逃げる?違います。明日への前進です。   作:吹雪型

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戦争への引鉄

side シュウ

 

羅刹四鬼が全滅した。そして、セリューさんがナイトレイドと戦闘した後負傷した。

羅刹四鬼を倒したのは流石だと思った。あの身体能力保持者を倒したのだ。ナイトレイドの戦闘力は未知数だと言えよう。しかし…そこそこ交流のあったスズカさんとメズさんを失った時は少々気落ちしてしまったが。

でも、セリューさんが無事で良かったのは確かだ。マインにタツミ相手に良く逃げれたものだと感心したぐらいだ。やはりセリューさんも強くなってる。特に冷静な判断をする様になってから無理しなくなってるし。

 

次の日、セリューさんのお見舞いの品物を買う為に街に出た。フルーツ盛り合わせと甘くて冷たい飲み物でも買って行こう。

 

「お姉さん、このフルーツとコレとコレの盛り合わせを下さい。お見舞いで使うので」

 

「はーい!分かりました」

 

それから少し街外れの高台にある遺跡に来た。特に意味は無く、唯何となく来ただけだった。強いて言うなら街を眺めたかったからかな。

暫く眺めてると後ろから数人の気配がした。そちらに視線を向けると…教主様が居た。

 

「何だ…教主様か………………教主様!?」

 

「あ、お気になさらずに。楽にしていて下さい」

 

びっくりした。何でこんな所に来てるんだか。

 

「しかし、コレも何かのご縁でしょう。折角ですから数分お話を良いですか?」

 

「勿論構いませんよ。ささ、此方にどうぞ」

 

取り敢えず隣の席を進める。

それから他愛の無い話をする。実は一応顔合わせはしている。まあ流石に安寧道本部に居るわけだからね。なので俺がイェーガーズなのも知っている訳だ。それから俺は軽く自分の今の近況を話す事にした。今でもイェーガーズに戻ると必ず鎖を付けられるとか、ウェイブが俺に対する憎しみ故に帝具が進化してダークヒーローみたいになってるとか。

下らない話だったが真剣に考えて相談に乗ってくれてたのは嬉しかったです。

 

「そう言えば、安寧道は教主様が1代目でしたよね?」

 

「はい、そうですよ。私は生まれつき他人の傷を癒したり予知夢を見たりする不思議な能力を持っていたんです。そうして治したり、予言したりするうちに私を奇跡の人と崇めてくれる方々が増えてきて……。そんな皆さんのてで安寧道が作られて今に至るのです」

 

「治癒能力に予知夢ですか……」

 

この人………帝具使いか?いやでも……能力2つが全く繋がり無いから違う?

 

「しかし、中々な能力のお持ちで。ウチの隊長は帝具使いと言いますか……危険種使いみたいな感じ何ですよね。こう氷を操る能力何ですよね………あれ?」

 

教主様て……もしかして危険種の生き血飲んだタイプ?

…………これ以上考えるのは止そう。俺の野生の感が警告出してるし。

 

「まあ、教団の維持は大変でしょうけど頑張って下さい」

 

「ええ、幹部や信者の方々の為にも私なりに頑張って行きますよ」

 

教主様の心の器は広そうだ。

 

「所で……予知夢を見られるそうですね。なら、これから先どうなるか知ってますか?」

 

「………そうですね。ですが、私の予知夢はごく稀に外れる時もあります」

 

「そうですか……まあ、でも安心して下さい!貴方は必ず俺が守りますよ!」

 

(だから……帝国に反乱する時は頑張って信者を煽って下さいね?)

 

俺は営業スマイルで自分の内心を隠す。

 

「さて、それでは自分はこれで失礼します。中々楽しく話せて良かったです。ありがとうございます。それでは」

 

「ええ、此方こそありがとうございます」

 

こうして俺は教主様と別れた。ただ……あの人優しすぎる人だから反乱してくれるかな?……まあ、なる様になるか。

そんな事を考えてると再度声を掛けられた。

 

「シュウさん、背負い続けるのは立派な事です。誰にも出来る事ではありません。しかし…誰かに頼ってみては如何でしょうか?きっと……貴方の見る世界が変わる筈です」

 

「それは……予知夢ですか?」

 

教主様は頷く。そうか……

 

「お気遣いありがとうございます。考えておきます」

 

そう言って再度歩き出す。取り敢えず今の忠告を含めて考えを一旦保留にして、セリューさんの為に冷たいジュースを買う事にした。

 

 

……

 

side 教主

 

私は彼の夢を見た。とても…悲しく、辛い夢でした。そして彼の最後は……ですが、彼の周りには素敵な女性の方々が居るようです。ですから全てを背負う必要は無いのです。

 

「私の予知夢が外れる事を祈ります。貴方の在り方に涙を流す人達は多いです。ですので……どうか」

 

私は祈りを捧げます。例え……変えれる事がなくとも私に出来ることはこの位なのですから。

 

side out

 

side シュウ

 

教主様と出会いの後、俺はセリューさんに会いに来ていた。

 

「セリューさん。これ果物と冷たいジュース」

 

「わあ!ありがとうございます!」

 

「キュウ!キュウ!」

 

「あ、ごめん。コロの分すっかり忘れてたわ」

 

「ギュア!!!」ガーン

 

何かコロの顔がスゲーショック受けた顔してる。

 

「それで、怪我の具合は?」

 

「お腹に被弾しまして、でも内臓系は無傷だったのが救いでした」

 

「そっか。今はゆっくり休んで下さい。あ、果物食べます?」

 

「頂きます」「キュウ!」

 

「おう!コロの分も剥いてやんよ!」

 

セリューさんは問題無いようだ。恐らく次の戦闘には出れる筈だ。ナイトレイドは厳しい戦いになるだろうなぁ。

 

それから更に数日が経つ。ナイトレイドは静かで来る気配は無い。しかし…恐らく強行して来るだろう。

少し広場で黒刀を振るってると小鳥が此方を見ている。俺は黒刀を振るうのを一旦止める。すると肩に止まった。

 

「まずは此方から。セリューさんとコロは護衛に出ます。ただ、セリューさんはまだ完治して無いので後方に配置されると思いますが。後、まだ誰が何処に配置されるか分かりません。恐らく配置については当日前夜になるかと」

 

「そっか、分かった。こっちはこの前の戦いでシェーレが右腕を失って、今は反乱軍本部に戻ってるよ」

 

マジかよ……でも、そうだよな。

 

「それと、暗殺決行は明後日になるよ。ボリックが大聖堂で夜通し祈りを捧げる日が月に一度有るから。その日に私達は動くよ」

 

明後日か……よし!

 

「分かりました。俺も準備しておきます?あ、後………エスデス将軍の奥の手を教えます。『マカハドマ』と言いまして、時空を凍らせてその場に居る人を停めます」

 

「ッ!……なに……それ」

 

流石に動揺は隠せないみたいだ。

 

「なので、必ず攻撃は受けると考えて下さい。ただ、1日1回が限度みたいです。何とか凌げれば良いんですけどね。序でに言いますと、この技を知ってる人は限られてます」

 

と言うか……俺しか知らないんじゃ無いかな?

 

「なのでブラフとして使えれば良いかと」

 

「………シュウくんは大丈夫なの?」

 

「勿論」

 

大丈夫な訳が無い。しかし…やるしか無い。

 

「そう……。今回はかなり厳しい戦いになる。だけど、この暗殺を成功させれば安寧道は反乱を起こしてくれる。そうすれば、それに乗じて西の民族と私達反乱軍も一斉に行動を起こす」

 

「分かりました。必ずボリックを仕留めましょう」

 

それを伝えるとチェルシーさんは飛んで行った。

 

「…………………………」

 

言葉は出なかった。ただ、今は無心で黒刀を振り続けた。

 

 

暫く黒刀を振るっているとエスデスさんとランさんが此方に来た。

 

「シュウ、鍛錬か?」

 

「あ、エスデスさんにランさんお疲れ様です。そうです、もう直ぐナイトレイドも来るでしょうから少し復習も兼ねて」

 

「ほう…そうか。なら、久々に私直々に相手をしてやろう。ランまだ時間はあるな?」

 

「はい、大丈夫です。それに自分もシュウくんの強さを見てみたいですしね」

 

そんな感じで鍛錬場に来た訳だ。

 

「あの時はお前の実力を把握出来てなかったからな。思いっきりぶつけて来い!」

 

「エスデスさん相手に手加減しても意味無いのは骨身に沁みてますからね!行きます!!!」

 

とは言うものの切り札の殺気とナインブーストは使わないがな!

 

エイトブースト!!!

 

接近しながら黒刀を振るう。エスデスは氷の槍を此方に飛ばしてくる。

 

「見えてるんだよ!」

 

黒刀で弾きながら隙間を縫って更に近く。

 

「やはりお前の動体視力は素晴らしいな!」

 

エスデスは剣を抜き此方に近く。

 

「行くぞ!」「来い!」

 

黒刀と剣が交差する。フェイントも入れながら振るうも氷の壁が邪魔をする。

 

(やっぱり勢いをつけて振るわないと氷は砕けれんな)

 

ウェイブのグランシャリオを砕けたのは相手も此方も勢い良く突っ込んでたからだ。

 

「やっぱり強いですね!勝てるビジョンが見えませんよ!」

 

そう言いながらマグナムを撃つ。

 

ドオォン!ドオォン!

 

「直ぐに武器を切り替え対応するのも良いことだぞ!」

 

氷の壁にヒビを入れて黒刀を振るい砕く。しかし剣で受け止められてしまう。

 

(やっぱり段違いで強さの次元が違う……帝具もそうだけどエスデス自身が1番ヤバイ!)

 

兎に角自分のありったけの技をエスデスに打ち付けたのだった。

 

 

……

 

「ぐは!……ハア、ハア……もう…無理」ドサ

 

力及ばす倒れる俺。

 

「シュウ……お前の強さはかなりの物だ。そもそも、私と戦って此処まで粘れたのだ。寧ろ誇れ」

 

エスデスさんはいつも通りだった……いや、少し服が傷付いていた。

 

「………服だけかぁ……キツイなぁ」

 

そう呟き空を見上げる。

 

「ふふ、まぁ私は強いからな!その私の服に傷付けただけでも上出来だ!さあ、今はゆっくり休むと良い。ラン、水とコップはあるか?」

 

「はい、此方に」

 

いつの間に用意してたか分からないが……出来る男はやはり違うな!」

 

「氷は私が入れてやろう!」

 

そう言ってコップに氷を生成してくれるエスデスさん。

 

「ありがとうございます。頂きます」

 

「では、シュウ。私達はそろそろ行くからな」

 

俺が水を飲むのを確認した後、エスデスさんとランさんは鍛錬場を後にした。

 

「………………ナイトレイド、マジで大丈夫かな?」

 

いやー、ちょいと厳しすぎませんかね?色々さ。

 

尚更俺がボリックを仕留める必要があると思ったのだった。

 

 

……

 

それから2日後。俺は自分の武器を再度チェックする。L85、M79グレネードランチャー、黒刀、ククリナイフ2本、煙幕弾とグレネード各2個、そしてM60ニューナンブ。

 

M60は右腕の袖の下に隠し、他はいつも通りに装備する。

 

「良し!なる様になるしかねえ!行くぞ!」

 

俺は自分に気合をいれて大聖堂に向かった。

 

 

大聖堂

 

イェーガーズの配置はウェイブとセリューさんが表で防衛。ただ、セリューさん自身はまだ怪我が完治して無いのでコロの後ろで指示を出す感じだ。ランさんは空から警戒。そして、エスデスさん、クロメちゃん、俺は中で待機組だ。

しかし大聖堂は中々の広さだ。それにガラスもこれまた美しく魅入ってしまうだろう。しかし、そんな所で戦闘するとはな。

 

「随分と罰当たりだなぁ」パク

 

ジンジャエール味を出して加える。え?そんな場所で飴を食べるなって?大丈夫だって、どうせ此処も派手にボロボロになるさ!←

 

そんな感じに自己弁護してると衛兵が連絡に来た。

 

「た、大変です!賊が数名、突然中庭に現れて!」

 

「やはり今晩を選んだかナイトレイド、読み通りだ」

 

「な、中庭!?直ぐそこでは無いか!」

 

衛兵の言葉にビビるボリック。まあ、自分が殺されるかも知れないからビビるわな。

 

「クロメ、シュウはボリックを徹底マーク。離れるな!」

 

「「了解!」」

 

「しょ、将軍!将軍が直に守って下さい!しかもあの男は頼りになりませぬ!お願いいたします!」

 

頼りになら無いとは失礼な!アレか?最初の第一印象が悪かったかな?

 

「普段顔を立ててやってる分デンとしてろ。みっともない。それに、シュウはお前の持つ私兵の誰よりも強いからな!」

 

そう言ってハイヒールをボリックの顔面にめり込ませる。痛そう(小並感)

 

そうして暫く待っていると、遂にナイトレイドが来た。ナジェンダ、レオーネ、イケメン帝具だ。

俺…イケメンの名前知ら無いんだよな。

 

「久しぶりだな。ナジェンダ」

 

「エスデス…」

 

現将軍、元将軍が睨み合う。

 

「折角来たんだ。私の帝具を馳走してやろう!その後色々話そうでは無いか……拷問室でな」

 

「遠慮しよう。お前とはあまり口を利きたくない」

 

「つれない奴だな。奥の手も用意したんだぞ?」

 

「奥の手………」チラ

 

ナジェンダが此方を見る。だからウインクした。

 

「ふっ……時空を停めるのだろう?それは厄介だな」

 

「ッ!!……ナジェンダ……お前何処でそれを?」

 

流石に動揺してしまうエスデスさん。

 

「言う訳が無いだろう?レオーネ!スサノオ!行くぞ!!」

 

「おお!」「了解した!」

 

ナイトレイドは戦闘の構えを取る。

 

「チッ!まあ良い。後で拷問室で話して貰う……行くぞ…………ナイトレイド!!!」

 

パチンッ!

 

その瞬間氷の塊が上に出来る。

 

「俺の後ろに!!」

 

イケメ……スサノオは氷の塊を一気に砕く。

 

「どんな力持ってるんだ?」

 

L85を構えながらつい言ってしまう。

 

「これはどうだ?」

 

氷の矢を飛ばすエスデス。しかし、スサノオは難なく対処する。被弾しても直ぐに修復するのも帝具ならではだろう。

 

「お前……報告にあった生物型帝具か?フッ!これは俄然面白くなってきたな!」

 

「此方からも仕掛けるぞ!」

 

「ああ!!」

 

スサノオとレオーネはエスデスに対し攻勢を仕掛ける。

正直な話、助けてやりたいのはある。だが、俺はボリックを殺す事がメインだ。だからクロメと屍を何とか動かしてくれれば良いんだが……。

 

アクセルブーストで見るとエスデスの動きについて来れてない。

 

ドドドドドドドドッ

 

レオーネに向け射撃しつつエスデスの攻撃範囲からズラす。

こんな感じにしか援護出来ない。しかもやり過ぎると此方が怪しまれるし。

この攻防だけでもナイトレイドの損耗は激しい物だ。特にスサノオはモロに攻撃を受けていたし。

 

「中々面白い素材達を見つけたものだ。確保するとしよう」

 

エスデスは氷の波を出してナイトレイドを分断する。と言うか、この状況で確保出来るエスデスの戦闘力には唖然とする。

 

「お前には聞きたい事が沢山ある。特に奥の手に関してはな!」

 

「グッ!」

 

ナジェンダが首トンされる。ナジェンダを救おうとするレオーネも叩き潰される。そしてスサノオは!

 

「凍れ…」

 

バギイイィィン!!!

 

「捕獲……完了」

 

圧勝だった……言葉が出ないくらい圧倒的だ。

 

エスデスはレオーネに近付く。そしてレオーネの体を切り刻み始める。

 

「エスデスさん!何やってるんですか!」

 

流石にこれには声を掛けざるを得なかった。

 

「こいつの治癒能力には興味があってな。見ろ、もう修復し始めてる」

 

「だからと言って!」

 

くっ!やはりこの人の業は半端ないな。どうする?……いや、落ち着け。俺はボリックを殺すのだ。だから………

 

その時エスデスが身体を下げる仕草をする。そして現れたのはインクルシオを装備したタツミだった。

 

「インクルシオか…!中身はブラートでは無いのは知っている。だが、一度戦ってみたかったぞ!」

 

エスデスはそう言うとタツミに攻撃を仕掛ける。タツミも何とか攻撃を捌くが直ぐに吹き飛ばされてしまう。

 

「グッ!!」

 

「そんなものか!インクルシオ!!!」

 

しかし、ナジェンダが何かをしようとしていた。そして、

 

『禍魂顕現』

 

ナジェンダからスサノオにエネルギーが渡ってる?

 

「ナジェンダ?………何をしている?」

 

「ここまで生き残ってる私達は皆しぶとい。氷漬けにしたからといって油断しない方がいいぞ…………行け!スサノオ!ボリックを倒せ!!!」

 

バギイイ!!!

 

「私の氷が…奥の手か!しかし、あの状態から発動できるとはな!」

 

スサノオとタツミが一気にエスデスを攻める。しかし……届かない。

 

2人が吹き飛ばされるもスサノオは大剣を召喚して此方に向かって!!

 

『天叢雲剣!!!』

 

エスデスは氷の壁を作り大剣の勢いを止める。

しかし…

 

「よっと。ボリックさんご無事で?」

 

「あわ、あわわわ」

 

………もう少しビビらせれば逃げるな。

 

先程の攻撃でボリックは救えたがクロメの護衛のマスクがやられた。しかし、金髪美女は健在だ。

 

「戦闘を楽しみ切れんとは………護衛任務は今後はやらんぞ」

 

エスデスの頭上に氷の槍の塊が出来始める。

 

パキ パキパキ

 

ズオオオオオ!!!

 

えっと……多すぎません?

 

「もう、捕獲はせん。核ごとすり潰してくれる!」

 

大量の氷の槍がスサノオに向かう。

 

「最強の攻撃力をその身で味わえ!!」

 

『八咫鏡!!!』

 

エスデスの攻撃を反射する。

 

『八尺瓊勾玉!!!』

 

そしてそのまま此方に接近するスサノオ。

 

だが……ボリックは俺の獲物だ!黒刀を握り迎撃態勢を取る。

 

「私の前では全てが凍る」

 

 

『摩訶針特摩』

 

 

エスデスが奥の手を使ったのを聞いた……次の瞬間、スサノオに剣が刺さっていた。

 

そこから先はエスデスの圧倒的な力によりナイトレイドを叩き潰していった。そして……誰も立ち上がらなくなった。

そんな中ボリックがレオーネに近づこうとする。

 

ドガッ!ズザザザアァァ

 

「ホゲェ!な、何をする!」

 

俺はボリックを壁際まで蹴り飛ばす。

 

「何するじゃねえよ。此処は危険区域だぜ?そんな中勝手に動かれては困るんだよ!空気読めや!」

 

ガシャアアアアアン!

 

ナイトレイドのアカメとマインが窓から浸入して来た。

 

「このタイミングで新手か!」

 

氷の塊を向けるがマインの砲撃により爆散する。

そして、そんな中アカメが此方に来る!

 

ガキイイイン!

 

黒刀で対処しながらアカメに言う。

 

「ボリックに近付くぞ」「ッ!」コク

 

そのまま刀を交えながらボリックに近付く。しかし、クロメも乱入して更に混沌と化す。

 

ドガッ!!

 

「ふぐううう!!」

 

バギッ!!

 

「ひぐううう!?」

 

クロメの攻撃を邪魔しながらアカメをボリックの方に誘導しつつボリックを蹴り飛ばす。

 

そして……ボリックは逃げ出した。

 

「…………ッ」パチン

「……………」コク

 

俺はアカメにウインクをする。アカメもそれを察してクロメに集中する。

 

俺はボリックを追ったのだった。

 

 

……

 

side ボリック

 

「はあ、ひい、はあ……あ、あんな所にいたら命がいくつあっても足りぬわ!」

 

私は隠し通路を走ってる。このまま大聖堂から逃げ切れば安心だわい!

 

「おやおや?大聖堂から離れるのは危ないですよ?……ボリックさん」

 

「ッ!な、なんだ貴様か。なら貴様は私の護衛をしろ!何の為のイェーガーズだ!将軍以外使えんのか!」

 

私はこの小僧に何度も蹴り飛ばされたのだ。全くもって許し難い!大体最初初めて会った時から頼りない奴だったんだ!

 

「いえいえ、此処の方が危ないんですよ。大聖堂にはエスデスさんやクロメちゃんが居るからまだ、安全なんです。だけど……此処には居ないんですよ」

 

「何を言ってる!貴様が私を守れば良かろう!」ドン

 

な、何だ?

 

そして……

 

 

 

ボスッ

 

 

私の胸に……衝撃が………

 

「だから言ったでしょう?此処より大聖堂の方が安全だと」

 

ボスッボスッ ボスッボスッ

 

更に衝撃が……走る……力が抜ける。奴の手には銃が握られていた。

 

「き、さま……まさか………裏切……り………」

 

「最初から貴方を殺す事を考えてましてね。ようやく来たチャンスですからね」

 

その台詞を聞いた瞬間……私の意識は暗転した。

 

side out

 

side シュウ

 

M60を袖の下にしまいC4爆弾を3kgぐらい生成する。そして遠隔操作の端末を差込準備完了。

 

「それじゃあ、さよならボリック。あんたの死は精々利用してあげますよ」

 

そう言ってスイッチを押した。

 

 

 

ドカアアアアアアアアアアン!!!!!!

 

 

あ、これ……ヤベェかも!

 

ナインブーストを使い大聖堂に逃げたのだった。

 

……

 

何とか大聖堂に向かった時にはスサノオしか居なかった。

 

「自らを盾として仲間を逃す時間を稼ぐか。ナジェンダの部下は甘い奴ばっかりだな」

 

「俺は帝具人間だ。奥の手も使い切った……この役目は適任だ」

 

「………お前名前はスサノオでいいのか?」

 

「…そうだ」

 

ジャッ!!

 

「帝具ではなく戦士としてその名を覚えておいてやろう!」

 

「…………」

 

「命の散り際…その最後のあがきで!楽しませてみせろ!!!!」

 

「おおおおおおおおお!!!!」

 

 

ガキイイイン!!!!!!

 

 

結果はスサノオの敗北に終わった。だが、あの戦いを見れた事は忘れはしないだろう。

そして……恐らく俺も疑われるだろう。特にエスデスの奥の手に関しての情報は………。

 


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