逃げる?違います。明日への前進です。   作:レッドツリー

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師匠と弟子の本当の別れ

2週間が経ち漸く帝都に帰還できたエスデスとシュウ。しかし、その間オネスト大臣以下汚職文官達は徹夜しながら必死にこの事を隠し続けた。普段そんなに仕事しない汚職文官もそうだし、オネスト大臣の食事にハムが1つ分食べないぐらい大変な事だったのだ。

 

王宮

 

「いやはや。エスデス将軍よくご無事で何よりです。それに君はシュウ君だっかね?初めまして。君の事はエスデス将軍からよく聞いてますよ。中々の腕前を持っているとか?」

 

そこには諸悪の根源オネスト大臣が居た。

 

「すまなかったな大臣。正体不明の帝具使いに南の島まで転移されてな。まあ、次奴を見つけたら手心加えた拷問をしてやるさ」

 

「………転移の帝具…ですか?それは大変でしたね〜」

(あの馬鹿息子があああああ!!!!)

 

どうやら速攻バレた様だ。

 

「ゴホン。それよりも、また最近ナイトレイドが帝都周辺に現れてるとの情報がありました。つい先日も財政官ゲバゼが暗殺されました」

 

「ほう、それは楽しみだな。私が戻ったからには好きにはさせんさ」

 

オネスト大臣の情報にエスデス将軍は凶悪な笑顔を見せる。

 

「ヌフフフ。頼もしい限りですね。まあ、今は帰還の旅でお疲れでしょう。今は身体を休めて下さい。それから、シュウ君にはコレを」

 

オネスト大臣はシュウにある物を渡す。

 

「コレは……軍…服?」

 

其処には白い軍服、上着、十字マークの帽子があった。まさかと思いシュウはエスデスを見る。するとエスデスはとても良い笑顔だった。

 

「……ど、どうもです」

 

「では、私はこの辺で失礼しますよ。やれやれ、漸く食欲が戻って来ましたよ!今日はパーティでもやりますかね!」

 

そう言いながらオネスト大臣は軽い足取りで戻って行った。

 

「さて、シュウ。私も少し仕事を片付ける。お前は休んでいると良い。それからその服は何時でも着て良いからな!」

 

そう言いながらエスデスも執務室に向かった。

 

「…………どうしよう……コレ。取り敢えず……片付けておくか」

 

途方にくれるシュウが残されたのだった。

 

 

……

 

数日後、ランからエスデスに報告が上がった。ナイトレイドのアカメやマインと思われる人物が東のロマリー街道沿いで目撃された。

 

「イェーガーズ全員を招集しろ」

 

ナイトレイド、イェーガーズ。

両者の戦いの時は近い。

 

 

人が次第に朽ちゆく様に国もいずれは滅びゆく……

新国家の誕生を目指す者達、国を護る者達…そして、執念を果たす者……

思想、理念、目的、全てを違えた彼等は

避けられぬ運命によって、衝突の日を迎える。

 

しかし、その中に諸刃の剣が牙を剥く。

その牙は……果たしてどちらに災いを齎すのか。

 

 

 

「もう直ぐ始まる。大きな戦争が……時代を変える戦争が………なら……俺は……その戦争の引き金を喜んで引こう」

 

その者は自らの武器を装備し……戦場に赴くのだった。

 

 

……

 

side シュウ

 

イェーガーズ全員がナイトレイドを追って次の日にはロマリー街道に着いた。

イェーガーズの第1目標はナイトレイド討伐だ。しかし、俺は第2目標がある事を察した。

このまま東へ向かえば安寧道と言う宗教団体が居る。昔から良く安寧道産の木彫り像や石像など良く見ていたからだ。俺は宗教に興味は無かったから安寧道は無視していたが……この状況下だ。神にでも縋りたい気持ちは良く分かる。

つまり、今安寧道には大量の信者がいる。そして、他の地方にも信者は居る。もし、安寧道本山が主導で帝国に反乱を仕掛けたら………かなり帝国にとっては脅威になるだろう。

 

暫く考え込んで居るとエスデスさんからの話がまとまっていた。

 

「私とセリューとランはナジェンダを追う。クロメとウェイブとボルス、そしてシュウはアカメを追え」

 

この決断に皆目を見開いたがエスデスさんが決断した事だったので反論は無かった。

 

「常に周囲を警戒しておけ。そして相手があまりに多数で待ち構えていたようなら退却して構わん。ガンガン攻めるが特攻しろと言ってる訳じゃないからな。帝都に仇なす最後の鼠だ。着実に追い詰め仕留めて見せろ!!」

 

「「「「「「了解!!!」」」」」」

 

さあ、始めようじゃないか……誰もが望んでる戦争をな。

 

 

……

 

アカメを追って南へ向かう。その間に俺はある武器の再点検をしていた。

 

「なあ…その銃もしかして」

 

「おう、ロマン銃だよ」

 

ウェイブの質問に答える。そうロマン銃……まさかここで再登場!MG42です!

でも、流石にMG42を撃ちながら動くのはちょっと難しい。基本は固定して撃つ銃だしね。

出来れば山賊?盗賊?狩りの時みたいにウェイブが壁になってくれれば楽なんだけどな。

 

「と、言う訳でウェイブ!期待してるぜ?」

 

「おう!任せとけ!まあ、その銃が火を吹く前に終わらせるけどな!」

 

「言ってろよ!」

 

俺とウェイブが気楽に話してる中でボルスさんは少々自信なさげだ。しかし、ウェイブがフォローをする。これなら大丈夫だろう。

 

「なんて調子のいい事言ってるけど、ウェイブが1番足引っ張りそう」

 

「何おうっ!」

 

ウェイブがクロメに弄られてるか……仕方ねえな。ここは俺がフォローしてやるか!

 

「安心しろウェイブ、お前の分まで戦うさ」キリッ

 

「それはどういう事だよ!」

 

余計に怒らせてしまった。

 

「大体、俺だってグランシャリオ・リヴァイブに進化したんだぜ?ナイトレイド相手でも充分対処出来るさ!」

 

「でも、ここぞって時に弱そう」

 

「ウェイブ言われてるぜ?頑張れよ〜」

 

「シュウは如何なんだよ?お前は大丈夫なのかよ?」

 

俺か?勿論さ。

 

「大丈夫だ。問題無い」キリッ

 

「シュウは大丈夫だよ。だって普通に強いもん」

 

まさかクロメちゃんから問題無いと言われるとは……。

 

「ほら3人共喧嘩しちゃダメだよ!」

 

ボルスさんが注意する。すると前方に案山子?があった。

 

「中々奇抜な案山子だな。池…面……イケメン?」

 

「うん。案山子だね…しかも、これ以上無いってくらい怪しいね!罠だったら大変だ。用心して調べよう」

 

ボルスさんの台詞に皆頷き馬から降りて近づく。俺?降りて無いよ。だって見るからに怪しいよ?普通近づかないよ。

MG42を背負い直しながら思った。寧ろ……グレネードで吹っ飛ばしたらダメかな?

などと考えてると……クロメが狙撃された。

 

「チッ!スナイパーだ!物陰に隠れろ!」

 

俺はそう言いながらグレネードを狙撃が来た方向に撃つ。次弾は煙幕弾にして更に撃つ!

その時、案山子がイケメンに化けた!彼奴は…確か帝具人間のイケメン!

 

「クロメ!危ねえ!!!」

 

ガッ!!!

 

イケメンの攻撃を防ぐウェイブ。しかし…

 

「うおっ!!」

 

そのままウェイブは遠くに飛ばされてしまった。

 

「ウェイブ!!……無茶しやがって!!」

 

俺はL85をイケメンに対して撃つ。しかし効果は無い。

 

「やっぱりコロと同じで物理攻撃は意味無さそう」

 

その時、気配を多数確認する。まさか……

 

そこにはナジェンダ、アカメ、レオーネ、タツミが居た。恐らくシェーレはマインの護衛だろう。

 

「ナイトレイド…?しかもこれは全員!?東は全くのフェイクだったんだね」

 

「クロメにボルス…そしてシュウか。イェーガーズの中でもクロメとボルス、お前達は標的だ。覚悟して貰うぞ」

 

ナジェンダの言葉にボルスは少し沈黙した後口を開いた。

 

「数え切れないほど焼いてきたから……刺客に狙われてもしょうがないと思ってる……。でも

私は……死ぬ訳にはいかない!!」

 

ボルスは戦闘態勢を取る。そして、その間にクロメはアカメとの邂逅を果たしていた。そして…

 

「お姉ちゃんを八房のコレクションに加えてあげれるもんねぇ」

 

ズッ!!! ボコッ ボコボコッ ボコッ!

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

「こ、これは……まさか……超級……危険種か!!」

 

俺は流石に驚いてしまった。死体とはいえ超級危険種。しかも……あれはデスタグールじゃねえか!!

 

「さぁ……帝具戦の始まりだ……何人死ぬかなぁ?」

 

クロメのそんな台詞が何となく聞こえた。

 

 

……

 

アカメとクロメが戦闘を始める。しかし、ボルスが援護するもタツミによってアカメは難を逃れる。しかし、その追撃はデスタグールの攻撃だった。

 

ゴオオオォオオオ!!!!!!

 

そして俺は…タツミに対して攻撃を仕掛ける事にした。しかし、そこで見たのは……まさか……そんな………

 

「ヘンター……さん?」

 

「ウ……ミ、ミジュク……モノ?」

 

………そうだよな。分かってた……死んでる事は。ヘンターさん強いもんな。だから……最後まで戦ったんだ。皆の為に……。

 

「…………ヘンターさん。ここはお任せします」

 

俺はタツミに対してはヘンターさんと別の危険種にに任せる事にした。だけどさ……流石にキツいな……これは。

 

仕方なくボルスさんの援護をする事にした。

 

「て、結構苦戦してる?」

 

俺は崖の上からL85をドラムマガジンに替えてから援護射撃をする。本来なら黒刀かククリナイフを使ってやりたいが……あのルビカンテの炎に巻き込まれるのはゴメンだからな。

 

援護射撃、炎、そして護衛。これらが揃っていながらアカメに攻撃が当たらない。

 

「……マジかよ。あの避け方は凄い!」

 

「凄い避け方された!?」

 

流石アカメだ!と思いつつグレネードを撃ち込む。しかし、アッサリ躱される。

そんな中、ボルスはアカメに何故反乱軍に入ったのかを問う。そしてアカメは…

 

「私の心が、そちらが正しいと決めたからだ。己の信じる道を歩んだまで」

 

己の信じる道……か。それがアカメの信念か。

 

「でも、その信念ごと燃やすのが私のお仕事!」

 

ボルスさん……貴方は真面目なんだな。だから燃やせるんだ……だから無実な村や村人達も………ん?レオーネか!

 

ドドドドドドドドッ!ドゴオオオン!!!

 

「おっと!危ないじゃないか!」

 

「そっちの拳の方が危ないわ!」

 

俺はレオーネの攻撃を避けながらククリナイフを抜く。

 

ファイブブースト

 

「オラッ!」「いきなり!」

 

俺はレオーネの腹を切り裂いて、そのままの勢いでアカメの方に蹴った。その時だった…

 

ドオオオオオオン!!!!!!

 

デスタグールの方で大きな音が聞こえた。

 

「マジかよ……デスタグールやられたんじゃないか?それに、ヘンターさんは如何なんだろう?ボルスさーん!一旦クロメちゃんと合流しましょう!煙幕いきます!」

 

「うん!分かった!煙幕お願い!」

 

ポシュウ ポシュウ ポシュウ

 

俺はボルスさんに最後の援護をした後、ヘンターさんが気になり一旦タツミの所に戻る事にした。

 

……

 

俺がヘンターさんの所に着くと……決着は付いていた。

 

「ッ!シュウか…」「あ……シュウくん」

 

ヘンターさんは……死んでいた。……いや、最初から死んでたんだ。だから……

 

「タツミ……チェルシーさん、ありがとう。ヘンターさんを……解放してくれて」

 

「シュウ……此奴と知り合いだったのか?」

 

「ああ、俺の……師匠だ。俺の戦闘スタイルの最初のベースを作ってくれた人だ」

 

一陣の風が吹く。

 

「シュウくん……あのねッ!」

 

チェルシーさんが声を掛けようとした時、猿の危険種が近づいて来た。そして、そのままチェルシーさんに攻撃を仕掛けようと身をかがめる。

 

「お前……邪魔だよ」

 

ザンッ!!!!!!!

 

猿が邪魔だったから黒刀でバラバラにした。

 

「シュウ!助かったぜ」

 

「………タツミ。一応俺はヘンターさんの弟子なんだよ」

 

タツミとチェルシーは眉を潜める。

 

「師匠がやられたまんまだと、弟子までダメになるじゃん?ま、敵討ちってヤツ?ああ、安心しなよ。殺しゃしねーよ……ただ、ヘンターさんの弟子として……お前を見過ごせん」

 

俺はククリナイフを抜きブーストを掛けた。

 

エイトブースト!

 

「待て!シュウ!俺達は別にッ!」

 

「安心しな、気絶させるだけだ」

 

ガッ!!!!!!

 

タツミはククリナイフの突きをモロに受け吹き飛ぶ。しかし、追撃は止めない。

 

ガガガガガガッッッッ!!!!!!!!

 

高速で動き回りながらタツミに斬りかかる。ただ、インクルシオを身に付けてる以上ダメージは無いだろう。

 

「クッ!この!」「当たらんな」

 

タツミの攻撃を紙一重で避けていく。そして…

 

ジャキン

 

「流石に頭に50口径受けたら衝撃は通るよな」

 

ドオォン!

 

「ぐあっ!シュウ!お前!!」

 

「1発じゃダメか……じゃあ」

 

タツミが再度攻撃するも軽く避ける。

 

ドオォン!ドオォン!ドオォン! ドサァ

 

「悪いなタツミ。暫く寝ててくれ」

 

ヘンターさん……これでミジュクモノ卒業になるかな?

 

「シュウくん!何やってるの!」

 

「チェルシーさん……コレは意地なんだ。ナイトレイドとか、イェーガーズとか、民の為とかそんなんじゃ無い!俺の……俺自身の為の戦いだ。ヘンターさんは最初から死んでる……だけどさ……覚えてたんだよ。ヘンターさんは………」

 

「シュウくん……」

 

「本当に……感謝してる。俺は……ヘンターさんを殺せなかった。例え……死体だとしても……嬉しかったから。だから……ヘンターさんを殺してくれて……ありがとう」

 

俺はそのまま背を向ける。今……顔を見られたく無い。

 

ガシッ ギュウ

 

チェルシーさんが俺の背中に抱き付いてきた。

 

「……離して下さい」「嫌」

 

………頼むからさ。ちょっと1人にしてくれ。

 

「だって……シュウくん泣いてるんだもん!放って置けないよ!!」

 

「……ッ………」

 

泣いてない。目から涙に似た成分が出てるだけ。でも………少しだけ。

 

「甘えて……良いですか?」

 

「うん……」

 

俺はチェルシーさんの胸に顔を埋めた。興奮はしなかった。ただ……涙が止まらなかった。

 

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