少女は何を見る   作:晏佳@12

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十一話『少女の心』

「ああ……そういえば。お前ってあいつの子供なんだって?」

 

あいつ?

 

「ほら、あの……えーと。ああそうそう。イレイザーヘッドだ」

「確かにそうですが。その事実が確証に変わったのはつい最近です。なぜあなた方がそんなこと知っているのですか?」

「そりゃあ調べたからなぁ」

 

ニヤニヤしながらこちらを見る死柄木に何が言いたいのか分からない。

 

「なぁ……良いこと教えてやろうか」

 

机に肘をつき、こちらに身を乗り出しながらニヤァと笑う。

 

「………」

「この前雄英はヴィランに襲撃されてたろ?そんで、イレイザーヘッドが負傷した」

「死柄木弔。その話は」

「いいだろ別に」

 

黒霧が諌めるが、死柄木は話したがりの子供のようにウキウキしながらそれを黙らせる。

 

「それな。実は俺たちなんだよ」

「…………は?」

「俺たちが雄英襲撃の犯人。そして、俺と俺が命じた脳無が、イレイザーヘッドの体をボロボロにした」

 

 

 

それを聞いた瞬間、頭のなかが真っ白になった。

 

 

 

 

こいつは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白かったぜぇ……ボロボロになってんのにまだ生徒を守ろうとして。あいつの個性も強力だが、まあ圧倒的力の前じゃ無個性と同じだもんな」

 

 

少し話しただけでわかった。

 

こいつは子供だ。

 

自分がやったことを話して、私がどういう反応をするのか見たいだけだと。分かっている。

 

ここで乗ってしまったら。こいつを楽しませるだけかもしれない。

 

でもいいじゃないか。

 

 

最近の私はおかしい。

 

なら、ここでいつもと違う行動に出たってなんらおかしいことはない。

 

 

 

こいつを楽しませるだけなら。

 

 

そんな余裕もないほどに。

 

 

 

 

 

 

「っ……!」

「なんだ……?」

 

 

 

 

ねじ伏せてやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嗚呼。あなたでしたか。あの人の体をあんな風にしたのは。」

 

 

こいつらはここでようやく、私の雰囲気が変わったことに気がついた。

 

 

「あの人の個性である眼をあんな風にして」

 

 

眼に写るのは包帯が巻かれていないところはないのではないかと思えるほどに巻き付けられた姿。

 

 

「あんな風にボロボロにしたのは」

 

 

 

きっと今の私は笑っていることだろう。

 

 

 

おかしいな。

 

 

心のうちは怒りでどうにかなってしまいそうなのに。

 

妙に冷静で。

 

顔と、心が。噛み合わない。

 

 

 

まあいいじゃないか。

 

 

おかしくなってしまったのなら。それでもいいじゃないか。

 

 

あの人によってもたらされた変化だというのなら。それもまた一興。

 

 

 

「私はね。他人なんてどうでもいいと思っています。いくら傷つこうと死のうと。そんなもの所詮は赤の他人なのだから、私がなにか思うことはないと思うのです。むしろ他人に割く時間すら無駄だと考えています。

 

 

 

でもね」

 

 

 

 

 

 

「っ!死柄木弔!」

 

 

 

彼のいた場所がポッカリとなくなったが、男が間一髪で移動させたので彼は無傷だった。

 

 

残念だ。

 

あのままいたら空間ごと拒絶できたかもしれないのに。

 

人間は無理だけど、今なら出来そうだと思ったから是非とも実験してみたいんだけど。

 

 

「あの人だけは。別なんです。

 

おかしいですよね?つい最近までは顔も知らない。赤の他人と同じだったのに。たった数日で私のなかで大きい存在になってしまったんです。

おかしいと思うでしょう?私自身もこんな変化があるとは思いませんでした。

でも、それ以外は変わらないんです。

あの人以外は未だにどうでもいいと思いますし。あなた方がこの社会を壊そうとどうでもいいです。好きにしてください。

でもあの人だけは駄目です。

あの人を傷つけることも。あの人を殺すことも。

私はその元凶をグチャグチャにしたくなってしまう。

だってあの人は。

私を初めて拒絶しないでくれた人で。初めて私を見捨てないでくれた人で。

私の、私のただ一人の父さんなんですから」

 

 

そういって微笑む。

 

右手は彼らに向けた。

 

 

「なので申し訳ありませんがあなた方を許すつもりはありません。

ここで死んでください」

 

 

そういって個性を使おうとした瞬間。

 

「っ!」

 

またもや黒い靄が私を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嗚呼。しまった。これがあなたの個性でしたか。"消す"のをすっかり忘れていました。

ですがまあ今回はいいです。

次にあったら、絶対に逃がしません」

 

 

 

 

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