昔から、『無神経』だと言われていた。
思ったことが気づいたら口に出していて、しまった。と思ったときには既に手遅れ。なんてことは常だ。
物心つく頃には既に母さんは死んでいた。
父親が分からなかったから母さんの親戚に引き取られることになったんだけど、やっぱり自分の領域に異物を入れるのは誰でも嫌なんだろうね。どこも似たり寄ったりだったけど、私の存在を拒絶されてしまったよ。
そんななかで、いつのまにか表情が変わらなくなってしまった。
自分では笑ってるつもりでも、相手に伝わらないのはなかなかに不便だ。
いや、そんなことはどうでもいいんだ。
そもそも私は他人というものを理解していない。
正確には"自分以外の人間の感情"が全く分からない。
なぜ泣いているんだ。
なぜ笑っているんだ。
なぜ怒っているんだ。
分からないから、とりあえず観察することにした。
そうすることで、理解はできないが相手がどうしてそんな行動に出るのか、ということは分かるようになった。
けれど、私は他人と関わることをあまり好まない。
そもそも自分と何もかも違う人間と行動を共にするというのが嫌いだ。
相手のことを考え、時に衝突する。
時間の無駄だろう。
ならば一人でいた方がよっぽど合理的だ。
そう言えば、父親がわからない、というのも拒絶されていた原因の一つだな。
母さんは、学生の頃。しかも高校生で私を産んだらしい。
勿論周りは猛反対。
けれど母さんはその反対を押しきって産んだ。
その事で迷惑がかかってしまうと思って、何も言わず父親の前から姿を消したらしい。
らしい。らしいばかりだが、事実私は真相を知らない。
全て母さんの日記と、朧気ながら少しだけ覚えている。母さんの言葉からの推測だ。
父親がどういう人なのかは分かっていた。
それでも別に、会いたいとは思ってなかった。
今も生きているか分からない。詳しいことは何もわかっていない。確証もない。そんな人物を探し出すなんて、当時の私では無理だったしそんなこと言い出せる環境ではなかった。何より時間の無駄だと判断した。
別に、父親に何かを求めているわけじゃない。
父親がいれば、なんて逆恨みのようなことを思う訳でもない。
愛情。というものはなくてもかまわなかった。
誰かを愛する。誰かを慈しむ。誰かを守る。
どんな形であれ、愛情は人を狂わせる。
予測できない行動に出るし、合理的じゃない。
だから、自分がそんなものを向けられると考えたら是非とも遠慮したい。
だから私は、父親のことなどなんとも思っていないし、万が一会えたとしても特別私の生活が変わるわけではない。あえていえば気になっていたことが解消されるだけだな。
だから、私は父親のことはどうでもよかった。
それよりも、私はずっとあることに興味があった。
それは、人の善悪だ。
正義とは何なのか?悪とは何なのか?
何をもってヒーローというのか。何をもって敵というのか。
完全なヒーローはいない。それと同じように、完全な悪などいない。
どれだけ素晴らしいヒーローだろうと、必ず悪はあるし、どれだけ吐き気がする悪だろうと、正義がある。
ならば、その境界線は何なのか?
私は、それが知りたい。
だからヒーローを知って。敵を知って。
全てを自分の目で見て聞いて、そして判断したい。そうすれば、わかる気がする。
自分は、一体どっちなのか。
今、一体どこに立っているのか。
自分の目的のためならば、手段は選ばない。その異常性は理解している。
だから。きっと私は敵よりなんだろう。
まぁ別に敵になるつもりはないし、ましてやヒーローになるつもりもない。
他人のために動くなんて時間の無駄だし、自分を犠牲にしてまで他人を助けるなんて嫌だ。
それと同じように、何かを壊したり誰かを殺したり。そんなことに労力を使いたくないしそんなこと。時間の無駄だ。
だから私は、どちらにもならない。
無神経で構わない。
自分が思うように。求めるままに行動する。
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父親に会った。
やっぱりどうでもいいな。
あっちは何か話したそうにしていたが、こちらにはなんのメリットもないし、私は話すことはない。時間の無駄。
本当に実在している。ということが確認できたからもういいや。
それに、この学校を選んだのはどんな科でも比較的間近でプロヒーローを、そしてヒーローの卵を見れるからだ。それ以上でもそれ以下でもない。
第一、学校内で教師と生徒以上の関係として話すつもりはない。まぁ学校外では普通に接するけど、それ以外は線を越すことはない。
(だって他人なんてどうでもいいからね)