やはり俺が346プロのPになるのはまちがっている。 作:高海0o0
ついに来ちまった……。
俺は今、346プロというプロダクションの前にいる。346プロは親父が社長をやっていて、その親父のコネでこれから俺が働く会社だ。
「何突っ立ってんだ、さっさと行くぞ」
親父に言われ、後をついて行くと色んな人が親父に頭を下げ挨拶をする。家では母さんや小町に頭を下げている姿しか見ない為、少し新鮮だ。
しばらく歩くと親父はどこかの部屋の前で立ち止まる。
「ちょっとここで待っててくれ、少し中で話をしてくる」
そう言って親父は部屋の中に入っていく。ちらっと緑の服を着た女の人が見えたがあの人もアイドルだろうか。
すると中から女の人の怒号が聞こえてきた。
「社長、今日だなんて聞いてませんよ! 連れてくるときは事前に言っておいてくださいと言ったじゃないですか! ほう、れん、そうもまともにできないなんて社会人としてどうなんですか!」
「ちひろさん、ごめんなさい! ごめんなさい!」
……すげぇ怒られてる。嘘だろ、言ってなかったのかよ。早くも不安を感じながら部屋の前で話が終わるのを待っていると嫌な感じがした。
視線を感じる……。それも一つじゃない、二つ……いや、三つか。
「何か用ですか?」
上司だといけないので敬語を使いながら聞いてみると気付かれた事に驚いたのか、大きな物音と共に三人の女の子が廊下の角から倒れてくる。
「ば、バレてたよ! 撤収、撤収! 」
「だからやめとこって言っただろぉ!」
「そういう奈緒だって乗り気だったじゃん」
「あ、あたしは二人で行かせるのが心配だったから監視の意味を込めてついてきただけであって」
「ほらほら、二人とも。言い争ってる場合じゃないよ、逃げろー」
「かーれーんー、元はと言えば加蓮が」
言い争いながら三人は逃げていく、一体なんだったんだ?
それにしても角から見るのはやめてほしい。中学の時告白されてOKしたら後ろの角から女子がいっぱい出て来て罰ゲームってネタばらしされた時の事を思い出しちゃうから。
「おい、八幡、終わったぞ。入れ」
「おう」
話が終わったようで親父が呼びに来た。顔色を見るにだいぶ怒られたな、母さんに怒られた時の顔だ。
中に入るとさっきの緑の服のお姉さんが笑顔で声をかけてくる。
「比企谷八幡君ですね。私は事務員の千川ちひろです。これからよろしくお願いしますねっ」ニコッ
「ど、どうも。比企谷八幡です」
多少どもったが問題なく挨拶を済ませる。それにしてもまさか事務員とは……笑顔も眩しいしアイドルでも十分通じるぞ。
「じゃあちひろさん、息子の事はよろしくお願いします」
「はい、任せてください」
「え、もう行くのかよ」
「ああ、後はちひろさんに任せてあるからな。お前も社会人なんだ、俺がいなくても大丈夫さ。それと会社内では敬語を使え。今の俺はお前の上司だ。息子だからといって贔屓はせんぞ」
そう言って親父は部屋から出ていく。なんだよ、ちょっと格好いいじゃねぇか。
しかしいきなり初対面の女の人と2人きりになるとは思わなかった。親父が仕事を教えてくれるんじゃねぇのかよ。
「社長はああ見えて忙しいですから仕方ないんです、本当は比企谷君に色々教えてあげたかったと思いますよ」
当たり前のように心を読まれた。そしてしっかりフォローを入れる。すごいな、この人。
「それでは早速ですが比企谷君にプロデュースしてもらうユニットを紹介しますね、部屋に待機してもらっているのでついてきてください」
「え、初っ端からプロデュースするんですか?」
「プロデューサーの仕事は実践あるのみですからね。やって覚えていって貰います。勿論、最初のうちは私がそばについていますが基本的に私から口出しはしません。比企谷君が思うがままのプロデュースをしてください。もちろん分からない事はいつでも聞いてもらって構いませんよ」
なるほど、少しでも経験を積ませたい訳か……だが普通は先輩プロデューサーの仕事について行って覚えるものでは無いだろうか。もしかして……。
「千川さん、もしかして人手が足りてないんですか?」
「……はい。人手不足なのに社長が次々とアイドルをスカウトしてきて肝心のプロデューサーが全然居ない状況で」
「なんか……すいません」
「その分、今居るプロデューサーに頑張ってもらうので大丈夫です! 比企谷君も今は新人なので一ユニットだけ受け持ってもらいますが慣れて来たら数十人のプロデュースをしてもらいますよ」
衝撃の言葉を聞いたような気がする。プロデュースする人数が二桁……だと!?
俺の電話帳に入ってる連絡先の数より多いじゃねぇか。
「あ、ついつい話し込んじゃいました。アイドルが待っているので行きましょう」
「うす」
返事をして千川さんの後についていく。
俺が担当するアイドルたちは一体どんなやつだろう。といってももう予想はついている。あのタイミングで俺の事を見ていたんだ。普通に考えてあいつらしかいないだろう。
「さて、着きましたよ。これからあなたはプロデューサーです。アイドルに頼られるようなプロデューサーを目指して頑張って下さい」
そう言って千川さんがドアを開くとそこには……誰もいなかった。
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