少女は何を見る   作:晏佳@12

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編入(5)『体育祭』

開始の合図と同時に、いくつかの塊がこちらに突進してくる。

 

「来た。このまま応戦するから。騎馬だけ維持していて」

「了解」

 

突っ込む勢いで向かってくる集団に応戦しようと身構えていると、一つの影が飛び出してきた。

 

「よこせモブ!!!!」

 

掌を爆発させて飛んでくる。

騎馬を使わない分他よりも速いんだろう。でも。

 

「私には逆効果だよ。それ」

 

ゆっくりと眼を開いた瞬間。髪が重力に逆らい天に浮遊する。そしてきっと、私の目は父さんと同じように赤に輝いていることだろう。

 

途端に爆発が消える。

 

「!?個性が!!?」

「なんで!?あれは先生の個性なんじゃ……!?」

 

爆発がなくなり落ちかけていたあいつは仲間の騎馬によって引き戻されていた。

それでも、私の視界に入った何人かの個性が使えなくなり、しかも私の発動状態が父さんと似通っているので困惑の声がそこかしこから聞こえてくる。

 

そんな絶好の隙を見逃すほど、私は甘くはない。

 

空気という存在を【拒絶】し、足をかけて宙に飛び出す。

 

「!1000万!!」

 

私のハチマキを見て取ろうと個性を発動させる人には、こちらも【抹消】を発動して消し、動揺しているうちに奪い取る。

それに気がつき個性を使用しないで迎え撃とうとする人には、その周りの酸素を【拒絶】して息が出来ず苦しんでいるところを素早く奪い取る。勿論。奪ったあとはすぐに酸素は戻した。

 

ただ走るのではなく、空気を足場に宙に跳びながら移動することで、私を狙い撃とうしている連中を翻弄する。

 

「てめぇ!!モブ女!!逃げんなぁぁぁぁ!!」

 

最初の爆破の男が、今度は騎馬つきで突っ込んでくる。

さっきから他には目もくれず私ばかり狙ってくるから、あいつは徹底的な完璧主義者なんだろう。でもそろそろ鬱陶しいな。

 

ちょうど心操たちの所に戻ってきたので騎馬に乗る。

 

「爆破のやつが来るから、ここで迎え撃とう」

「いいけど………暴れてきたね」

 

私の首に巻いてあるハチマキの束と、奪い返そうと来る集団。それか他から奪い取ろうと躍起になる連中を見て苦笑する心操。

 

「これだけあれば突破は確実だけど、潰すなら徹底的に、だ」

「はいはい」

 

爆破のやつが勢いよくぶつかってくる。

手と手で押し合い、至近距離から睨み合う。私は個性を発動しているから向こうは爆破したくとも出来ず、純粋な腕力勝負になった。

 

「よこせ!!1000万!!」

「煩いな。攻撃するたびにそんなに怒鳴ってるのは、否合理的だと言わざるをえないな」

「知るかよ!!さっきから飛び回ってるが、こうされちゃ敵わねぇだろ!!」

 

爆破野郎は体重をこちらにかけて潰すつもりだ。こんなところで女子と男子。しかもヒーロー科と普通科の筋力の差なんて出すなんて。

確かに私は個性の関係上普通よりは鍛えてるけど、毎日のようにやってるこいつら相手じゃ心もとない。

でもね。

 

「力で押すだけなんて時間の無駄」

 

ふっ。と力を抜くと、唐突に失ったバランスに爆破野郎は体勢を崩す。

それは本当に僅かなものだったけど、私にはそれで十分。

 

騎馬にのせていた右足を浮かし、彼の腹に思いきり叩き込む。

完全に体勢が崩れた瞬間にハチマキを奪い取った。

 

「離脱」

「はいよ」

 

さすが心操。言うより速く動いてくれ、すぐに彼らから離れた。

 

「よし、多分あいつは執念深いだろうから、私を狙うと思う。あと何人かだし心操はここでゆっくりしていてよ」

「あー……そうだね。もうあの二組以外は狭間が奪ったからね」

「私だけじゃない。あいつらも奪っていた」

 

二組と示すのはさっきの障害物競争の二位と三位のチーム。

私がほとんど奪っちゃったから、何とかしてハチマキを奪おうとした組があったみたいだけど、残っていたのはあの二組だけ。奪いにいったけど返り討ちにあったってところか。

 

思った通り私たちを狙って特攻をかけてきている爆破野郎をあしらいつつ移動しながら周りの状況を観察していると、彼らがこちらに狙いをつけたのがわかった。

 

他の組はもう私に敵うとは思ってないから、漁夫の利を狙おうって心つもりだろう。

 

 

「心操、別れる。騎馬のままじゃあいつらの相手をするのは無理だろうからね」

「確かに。今は二人とも睨みあってるけど、こっちに狙いを定めてきた」

 

 

言うや否や、私は空気に足をかけてまた宙に飛び出した。

 

 

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