①蒼空
「もういい加減諦めたらどうだ?」
そう言われて
「ハイそうですね…って諦められるくらいならとっくに諦めてますっ!」
そう言ってボクはこの忌々しいパートナーから目を反らしてこっそり溜め息を吐くと堪えていた涙が溢れ出てた
「ホラホラ、口先だけで強がるのはもうやめなよ?
その見た目に相応しくないんだかららしく生きれば良いんだよ?らしく生きればね♪
翔のその容姿に相応しく振る舞えば皆が喜ぶんだからさっ♪」
そう言われて
(ふんっ、誰が喜ぶんだよ?皆から疎まれて生きてきたボクなんか見てさっ!)
そう思ってそっぽ向いたまま無視するボクの背中につつーっと指を這わすっていやがらせするから…
息を大きく吸って力一杯ひっぱたいてやろうと振り向きながら右手を振り回したけどしっかり読まれてる
アイツは易々とボクの手首を掴むと腰に手を回されるとグイっと抱き寄せられて口を塞がれたんだ…
挑発に乗ってまんまと振り向かされたおバカなボクを嘲笑う奴の目がボクの目の前にある…
悔し涙で霞む視界が恨めしい
ボクの名は保志蒼空(ほしそら)だからほしぞらとか呼ぶ奴もいる
自称ボクの親友の
「海床銑(かいしょうせん)」に騙され参加した仮装パーティーの優勝賞品に釣られたボクもバカっちゃあバカだったのは否定できないんだけど…
「主催者指定のコスプレなんだがそれでも平気か?」
そう銑に確認されたけど既に頭の中は世界一周旅行の妄想の虜(既に優勝する気満々)のボクの耳には入って無くて渡されるままに着替えたんだ
それが十二単のお姫様コスプレって気付きもしなかったしそもそも全然見てもいなかった
勿論それはとてもじゃ無いけど一人で着られるような代物じゃないからスタイリストに手伝ってもらったんだけどね
着替え終たボクの手をパーティーのスタッフが引いて案内してくれ無きゃ迷子になりそうな…
つか一人じゃまともに歩けないんですけど?重すぎて
ボクはエスコートされながら歩く大きなパーティ会場は多分廃業した温泉旅館を改造した物なんだろね
そのメイン会場になってるホールらしい部屋の扉が開けられさらにその中に在る扉が開いて見えた室内は照明が落とされていて
スタッフ達が持つペンライトで足元を照す物以外光が見当たらない状態だからかなりの人数居るんだろうけどどんな人達なのかは解らない
まぁ、皆仮装してるだろうから見たって解るとは限らないけど…
「間もなく照明が点きますから目を閉じてお待ちください」
そう言われて大人しく指示に従うボクの手を握る奴がいて銑かな?
って思ってたけど照明が点されゆっくり開けた目の前に有った顔は銑のそれじゃ無いどころか人間のそれでさえない
「それって吸血鬼?のコスプレ…なんだよね?」
そのリアリティーに溢れる姿に思わずそう呟いたけど吸血鬼はニヤーっと牙を剥き出しにして笑い
握ってたボクの手をグイっと自分の方に引き寄せバランスを崩したボクを抱き止められてその事態にえっ?って驚いてるボクの首筋に顔を寄せてきたから流石に
(キモいっ!)
そう思って
「ヤ、やめろっ!」
そう言って突き放そうとしたけど腕力に全然自信無いボクの手には負える相手なんかじゃない
全身に鳥肌がたつようなそわぞわっとする悪寒に襲われもう一度
「やめろっ!」
って叫んだつもりだった
でもボク自身気付かないうちにボクの心の中に巣食ってたその恐怖心はボクの心と身体を縛り付け瞬きすらできなくなってた
「何やってんだか…」
その声と共にガツンっ!って鈍く響いた打撃音がまるで今まで動けなくしてた呪縛を解いたみたいに身体は軽くなったけど…
力を失って倒れる吸血鬼を見てるボクの脚も力が入らなくてその場にへたり込んだんだ
「銑…」
自分でも驚くほどの掠れた声でそ
の名を呼ぶと
「お前ってば…思ってた以上にその格好似合いすぎ…」
そう言って暫く俯きながら震えてるからどうしたんだろ?って見守ってたら銑の奴大爆笑しやがった
何で銑が笑ってるのかは解らないけどボクが笑われてるのだけははっきりしてるけどそんな事よりも
「こんなの聞いてないけどなんなのさ?このキモいおっさんはっ!」
って抗議したら
「知らんよ、こんな奴は…知り合いじゃねえけど大方愛い男の娘好きの変態爺なんじゃね?」
何て無責任にゆーから
「だからそんな話は聞いて無いって言ってるんだけど…」
再度抗議したら
「何のリスクも無い旨い話なんか有るわけねぇーっつうの♪」
ってとことんボクをバカにしてるけど否定できない自分のおバカさ加減がホントやんなる…
「んでこの人このままにしといてしといて平気なの?」
心配して銑に聞いたら
「人のパートナーに手を出したんだから当然の酬いだ
放っておけば主催者が処理するべき問題だからおは何の心配する必要は無い」
って銑はゆーけど何か有って文句ゆわれるのも又顔合わせるのもヤなんだけどな…
ボクは銑みたく強くないんだからさ…
って不安を隠せずに居ると
「何だよ、俺が大丈夫だって言ってるのが信用できないってのか?」
そう言われていつもは優柔不断なボクがはっきり
「うん、出来ない…だって銑ってボクにはいつだって意地悪なんだもん、信用出来るわけ無いでしょ?」
ってそう返事したら溜め息吐いて
「はぁ~っ…今助けてやったのはどこの誰なんだよ?」
そー言われて
「そーやってボクを安心させといて泳げないボクを年に何回もブールに突き落としてくれたのは誰なのさ?
今助けてくれたからってこの次も銑が助けてくれる保証は無いし銑が差し出す手を素直に掴めないのはこれまで培われてきたボクの銑に対する信頼関係の賜物
助けてくれるふりして何度も繰り返してプールに突き落としてくれたからね
それに銑がボクを守らなきゃいけない理由はないし一回助けてくれたんだからここに連れてきた義理は果たしたんだからさ…後は…もう僕に残された選択肢は諦めるしかないでしょ?諦めるのには慣れてるしね」
ボクにそー言われてなんて言い返そうか考え込む銑に
「良いからボクの事は放っておいてよ?ボクは諦めて帰るんだからさ」
そー言って振り向いたら
「この小娘…未だ元の世界に戻れるつもりでおるわ」
そー言われて顔を上げたら顔だけがボクの目の前に在って
真っ赤な唇が大きく開いた口から牙と蛇のよーな舌がシャーっとゆー威嚇音も聞こえるんですけど…
「あ、あはは…小娘って一体誰の事なんでしょうか?」
顔をひきつらせ乾いた笑い声のボクは後退りして距離を取ろうとしたけれど裾を踏んで尻餅着いて立ち上がる事すら儘ならない…
(えっ、えーっと仮装だよね?すんごいリアリティー有るけど仮装…特殊メイクだよねっ!?つか誰かそーだって笑いながら言ってよ、特殊メイクだってさ
長い首も顔や首を彩る蛇皮の様な迷彩もみんなみんな特殊メイクだよね~っ♪てね)
でも…今は取り敢えず逃げるっきゃないよね?逃げられそうな気は全然しないんだけど一応ね…
振り返って立ち上がろうと着いた手が滑って顔からつんのめって
「痛いっ…」
口の中で小さく呟くだけにしてなんとか泣くのだけは我慢した
銑が見てる所では泣かないって決めてるから…
泣いたら又銑にからかれるから…でももう終わりなんだね?ボクの短い人生は間も無くピリオドを打つんだ…
もしも願いが叶うなら寝汗でびっしょりで良いから「やな夢だった…」
そーいいながら学校の保健室かボクの部屋の在る倉庫のベッド辺りで愚痴れたら良いけど…
でもさっき思いっきしぶつけた鼻の痛さが現実だって言ってる
グイッと持ち上げられてるのを感じて
(もう終わりなんだ…まぁ生きてたってどうせろくな事無いから未練は無いっちゃ無いんだけどさ…)
だからボクは息を詰めてぎゅっと目を閉じて最後を待ったんだ
(苦しまずにに逝けたら良いな…)
人生諦めが肝心が座右の銘のボクは既に諦めはついてた
ボクの力でなんとかなるわけ無いんだからさ…だから
(あぁ…痛いのヤだな…一思いに丸飲みして…
いやそれはそれて息苦しいってなんかの本て読んだ気がする…)
そー思い悩むボクに
「蒼空、いい加減目を開けて状況を見ろよっ!」
そー言われて
「ヤだ、断る…見たくない現実なんか見たくない
見たってどーしようもないんだからさ」
そー言って更にギュッと目を瞑るボクの耳にフーッと息を吹きかけられ
「だからそーユー事はヤメレって言ってるよね?銑」
ボクにそー言われた銑が不機嫌そうに
「何で俺のせいなんだよ?」
そーユーから
「銑以外の誰がボクを構うのさ?」
そー言われて唸る銑に
「ボクはもう死んだんだから放っておいてよ?」
ボクがそう言ったらさっきぶつけた鼻を摘まんで
「痛いだろ?未だ生きてるんだからちゃんと状況を見ろよっ!」
そー言われてやっと気付きましたよ、銑にお姫様だっこされてる事をね
「あははは…銑、さっきの個性的な人って銑の知り合いかなんか?
あの人ボクに何か恨みでもあるの?もちろんボクにはあの人に恨まれるよーな覚えはないけどね…」
そー言って睨むボクに
「ンな物有る分けねぇーだろ?俺だって初対面なんだからよ
お前を敵っつかお前が気に入らねぇだけじゃね?」
そう言って大きな花瓶の陰につれてきた銑に
「じゃあ銑の後ろに居る人もそー思ってるの?」
ボクに言われて銑が振り向くとその人は
「さぁ、君が本気でこのゲームのクリアを目指すなら私は君を守るけど?」
そー言われて
「じゃあ無理だね…ボクはこんなの付き合いきれないしボクが頑張ってみたところで…」
溜め息を吐くと
「まぁ良いや、何か凄い事を言われたし後戻り出来ないなら諦めて先に進むしかないんだよね?銑…僕が望むと望むまいと関係無くさ
痛いのやだから痛くしないでよね…今か後か大した違いないっしょ?」
そーボクに言われて溜め息を吐くと
「相変わらず言葉遣いとかめちゃくちゃだぞ?」
そー言って笑うから
「そー思うなら今更言わなくても良いじゃん…」
そー言ってむくれるボクの頭を撫でながら
「私は颯天、覚えておきなさい
海床銑、君とは何度か顔を会わせたがパーティーを組むのは初めてだね?我相棒共々よろしく頼むよ」
そー言って木刀を中段に構えると敵に向かいながら銑に
「君は蒼空媛を守りなさい、この辺りに居る連中なら君の手を借りるまでもない
これを乗りきったらお茶にしませんか?蒼空媛」
そー言ってボクを狙ってるっぽい人達中に斬り込むとその人?達を蹴散らしてったんだ
その様子をぼーっと見てるうちにバトルタイムは終わったらしく銅鑼が撃ち鳴らされて
「一次予選が終わったらしいな…」
そー言って再びボクをお姫様だっこして颯天さんと多分颯天さんが言ってた相棒さんと並んで開け放たれた扉から会場を出たんだ
「怪我は、痛いところはないか?」
めったに聞けない優しい声で聞かれたボクは
「さっき鼻の低いボクがもっと低くなるんじゃ?って心配する位強くぶつけて痛いのに摘まんでくれた鼻が痛いよ、それと…」
「右足を捻ってるね?」
そー言われて
「えっ、何でわかったの?ボク自身今気がついたのに?」
そー聞いたら
「私は銑が君の右足を気にしていたから気付いたのですよ」
そー言われて銑を見たら
「ひ、表情みてりゃわかるんだよ…何年お前を見てきたと思ってるんだ?」
銑らしからぬ真剣な表情で言う銑を見ながら
「そんな顔で見ないでよね…又勘違いしそうになるじゃん?」
そー言って視線を反らすボクに
「良いから右足を見せろっ!」
そー言って着物裾をはだけるのを見て苦笑いしながら
「もう少し場所柄を弁えたまえ、蒼空の素足を見られて良いなら私が言う事はないのですけどね?」
そー颯天さんに言われて気が付いた銑が一言
「済まない」
って言ったけど意味かわからない
そう言えばお互いちゃんとした自己紹介はしてなかったね?
私は暴風、小太刀二刀流の使い手の颯天と相棒の烙硝で狩人です」
そう名乗ってくれたからボクも
「ボクは保志蒼空、職業は何でか見習い巫女何だって…この衣装といい何考えてるんだろうね?
因みに捻挫してるから今は無理だけど特技は立ったまま寝れる事」
ボクがそー言ったら銑に
立ったまま寝る奴は他に居るだろうが直立不動で寝るのはお前くらいのもんだ」
とかゆーから
「あはは、誉めたって何もでないよ?銑」
ボクは照れながら銑に言ったら
「誉めてねぇ…つか何で誉められてると思うか理解できん」
そう言われて
「えーっ?だって凄い事でしょ?立ったまま寝れるなんて…」
口を尖らせてゆーボクに銑は
「炎天下の朝礼でいくら校長の長話が退屈だからって寝たまま貧血になって倒れるやつを誉められる訳ねぇだろが?」
なんてばらしてくれるから
「な、そんな事まで言わなくたって良いでしょ?
颯天さんと烙硝さんにまでわらわれちゃったじゃん?」
ボクのその抗議に銑は
「お前の天然キャラなんざどうせすぐばれる」
呆れて言う銑に
「て、天然ってなんだよ?小さい頃に拾われ海床家の分家の保志家で飼われてるボクは養殖物じゃん?」
そう言って銑から顔を背けるボクは三人が吐いた溜め息を知らない
「そう言えば蒼空、お前はどんな武器を貰ったんだ?」
場の空気を変えようとした銑にそう言われて髪に挿してある翠緑の玉石をあしらった釵を見せたら釵を手に取って見せたら
「ま、まさかこれはオリハルコンっ!?」
って驚く二人に
「オリハルコン?そんなの実在してるわけ無いでしょ?
いくらボクがおバカだからってそんな事位知ってるのにそんな冗談酷くない?」
って言ったら銑が
「翔には教えてないがここはもう元の世界じゃ無いんだ
だからあの世界の常識はここでは通用しないんだよ」
そう銑に言われて颯天さん見たら頷いたから
「颯天さんがそうゆーならそうなのかな?」
ボクがそうゆーと銑が
「蒼空、おまえなぁーっ…それじゃあ何か、俺のゆー事は信じられないってゆーのか?」
何てゆーから
「当たり前じゃん、そんな事…又からかわれてるんじゃないかって疑うに決まってるでしょ?
銑って今までどんだけボクの事からかってきたのか覚えてるの?
ボク自身覚えきれないと言うか挨拶代わりにからかわれてきた銑のゆー事を信用出来るわけ無いじゃん…」
他のだれよりもボクの事見てくれてる銑の事をホントは信じたいけど…
いつか裏切られるんじゃ?
ボクに愛想尽かして見捨てちゃうんじゃ無いかって思いながらいるのは辛かった
だのに銑ってばそんなボクの気持ちを知ってか知らずかからかってばかりで…ホントやんなる
だからこうゆー時も信用して良いのか解らなくて困るんだよね
「ところで銑、この釵がオリハルコン製ならなんだってゆーの?」
そう銑に聞いたら
「存在はするがレアメタルのオリハルコンは超が付くレアアイテムでしかも…
この世界でオリハルコンの釵を持つ事を許されているのは一部の王族の中でも霊媒質の王女、高位の巫女や魔女等魔導に携わる者だけ…」
そう言われて首を傾げるボクに颯天さんが
「持つことを許される者も滅多にいないんだよ…しかもいきなりオリハルコンの釵を持つ事を許される者なんてね」
言われてる事がもう少し解らないから
「誉められてるのかな?ボク…こんな女装なんかしてるのに?」
苦笑いしながらそーゆーと
「少なくとも銑に出会うのが先で良かったと思うよ
下手な奴が蒼空と知り合ってたら…女装って笑ってられる状態じゃなかったろうね
ほら、あちこちに蒼空を狙って様子を伺う輩が隠れて見張ってる」
そう言いながらまるでリスが木の実を食べてるみたいにチョコクッキーを頬張るボクを笑顔で見守ってる颯天さん
「こんな事なら翔をつれてくるんじゃなかった」
そう呟いてる銑に颯天さんが
「取り敢えず巻き込んだと言うより無事保護できたと考えるべきだろうと思うな?
見たまえ、顔は笑ってるけど目には怯えの色が浮かんでいる
自分に向けられてる視線じゃないのにこうも不快にさせる視線に蒼空自身が気付かないはずはない」
微かに震える自分の手元に驚いて銑の方を見て
「あ、あはは…な、何でかな…さっきから手の震えが止まらないんだ…」
ボクにそう言われて銑が
「蒼空、俺の部屋に来い…颯天さんとアンタもな…」
そう言って銑がボクを抱上げると颯天さんは飲み終えたティーカップやポットをバスケットに片付けて銑の後ろついて歩いた
銑の部屋はボクの部屋とは比べようもない位に広くていわゆるところのスイートルームってゆー部屋で…
その中の一部屋に運ばれて部屋に在る物は好きに使えば良いって言われて窓際に置かれたソファーに座らされたんだ
ボクに与えられてた部屋と比べたら虚しくなるから比べないけどまぁいっかぁ?
大して荷物有る訳じゃないし…あ、プールが在る…ヤだなぁーっ、ボク泳げないんだよねぇーっ…
えーっとクローゼットの中の服に着替えて良いって言ってたよね?
そう思いながらクローゼットの中の服を見てたら何となく服を用意した人間の趣味が透けて見えた
セーラー服に始まってブレザータイプの制服にダッフルコートにブルゾン
ブルマにスクミズ、ルーズソックスまであるよ…
怪しすぎる趣味が恐いけどまさか銑の趣味じゃないよね?
取り敢えずジャージに着替えて脱いだ着物折り畳もうと苦闘してたら如何にも執事っぽいじいさんが部屋に来て
衣紋掛けに掛けてくれてるから
「取り敢えずこの格好で良いのかな ?」
そう聞いたら
「食事まで時間が御座いますから宜しいかと」
そう答え
「では失礼致します」
そう言って一礼するじいさんに有難うって声を掛け部屋を出ていく後ろ姿を見送ったんだ
えーっと…タブレット端末機があるな…
そう言ってそれを手に取って電源を入れるとまずボクのステータスが表示された
保志蒼空、職業巫女、職業レベル見習いの巫女
装備、ピンク色の巫女装束、玉串、オリハルコンの釵、編み上げのサンダル、ギンガムチェックのスクールバッグ
パラメーター
ライフ:20
マジックポイント:50
体力:20
気力:40:
力:5
素早さ:1
かしこさ:1~50
格好良さ:10
って何か使えそうにないキャラ設定だなーっ?
ってブツブツ言ってるとドアを叩く音がしてドアを開け
「入るゾッ」
って入ってから言ってるよ?銑…
そう突っ込みたいのを我慢して
「どうしたの?銑」
って聞いたら
「いや、大した用じゃないんだが晩飯に何を食いたいかと思ってな…」
その言葉の割りにボクのジャージ姿を見てガッカリ感がモロに出てるんだけど?
その表情にね、銑…って思いながら気が付かないフリで
「あんまし食欲無いからザル蕎麦でいいかも?」
って答えたらますますガッカリ感が強くなったんだけどそもそも長い付き合いの中でこんな風にボクの意見を聞きに来るなんてらしくないよ?銑…
そう思って銑に
「どうしたの?ボクの意見を聞きに来るなんてらしくないよ…銑」
そう言って小首を傾げて見せたら溜め息吐いて
「じゃあフレンチだ、時間になったら着替えを手伝わせるからそのつもりで居ろ」
って言って部屋を出ていった
なんだったんだろ?何て思ってるといつのまにか窓枠に座ってる蒼天さんが
「全く素直じゃないな…」
そう言って喉をならして笑ってるから
「銑ってば一体どうしたってゆーんですか?何だか全然銑らしくないんだけど?」
不思議そうに言ったら溜め息を吐くと
「こちらはこちらで想像通りの鈍さだね♪」
あまり聞かせようって気の無いその呟きはさっきの銑の様子を気にしてるボクの耳には入らなかったんだ
「フレンチ、か…あっさり系の料理を
頼んでもらわなきゃ…だね?」
そうボクが呟くと
「蒼空は銑の事をどうおもってるのかな?」
そー聞かれて改めて銑の事を考えてみて
「意地の悪いお兄ちゃん…かな?同級生でいつもは意地悪いんだけどボクのピンチの時にはいつでも助けに来てくれる…
そんな格好良いお兄ちゃんみたいな在…かな?」
出会った時からそうだった
何で泣いてたのか…そこが何処なのか全然覚えてないけど泣いてたボクに手を差し伸べ涙を拭いてくれた銑の笑顔を覚えてる
ボクよりかは大きいその小さな背中に庇われてたのを覚えてる
その頃のボク達を知ってる人が笑って教えてくれたんだけど
「ボクね、大きくなったら銑のお嫁さんになるの
そう言って銑のほっぺにチュッってしてたんだって…
ま、まじにぃーっ?って最初聞いた時はそー思たけど小学校前に上がる前の話らしいからね」
だからもしかしたらその頃のボクにとって銑は憧れの王子様だったのかもしれない…
「あははっ、銑って何考えてるのか良く解らないよ」
苦笑いしながらそーゆーと
「銑は蒼空が何を考えてるのか解らないから悩んでると思うが?」
そー言われてボクは
「そんな事考えてるのかな?何も考えてないボクが何考えてるのかなんて…
おバカなボクが考えたって無駄なんだから何も考えてないのにね」
颯天さんがボクを難しい顔をして見ているのに気付かないでただ流れる雲を眺めてたんだ
颯天さんが入って来た時と同じように出ていった事を気付かないし気にも止めずただ空を眺めてたんだ
「蒼空様、お着替えの時間になりますがよろしいですか?」
ふわふわと漂うボクの心は目の前で話し掛けられてさえ反応が無い
時々うん…って曖昧に返事してるらしいけどほとんど覚えてないんだ
だから着替えも銑のエスコートで歩く姿も夢遊病者の様にふらふら揺れてるそうで目に生気がなく焦点も合ってないって言われてるんだ
だから一度その状態の自分の姿を見たいんだけどこればかりはね…
大きな声じゃ言えないけど酢の臭いが苦手なボクは目の前に置かれた生ハムのマリネ臭いを嗅いで我に返ったんだ
我に返ったボクがまず最初にするのは当然嫌いな臭いの元を遠ざける事
で、銑をキッと睨んで
「ボクが酢の臭いが嫌いなの知ってるのになんのつもりかなぁーっ?」
そう嫌味たっぷりにゆーと
「翔、少しは大人になれっ!」
そう言われてボクはとびきりの笑顔でたった一言答たんだ
「イ・ヤ・だっ!…無理っ♪」
ってね…
「今更酢を克服したからってなんだってゆーのさ?
しかも偏食の塊みたいなボクが一品や二品嫌いな物を克服したって何にも変わりゃしないんだからさ
良いから放っておいてよ?」
って言って
「銑って図体でかいくせに結構小さな事をぐだぐだゆーとこがあるんだよねぇーっ?」
そうゆーと相当ムッとしたらしく言い返す言葉を探してるみたい
でも、大人か…銑はどんな大人になるんだろうか?大人になって何がしたいんだろうか?
でも…ボクは大人になったボクの姿を想像出来ないし大人になれるのかも良くわからない
見た目なら130㎝目前でピタリと成長が止まり声変わりしないボクにどんな大人になれってゆーんだろ?
と、ゆーかボクは幼い頃から大人になる迄生きれないのは知っていた
何でかは知らないけど余り知りたくもなかったから目をそらして生きてきた
中三で既に180を越える銑が次々に料理を平らげていくのに比べてボクは二品目の既に冷めきったスープちびちび飲んでる
そんなボク等の前にも多分有名なシェフだろう人が来て銑に頭を下げると微笑みながら
「お嬢様のお口には合いませんでしたか?」
ひきつる笑顔が申し訳ないから正直に