少女は何を見る   作:晏佳@12

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十三話

眼を開けると今度はもといた場所に戻っていた。

 

「ワープの個性ですか。珍しい」

 

彼ら。なんと言ったっけ?

嗚呼そうだ。『死柄木弔』と『黒霧』だ。覚えた。あんな特徴的なやつら、滅多にいないだろうから今度あったときは間違いなく殺せる。

 

黒霧に連れ去られたときはまだ夕方だったのに、もう暗くなってしまっている。

幸運なことに、おばさんは今日は遅くなると言っていたから大丈夫だとは思うが、一応急いで帰らなくては。

 

「父さんに会うのは明日にしよう」

 

嗚呼。不思議だ。

あの人のことを思い浮かべるだけで心が軽くなる。

早く会いたいな。

でも今まで拒絶していたから、今さら受け入れてくれるだろうか?

まあ、そうだったらそうだったで、そのときに考えよう。

 

 

帰路につく暦は、今までで一番軽い足取りだった。

 

 

 

_______________________

 

 

「おはようございます」

 

次の日。朝一番で職員室にやってきた暦は、一直線に相澤の元へと向かい挨拶をした。

 

「………おはよう」

 

それに眼を見開いて驚くが、なんとか挨拶を返す。

 

「どうした?急に」

「今日の放課後は空いていますか?」

「空いてはいるが………」

「でしたら今日、話したいことがあるので空けといてください」

 

暦はどんどん言う。

そんな変化に相澤を含め職員室にいた教師全員がすくなからず戸惑っていた。

ついこの間までは相澤の話も聞かなかったのに、今日はいきなり自分から時間を空けとけと言うのだから、驚かない方がおかしい。

 

「構わない、が。ここでは駄目なのか?」

「私は構いませんが。この用件とは別に個人的にも話したいことがあるのであるので」

「個人的?じゃあ今のは違うのか?」

「まあ個人的と言えばそうなんですけど………。昨日。ヴィランと名乗る者に拉致されました」

 

まるで天気のことを話すようにあっさりと言ってのける暦の爆弾発言に、今度こそ明確にどよめいた。

 

「どういうことだ!?」

「昨日の帰り、恐らく相手のワープ能力で連れ去られ、死柄木弔、黒霧と名乗る二人に、勧誘されました。まあこちらはどうでもいいのですが、先日の雄英襲撃の犯人と言っていたので一応報告を、と思いまして」

 

淡々と言う暦の肩を掴む。

 

「何かされなかったか!?」

「大丈夫です。少し話してお断りしましたら無事帰されたので」

 

本当にどうでもいいという言葉が聞こえてくるかのような暦の態度に、相澤は眉を潜めた。

もう少し詳しく聞こうと口を開いたところで、校長が現れ、中断せざるをえなかった。

 

「狭間暦さんだよね?」

「はい…………ああ。校長先生か」

 

名を呼ばれ、振り返った瞬間に一瞬硬直したが、すぐにボソッと言うと、暦はしっかりと校長に向き直る。

 

「悪いけど、詳しい話を聞きたいから来てもらっていいかな?」

「構いませんが……」

 

そういって相澤をみる。

 

「今日、放課後になったらお伺いします。何時ごろでしたら都合がいいですか?」

「は……あ、ああ。そうだな。五時なら仕事は終わる」

「でしたら、その時間にお話ししたいことがあります」

「わかった」

 

相澤は基本的に残業するほど仕事を溜め込まないので、定時と共に帰ることがほとんどだ。

その返事に一つ頷くと、暦は校長の後ろについて歩き出す。

その姿が消えた瞬間、職員室内はざわついた。

 

 

「おいおいおい!どういう変化だイレイザー!?」

「俺が知るか」

「でも、大丈夫かしら……敵に眼をつけられたんでしょ?」

「………」

 

 

 

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