逃げる?違います。明日への前進です。   作:吹雪型

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歪みと悪寒と……波乱の予感

翌朝

ナイトレイドのアジトに一泊してしっかりと睡眠を取り、朝食の支度の手伝いをして御飯を食べてるシュウ。此処でもしっかり順応している。

 

「モグモグ……しかし、凄いボリュームだよな。いつもこんなメニューなのか?」

 

「ああ、アカメが調理担当だから大抵ボリューム満点のメニューになるよ」

 

胸焼け確実だな……いや、これが強さの秘訣なのか?

 

「シュウ、しっかり食べろ。じゃ無いと力が出ないぞ」

 

「おう。分かったよ」

 

しかし、この食い意地クロメちゃんに似てるなぁ……いや、見た目も似てるか?

 

「なぁアカメちゃん、1つ聞いても良い?」

 

「ん?何だ?」

 

「クロメって子知ってる?」

 

その瞬間アカメの雰囲気が変わる。

 

「……あぁ、知ってる。………妹だ」

 

………………マジで?

 

「い、妹さんなの?今クロメちゃんはイェーガーズに居るよ?このままだと殺しあうのは必然だよ?」

 

「………私はクロメも連れて来たかった。だが、クロメは帝国に残る事を選んだ。……シュウ、クロメは何時も何かを食べていなかったか?」

 

「あぁ、クッキーを何時も食べてたよ。御飯食べる前にも食べてる時もあるかな」

 

「………そうか」

 

アカメちゃんは結構沈んでしまった。まぁそうだよな……姉妹で殺しあうかも知れないのだからな。

その後ナイトレイド全員が来て朝食を取り始める。するとラバックがイェーガーズについて質問する。

 

「そう言えば、イェーガーズはどんな帝具使いが居るんだ?」

 

「うーん……そうだなぁ」

(教えるのは良いけど……フェアじゃ無いよな。でも、ナイトレイドにはなるべく生き残って欲しいんだよね。そう………反乱軍の要となっているナイトレイドにはさ)

 

シュウは己の歪んだ目的達成させる為に教える事にした。

 

「帝具は鎧型のグランシャリオ、火炎放射器のルビカンテ、治療も出来て応用性の高いパーフェクター、飛行型のマスティマ、生物型のコロちゃん位かな?」

 

「治療も出来る奴なんて真っ先に倒したいわよね。出来ればパーフェクターはこっちが欲しいし。しかも応用性が高いんでしょう?尚更よ」

 

マインの言葉に全員が頷く。

 

(まぁ、マッドサイエンティストなDr.スタイリッシュにはぴったりの帝具だしね。かなり厄介だろうけどね)

 

「でも、シュウくん良いの?その……帝具の事言っても」

 

チェルシーさんが若干不安な表情で聞いてくる。

 

「ん?………罪悪感が無いとは言わ無いよ。でも、必要な事だから………そう、必要な事なんだ」

 

シュウは自分に言い聞かせる様に呟く。その姿は罪人そのものの雰囲気だった。

 

「んー、まぁ何にしても厄介な事に変わりは無いよね。イェーガーズの強さは如何なのさ?」

 

「…………多分ナイトレイドと互角ぐらいかな?ただ、エスデスさんは別格だ。イェーガーズメンバーより頭2つ3つ飛び抜けてる。賢い奴なら戦わない事を選ぶさ。そもそも、エスデスさんの帝具が何なのか分からないし。……あ、そうだ…クロメちゃんの帝具て何なの?八房て名前しか知らないんだけど」

 

「………【死者行軍 八房】切り捨てた者を呪いで8体まで自分の骸人形にできる帝具だ。人形のスペックは生前のまま自在に操れる。能力を解除すればただの死体に戻る」

 

「おいおい!って事は、クロメに斬られたら最悪そのまま敵にまわっちまうって事かよ!」

 

「しかも死んでるから救いようが無い」

 

「村雨もエグいけど…八房も大概よね…」

 

「確かに八房は厳しいそうですね」

 

「まぁ、私は基本戦闘には参加し無いけど……余り関わら無い方が良いかな?」

 

アカメの説明にタツミ、レオーネ、マイン、シェーレ、チェルシーが感想を言う。

 

「しっかし、やっぱり1番知りたかったのはエスデスの帝具だよな。どこまでどれだけ凍らせることが出来るんだか」

 

ラバックの言葉に皆沈黙する。

 

「……確かにエスデスは強いが………弱点はある」

 

「……それは?」

 

「生きている事、心臓があるという事だ。……ならば、私が斬る。例え帝国最強であろうとも!」

 

アカメは立ち上がりそう宣言する。皆も雰囲気は明るくなる。

 

「アカメ……」

 

「へへっ、流石俺達の切り札だぜ!そうこなくちゃ!」

 

「大口叩くじゃ無い優等生。言った以上実現させなさいよ」

 

「村雨を1発当てれば良いんだから……まっ、作戦次第で何とかいけそうか」

 

「そうですね。私も微力ながらお手伝いさせて頂きます」

 

「さっすがアカメちゃんだね〜。うりうり〜」

 

全員の気合充分。そしてチェルシーはアカメを撫でる。

 

(んん〜?エスデスさんに勝てるかな?………あの氷結構硬いけどな。まぁ、帝具には帝具が1番だし大丈夫でしょう!)

 

シュウはそう考えて自分を納得させる。

 

(しかし………俺完全に空気だよなぁ……………如何しよう?)

 

若干自分の立場を不安に考えてもいた。そして………

 

「ああああ!!!しまった!こんな所で呑気に話し込んでる場合じゃねぇ!ウェイブがやばいんじゃ無いか!」

 

早速イェーガーズの1人が脱落するかも!などと物騒な事を言って場を乱すのは何時もの事である。

 

 

 

同時刻 王宮 拷問室

 

「…あの………何ていうか……本当に申し訳ありませんでした。このウェイブ深く反省しております」

 

しくしくと泣きながら石抱きの拷問を受けるウェイブ。ギザギザの床に正座させられ、分厚い石を太股に乗せられている。そして、そんなウェイブを冷酷に見つめるエスデスが居た。

 

「シュウから目を離したのも注意散漫だが、帝具を使ってまで見つけれ無いとは情けない……クロメ石!」

 

「んっ」ゴトッ

 

「あだだだだだだだ!!」

 

クロメがウェイブの上に更に石を追加する。それに悲鳴を上げるウェイブ。

 

「まったく、何の為にお前と組ませたと思っていたんだ。シュウがいずれ逃げ出す事など容易に想像はつく。それを未然に防ぐ為にお前と組ませたと言うのに……クロメ、火」

 

「ん!」ポタタっ

 

「あっつつううう!!」

 

更にロウソクが追加される。頑張れウェイブ!元はと言えばシュウが撒いた種だけどな!

 

「ウェイブ…お前技量は完成されているが、メンタルが甘い。反省する事だ」

 

「……はい」しくしく

 

そして、エスデスはウェイブに警告する。

 

「…………次に失態を犯したら……私自らお前を…処罰する。肝に銘じておけ」

 

それは強者のソレだった。

 

ゾッ!!!

 

「……ハイ」

 

ウェイブは次失態すれば死ぬと理解した。

 

「隊長!申し訳ありません。フェイクマウンテンを山狩りしてもシュウくんは見つからず……コロでも追跡不可能でした!」

 

セリューもシュウの探索を終えたものの見つける事は出来ず。

 

「ヘカトンケイルの本分は戦闘だろう。気にするな。スタイリッシュの方はどうだったんだ?あいつも探しているんだろう?」

 

「はい、独自に動かれてる様ですが……まだ連絡入りませんね」

 

「ハア……まあ………望みは薄いか」

 

セリューの言葉に落胆してしまうエスデス。

 

「隊長、シュウ君の件なんですが……もし、仮に敵として彼が現れた場合、私達はどの様に対処すればよろしいですか?」

 

ランが今後の懸念材料となる可能性を伝える。

 

「……………正直……シュウの事は今でも好きだ。近い内手に入ると確信していたから尚更手放したくは無い。………だが、それよりも部下の命が優先だ。生け捕りが望ましいが…………敵として来た場合難しいだろう。それはお前達も良く理解してる筈だ」

 

エスデスの言葉に頷くイェーガーズメンバー。

 

「………いざとなれば生死は問わん。以上だ」

 

エスデスの表情に迷いは無い。

 

「……了解しました」

 

「……だ、大丈夫ですよ!それにシュウくんはフェイクマウンテンで迷っただけなんですよ?だから殺す必要性は「セリュー、コレは命令だ」……っ!………了解……しました」

 

エスデスの言葉に頷くしか無いセリュー。そしてエスデスは立ち上がり窓まで行く。

 

(もし………殺される様なら其処まで男ということだが、お前はそんな弱者では無い。強さもある、将軍級の器もある……そして何より生き延びる強かさを持っている)

 

窓まで辿り着き外を見る。

 

(不思議なものだな……シュウとはまた会える。そんな気がする……いや、会ってみせる。その時は問答無用でこの気持ちを……ありったけの想いをお前にぶつけてやるからな!

 

 

 

覚悟しろシュウ!!)

 

 

 

 

同時刻 ナイトレイドアジト

 

ゾクッッッ!!!!!

 

「(°д°)ふぁ!?」ガタ!

 

突然臨戦態勢を取るシュウ。

 

「……どうしたシュウ?」

 

「い、いや………別に?」

(これはフェクマの時と同じ?………うーむ、よく分からんが気を付けよう!)

 

シュウは取り敢えず周りに注意する事を決めたのだった。

 

 

 

夕方

 

パキッ

 

「ちょっと!まだ見つからないの!一体何処まで行ったのよ!あの子は!」

 

「お、落ち着いて下さいスタイリッシュ様。まだ匂いは残っております」

 

「まったく、アタシの手術で嗅覚を強化した者が居たから実戦投入して見たけど……無駄だったかしらね?」

 

まさかのDr.スタイリッシュだった。しかも今まで探していたみたいです。

 

「ッ!スタイリッシュ様!前方に糸の様な結界があります」

 

「あら本当?”鼻””耳”そっちはどう?」

 

「はい、彼方からまだ匂いはしております」

 

「前方から微かに人の声が聞こえます」

 

鼻と耳の言葉にニヤリと笑うスタイリッシュ。

 

「やっと本性が見えたわね。フフ、あの子どーも怪しいと思ってたのよね。唯の旅人にしては環境適応力があり過ぎだもの」

 

「流石スタイリッシュ様の鋭さには鼻高々です!」

「目からウロコです」

「耳に念仏です」

 

「いらないわよ、そんなヨイショ」

 

それから数分歩き続け……

 

「ビンゴ。オカマの勘って当たるのよねぇ。フェイクマウンテンからは随分離れたけど……

 

 

 

 

 

ナイトレイドのアジト見ーーーっけ♡」


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