①修験者の里
村に着いた後、族長との面会迄に結構待たされたボク達…
正確には泥沼に落ちたって話を聞いた長老の一人がボクに入浴を勧めてくれてた
おかげでボクだけは実際の待ち時間はみんなより短いんだ
しかもその長老の奥さんってゆーお婆さんが髪を結い直してくれたお陰で銑が見とれちゃってね
「ふふんっ♪惚れ直した?」
って銑に向かって挑発的にゆったら銑ってば顔を真っ赤にし何度も頷くからボク嬉しくなって笑ってた
だからそれ迄は散々待たされてピリピリしていた三人の表情から険がとれ笑顔になっている所に族長が現れたんだ
「媛巫女よ、我が招き応じてくれ感謝すると共に我が曾孫の愚行を詫びよう」
そう言って頭を下げる族長にボクは
「構いません、それより貴方にはもっと他に語って頂きたいことがあります」
ボクにそう聞かれて族長は
「現段階で答えられる範囲ならばお答え致しましょう」
そう言われてボクは
「まず媛巫女ってこの世界で何をする、どーゆー存在なの?貴方達は男のボクをそー呼ぶけど…」
その問い掛けに
「それは受け取る者次第、導きと受け取る者も在れば惑わしと感じる者も在る
故に人や国等の運命に干渉する者と言えましょう」
族長のその答えに思わず考え込むボクに
「この村にて暫く巫女の修業を積まれる事をお勧め致します
さすれば自ずと道も見えてきましょう…いかが致しますか?」
修業をするのは良いけど…
「男のボクが媛巫女って呼ばれる理由を聞いてない」
もう一度聞いたら
「それは然程意味はなく貴女様が媛巫女の霊を持つ者だからです
そう、現身は問題ではないのです」
そう言って銑の方を見て
「貴方はこの方に惹かれていても男が好きと言う訳ではない筈?
この方にの持つ霊の輝き惹かれているだけではありませんか?」
そう言われて銑が
「そこまでは考えてなかったが初めて蒼空と出会った時…一目見た瞬間からずっと俺が守るんだっ!て、そう思ってた」
ボクを見て不敵な笑みを浮かべる銑が頼もしく自分の身一つ守れない自分が情けなかった
実際銑がお世話になってる道場に通うボクをからかう小学生の男子を注意してくれるのは一年の女子だったりする
その上にその子には同級生以下の扱いでその子と話すボクを見てボクの年齢を当てられる人はない
「ボクは今のままじゃ何ひとつ出来ない足手まといに過ぎない自覚位はある
だから今…ボクは何をすれば良いのかすらわからないボクに道を示してください…」
ボクに似つかわしくない真剣な表情でそうお願いすると
「先程申し上げた通りまず巫女としての修業を積まれる事をお勧め致します」
そう言われてやっと決意を固めたボクは進言を受け入れて
「よろしくお願いします」
そう答えたんだ
その夜ボク達は歓迎の宴の歓待を受け村の人達のもてなしを受けた
湯上がりに髪を結ってくれたお婆さんが
「娘が幼い頃に着ていた着物だけど生憎孫は男の子しか居なくてね
と言われて貰ったら他のお婆さん達もあれやこれやと持ち寄って何かあっとゆー間に衣装持ちになったけどみんなレディースなんだから喜んで良いやら悪いやら…
銑達も修業を兼ねて村の仕事を手伝うことになったんだ
翌朝から始まった僕の修行はまずは祈りを捧げることから始まり山歩きに祝詞の詠唱と滝行他掃除、洗濯、炊事などの雑務と慣れない生活に元々細いボクの食はますます細くなってもう何日も喉を通らない
そのせいか疲れてる筈なのに全く寝付けない夜が続いて身心共に限界が近付いてたんだ
そんなある日の滝行を終えて滝から出たボクの身体は変化を起こし始めた
でも最初はそうとは気付かれないでついに病に倒れた?
高熱を出して意識を失ったボクは病に倒れたって思われその後の修業を免除され布団で寝かされてたんだ
そして翌朝久し振りの食欲に目を覚ましたボクはふらつく足取りで炊事場に行き何か残り物でもないか探してたんだ
いつにもまして物凄い脱力感とゆーか倦怠感で頭の中は寝たままのボクは
「端から見たらさながら夢遊病者のようだった」
後日銑達から聞いた話
朝早いせいか何も見付けられず仕方無いから萎びたニンジンみたいなのを見つけたボクはそれをカリカリかじり始めた
「誰ですか、貴方は?」
そう聞かれても意識がはっきりしてないし固い物をかじるのに一生懸命なボクの耳には入らない
無視するようにカリカリとかじり続けるボク
朝食の支度に来た当番達が不審者の侵入にざわついているとその騒ぎに気付いた銑が
「済まない、蒼空が見当たらないんだが見掛け…誰だ…あの翔に似た小さいのは?」
訝しげにゆー銑の声に気付いたボクは声の方を見て口の中の物を呑み込むと
「銑、おはよ」
そう言って裏ピースをして再びかじり始めた
「だ、誰だ…?」
そう小さく呟く銑に颯天さんが
「さっきの裏ピース、ここの人達はしませんよ?
それにあの寝間着…あの娘が蒼空以外の誰だと言うのですか?」
そう銑に言って
「蒼空、それは美味しいのですか?」
そう言われて颯天さんに気付いたボクは颯天さんを見て首を横に振り
「固いだけ…」
そう悲しそうに答えると颯天さんは懐から紙袋を出して中から何かを取り出してボクに見せた
「チョコクッキーっ!?」
そう言って目を輝かすボクに颯天さんは
「翔が好きな甘いミルクティーと一緒にどうですか?」
そう言われてにこーっと笑うと
「うんっ!」
そう答えとことことこっと颯天さんの側により
「チョコクッキーと久し振りのミルクティー、楽しみぃーっ♪」
そう話してるボクの寝間着の着付けを直すとボクの手を引いた颯天さんは銑に目配せしてボクが寝かされていた部屋に連れていった
ミルクティーの甘い香りがボクの鼻をくすぐり思わず笑みをこぼすのを嬉しそうに見てる颯天さん
「颯天さん、族長さんにお話があるんだけどお時間もらえないか聞いて欲しいんだ
出来るだけ早く、そうすれば次の行動も早く始められるからね」
ボクがそうゆーと
「蒼空、蒼空が頼むまでもない
翔が目を覚ましたのを聞いてるはずだから間もなく顔を見に来ます」
颯天さんのいった通りに族長さんはにすぐに顔僕のを見に来た
「媛巫女様におかれましては身体のお加減はいかがですかな?」
ボクの顔を見てそう尋ねる族長に
「未だダルいけど多分病み上がりの疲労感だって思います…」
ボクがそーゆーと族長さんに
「ならば食事の前に汗を流されては如何ですかな?」
そう言われて汗でべたつく身体が急に気になり出したから
「はい、じゃあお言葉に甘えまして湯殿をお借りします」
そう答えると不器用なボクのお世話をしてくれてるアキさんが部屋に来て着替えの作務依とタオルを用意してくれた
身体の違和感を気にしながら湯殿に向かうボクの着替えを持ってついてくるアキさん
ボクが着物を脱いで湯槽に浸かって間にアキさんは湯上がりの支度をして待ってくれてる
(身体中が痛い…)
ぼんやりそんなことを考えながら湯槽に浸かってると銑が湯殿に向かって
「翔、身体は平気かっ?」
って大きな声で叫ぶからボクは
「平気、問題無いよ」
そう答えたけどホントは何故か身体中が痛かったんだ
「銑、次の予定ってもう決まってるの?」
話題を変えるためそう聞いたら
「夕べ戻ったばかりだから未だ決まってない」
そう返事が返ってきたからボクは続けて
「じゃあ暫くは居て欲しい…多分ボクの修業は次の段階を迎えたから必要なら助けて欲しいから…」
そう訴えると
「解った…暫くは控えてもらう」
そう言ってくれたからからボクは
「有難う…」
って伝えたんだ
湯槽から出て身体を拭い肌襦袢を着てアキさんに髪を結ってもらいながら
(髪伸びてきたな…それにちょっと痩せたのかな?
肌襦袢が大きく感じる)
そう考えててたらアキさんが
「蒼空様、着物を仕立て直した方が宜しいみたいですから採寸して宜しいでしょうか?」
って聞いてきたから
「ボクもそんな気がしてたからお願いします」
そう頼んだんだ
湯上がりのボクに何故か集まる視線に不快感を隠す事無く周囲を威嚇する銑とそれを呆れてみてる颯天さんと烙硝さんにボク
銑、何やってるのさぁーっ?
悪意、害意の無い視線にはとことん鈍いボク
基本的に好意的な視線を向けられた経験がほぼ皆無だから人に見られてるなんて思いもよらない事なんだから
朝食の後長老の部屋に呼ばれ出向いたボクと銑に長老は
「媛巫女様の修行も次の段階を迎えましたが心の準備はおありですか?」
そう問われたボクは迷う事無く
「勿論有りますがその前にひとつお聞きしたいのですがアキさんから頂いたこの弓から不思議な波動を感じるのですが?」
そう見せた弓は神社で売ってる破魔矢に良く似た物でお守り?位にしか思って無かったんだけどいったい何って気になり出して聞いてみたんだけど
「それは魔弓変幻、主と認めし者の魔力の質や属性、その力のレベルに相応しいとされる物で恐らくは媛巫女様の目覚めに呼応しているものと思われます
矢がなければただの装飾品に過ぎませんし然程大きな物でもありませんから常日頃から携帯することをお勧めします」
そう言われたボクは
「弓道の経験は有りませんが?」
そう答えると
「変幻を目覚めさせた貴女は通常の武器の経験は必要有りません
変幻と心を通い合わせ互いの魔力の相乗効果で力を発揮するのですからね」
そう曖昧な説明しかしてもらえなかったけど基本的に答えは自分で探せとゆー人だからそれ以上は聞いても教えてくれない
「わかりました、どのような姿を見せてくれるのか楽しみに修行に励むとしましょう」
そう答えるボクを目を細め満足そうに微笑みを浮かべ頷く長老が
「取り敢えず次の段階に進む前に謎掛の迷宮に挑まれてはどうでしょうか?」
「謎掛の迷宮?」
長老の言葉に思わずおうむ返しをしてしまったボクに長老は頷いて
「左様、謎掛の迷宮にです
道に迷いし者がその奥の問答の祭壇で祈れば道を示すと言われており迷宮と言っても難しい物ではありません
祭壇まで行って帰るのは然程難しく有りませんが…
祭壇近くの事を示された答え以外の記憶が無いため時折迎えを出さねば迷宮内でボンヤリしている者も居るのが迷宮と呼ばれる由縁です
進むべき道を模索中の今の貴女にこそ挑むべき迷宮かと存じますが?」
そう言われて
「はい、わかりました…挑んでみようと思います」
ボクがそう答えると長老が
「先程申しましたが悩みが深ければ深い程帰還が困難になりやすいため剣士銑殿が付き添われ場合によっては媛巫女様を連れ帰っていただいてよろしいか?
もうひとつ厄介な事に狂暴な穴ネズミの巣窟らしいのでその為にも…?」
極度のネズミ嫌い…ネズミ恐怖症のボクを知らない長老が訝しげに見ていると
「ね、ネズミダメ…やっぱり止めます、ネズミ怖い…ネズミ嫌い…」
とブツブツ呟くボクは全身に鳥肌が立ち小刻みに震え青ざめていて今にも倒れそうだった…らしい
「俺が側について守ってやるから安心しろ、それとも俺じゃ安心できないとゆーのか?」
そう言われても銑には申し訳無いけどそーゆーレベルの話じゃないんだよ
「し、知ってるよね?病的なまでのネズミ恐怖症…皆が可愛いって言ってるアニメキャラすら受け付けないボクにネズミの巣穴に入れなんて…
ネズミの鳴き声、足音…忍び寄るネズミの気配…それが全部ダメなんだよ?
一匹、二匹の話ならライオンサイズのネズミだって平気だよ
銑がやっつけてくれるまでの我慢って耳塞いで耐えるけど巣穴だよ?
どんだけの数が居るかわからないとこなんて絶対ヤだっ!」
瞳孔が開ききって正気を失う寸前のボクに
「蒼空」
いつの間に入ってきたのかわからない颯天さんがボクの前で手を開くと携帯ストラップサイズのネズミのマスコットが乗っていて
そんなのを見てさえパニックを起こして意識が吹っ飛び崩れ落ちたんだ
「この国はいたるところに多種多様なネズミがいる
今のうちにこのネズミ恐怖症を克服しておかないと不味い事になるかもしれないな
銑、蒼空の意識が戻る前にその謎掛の迷宮とやらに連れて行きなさい
この際多少荒療治で無いと克服出来ないでしょうからね」
颯天さんにそー言われてボクの身体を背負うと迷宮に入ったんだって
ボクの意識を呼び戻したのは皮肉にもネズミの気配で悪寒が走ったから
意識を取り戻したボクに銑が
「足手纏いはヤなんだろ?なら少しで良いからネズミに対する耐性を着けろ、克服しろとまでは言わんから」
そう深刻な表情でユーからボクは
「ヤ…ヤダっ!絶対無理だから…ネズミなんかに慣れる気なんかさらさら無いもんっ!」
そう叫んだ…ってゆいたいとこだけど掠れ掠れの声で言ったボクの気持ちかドンだけ銑に届いたかは不明なんだよね…
「足手まといは嫌ならせめてネズミを見てもパニクらないようになれ」
そう銑はゆーけどかなり難しいのが正直なとこで勿論銑のゆー事はもっともなんだけど身体が…感情が受け付けを拒否するんだからさ
そんなボクに銑がボクの気を逸らそうと
「元は遠い昔の隠し通路だったらしい…この里と麓の町を繋ぐ」
戦乱に明け暮れる外の世界に嫌気がさし逃れたいと望む一部の人間を受け入れ閉ざされた抜け道らしい
銑からこの洞窟のエピソードを聞かされ
「閉ざされた抜け道…ね
迷宮化して魔力を持たない人を通れなくしたんだね…」
そう言われてハッとしてボクを見る銑に
「こんだけ魔力が満ちてればボクにだってわかるさ…それ位はね」
銑に背負われているから丁度銑の耳元で囁くように話すと
「翔…くすぐったい…」
そう言ってお姫様抱っこにし直すとボクの目を見詰めて
「蒼空、これが終わったら一度里に出掛け無いか?
颯天さんに習ってミルクティーとチョコクッキーをセットで出してる店があるんだけどな?」
あからさまに嫌そうな顔をするボクに
(颯天さんの入知恵…ボクにどうしろろってゆーのさ?)
そう思いながら銑の言葉の続きを待ったんだ
「里の連中が蒼空に…媛巫女様にお目にかかりたいって言ってるんだから期待に応えてやってくれないか?」
だってさ、何その笑えない冗談は?
「ふーん…」
そう気の無い返事をして銑を見る目はかなり引いていたんだって…
後日銑にそう言われたんだけどね
「里の人達にボクを見せてどうするの?」
そう言っていよいよ迫り来るその気配に気付いて
「くっ、来る…」
ボクはそう呟くとその迫り来るネズミの尋常じゃない数に耐えきれなくなったボクはブチキレた
「ぶちっ!」
っと呟き古びた弓を左手に持つと
「変幻自在っ!」
そう叫ぶと弓の周りに魔力が集まり光り始めてその光りはボク達を包んだ
━アローズシャワーっ!━
光りの中から全方向に無数の光りの矢が放たれネズミ達を倒していった
一掃されたカピバラサイズの穴ネズミの死体の山はネズミ嫌いのボクが必死に吐き気を堪えていると
「目を閉じてろ一気に駆け抜ける」
そう言って駆け出す銑に頼もしさを感じ銑の胸に顔を埋めると頬が熱く火照ってるのを感じたんだ
「銑、ここで暫く瞑想の行にはいるから退屈だろうけど静かに待ってて」
そう言うと膝ま付いて祈り始めるボクとそれをじっと見つめる銑
長いのか短いのかはよく解らない刻を費やし答えを求めたけど取り敢えず里に降りなきゃいけないと強く感じてそれが今の所の結論
「銑、終わったから外に出よう」
とボクが告げるとお姫様抱っこで運ばれたんだ
その帰り道…
「銑、穴ネズミの死体が見当たらない…」
別に見たくはないけど少し不安になってそう告げると
「心配するな、ここではうじゃうじゃいるいる穴ネズミだが外の世界に持ってきゃ立派な高級食材
里の者が回収して捌いてるだろう
まぁネズミ嫌いでベジタリアンなお前には想像できない話なんだろうがな?」
そう笑われてあまり面白くはないけど言われてる事自体は間違いじゃないから黙ってた
「聞いて良いか?翔」
ぼそっとゆー銑に
「ボクが知ってる事ならね」
そう答えると
「変幻は何処いったんだ?」
そう銑に聞かれたボクは
両手首を飾る鳥の羽を模したブレスレットを見せて
「変幻は今この子達に姿を変えている」
そう告げると理解しがたい様だけど納得しようとしてるみたいたった
まぁ無理も無いけど…科学万能までは言わないけど唯物論者の銑に納得仕切れないのはね
洞窟を出ると外は既に夜が更けていて
「銑、背中流してあげるから一緒に入ろう?」
ボクに笑って言われて微妙に躊躇う銑に呆れつつも構わずボクが着物を脱ぐと大声をあげる銑
そしてその声を聞き付けた族長の屋敷の者逹は裸のボクを見て固まってしまい…
遅れて来たアキさんが呆れて
「媛巫女の蒼空様ですよね?」
と言われて
「?、ボクの事忘れちゃったの?」
言われてる事の意味が解らずにアキさんに聞いたら
「下をご覧なさい、ご自分の身体を…」
そう言って溜め息を吐くアキさん
「下を見ろって…別に代わり映えはしないと…」
(相変わらず見事な迄の貧乳Aカップ未満…)
「ってナニコレ?」
ボクはその小さな膨らみを指差しながら皆が騒いでる原因がやっと解ったけど状況を理解できないボク
「銑、背中流してあげるから一緒に入ろうよ?」
そう言ったらアキさんに
「状況を考えて発言してください、蒼空様っ!」
そう叫びつつボクの身体にタオルを巻き付けるアキさんは
「銑様も他の皆もさっさと出て行きなさいっ!」
と叫ぶのを聞いて不思議に感じるボクは
「なんで?」
見慣れない胸の膨らみをぷにぷにしながらそうアキさんに聞いたら脱力して何も言わなくなっちゃった
その夜を境に女性化したボクは色々面倒な事が増えた
媛巫女と言っても言わば歌舞伎で言えば女形同様に男の子が演じる媛巫女が基本だけど稀に女の子の媛巫女の事も有る
族長は一族の長であると同時に元は山臥だった長が先代に請われ長になって後進の指導をする場の為屋敷の中ですら女人禁制の場所がある
その代わりに男子禁制の場所も同じだけ有るけどボクの方が遠慮して入れるわけない
結局そのどっちにも行けないボクは行動範囲が極端に狭くなっちゃったわけで…
同様に今まで許されたことが出来なくなり逆に新たにしなきゃいけない覚えなきゃいけない事が多すぎてパニック状態
更にゆーならこの事象が何なのか知らないのはボクだけで他の皆は知ってるっぽい感じはする
勿論誰も教えてはくれない
答えは自分で見付けろってことらしいんだけど最近は自身の変化は慣れたから気にはならないんだけど…
里に降りる度に女子逹が泊まってけって煩い
何が?って風呂を一緒に入りたがるし夜はいわゆるパジャマパーティーつか女子会?
自分の裸はなんとかつか見慣れっきゃ無いでしょ?嫌でもさ
だけど人のそれは慣れないし人に触られる以前に余り近寄られること自体好きじゃない
特に女子は慣れないのに彼女逹曰く
媛巫女の蒼空様って小動物系の可愛さなんだよね
自慢じゃないけど人と特に女の人と視線合わせられないボクはメッサへたれ?
特にネズミ見た時のあのパニクり方は思わず抱き締めたくなっちゃうもんねぇーっ…
て、嬉か無いよ…ンな事言われたってさ
そんな訳で今日もお泊まりになってる訳だけど一緒に寝てるのはなんとお泊まりに行った娘逹の母親とだったりする
亭主部屋から放り出してね
御愁傷様…だけど娘のご機嫌とりでボクを呼んだンだから同情しない
けど…今夜も又抱き枕かよ?
胸の谷間が怖いんですけど…いつか窒息死しそうで洒落になんないよ
まぁボクのサイズじゃそんな心配は要らないけどね
って何でそんな事考えてンだよ男の癖に…
そんな事考えてる最近のボクはかなりへンだね、つかかなりヤバくね?
まぁどうでも良いけどね違う意味じゃ元々可笑しいんだからさ
どうにも纏まりの無い僕思考は上滑り傾向にあるのは間違い無い…
そう考えながら溜め息吐く日々
あー、何かもーティーソーダが飲みたいかも?
それでもそれの訪れを待つため修行の合間を縫って里に降りざるを得ない今のボクだったりする
ただ、最近のボクは前はあれ程嫌っていた媛巫女の敬称も気にならなくなったし覚えるのが大変だった修行もすっかり頭に収まっている
何より現状は…状況を理解出来ず戸惑ってるボクはともかく銑が女の子になったボクを見て喜んでくれてるからそれで良いことにしたんだ
そう、銑が良いならボク自身は大した違いはないのだから
強いてゆーなら女の子って面倒臭い
何がって?
今までなら寝癖で髪の毛がちょこっと跳ねてるくらいなら
「髪の毛跳ねてますよ」
そー言って直してくれてたのが今は
「女の子なんですから身だしなみに気お付けなさい」
とか口喧しく言われてる…
そー…何かにつけて女の子は、女の子として、女の子なんだから…そんな感じでお説教が始まるんだ
基本的には媛巫女と呼ばれるようになってからは寝る時以外は常に巫女装束を着てるし
御山じゃ稀に頂き物の着物に着替えるくらいだから手間は男物でも変わらない
まぁ、男の人は髪を結ったりはしないけど女の子だって皆が皆器用に髪型をアレンジ出来たらそーゆー業界職種の人が困るんじゃない?
…ごめんなさい、不器用なボクの言い訳でした
服なんかもね…その、背中のファスナーとかホックとか女性用デザインや女性用の物って少なくないでしょ?
そーゆーのぶきっちょなボクが一人で着れるわけ無いじゃん?
まぁ、修行に明け暮れるボクの唯一の楽しみはどこから入手してるのか謎のミルクティーとチョコクッキーで過ごす午後のお茶の一時
御山じゃ勿論里も牛乳を飲む習慣無いしその類いの家畜も居ない
お茶も麦茶を始め日本茶に似てる感じで紅茶、烏龍茶は見たこと無い
クッキーに関しては全く同じ味とは言えないけど里で商いしてる人が颯天さんから習って焼いてるから望めば焼き立てだって食べられる
だから里に降りたら絶対に行くボクはそのお店の常連さんで時間が許す限りぼーっとして過ごしてる
何故か寛げる席が在りボクが行くと必ず空席だったから…
お店の人も最初はただの偶然と思ってたけどボクが店に入ると同時に座っていたお客さんがお勘定済ませて帰るところ…
なんて事が二度、三度とあれば意識するよね?
それに気付き意識してたらボクの指定席化してたんだ
ボクの店を訪れる時間も一定じゃないけど颯天さんから聞いた混み合う時間帯は避けるからね
その日もそろそろお昼時近くなり混み始めたから帰ろうとしたら変な人達に捕まってしまった
ボクは約束があるのだからと断っているのに解放してくれない
おまけにボクに触れて良い男は銑ただ一人だけなのにやたらと手を握ろうとしてくる
颯天さんや烙硝さんだって遠慮してそんな事してこないのに…
嫌だな、そう思異いながら店を出るとその男はいきなりボクの肩に腕を回すと抱き寄せようとしてきた
「や、止めてくださいますか?私には思い定めた方が居ますから気安く触らないでくださいますか?」
そうきっぱり拒否したのにその男は益々調子に乗って腰を抱いてきたんだ
キモい、止めて欲しいのにその男に睨まれると怖くなってきて何も言えなくなってる自分に気が付いた
路地裏に引きずりこまれ左の頬を襲った強烈な痛み
手加減無しにボクの左の頬を叩かれたボクは力が抜け意識が弾けとんだ
気が付くと男は白目を向いて倒れていた…
失禁したらしくお尻の下に水溜まりが出来ててちょっと臭ったから顔をしかめその場から立ち去った
この後この男が恥をかこうがどうなろうがボクには関係無いから