為撃墜し、敵艦隊本体を殲滅せよ。

ルーキー、陽炎型駆逐艦8番艦の雪風は我が隊に来て初出撃となる。

サポートとして旗艦の球磨型軽巡洋艦5番艦、木曾がサポートに着く。

彼女に従って行動しろ。

戦果を期待する以上だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 青い海面に二つの白い航跡が伸びる

 

「今日もまた出撃だな」

 

 黒いマントを羽織った軽巡洋艦娘木曾は航行しながら手を頭にかざして空を見上げる。僚艦の駆逐艦娘雪風は一瞥しただけでまたすぐに俯く。

 

「もう直ぐ深海棲艦が現れてから5年近くになるのによ」

 

 一度、木曾は雪風を見てから視線を前に戻して呟く。

 

《こちら、日本国海上自衛隊第11対深海棲艦隊です!所属を》

 

 その横須賀の艦隊の旗艦であろう彼女の声は有事であるが落ち着いており、彼女が超えてきた場の数がうかがい知れた。

 

「こちら、対深海棲艦艦隊直属の第106対深海棲艦隊、旗艦の木曾だ。作戦支援に来たぞ」

 

 木曾の視線の先には幾つかの小さな点粒がこちらへ向かってきていた。

 

《司令官から聞いています。遊撃水雷戦隊でしたけ?よろしくお願いします》

 

 軽巡洋艦娘のその少女は初めて知るその部隊の存在に戸惑いながらも通信機越しに挨拶する。

 

「こちらこそ、よろしくな」

 

 木曾も返答する。

 

《滝川から第106隊深海棲艦隊各艦へこれより作戦行動を開始する、合戦用意》

 

 普通の艦隊ならば地方総監か自衛艦隊司令官の事態対処責任者(フォースユーザー)が艦隊の指揮を執るが106は違う。他の艦隊・・・第11対深海棲艦隊などは対深海棲艦艦隊隷下の部隊だが第106対深海棲艦隊は対深海棲艦艦隊直属の部隊であり、特殊部隊である。非常時でない限り指揮系統は通常艦隊とは別である。それに加え第106対深海棲艦隊司令は練度管理責任者(フォースプロバイダー)事態対処責任者(フォースユーザー)が統一されているのである。はっきり言えば異例すぎる部隊である。

 

「合戦用意!」

「合戦用意」

 

 滝川が指示を出すと、凛々しい声と少し暗く沈んだ声音の声が返ってくる。

 

《敵艦を発見次第、速やかに迎撃せよ》

「旗艦木曾、了解。12時の方向に深海棲艦偵察機と推定。対空戦闘用意!」

「対空戦闘用意」

 

 先程と同じように明るい声音と暗い声音が海上に響く。

 

《撃ち方始め》

 

 彼の言葉で戦いの火蓋は落とされる。

 一気に二つの影は加速する。木曾は体一杯に風を受けているのを感じながら、雪風の方を向き、発破をかける。

 

「オイ、新人。敵は武装してない偵察機だ、落ち着いて行くぞ」

 

 雪風は何も言わずに僅かにうなづく。しかし、その眼には光は宿っておらず、ただ呆然と進んでいる様であった。

木曾は一度口を開けるが言葉を発する直前で口を閉じる。

 

ーーー提督に言われた事は守らねぇとな

 

「新人。お前がアレを撃墜しろ、バックアップは俺が取る行くぞ!」

 

 雪風はそれを聞くや否や更に加速し敵との我彼距離を縮めていく……木曾を置いていく様に。

 

「なっ!」

 

 予想外の行動に木曾は咄嗟に叫ぶ事しか出来ず、当の雪風は一直線に進んだ後、一気に止まり、手の高角砲で異形の偵察機に向け発砲。呆気なく高角砲の餌食となり、火に包まれ海へと吸い寄せられ深海へと帰っていた。

 

《敵、偵察機の破壊を確認》

 

 滝川もレーダーからロストした事確認する。しかし一息つく間もなくレーダーに新たな反応を捉える。

 

《各艦へ新たな敵機の接近を確認。レーダーサイトからの情報で敵機の位置を確認しろ》

 

 ちなみに今この2隻には水上レーダーは載せてない為、目視外の情報は陸上からの支援に頼るしかない。

 

《注意しろ、敵機の中に攻撃機が混じっている。レーダー情報にTGTの表示を追記する、優先して撃墜しろ》

 

 ちょうど横須賀の第11対深海棲艦隊の面々が呉遊撃水雷戦隊と合流し、出現ポイントへと向かう。

 

「大変です!相手は全員黄色です!」

 

 第11対深海棲艦隊を率いる軽巡艦娘の彼女は見えてきた飛行物体を指し驚愕する。小さく見える異形の飛行物体の目からは黄色の光が溢れていた。

 

「さっきまでのやつと比べて運動性能が高い!」

 

 木曾は警告する様に叫ぶ。

 

「散開して、撃墜するぞ!」

「私達も散開して、迎え撃ちます!」

 

 それぞれの旗艦の言葉で一直線で進んでいた艦隊の中の二つ影は別々に動き、もう一方は輪形陣となる

 

《木曾、雪風各自打ち方始め。発砲は各自の判断に任せる》

 

 木曾は直ぐに砲を上空の航空機へと標準を合わせる。

 

「弱すぎる!」

 

 今度は木曾も機銃やら主砲やらで航空機を一気づつ確実に撃墜してゆく。側をみれば雪風も次々と撃ち落としていた。

 

ーーーあれは、相当な練度だな

 

 木曾は再び雪風の戦果を目の当たりにして確信する。ただの幸運艦ではないと。雪風が幸運艦と呼ばれる所以は勿論史実での活躍ぶり、そして艦娘としての活躍の為、幸運艦と自衛隊内でもそう囁かれているが、それはある意味練度に裏打ちされたものでもあるのだろう。

 

《敵機残り半数》

 

 第11艦隊(第11対深海棲艦隊)も奮戦した結果みるみるうちに敵は火に包まれ、自衛隊側に被害なく全機撃墜する。

 

《敵機を撃墜、よくやった》

 

 滝川が戦果確認する瞬間にまたもやレーダー上に反応が出る。

 

「新たな反応!嘘だろ!」

 

 その反応は横須賀基地(防衛目標)のすぐ近くを示していた。

 

《敵機の接近を確認、CIWS攻撃始め!》

 

 横須賀に投錨する護衛艦隊から無線が聞こえてくる。どうやら護衛艦のCIWSで迎撃するようだ。しかし、深海棲艦への通常兵器の攻撃は通りにくい。唯一の救いは深海棲艦の兵器には攻撃が()()通りやすいという点だろう。最近の研究で艦載機も砲弾や魚雷と同じ様に攻撃がある程度通る事がわかってきたのである。それでも普通の航空機と同じ様に攻撃が通るわけではない。

 

《敵航空機によるによる基地及び市街地への攻撃を確認。横須賀の沿岸エリアだ》

 

 遠く、横須賀基地の方面から爆弾が爆ぜる音や発砲音が聞こえてる。それを聞いた木曾は舌打ちをして司令に問う。

 

「全部さっきの攻撃機タイプか!?」

《どうやらそうらしい》

 

 答える彼の声にも苦渋が満ちていた。今、攻撃されている事が悔しいのであろう。と長く彼に使えていた木曾は彼の心情を理解する。

 

《各艦へ防空は横須賀の別艦隊に預ける。被害が拡大する前に本体を排除する》

 

 横須賀地方隊から指示があったのであろう。滝川がすぐに座標を指定し、二つの艦隊は指示に従い航行を始める。

 

「被害状況は?」

 

 航行しながらも木曾は気になる様で問う。

 

「横須賀付近には避難命令が出でいます。ですけど、攻撃が広がれば避難エリアまで危険が及びます!」

 

 滝川の代わりに第11艦隊旗艦の彼女が答える。滝川はそのまま黙ったままであった。それは被害が出始めている事を暗喩していた。

 

「急ぐぞ新人!」

 

 それを察した木曾は更に加速する。

 

《右弦被弾!》

《ダメコン急げ!》

 

 通信機からは横須賀の悲痛な叫びがこだまする。木曾は被害が食い止められることを祈りつつ全力航行し、遂に捉える。

 

「レーダー補足!新人、行くぞ!水上戦闘用意!」

「単縦陣をとって!水上戦闘用意!」

 

 横須賀の第11艦隊は号令ですぐに輪形陣から単縦陣へと隊列を変え木曾と雪風もそれと並行する様に航行し結果的に複縦陣となる。

 

「索敵機発艦します!」

 

 号令と共に第11艦隊の索敵機が使える面々が次々と発艦させる。木曽も同じように索敵機を発艦させる。

 

「敵艦発見!」

 

 どうやら第11艦隊の1人の索敵機で敵影をとらえたらしく、情報を木曾たちにも共有できる様に教えてくれる。

 

「敵、機動部隊空母2戦2駆逐2視認距離まで残り60秒です!」

 

そう言っている間にドンドンと距離は縮まる。

 

《残された時間は少ない。一気に畳み掛けろ。我々は空母を叩く。第11艦隊が護衛戦力を撃破してくれる。》

 

 残り20秒。

 

《発砲は各自に任せる。撃ち方始め!》

 

 水平線の向こうから黒色の艦隊見えると同時に木曾と雪風は突撃。第11対深海棲艦隊は射程順に発砲し、次々と砲弾が空を飛ぶ。

 

「俺に勝負を挑む馬鹿は何奴だ?!」

 

 木曾は砲を構え初弾夾叉を叩き出す。

 

「次は当てる!ん?新人は?」

 

 木曾が探して見れば雪風は砲撃しながらドンドンと敵艦の距離を詰めていく。そう、ドンドンと肉薄して行っているのだ。

 

「あの、馬鹿ッ!熱くなっても駆逐艦1隻だけで肉薄するなッ!」

 

 一度発砲して確実に当ててから、木曾は雪風を追う。

 

———いくら練度が高くとも幸運艦だろが昼戦で駆逐艦が肉薄するのは自殺行為だ!

 

 木曾は雪風を追いながらも敵艦を牽制するため撃ち続ける。

 

「新人!戻って来い!沈むぞ!」

 

 既に空母の副砲のゼロ距離は切っている事に気付き木曾は必死に警告する。

 

《雪風!接近しすぎだ!今すぐ離脱せよ!》

 

 ■滝川も異常を察し通信で呼びかける。しかし、雪風は止まらずに至近距離での砲雷撃へと入る。

 

《ゆ…ぜ……め、せん》

 

 雪風の微かな呟きとも取れる声が通信機から流れる。

その声ともに爆音が敵側から聞こえる。

 

《……魚雷命中、敵艦の轟沈を確認》

 

 至近距離での魚雷一斉射は避けようもなく敵は沈んでゆく。その沈みゆく間に既に雪風は二隻目へと駆け出していた。

 

《あっ!そっちに砲弾が!》

 

 第11対深海棲艦隊と交戦中の戦艦が隙をつき雪風の進路上に砲を向けて発砲した後であった。

 

「新人!回避!」

 

 雪風が突撃を続ければ確実に被弾コースだったが、そんな事にも目もくれず一直線に突撃する。

 

ーーー間に合わねぇ!

 

 直感的に理解した木曾は雪風の被弾後の支援に入る為のルートを取りつつ、警告する。

 

「回避しろ!」

 

 いつ聞いても背筋が凍る風切り音が聞こえた瞬間、小さな雪風の体は水柱に包まれた。

 

「新人!!」

《雪風!》

 

 誰もが被弾したと思ったとその時だ、一つの小さな影が水柱の中から飛び出し、すぐ様魚雷と砲弾を撃ち出す。

 

「なっ!新人?!」

 

 木曾はその目を疑うしかなかった、何故ならば、雪風は一切被弾してなかったのだ、あの戦艦の斉射の中で被弾がなかったのはもはや()()のレベルである。

敵側も呆気に取られ、そこを突き敵空母も一隻目と同じ様に海に沈んだ。

 空母が沈められたことで動揺した護衛艦も第11対深海棲艦隊が上手く突き撃破した。

 

《敵艦轟沈を確認。当海域からの敵勢力排除を確認した》

 

レーダーでも安全を確認した滝川は合戦用具収めと指示する。

 

《こちら第11対深海棲艦隊。貴隊の支援に感謝します》

 

 第11対深海棲艦隊は既に進路を横須賀に取りつつあり、木曾たちもそれに倣い艦隊へ追従する。

 

「お役に立てて何よりだ」

《現在被害状況を確認中》

「おっと、その前に提督、お前は無事か?」

 

 実際、横須賀基地も攻撃を受けており、それでまずっと指揮をしていたのだが木曾は心配になったのである。

 

《お陰様でな、私は無傷だ。被害状況だが、避難エリアまでは達していないだろう。まずはよくやった、雪風》

 

 部隊に来てから初出撃の雪風を滝川は労わるが、当の本人雪風は褒められても特に反応しなかった。滝川は一度息をついてから再び通信を取る。

 

《全艦帰還する》




またもや、新作、、、何故か拙作、出雲鎮守府が全く筆が進まなくなったのでパロ小説書かせてもらいました。
相変わらず駄文ですがここまで読んでくださってありがとうございます
続くかどうが作者の気分次第です、期待しないでください
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