PSO2に囚われし青年※停止中   作:憑兎

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4.助力を求めて

 

 

『PSO2の、世界?』

 

 

 

ナツキのその言葉で、

漸く二人の時が動いた様に震えだす。

 

ナツキとユウジ、互いの体をペタペタと触っては、

え?感覚ある?抓ったけど痛みは?

 

 

『いったいわ!』

 

「確かに痛い。ごめんもう勘弁して。」

 

 

ユウジがナツキの頬を思い切り抓ると、

予想以上の痛みだったのだろう、ナツキが悲鳴に近い叫びを上げ、

ユウジの頬をお返しだと言う様に思い切り抓り上げた。

 

お互いが痛みを感じ、

これが現実だという事を理解する。

 

いやどうしたものか。

現実だと理解したのは良いが、何故こんな事になったのかまでは理解出来ない。

いやむしろ理解出来た方が恐ろしい。

 

 

「(それにしても・・・。)」

 

 

親愛なる友人の頭に猫耳が付いてるだなんて、誰が思うだろうか。

 

ユウジは現状に混乱したままのナツキを嫌に冷静に観察する。

その視線はナツキの頭部に注がれており、いや、なんだ。

とても胸をくすぐる感情が芽生えると言うか、ユウジは口元を片手で覆って視線を外す。

 

 

「(この現状で申し訳ないが、萌えた。)」

 

 

俯き気味に肩を震わせて悶える姿は何と不気味に映るか。

ナツキは友人のそんな姿に若干心配交じりに引く。

どうしたついに頭が可笑しくなったかと。

 

 

『お、おい・・・。』

 

「っはー!いやすまん。さてどうするか。」

 

 

息を思い切り吐き出したユウジに驚きながら、

理解出来ないその行動に眉を顰める。

 

 

『どうするったって・・・。』

 

「分かってる。とりあえず、あー・・・ここが本当にPSO2の世界なら“出口”がある筈だ。」

 

 

出口。

それはキャンプシップへと繋がるあのポータルの事だろうか。

しかしそれならば、それを探すのは至難の業だ。

あれは元々アークスが任務を終了したと見なされた時のみに出現する物だ。

アークスでも無ければ突然この世界にやって来た自分達がそれを出せる訳など・・・。

 

いや待てよ?

 

ナツキがユウジを見る。

ユウジもナツキを見て理解したかとニッと口元だけを歪めた。

 

そうだ。

確かに“自分達”はアークスではない。

しかし、この“キャラクター”はアークスである筈だ。

つまりは、どうにか向こうと連絡を取る手段を見つければ良いのだ。

 

ゲームの中では、通信機なる物がある様に見えた。

それを見つければ。

二人は顔を見合わせて、コクリとひとつ頷く。

 

ゲーム画面とは勝手が違う。

どう何を探せば良いのかが分からない。

手持ちのアイテムでさえ何を持っているのかも分からない。

お互いに武器は腰に添えられてはいるが・・・。

そうだ。ナツキは東京のストーリーボードを思い出す。

確かヒツギという少女がゲームをしていて、ホログラム?の様なボードをポチポチしていた。

あれさえ出せれば・・・。

 

その事をユウジに言えば、ユウジもううむと首を捻る。

まずそのボードを出すにはどうしたら良いのか。

両手を上げても下げても出て来いと念じても出てくる気配は・・・。

 

 

『あ、なんか念じたら出てきた。』

 

 

念じたら出てきた。

その言葉にユウジが唸り考えて俯いていた顔を勢い良く上げた。

確かにナツキの目の前には緑色の発光したボードが浮き出ている。

いや出てきたのは良いが、だからって念じたら出てきたって・・・。

言いたい事は沢山あったが、とりあえず言葉を飲み込んで、ユウジはそのボードを覗き込む。

 

ボードに書かれている文字は。

フレンドリスト。

ジッとその内容を見ると、

オンラインと書かれた文字の下にユウジの名前が書かれている。

 

 

「あのさ、ナツキの友好関係に口出しするつもりは無いんだけど・・・。」

 

『止めて、友達居ないとか止めて。』

 

 

オンライン表示にあるのはユウジの名前のみ。

ならばオフラインは?

まっさらも良い所、友達登録しているのはユウジだけだとすぐに分かる。

分かっている。ナツキが会話をあまり得意としない事くらい。

前に一度だけナツキとパーティを組んだ時、殆ど何も話さなかった記憶がある。

ナツキはあまりキーボードを打つのが早い方ではなかったから、

それも相まって会話が面倒になってしまったのだろう。

しかし会話が無ければ友達も作れない。

ユウジは一つ溜息を吐いて、まあ今は良いかとボードに視線を戻す。

 

ここまでは良い。

ボードを出したまでは良いが。

ここからどうするかだ。

ナツキがフレンドリストを表示した所で友人が居ないのだ。何が起こる訳でもない。

ユウジ自らもフレンドリストを表示してみる。

もし、オンライン状態の友人が居るならば、助けを呼べるかもしれない。

念じて出たボードに喜びを感じつつ中身を見てみる。

しかし、期待とは裏腹に、フレンドリストに載っていた筈の友人達の名前が一つとして無い。

オンラインと書かれた文字の下にナツキの名前がある以外は。

 

 

「どうなってるんだ。このキャラのフレンドがナツキ以外消されてる?」

 

 

いいや、考えている暇は無い。

それならばとユウジはナツキにメール画面を表示出来ないかと問うた。

 

 

『え?わ、分かった。』

 

 

一か八か、試したい・・・と言うか希望を見出したい。

 

 

「ナツキ、今まで会話したNPCの中で、最もマトモだった奴って居るか。」

 

『えっ!?』

 

 

ユウジのその言葉が意外だったのか、

ナツキは少しの間考える素振りを見せる。

誰か該当した人物が居たのか、ナツキが『あ。』と声を出してユウジを見た。

 

 

『一人、居る。』

 

 

ナツキはメールの宛先の空欄部分を突く。

するとそこに文字を打ち込めと言わんばかりに、ひらがなのキーボードが浮かぶ。

もたつきながらも書き込んだ名前は――。

 

 

 

「マ、トイ?」

 

『あの子だけは、なんだか雰囲気が違ったっていうか、こっちを察してくれたって言うか。』

 

「なら、今すぐマトイに助力を仰ごう。」

 

 

これは本当に一か八か。

警戒すべきNPC相手にする事かと問われれば眉間に皺を寄せる程のそれだが。

全員が全員だとは思いたくないのもまた事実。

今は何か手掛かりが欲しい。

その為には、ここから、このナベリウスから脱出する事が最も重要になる。

 

 

『分かった。』

 

 

ポチポチと慣れない手付きでマトイへとメールを送る。

どうか、マトモな奴であってくれ。

 

 

 

 

【助力を求めて】

 

 

 

 




なんか新しく別の小説書き始めちゃって気付いたら話数をそっちに追い抜かされてた。
慌てたよね。

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