「………うん?…………知らない「目が覚めたようだな」………はい。ここは一体?」
言いたかったなぁ。ま、良いけどさ。俺は確か首輪を外してダッシュで逃げてそれから………氷に阻まれたのか。しかし、その後の展開に惜しい事があった気がする……何故だ?
「ここは王宮の私の部屋だな。ま、今はゆっくり休むと良い。私は少し所用があるから出て行くが、逃げ出したりしたら王宮の近衛隊が直ぐ来るからな。最悪殺されても文句は言えないから、まあ大人しくしておく事だ。では、後でな」ポンポン
そう言って頭を優しく叩きながら出て行った。これは逃げれるチャンス!俺を拘束するなんて百年早い早い!
そう思い早速立ち上がり辺りを見渡す。俺の武器一式とコートも置いてあった。置いといても良いんか?後、何故か首に首輪が着いてた。しかも何か施錠部分パワーアップしてるし……。
取り敢えず首輪は放置してドアを開けると………
「「……………………」」
「……あ、ども」
バタン
…………ガッツリ見張りがおるやないかーい!何だよあのガッチガチの兵士は!あれが近衛か?取り敢えずコミュニケーションから始めるぞ!
「こ、こんにちは。飴食べます?」
「「……………………」」
「知ってます?この部屋エスデス将軍の下着が出たまんまなんなんですよ?」
「「…ッ………………」」
「………見ます?」
「「…ッ…ッ…………」」
耐えたか。まあ、
「うそなんですけどねw」
「「…………………#」」
「でわー」バタン
作戦は失敗した。繰り返す作戦は失敗!寧ろ悪化させちゃった!仕方なく大人しくしてる事にする。部屋の探索?自分紳士ですからしません(キリッ)
しかし、やる事無く景色を見たりドラゴンの危険種に手を振ったりしてしばらく暇をしてるといつの間にか眠ってしまったのは仕方ない事だった。
シュウが王宮のエスデスの部屋で寝てしまった少し前の時間。ナイトレイドのアジトに新しい仲間が補充要因として来たのだった。
side チェルシー
今回は久々の帝都の調査の為に、帝都暗殺チームに配属される事になった。……まあ、帝都行きを希望したのは私なんだけどね。
「そろそろ、この辺りにある筈なんだけどなぁ〜……お?アジト発見!」
私はソーダ味を咥えながらアジトに向かった。ストックが心配なんだよなぁ〜。帝都でシュウくんに会えないかな?
余り期待はしていないけど、思うのは別に良いよね?
「あら?どちら様ですか?」
メガネを掛けたチャイナ服の女性が本を読んでいた顔を上げた。
「私はチェルシー。今回こっちに配属される事になってた筈だけど、話し聞いてない?」
「えーと………すみません。覚えてません……あぁ!メガネメガネ〜」
そう言いながら頭を下げる。更にメガネを落とす。うーん、中々この人も濃い人だなぁ。
「シェーレ?如何したの?て、あぁ、あんたが補充要因のチェルシー?私はマインよ!あんたの先輩になるんだから敬いなさい!」
ツインテールの小っちゃい子はマイン。そして話は通ってたみたいだからホッとする。
「改めて私はチェルシー。帝都の偵察と暗殺要因として来たから宜しくね。因みにアカメって子と同じくらい任務遂行して来たけどね〜」
私は先輩に「私の方が上よ!ホッホッホッ!」と暗に伝える。マインも直ぐ分かったのだろう。目を吊り上げる。
「ところで他のメンバーは?」
人の気配が少ない為聞いてみる。すると今は良識派の文官の護衛と偽ナイトレイド討伐に出ているそうだ。因みに、シェーレは未だ本調子では無い為療養中である。よってマインもお留守番。
「後、レオーネって奴が今エスデスの動向を探ってるわ。多分戻ってくるのは未だ先の筈「ただいまー」て、レオーネ?早いわね。如何したの?」
金髪でグラマーボディの女性、レオーネがそこに居た。ただ、小難しい顔をしていたが。
「いやー、何かさ変な状況だったから取り敢えず戻って来た」
変な状況?と聞いて皆首をかしげる。
「マインとシェーレに聞きたいんだけど、以前警備隊の帝具使いと戦ってた時邪魔した奴がシュウって奴だよね?」
「…!」
シュウと言う名前に反応するチェルシー。
「そうよ。それが如何したの?」
「やっぱりあいつがシュウなのか……如何すんだろあいつ?」
何やら諦めムードを出すレオーネ。しかし、チェルシーはそれどころでは無かった。
「ちょ、ちょっと良い?えと……私はチェルシーて言うんだけど聞いても良い?」
「ん?あぁ、新しいメンバーだね!私はレオーネ宜しくね。で、聞きたい事って?」
「まず最初にマインとシェーレに聞きたいんだけど、シュウって人さ大口径のリボルバーとサブマシンガンとククリナイフ持ってなかった?」
お願い!別人であって!そう祈るチェルシー。しかし、
「はい、そうです。中々強い方でした」
「合ってるわよ。何よあんた、知り合い?」
「………ッ!………うん。以前助けられた事があるの」
少し沈んだ声になるチェルシー。
「ふーん。そんなに気にしなくても良いんじゃ無い?だって、内の男子全員そいつと知り合ってるし」
「そう………え?知り合ってる?」
「しかもナイトレイドだとバレたのに全然気にした素振りも無し。実際タツミの手配書は出てないしね。まったく、タツミはほんっとに馬鹿なんだから!」
余りの展開に言葉を失うチェルシー。
「そ、そうなんだ。はぁ……何か疲れた。あ、そうだ!レオーネ!シュウくん如何なったの?」
今度はレオーネに聞くチェルシー。チェルシーとしてはシュウの身に何かあったのか1番知りたい所。
「いやさ、最初はエスデスの動向を探ってたんだけどシュウの奴がエスデスと一緒に甘味屋まで行ったんだ。で、その時にエスデスは何を思ったのか分からないけど何故かシュウの首に首輪をつけるんだ。だけどシュウの奴は逃げ出したんだ。結構速く逃げてたけど氷の壁にモロにぶつかった後、エスデスに鼻血を舐め取られてお姫様だっこで王宮に連れて行かれた」
「「「……………………え?連れて行かれたーーーーー!!!」」」
3人の声が重なる。中々良い感じだ。
「って、いうか!鼻血舐め取られたって如何いう事!そこ詳しく話しなさいよ!」
チェルシーはレオーネに掴みかかる。それに対して落ち着けのジェスチャーをするレオーネ。
「あー、取り敢えず命の危険は無いと思うよ。だけど何で連れて行かれたのかはサッパリだけどね」
命のやり取りの雰囲気は無かったと聞いてホッとするチェルシー。しかし、
「でさ、チェルシー。あんた突っ込みどころか鼻血の所なの?なーんか、怪しいわね。ちょっと詳しく話しなさいよ!」
野生の感が働いたのだろか、レオーネはシュウとチェルシーの関係が怪しいと感じだ。
「え!べ、別に何も無いわよ。気のせいよ!気のせい!」
「本当かな〜?」
気のせいと言い張るチェルシー。それを怪しむレオーネ。
「でも、チェルシーはシュウさんの事をシュウくんと呼ぶんですね」
しかし、シェーレから何気無く言われた台詞。これが決定打となった。
この後チェルシーはシュウとの馴れ初めを全て吐く事になる。チェルシーは何とか凌ごうとするも、そこは流石ナイトレイドの実力者達。無駄な抵抗だった。
side out
side シュウ
うわあああぁぁぁぁぁ!!!!完全爆睡しちゃったあああぁぁぁぁぁ!!!!
いやね、理由はあるんだよ?ベッドふっかふかだったんだよ。前世のベッド以上にふっかふか何だよ?そりゃ寝ちゃうよ!……そして何よりベッドにエスデスさんの匂いがだなぁ……(自主規制させて頂きます。ご了承ください)
やはり何処まで行ってもスケベ心を忘れないシュウにある意味脱帽です。そんな事お馬鹿な事を考えてたらドアが勢いよく開いた。
「シュウ!……ふぅ、良かった。ちゃんと大人しくしていた様だな。良い子だ」ナデナデ
エスデスはシュウが逃げ出したのか若干心配していたのだろう。まあ、いきなり拉致されれば大抵の人は逃げ出す。
「いやー、ベッドふっかふかだったから寝ちゃいました。それより、用事は済んだのですか?」
「うん?あぁ、何とかな。それよりだ、お腹減っているだろう?先ずはご飯にしよう。王宮の料理は中々美味いぞ」
そう言ってシュウの手を握りながら食事に行く。
「王宮の料理かぁ。結構楽しみですね!」
なんだかんだで順応能力が高いシュウはあっさり今の状況に溶け込んでしまう。
「そうか、楽しみか。なら、料理長には気合を入れて貰うとしよう」
(よかった。特に不満がある訳では無さそうだ。やはり私達は運命なんだ!)
「いや、普通で大丈夫ですよ?」
自然に会話しつつ食堂に向かう2人。ある意味シュウの順応能力に助けられてるエスデスであった。
そして、エスデスが遅くまで戻らなかった理由。三獣士の戦死が確認された為であった。
また、ナイトレイドのブラートも戦死していたのだった。