時間は1時間半前に遡る。
不知火は渡させられた封筒を持って横須賀の廊下を歩き、第106対深海棲艦隊に振り分けられた部屋へと向かう。
「不知火です。木曾さん司令からです」
部屋の中には木曾と島風が居た。木曾は「あぁ、悪いな」と言いながら不知火から封筒を受け取り、封を切って中を確認する。
「島風。司令が夕食後改めて雪風の紹介するそうです」
「はーい」
島風はベッドに腰掛け足をぶらぶらさせて気だるそうに返答する。その封筒の中を見た瞬間木曾は眉を顰める。
「不知火、ドアに鍵かけてくれ。ちょっと集まってくれ」
そう指示された不知火は少しも怪訝な顔をせず言われた通りにする。
「提督からの伝令だ……新人のパーソナルデータをみんな見てくれだとさ」
『登録番号No.005 陽炎型駆逐艦6番艦雪風・艦娘調査書 海上幕僚監部』
そう題名が打たれた紙束を3人で覗き込む。
『オペレーション・天岩戸』参加……
そこには様々な雪風の戦果が淡々と記されていた。
「おい、これを見ろ……少し前の『PKF
木曾は最初期の天岩戸から指を滑らせPKF派遣終了の最後の経歴までをなぞる。初期の天岩戸は艦娘が実戦配備されてからの最初の反攻作戦である。この時は大した被害も出ず、初の勝利として世界中の注目が集まった作戦であった。今も続いている東南アジア安定化ミッションは東南アジアを深海棲艦から奪還する為に行われているが、深海棲艦の抵抗が激しくその為艦娘の轟沈を少なからずある。要は最も過酷な最前線に雪風は居たと言う事だ。
「鬱や
「だから、あんなに暗かったのですね」
不知火は少し眼光を緩め、物憂そうな顔になる。やはり姉妹艦であるから気になるのであろう。
全員で報告書を捲り、その情報を頭に入れ、一通り読み終わった時には一様に暗い顔になっていた。
「思ったより深刻そう……」
「あぁ、同感だ」
「私達に直接出来ることはあるのでしょうか」
不知火は2人に問いかけるが2人ともその最適解は持ち合わせて居なかった。
「下手にやればトラウマを繰り返すからな……そもそも戦い自体が辛いもののはず……何故あいつが戦闘を続けるのかはわからんがな」
そう言ってから木曾は顔を上げる。
「もう時間だ、行くぞ」
木曾は紙束を封筒に戻し、鞄に入れる。それに呼応するよう、駆逐艦の2人も立ち上がった。
取り敢えず彼女ら3人は食堂へと向う。背に腹は変えられない物である。
……その後はご存知の通り前回の雪風のセリフへと繋がる訳である。
お久しぶりです。
時系列考えてなかったので話が行ったり来たりしてすいません。
2話先ぐらいから話をグッと進めて行きたいと思います。