シュウがホストを始めて3週間ぐらいたっただろう。もう身体は完治したが、アクセルブーストはセブンブーストまでしか出来ない状態だ。
しかし、刀術をベースに様々な技術を掛け合わせた力は十二分な戦闘力を持っている事に変わりは無いだろう。
そして……
「きゃー!ヒカル君ー!」「ヒカル様ー!こっちこっち!」「ヒカルくーん!」
ホスト・誘惑の館から黄色い声が聞こえる。
「……お待たせしました。ヒカルでえッス!本日も皆さんからのご指名頂きました!!」
クル!シュパッ!シャキーン!
ポーズを取りながらキメ顏で締めるシュウ。そして…
「「「「「きゃー!!!ヒカル君ー!?!?///」」」」」
コレである。
「あ、あの!コレ、ヒカル君の為に買ったの!」「あ、あたしも!ヒカル君に似合うネックレス!」「私も!」「私も!」
キャイのキャイのと声をあげる女性陣。するとシュウはこう言った。
「皆ありがとうね。でもね、俺は皆のだからそのプレゼントは受け取れないよ!だから、それは旦那や他に貢いでる奴らに上げちゃってー!フゥ!⤴︎」
アホみたいな事を言うシュウ。こんな事言えば普通は怒られるだろう。しかし、
「「「「「ヒカル君優しい〜///」」」」」
コレである。
そう、シュウはめっちゃくちゃ調子に乗っていた。人生初の超モテ期にそれはそれは調子に乗りまくっていた。
そして、この惨状の張本人は…
年上キラー「制御不能!繰り返します。制御不能!直ちに職員は退避してください(ノ;・ω・)ノアワワ」
暴走してた……と言うか制御出来てないし。
ドヤ顔で天狗になってるシュウに……天誅が降ろうとしていた。
…
……
side イェーガーズ
本日、イェーガーズにエスデスから召集命令が下った。理由はシュウに関する情報をまとめる為だ。
「さて、今回集まって貰ったのは言うまでも無いな。何かしら情報は集まっているか?」
エスデスは全員に問う。するとセリューが手を挙げた。
「隊長!シュウくんらしき人物が武器屋で銃とナイフを購入したそうです。また、腰には刀を差していたとの事です!ですので、間違い無くシュウくんは王都に居ます!」
セリューの報告を皮切りに次々と報告が上がっていく。しかし、どれも決め手に欠けていた。
「くッ、やはりあの喫茶店でお茶を飲んでいた時がチャンスだったか……」
悔しそうな顔をするエスデス。他のメンバーも思案顔だ。しかし、1名だけ場違いな雰囲気を出してる人がいた。そう……ランだ。
「……あの、隊長。多分シュウくんの居場所が分かりました。ただ…」
「何!本当かラン!でかしたぞ!場所は何処だ!」
「流石です!ランさん!で、シュウくんは何処ですか!」
ランは言い淀むもののエスデスとセリューの気迫の前にアッサリ降伏する。
「怒らないで下さいね。………色街に居ました」
その時……世界が止まった。
「「………………あ?#」」
やっぱり怒りました。
そして、怒りのオーラを出す2人。
「ラン……それはどう言う事だ?詳しく話せ。拒否は許さん」
「そうですよ。私達仲間なんですから、キチンと全部詳しく話して下さい」
エスデスとセリューからとばっちりを受け、顔を引き攣らさせるラン。憐れである。
場が混沌と化した中………ウェイブは目を瞑り腕を組み落ち着いていた。
「隊長、セリュー、先ずは落ち着くんだ。じゃ無いとランが喋れない」
ウェイブはエスデスとセリューに苦言を言う。
「む?……確かにな。すまなかったなラン」
「あー、私も少し冷静では無かったですね。ごめんなさい」
「いえいえ、お気になさらず。しかし、ウェイブは妙に落ち着いてますね」
ランはウェイブが落ち着いてるのを見て違和感を感じた。
「ん?……別に大した事じゃねえよ。ただ………彼奴を取っ捕まえるのは俺だ。誰にも邪魔はさせねぇ……。今までの拷問の借り……返してやる」
「ウ、ウェイブくん落ち着いてお茶でも飲みなよ?」
「ボルスさん……俺は誰よりも落ち着いてますよ」
ウェイブが暗黒面に突入してた。シュウが蒔いた火種が段々大きくなる。
「そ、そうですか……では、早速シュウくんの居場所を説明しましょう」
ランは改まってシュウの居場所について説明する。
そしてホスト・誘惑の館にいる事を伝えたのだった。更に今日シュウは誘惑の館に出勤すると言う。序でに今1番人気で源氏名はヒカルと言う。
「よし!今日の夜、店が営業中に行くぞ。それまで全員ゆっくり休め。もし……シュウが抵抗する様であるなら多少痛めつけても構わん。……彼奴の強さは並の帝具使い以上だ。心して掛かれ!」
エスデスの言葉に全員が気を引き締める。そして、各々に部屋を出て行った。そして部屋に残り窓から空を見上げるエスデス。
(しかし……シュウの奴はホストでNO.1になっているのか……………ん?シュウは今ホスト?つまり………………ッ!いや待てよ!コレは……合法的にイケるチャンスだ!!!)
何かを閃いたエスデス。きっと彼女にとって素晴らしい事になるに違いない。
シュウ?知りません。
シュウが調子に乗り、次第にアホになって行く・・・
黒刀を受け継いだあの凛々しい姿も、今やこの有様だ。
年上キラーの暴走が、我が物顔で跋扈する・・・
天が裁けぬそのアホを、ホスト・誘惑の館の中で始末する・・・
我等全員、特殊警察イェーガーズ・・・←