逃げる?違います。明日への前進です。   作:吹雪型

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再会……

「ッ!!!」

 

アカメが目を見開く。しかし…もう手遅れ。

 

「俺の勝ちだ」

 

 

 

ドオォン!!!

 

 

 

 

 

弾頭がゆっくりと銃口から飛び出る。

空気を切り裂きアカメに向かう。

アカメも抵抗する様に身体を捻ろうとするが手遅れ………。

 

しかし……帝国の闇は俺に牙を剥いた。

 

 

ビュウウウウンンンン!!!!!!

 

 

「「ッ!!!」」

 

 

俺とアカメの間に一筋の赤いビームが走る。然も……その間には50口径の弾頭がある。

 

50口径の弾頭はシコウテイザーのビームにより僅かに軌道がズレてしまった。

 

そして……アカメは…………掠った程度で済んだ。

 

「ッッッ!!!!こんな……事が!!!」

 

バックステップをして距離を開け村雨を構える。アカメも黒刀を構え此方に接近。

 

「うおおおおおお!!!!!!」

「はああああああ!!!!!!」

 

お互い全てを使い斬り合う。

 

一瞬距離が開く。アカメと俺は刀を構え直し……

 

 

 

「アカメエエエエエエ!!!!!!」

「シュウウウウウウウ!!!!!!」

 

 

 

 

お互いが交差……

 

 

ザンッ!!!

 

 

 

 

 

 

静寂……しかし…誰かの怒声や爆音等が聞こえた。

 

 

 

 

「アカメ……お前は、全てを……背負っているのか?」

 

俺は聞きたかった。村雨を握った時に感じた思い。斬った者達の意志を感じたのだ。

 

「あぁ、そうだ。それが私に出来る……唯一の償いだ」

 

「……そうか」

 

やっぱり……アカメちゃんは強いな。

 

「ならば………全てを背負い続けたアカメと………自己に走った俺とでは………俺が負けるのは…道理な………訳だな」

 

俺の体に痛みが走る。全身の力が抜け……地面に倒れた。

 

「はあ……はあ……はあ………」

 

致命傷だなぁ……コレは。

 

「うおおおおおお!!!!!止まれえええええ!!!!!!」

 

この声は……?

 

「タツミ!無茶だ!!」

 

アカメの声が聞こえる。そうか……タツミの声か。

俺はタツミの方に視線を向ける。タツミはシコウテイザーを押し戻そうとしていた。

 

「……全く……ガフ………最後まで……世話が掛かる……奴だな」

 

俺は懐からスイッチを出し……押した。

するとシコウテイザーの股関節の場所から大爆発が起きてそのまま真下に崩れた。

 

ポイ カンカラ

 

俺はスイッチを捨て仰向けになる。

 

「シュウ……お前が?」

 

アカメが問う。

 

「タツミに……伝えてくれ………最初の借りも…………合わせて…ゴボッ………ハア………デカイぞってな」

 

空を見る……もう直ぐ夕方か…………。

 

「アカメ……俺は後悔………して無いぞ」

 

「シュウ……お前は何故?」

 

「好きな人に……死んで……欲しく無い…………誰もが……思う事だろ?」

 

「……シュウ」

 

「夕陽か………赤色は……好きじゃ無い………だけど…………この夕陽の色は…………嫌いじゃ……な………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

俺は霞む視界をゆっくりと閉じた。

 

 

 

side out

 

 

アカメはシュウを見る。動く気配は無い。

そして、己が持つ黒刀をシュウの右手に握らせ自分は村雨を握った。

 

「そこに居るのはナイトレイドのアカメ!」

 

「ッ!」

 

そこにはセリューが居た。

 

「………今は貴女に構ってる状況ではありません。だから、私は貴女を…………………え?シュウ……くん?」

 

アカメの足元に血を流し仰向けで倒れてるシュウを見つける。

 

「………………シュウ…くん?…………嘘……だよね」

 

返事は無い。ただ、そこにあるだけだ。

 

「………い、いやああああああ!!!!!!シュウくん!!!!!!」

 

セリューはシュウに近づく。アカメはそのままセリューを無視して次の標的に向かう。

 

「シュウくん!目を……目を覚まして!ねえ!…シュウくん……目を………覚ましてよぉ………」

 

「キュウ……」

 

セリューはただ泣くしか出来なかった。そう、任務よりシュウを選んだのだ。

 

「アカメ………何があったの?」

 

「チェルシー………」

 

そこにはチェルシーも居た。そして…状況を把握した。

 

「アカメが………殺ったの?」

 

チェルシーはアカメに問う。

 

「そうだ。任務の障害になるからだ」

 

「そんな!アカメなら殺す事なく「無理だ」……無理って」

 

「シュウは本気だった。そのシュウに手加減しながら戦うのは………無理だ」

 

セリューの泣き声だけが辺りに響く。

 

「シュウ……くん」

 

チェルシーもシュウに近付く。そして……膝をついてしまう。

 

「こんなのって………あんまりだよ」

 

チェルシーも俯いてしまう。肩が震えてる………ただ静かに涙を流すしか出来なかった。

 

シュウの死に涙を流す二人。そんな中、ナイトレイドの最終目標が現る。

 

「ほう、此処に居たか……アカメ」

 

「エスデス……」

 

そこには悠然とした姿のエスデスが居た。しかし…

 

「ん?………シュウ…………そうか」

 

エスデスはセリューとチェルシーを見て……シュウを見た。そして…全てを悟った。

 

「シュウが弱かったから死んだ……ただ、それだけだ………だが、何だ……この気持ちは」

 

エスデスは呟く。自分に言い聞かせる様に。

 

「エスデス……覚悟は良いか?」

 

村雨を構えるアカメ。

 

「フッ……今のお前は満身創痍だな。そんな中で私に勝てるとでも?」

 

「それでもお前は倒す……これ以上戦いを生み出す事はさせない!」

 

アカメは殺気を立たせる。

 

「気概は良し。だが…そんな状態でどうやって倒す?」

 

そう、シュウとの戦闘によりアカメはかなりの体力を使ってしまった。

 

「アカメ!無事か!」

 

「ん?この声は…ナジェンダか!」

 

そこには帝具使い10人と革命軍兵士を引き連れたナジェンダが居た。

 

「アカメ待たせたな……エスデス!そろそろ覚悟を決める時だ!!」

 

本来なら革命軍でエスデスを囲んでから事を構えたかった。しかし、今アカメを失う訳にはいかない。

 

「フッ……フフフフ……アッハハハハハ!!!この程度の戦力で私を倒すつもりか?」

 

ザワッ!!!

 

ナジェンダに帝具使い、そして革命軍兵士は目を見開く。

 

「見せてやろう……対軍用の奥の手の真の姿を見せてやろう」

 

パチッ

 

氷騎兵が砕けその力がエスデスに戻って行く。

 

「味方がいなくなったからこそ出せる技といかいものもある」

 

ズ…ズズッ…ズズズズザアアア

 

「これは!?」

 

「氷騎兵に割いた力が!」

 

「エスデスに戻ってきているのか!?そんな…使い方が………ッ!用心しろ!」

 

徐々に力を増していくエスデス。

 

「ナジェンダ……それに反乱軍将兵諸君。本来なら……この大地……国土そのものを攻撃した上で反乱軍を潰すつもりだったが……止めた」

 

「「「「ッ?」」」」

 

まさか国土そのものを攻撃出来るとは思わなかったのだろう。しかし…それを止めたとなると………

 

「この力は全て貴様らに充ててやろう!!!シュウを……殺した事を後悔しながら死んで行くと良い!!!」

 

ドンッッッッ!!!!!!

 

エスデスから途轍も無いオーラが出る。

 

「こんなの………人間じゃ無い」

 

誰かが呟く。

 

「クッ!相手は一人だ!此奴を倒せば全てが終わる!行くよ!!!」

 

帝具使い、革命軍将兵はエスデスを囲み攻める。

 

「緩いな」

 

パキイイイィィィン!!!!

 

囲んでいた帝具使い、将兵は一瞬で無力化された。

 

「こんな……事が」

 

「良い顔をしてきたなナジェンダ。そうでなくてはな……。今までのミッションはわたしを倒さずとも成立したな。だが、今度は私を倒さなくては終わら無いぞ?」

 

エスデスは革命軍に近づく。

 

「さあ、最強の力の前に平伏すが良い!!!」

 

エスデスは革命軍に牙を剥いた。

 

 

……

 

アカメは革命軍の中に紛れ込んで居た。エスデスを仕留める為にだ。

しかし、エスデスはシュウを殺したのがアカメだと理解していた。つまり…

 

(お前だけは必ず殺す)

 

しっかりマークされていた。例え他の帝具使いや革命軍将兵を殺そうとも、視線はアカメに向いていた。

 

そんな中セリューとチェルシーは未だに動いていなかった。本来なら逃げるべきこの状況下。しかし…シュウが残した物は大きな物であった。

 

side エスデス

 

シュウが死んだと理解した瞬間……世界がとてもつまらない物になった。

色が無く……まるでモノクロの世界にいるような気分だ。

きっと私はもう笑う事は無いのだろう。

戦いの中私はとても冷静であった。もっと熱く、楽しい筈の戦いが………酷くつまらない物になった。

本来なら国全土を凍らせるつもりだった。しかし……それは意味が無い事に気付いた。私に出来る事……せめてこの場にいる反乱軍を皆殺しにしてやる。それがシュウに対する手向けだ!!!

 

「さあ!!!来い反乱軍!!!貴様らに残された道は私を倒す!!!これが全てだ!!!」

 

だから容赦も手加減もし無い。全員皆殺しだ。

 

帝具使いが連携して来たが……普通に対処した。これがシュウなら更に懐に入り込んで来るだろう…ッ!!

 

ガキイイイン!!!

 

「ッ!エスデス!」

 

「隙をついたつもりか?甘いな!!!」

 

アカメをいなしながら考える。アカメの存在は厄介だ。なら……

 

「お前は特別仕様で相手をしてやろう!」

 

厚い氷の壁を作り革命軍の邪魔は入れさせない。

 

「さて……覚悟は良いか?アカメ」

 

「エスデス……お前を葬る!!!」

 

アカメが一気に接近して来る。しかし…

 

「あまいわ!その程度の速さなら見慣れてる!!!」

 

……ここでもシュウを重ねるとは。

 

セリューとシュウ、それともう一人の女を見る。あの2人は……まあ良い。

 

「貴様は楽に殺されると思うなよ?徹底的に潰した後に殺してやる」

 

構えを取る。

 

「…………哀れな奴だ」

 

「フッ…哀れだと?笑わせる「お前じゃ無い」……何?」

 

アカメが誰に対して言ったのか……

 

「お前では無い……シュウに対して言っただけだ」

 

それを聞いた瞬間……決めた。

 

「シュウが……哀れだと?」

 

「そうだ。お前の為に戦い、お前の為に死んだ彼奴は……無駄死にをしたのだと」

 

こいつは今すぐ殺すとな!!!

 

ガキイイイン!!!

 

「お前は……お前は!!!」

 

「ッ!!!フッ!!!」

 

アカメが懐に入り込んで来る。しかし…

 

「お前の腕力では破れまい」

 

どの道私が勝つ。

 

アカメが距離を取る。そして……アカメは自身の手を村雨で斬る。

 

「うっ……ぐ………あ…アアアッ……………ガアアア………」

 

まさか………

 

「人を捨てたか……」

 

「私は多くの人を斬り続けて来た。怨み…悲しみ…志半ばで倒れた者たち…………村雨は全てを覚えている。ならば…私はその全てを受け入れる!!!」

 

ドンッッッ!!!!!!

 

「妖刀に相応しい奥の手だな。だが……私には勝てん!!!!!!」

 

「葬る!!!!!!」

「負けん!!!!!!」

 

私はアカメに対し全力で相手をする!!!負ける訳にはいかんのだ!!!!

 

 

side out

 

 

 

 

side ???

 

此処は……何処だろう?

 

白い空間に居る。何か大切な事があった気がする。

まあ…考えても仕方ないな。

 

そう思いつつ歩く。

 

 

……

 

………

 

どのくらい歩いたのだろうか。ずっと歩き続けても周りは白い。方向感覚もハッキリ言って無い状態だ。

 

すると目の前に黒い点が見えた。取り敢えずその黒い点がに向かって歩く。

どんどん近付く黒い点……いや、人影?

 

「?……アレは……嘘だろ?」

 

俺は走る……人影に向かって。

 

「父さん!母さん!」

 

「よう!シュウ」

「まあ、大きくなったわね」

 

な、何で両親が?

 

「久しぶりだな我が弟子よ」

 

「ヌ、ヌマさん!それに、他の人達も!」

 

「ククク……ミジュクモノメ」

 

「ヘンターさん……それに……皆」

 

「よう。シュウ」「元気だったか?」「シュウにいちゃーん!」「彼女は出来たのか?ガッハハ!」

 

其処には……皆が居た。そう、皆が……だ。

 

(あ……そうか。俺は……もう………)

 

 

「………………あ、そうだ。皆に土産話があるんだ!色々あるからさ!」

 

 

俺は今までの事を話した。ムカつく事や辛い事…楽しい事や嬉しい事…帝具使いとの戦闘や危険種狩りとか……全部話した。

皆静かにそれを聞いてくれていた。そして…話して気付いた。

 

俺、結構……楽しい旅を送っていたみたいだ。

 

「…………………………」

 

気が付けば俺は黙っていた。

 

「シュウ………良いのか?」

 

「え?……」

 

父さんが唐突に聞いてくる。

 

「我が弟子よ……こんな途中で終わらせる様に育てた覚えは無いぞ!」

 

「ヌマ……さん」

 

「へへ、俺達以外にも飴が欲しがってる奴が居るんだろ?」

 

「タケシくん……」

 

「マダ…マダ……キタエナオシダナ」

 

「ヘンターさん」

 

「お前はまだやる事あるんだろ?」「ほらっ!頑張って!シュウちゃんなら行けるわ!」「シュウくん!頑張って!」

 

「でも、俺……皆の仇を……その相手を!」

 

「何を悩んでんだ……シュウ坊」

 

この声は…………

 

「ゲンさん………」

 

其処にはゲンさんとゲンさんに寄り添う女性と子供が居た。

 

「言っただろう?お前は……お前だ、お前の為に生きても誰も責めねえよ。周りを見てみな。責めてる奴はいるか?」

 

ゲンさんに言われ皆を見る。

 

皆……頷くだけだった。

 

「シュウ……アンタは立派で優しい子に育ってくれて、母さんは嬉しいよ」

 

「母さん…」

 

「シュウ。ありがとうな……もう、私達は大丈夫だから」

 

「父さん…」

 

「弟子よ。身体は大切にな」

 

「キタエナオシ……ガンバレ」

 

「シュウちゃん、いってらっしゃい」「お前なら出来るぜ?行って来い!ガッハハ!」「飴待ってる奴を待たせんなよ!」「気を付けなよ」「無茶し過ぎるなよ!ちゃんと頼れよ!」「女3人悲しませんなよ!」「ハーレムとか男だねえ」「精々生きて来い!」「次の土産話期待してるからな!」

 

 

 

 

 

 

………………皆……よし!!!

 

「行ってきます!!!!!!」

 

俺は駆け出した。皆からの声援が聞こえる……なら、その期待に応えなきゃあ男じゃねえ!!!

 

 

 

走る…白い空間を全力で走る。

 

 

ファイブブースト!

 

 

まだ足りない

 

 

シックスブースト!

 

 

まだまだ全然足りない

 

 

セブンブースト!!

 

 

もっと速く!

 

 

エイトブースト!!

 

 

もっともっと速く!!!

 

 

ナインブースト!!!

 

 

まだだ!まだ足りない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テンブースト!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

………

 

 

 

 

 

side シュウ

 

目を覚ましたら……セリューさんが涙を流しながら呟いていた。

 

「シュウくん……膝枕好きだから………こうしてると………目を覚ましてくれる筈だよ」

 

如何やら俺はセリューさんに膝枕されてるらしい。視線をズラすとチェルシーさんが左手を握っていた。そしてチェルシーさんも泣いていた。

 

その時、剣がぶつかる音が聞こえた。そっちに視線を向ける。

 

「上か!!!」「葬る!!!」

 

考えるより身体が動いた。

 

テンブースト!!!

 

身体を起き上がらせ右手に黒刀を握りエスデスとアカメに向かって行く。

 

 

間に合えええええ!!!!!!

 

 

俺はエスデスを退かし黒刀を上に構える……そして

 

 

ガキイイイン!!!!!!

 

村雨と黒刀がぶつかる。そして…その衝撃をモロに受けた俺は……

 

ブシャアアアアアア

 

「ギャアー!!!血がー!斬られた所から大量の血がー!そして出てはいけない大切な何かも出ちゃうよー!!!」

 

再度皆と再会仕掛けたのだった。

 




最後まで締まらない。それな主人公クオリティー!

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