悠久たる郷里にて   作:悠里(Jurli)

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S.Y


ここは悠久の地。

「私もいつか死ぬんだなあ。」

――ふと、そう思った。

 

 死は突然迫り来る。そもそも死とは何なのか。生きる意味とは何なのか。考えれば考える程、その答えは遠くなっていく。小一時間経っても他のことに手が回らない。ああ、こんなことなど考えなければいいのに。しかし、考えずにはいられない。仕方あるまい、他のことをしよう。

「そうだ、職も名声も地位も捨てて旅に出よう。」

 そうして私は、なんの宛も無いにもかかわらず、旅に出ることにした。

 

 私はユエスレオネ連邦で生まれ、ずっとそこで暮らしてきた。故にリパライン語しか十分に話せない。ヴェフィス語も囓ってはみたものの、全く身につかなかった。こんな奴が旅に出ようなど、冷静に考えれば無理な話である。準備も全く十分とは言えない。しかし、私はもう決意したのだ。何故なら、死に怯え、冷静さを失っていたのだから。全く、自分でも呆れてしまう。

 

 しかし、私は行くのだ。死に怯え、無駄な時間を過ごすくらいならば――。

「死」と、「生」。対立する概念であるが、両方、全くもって意味がわからないという点では共通している。旅をすれば、少しでも理解できるだろうという希望が心の内にはあるようだ。

――空は曇天、厚い雲が頭上を横切って行く。

 

 「さて、どこに行こうか。出来れば行ったことのないところに行きたい。ああ、PMCFとかどうだろう。あそこは島国だし、色んな文化が混ざり合ってるらしい。旅には最適じゃないか。」さあ、そうと決まれば出国審査を受けてPMCFへ! ……ん? 待てよ? ユエスレオネ連邦は宙に浮いている。どうやってこの地を降りようか。極力使いたくなかったが仕方ない、ウェールフープを使おう。

 

そうして、PMCF最大のマナナ島についた。もう気がつけば日は暮れている。宿を探さなければ。入国審査も済ませている。この島に住むアイル人やパイグ人はアイル語やパイグ語を話すという。しかしリパライン語も通じるという。よし、そこの人に話しかけてみよう。

 

「Cene en nyrnenalorng?」(泊めてくれませんか?)

『a2? co iet-leu-ne la1-ta2?』(連邦人あるか?)

 

え? なんて言ったのか分からない……。 どうやら何か聞いたらしいが疑ってるのか?

 

「mi es yueslarta!」(私は連邦人だ!)

『a! xi1-zi1! ku1-lie2! ku1-lie2!』(アイヤー!来るよろし!)

 

今「klie(来い)」って言ったか?おそらく歓迎されてるようだ。

『hu-kua io!』(ここある!)

…着いたらしい。多分「fqa io es!」って言いたかったのだろう。

『休むよろし。』

「分かった。」

 

――バチンッ!

 

停電らしい。さっきのパイグ人はウェールフープ発電機を見て、何か悩んでいる。

『発電機壊れたある。電気使えないある。」

ああ、そんなことか。

「工具とかある?」

私はかつてウェールフープ技師だった。簡単な装置だから、すぐに直せるはずである。

『アイヨー!』

 

――数十分後――

 

「治ったよ」

『アイヤー!凄い凄いある!!』

 

――ここなら、なんとか上手くやって行けるだろうな。




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