いつか機会があったら猫舌のボクの為に冷製スープ出してもらえますか?
銑には味が薄いんだろうけどボクの好みにぴったりだったから冷めてくれたからやっと飲めるよーになったんだよ」
そう言って満面の笑みを浮かべるボクを微妙な表情で見るシェフに
「アンタにゃ微妙でも偏食家で社交辞令等言えん奴の言葉だ、素直に受け取っておきな」
そう銑に言われて溜め息を吐くと他の席に向かうシェフだった
そんなシェフの後ろ姿を見ながら
「脚の方はどうなんだ?」
えっ?とゆー表情のボクに銑は
「捻った脚は大丈夫なのかと聞いてる」
そう言われてすっかり忘れてたその事を思い出して
「もう痛くないみたいだよ?」
と答えると銑は
「俺とお前、それに颯天と烙硝の四人で始めるから準備しとけ」
そう言われたのは聞いたけどそれ以外は耳に入ってないし経験上銑も一応話してるだけで準備とかは全部銑がやってくれてる
てかそもそもボクはあてにされてないしあてにしてたらろくなことにならないのは過去の経験上ね…
「えっ?」
久し振りに反応したボクに銑は
「だから俺達って端から見たらどう見えるんだろうな?」
って又イミフな事言い出したよって思ってたら
「心配しなくてもちゃんと恋人同士に見えてるよ
天然な彼女に振り回されてるね」
そう言われたボクは
「銑って面食いって言われてるからそれはないよ?
それに巨乳のグラドルが好きみたいだしね?」
ボクにそう言われて銑が
「誰がそんな事言い出したよ?」
って怒った様にゆーから
「ガッコの皆はそう噂してるよ?だからボクもそう思ってたけど違うの?」
驚いたボクにそう言われた銑は
「そうゆー翔はどんなタイプが好きなんだよ?」
そう聞き返されて
「ボクってなんか女子に毛嫌いされてるみたいだから考えた事無いなぁ女の子の好きなタイプって…」
そう答えたら颯天さんに
「なら男の子…銑はどうなの?意識したこと無いのかな?」
そう颯天さんに聞き返されて
「幼い頃銑のお嫁さんになるの…なんて言ってらしいよ?」
遠い昔の話しをしたら
「では今ならどうなのかな?」
いつかこんな風にボクの心の内を問われる時が来るって思ってた
「解らない…多分そんな事考えてるの銑が知ったら嫌われるんじゃないかって思ったら…
ボクのタブーなんだ考えちゃいけない事、開けてはいけないパンドラの箱
嫌われたくなかったから…失いたく無かったからボクの居場所を…
何だかんだと言ってもボクが生きてても良いのかな?
ってそう思えるのは銑の側しかないんだから…
ボクが生きてる事を許してくれるのも銑しか居ないんだから…」
ボクは泣いてた…仕舞い込んで隠してたものを晒けだして
隠していた思いをカミングアウトしたボクは立ち上がり
「銑、今まで有難う…楽しかったよ
でも、もう一緒には居てくれないでしょ?
嫌われ者のボクなんかと…ボクがそんな事思ってるの聞かされたら迷惑だしキモいよね?
だから嫌われる前に…嫌いだって言われる前に聞こえ無い所に逃げ出す…
聞きたくないし言って欲しくないから…だから少しだけ待ってて…ボクが逃げ出す時間を与えて…」
そう言って立ち去ろうとしたボクの身体…小さな身体を抱き締め
「知ってた…お前が俺を見る目が俺を見る女子のそれに近いのを
俺も隠してた…お前に対する気持ち…一人前になるまではって」
そー言って震えるボクの身体を包み込むように抱き締めてくれたんだ
その夜ボク達は一緒に寝たんだ…何年ぶりかにね
幼い頃の様に手を繋いで…でも久し振りに触れた銑の手はボクの手よりずっと大きくて力強い手だった
その銑の手の温もりがボクに安心感を与えてくれていつ以来の熟睡かな?
悪夢に魘され悪夢に怯え眠れない夜をいくつ過ごしたのかな?
そのお陰で滅多に食べないボクが朝食を食べようって気になった
まあ、銑や颯天、烙硝さん達から見たら食べてるとは言える量じゃないけどね
多分保志の父さんならそうゆーだろう、間違いなく
それほど迄に食の細いボクの背が小さいのはやっぱ自業自得?
まぁ今更悔やんだって手遅れじゃないのかな?
だのに銑ってば普通の人が食べる量をボクが食べきれるわけ無いのに四人前頼んでくれちゃったから
「ボクはスープと野菜サラダで十分だけど銑は全然足りないでしょ」
そー言って分厚いハムステーキとブレーンオムレツにパンケーキ二枚は銑に押し付けた挙げ句に
「銑食べるのおそーいっ♪」
とか前はそんなこと言えなかったのにな?
②呼ばれてます
「銑、 烙硝さんか持っていく荷物は絞れって言ってたよね?」
そー言ってるにも関わらず銑が執事に持たせてる服は振り袖、ブレザータイプの制服、体操服、スクミズ、タオル地のワンピースにスクールシューズ、下駄にサンダル
おまけに今着せられてるのはお姉さん達が大学や短大の卒業式に着てる奴で足元は勿論編み上げのブーツ
やっぱあのクローゼットの中身銑の趣味だったんだね…
ボクの着付けに髪型を調えメイクをしてくれたのは颯天さんで真面目な外見で実は遊び人?
思わずそんな目で颯天さんの事を見ちゃたよ
でもそれよりちょっと気になるのが
「あのさ、銑…ボクの職業って見習い巫女だよね?だのに何でそれ系は一枚もないわけ?」
ボクの問いに答えたのは颯天さんで
「趣味じゃないからじゃのかな?」
笑いながらゆー颯天さんに
「やっぱ颯天さんもそー思いますか?」
ボクに迄そー言われてへこむ銑に
「じゃあ何で巫女さんの衣装が無いのさ?」
そー聞いてもまともな答えは聞けない銑に呆れるボクだった
そんなボク達ののどかな雰囲気を壊す無粋な声
「それを置いてけっ!」
ボクを指差して喚く男だけどはっきり言ってやられ役って顔してるよ
そう思ってたら全員銑の一太刀でやられちゃったよ
そんなことがあったから颯天さんが馭者で烙硝さんは馬車の屋根で見張りだからボクと銑は馬車の中で二人っきり
ウーン、気まずいのか嬉しいのか…両方だよね
仕方無いからボクは馬車から見える空を見上げ流れる雲をぼんやり眺めていた
ボク達に与えられた食糧はブロックタイプの栄養補助食品、フルーツグラノーラ、干し肉、魚の干物で後は自分達の才覚で何とかしろだって…
見渡す限りに広がる荒野を見て取り敢えず暫くは何も手に入りそうに無いから
「ボクは少々食べなくたって平気だから三人が食べてよ」
最少の食事休憩で三人にそー言ったら
「取り敢えず蒼空はこれを食べなさい」
そー言ってまるで手品の様に取り出したクッキーを開けてペットボトルのミルクティーをボクにくれたんだ
銑は干し肉をかじりながらお湯を沸くのを待ってるけどクッキーを夢中で食べるボクは何の為にそんな事をしているか気にしてない
と、言うよりお湯を沸かしている事自体気付いてもいなかった
気が付くとこれもどんなからくりかは知らないんだけどカップ麺に湯を注いでいるところで三人のお昼ごはんなんだってさ
う~ん…颯天さんて一体何者?すんごく気になるんですけど?
馬車を丸一日走らせても終わらない荒野をうんざりしながら眺めるボクに
インスタントスープとフルーツグラノーラを用意してくれてふうふう良いながら飲んだんだ
夜は銑が見張りで一人はやだから火の側で火を見ながら不寝番をする銑の脚を枕にして寝ることにしたボク
そんなボク達を見て苦笑いを浮かべながらもボクにブランケットを掛けてくれる颯天さんは優しい人
早朝出発したボク達は夕方近くに湿地体に突き当たり未だ明るい内に周辺の調査と食糧の確保をする事にした
ボクと銑は周辺の枯れ枝集めで颯天さんとは食糧の調達と周辺の調査とに別れることになりボクなりに頑張って枯れ枝を集めたんだ
戻って来た二人は烙硝さんはウサギみたいな動物を肩に担ぎそうてんさんはよくわからない草の実を持っていた
ウサギみたいなって思ったのはボクに気を使って既に捌いてあるから原型がわからないから
ただあのウサギの特徴の…これ以上考えるのは止めた方が良さそうかも?
三人お肉を焼いて食べボクは草の実を貰って食べたんだ
今夜も夜の見張りは銑で夕べ同様に銑の側で寝ようとしたら颯天さんと烙硝さんがボクを睨んで
「湿地の近いここは何が潜んでるかわからないから今夜は馬車で寝なさい私は馭者席で
烙硝は屋根で寝るから心配は要らない」
って颯天さんは銑に言ったけど何で銑に?よくわからないけど颯天さんてば意地悪い
放浪の旅に出て二日目の夜はこーして更けていった
ドッボーン…
水面浮かんで消える気泡を見ながら目を覆う三人のイケメン達
水面と言っても泥沼の為落ちたボクはより悲惨な状態になってる
「もぉ最悪、つかサイテー…なんでボクがこんな目に遭わなきゃいけないのさ?」
思わずそー愚痴るボクの名は保志蒼空
職業見習い巫女の男の娘で溜め息を吐きながらボクに手を伸ばしてくれてるのは海床銑で職業剣士
ボクの愛しい人…信じて良いんだよね?
その後ろで喉をならして笑ってるのは自称太公望の弟子で軍師の颯天さんとその隣で溜め息を吐きながらも周囲の警戒を怠らない銀髪のおじ様は烙硝さんと言って狩人
銑に引き上げてもらいながら
「おかしい、確かにこっちの方から感じてたんだけどな…」
そう呟くボクに
「得体の知れない奴の呼ぶ声がそんなにきになるのかよ?」
不機嫌そうに愚痴るから
「保志、後で生活指導室に来るようにって鵜飼センセにゆわれた時の印象だから行きたくないけど行かなきゃ不味いよね?って感じがするんだ…」
泥沼から這い上がったボクは振り袖は泥が入り込んだから重いしブーツは中まで入り込んだから長襦袢姿と裸足で進むしかない
誰かに呼ばれてる…ボクを呼ぶ声?が聞こえる
そー颯天さんに話したら取り敢えずその方行に進んで見ようと颯天が言ってくれたから朝食の後から探し回ってる
強い日射しが中途半端に乾かすから余計に気持ち悪いボクに
「蒼空、さっきから黙り混んでどうしたの?」
にやにや笑いながらわかりきってる事を聞いてくる颯天さんを睨みながら
「泥水で濡れた肌襦袢が気持ち悪いんですっ!」
そー答えるボクに颯天さんてば
「私はちゃんと足元に気を付けなさいと度々注意したのに上の空で聞き流していた蒼空が悪いのですよ?」
(そんなわかりきった事言われなくなってわかってるから愚痴るの我慢してるのに意地悪い颯天さん…)
そー思ってたら
「もう少し我慢しなさい、ほら耳を澄ませてみなさい…」
そー言われて耳を澄ませると
「…水の音?」
そー呟くボクに
「その通り、この先に綺麗な水の流れる沢が有るからそれまでなら我慢できますね?」
颯天さんにそー言われて
「グチグチ言ってるのも疲れるから歩く方に体力使います」
そー言って後は沢で泥を洗い流せるのを楽しみに黙々と歩いたんだ
沢の側に着くと颯天さんが
「烙硝は済まないが翔の着替えを馬車から持ってきてください
私は取り敢えず薪を集め火を起こしますから銑は蒼空を見守りなさい
但し、蒼空の裸を見ても欲情しないようにね?」
そう颯天さんが言ってだけど既に沢に意識が跳んでるボクの耳には入ってないし焦って言葉に詰まる銑の様子にも気付かなかった
沢の水は澄んでいてとても綺麗でなにより冷たくて気持ちよかった
ボクは取り敢えず肌襦袢を水にさらし泥を洗い流してから髪の毛も洗い流して暑さに火照った身体を冷やしていた
「風邪引くからいい加減出ろっ!」
そー銑に言われるまで
「これを巻いとけ」
そー言われて大判のスポーツタオルを身体に巻き付けもう一枚のタオルで髪の毛を拭きながら
「銑、もう少し髪を拭いたら洗うの代わるよ、ボクの服だからボクが洗わなきゃ…でしょ?」
ボクにそー言われてちらっとこっちをみたけどすぐに視線を落として
「これだけバシャバシャやってたら何が寄ってくるかわからん水の中は危険だからお前はそこに居ろ」
って要するに足手纏いなんでしょ?ボクってばさ…
そー思って視線を落としてるボクに
「蒼空、浴衣を持ってきたから銑に気付けを手伝ってもらえ
それとこれを預けておくから颯天が戻ってきたら渡しなさい、わしは猟に行くから銑の言う事を聞くように
銑、わかってるだろうが盛ってる場合じゃないんだからなっ!」
そー言われながら渡されたのは食糧の入ったリュックで取り敢えず足元に置くことにしたんだ
「これでも食べてなさいっ…」
着物の泥をを洗い流し木の枝に干し終えた銑に手伝ってもらい浴衣を着たボク達に様子を見に来た颯天さんが
「取り敢えずこれても食べてなさい」
そう言って投げられた物を銑が受け取ると梨に良く似た木の実で銑が半分に切ってくれ
二人で食べてると颯天さんは器用に火を点けて湯を沸かし始めたんだ
火の様子を見ながら颯天さんが
「この先は山族、耶麻一族の縄張りで俺も詳しくは知りませんが魔導に詳しい士族だと聞いています」
とだけ教えてくれたんだ
「銑、私は木の実や草の実を探してきますから翔と二人で待ってなさい
但し銑、くどい様ですが発情してる場合じゃないんですからね…」
って言われて
「銑、二人が言ってる発情とか盛ってるってどうゆー意味?」
言っとくけどこの頃のボクは本当に知らなくてかまとと何かじゃないからねっ!
のボクにそう聞かれて返事に困ってる銑に
「取り敢えず戻りが遅ければ先に食べてなさい」
そう言って投げられたハムの塊を見たボクは
「銑が食べて良いから」
ハムの不自然な赤見とはっきりと漂ってくる香辛料の香りがボクの自己防衛本能を刺激する
(そのハムはヤバイっ、絶対にヤバいっ!って…)
え?別に毒はないよ?たんに辛いの苦手なだけだから、銑は平気だけどね
お湯が沸いたから銑が蜂蜜を落とした紅茶を淹れてくれたんだ
熱い紅茶が未だ髪の毛の乾いてないボクの身体を温めてくれた
「銑、隣に行っても良い?」
ボクにそういきなりそう言われて一瞬驚いた表情になったけどすぐに嬉しそうな表情でい頷いた
だから静かに隣に行って腰を下ろすと銑の左腕がボクの肩を抱き抱き寄せ…
キンーっ!
銑の右手が腰の短剣を抜き斬りかかってきた剣を弾いたんだ
勿論ボクだって手にして熱い紅茶をサービスしてあげたよ、その襲撃者の顔にね
「どう?ボクのご馳走した熱ぅーい紅茶の味は?」
そう笑いながら聞いたら
「バカが…顔冷やしてこいっ!」
そうゆーと顔に熱い紅茶を掛けられもがいてる男を沢の方に蹴り飛ばすとボクの方を見て
「可愛い顔で随分とえげつない真似をする娘だ…」
そう言われてボクは
「可愛いって言ってくれるのはとっても嬉しいんだけど一応男の娘なんだけどさ?」
そう文句言ったら
「気にするな、いずれその訳は自ら導き出すのだからな…」
いずれ?自分で考えろって?おバカなこの僕に?
そう思って胡散臭いその相手を見てると
「お前のその思慮の足りなさは封印のせいだ…真の愚者ではない
媛巫女の霊を持つ者よ…」
そう言われて顔色を変える銑とちんぷんかんぷんなボクは
「まぁどうでも良いけどボクを呼んでたのはあんたじゃないよね?
つまりボクはアンタに用はないんだけどな?」
ボクがそーゆーとソイツは笑いながら言ったんだ
「奇遇だな、私もお前に用があるわけではないさ
お前に用があるのは我らの主なのだからな」
そう言われて露骨にヤな顔をしてると銑が
「お前のその主とやらは俺の翔に何の用が有ると言うのだ?」
そう言って睨むと
「その問いに答えるのは越権行為に為る故その媛巫女が我らの求める方ならばお渡せねばならぬモノが有ります」
なんか口調が変わったんですけど?
って思ってたらなんかどうでも良くなって
「銑、ボクの巾着貸して」
って言って渡してもらうと
「おバカさん呼んで、薬塗ってあげるからさ」
って言ってボクの前に腰掛けさせると妙に真っ赤な顔してるソイツと苛立ってる銑が一寸うざかったりするボク
「良くわかんないけど万能薬って聞いてるから火傷もすぐ治るんじゃない?
銑に斬りかかってきたんだから謝る気はないけどね」
薬を塗り終えたボクがそーゆーと
「そうゆー事ならアンタを怒らせた俺が悪いのだから仕方無い」
そう言って何故か銑と睨み合ってる
「銑、全面的に信じてる訳じゃないけど取り敢えず敵意は感じないからついていこうかって思う
勿論銑がダメだってゆーンなら行かないけど?」
ボクにそう言われて銑は少し気を良くして
「そうしなければいけないのならお前の事は俺達が守ってやるから何処でも安心して行くと良い」
そう言ってくれたからボクも
「有難う、ボク一人じゃ何ひとつ出来無いからね」
笑いながら言うボクにいつの間にか戻ってた颯天さんが
「余り笑いながら言う事じゃないけどね」
そうゆーと烙硝さんが
「それが出来るうちは未だ大丈夫とも言えるかもしれんが…」
苦笑いを浮かべる烙硝さんにそう言われてムッとしながら
「ただボクは足腰に自信無いから到着はいつになるか解らないよ?」
ボクがそーゆーと
「心配するな、銑が喜んでおぶってくからな」
冷やかすように烙硝さんにそう言われてムッとしたらしく
「アンタや颯天さんもだしソイツもじゃないのか?」
そう言われてそのひとはぎくっとしたけど開き直って
「お、俺は着物を持ってく様に言い付けられたから一緒には行けん
望んでも仕方の無い事をグジグジ考える趣味はない」
そう言ってボクの方を意識してみないようにしてるからボクは
「着物お願いするねっ♪」
そうお願いすると銑の背中に背負われ移動する事になったんだ