幻想入りした仮面ライダー   作:しじみっくす

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やっと主人公


スペルカード、ノリ、変身

少し時は戻って博麗神社に続く階段。

 

めちゃくちゃに長い階段を8割は登りきり、

やっと頂上が目と鼻の先となってきた頃、

 

まだ爆発音が止まないでいる頂上では何が

起こっているのか、やはり男である涼は

不安もありながらもちょっとした期待を

胸に進んでいた。

 

 

「やっぱりなんか変な怪物とかと正義のヒーロー的な

なにかが戦ってんのかな...!」

 

 

実に不謹慎な男である。

 

涼は小さい頃からそういった

ヒーローに憧れてはいた。

 

もちろん、そんなのは空想の産物であるのは

理解しており、あくまでも憧れてあって

それを目指そうとかはしてはいない。

 

しかし、突然のこの状況に多少は

ワクワクしているようだ。

 

そんなこんなであと数段まで登りつめると

突然、空から謎のカードが数枚降ってきた。

 

 

「うお、なにこれ...白紙?」

 

 

したに落ちたカードを拾ってみると

何も書かれていないことが

確認できた。

 

そして、またロクでもないことを考え始める。

 

 

「これはもしかして、自分の考えたものが

実現するカードなのでは...!やってみよう」

 

 

そして考えたのはあるヒーローの姿。

 

涼が小さい頃、よく見ていた仮面ライダー電王

というヒーローの姿だった。

 

その頃の涼は、というよりも今もなお、

仮面ライダーが好きで、よく真似をできるくらい

熱中してたので安易に想像出来た。

 

 

「やっぱり電王かっこいいなぁ...」

 

 

傍から見たらただの変態だが、そんなのは気にせずに

続けている涼。

 

すると突然、カードが光を放ち始める。

 

 

「...うえ?!な、なにこれ!!」

 

 

眩しさに目を瞑る涼。

 

何が起こっているのか

わからず、光が収まるのをただ待つのみだった。

 

しばらくして、光がやみ、

カードを確認すると

『装着:デンオウベルト&ライダーパス』

と書かれたカードに変化していた。

 

もちろん、まさかほんとにそうなるとは思ってなかった

涼は一瞬動けなくなるが、すぐに正気に戻る。

 

 

「まじかよ。何なんだこれは...」

 

 

カードをマジマジと確認していると

頂上からなにやら話し声が聞こえてくる。

 

 

「くっ...一体何が目的なのよ!!」

 

 

女性の声だ。

声の調子からしてかなり追い詰められてそう。

 

これは急がないと。

 

そう思った涼は残りの階段を一気に上り詰めた。

 

 

「目的?そんなこと、知りません!!」

 

 

頂上について直後、その言葉が聞こえると同時に

切り裂かれようとしている女性が見えた。

 

何よりも驚いたのが...人ではない何かがそこにいる。

 

しかし、そんなこと気にしてる場合ではないと

思った涼はとりあえず叫んだ。

 

 

「や、やめろ!!」

 

 

時が止まったような感覚。

すべての視線がこちらに注がれていた。

突然現れた涼にそこにいた全員が

驚きを隠せずにいた。

 

 

「...!隙あり!」

 

 

こんなことしてる場合ではないと

紫はイマジンに弾幕を放ち、

その場を離れ、霊夢の元に移動する。

 

 

「くっ、よくもやってくれましたね...!」

 

 

悔しそうに舌打ちをして

霊夢たちを見たあと、涼を睨んだ。

 

 

「あと少しでやれそうだったのに...

まずはあなたから片付けてあげましょう!」

 

 

そういってイマジンは目標を涼に変更し

レイピアを構えて涼に向かってくる。

 

流石に腹が立ったのか、まずは邪魔者を排除しようと

行動を起こしたのか。

 

 

イマジンは涼に飛びかかった。

 

 

「え!?俺!?うわっ!」

 

 

イマジンのレイピアを間一髪でかわし、

地面に転がる。

なんとか体制を立て直してイマジンに向き直った。

 

 

「ちょこまかと...それなら!」

 

 

イマジンは涼にイラつきながらも

涼に接近し、レイピアでつく。

 

しかし、それも涼はサラッとかわしてしまった。

 

 

「あれ、なんか相手の動きが見える」

 

 

気のせいかな...と、冷静に考えていると

イマジンからとめどない攻撃の嵐が

襲いかかる。

 

 

「ちょっと!まじで!やめて!怖いから!」

 

 

そんなことを言いながら

なんだかんだでレイピアをかわしていく。

イマジンもなぜこんなにかわされるのか

疑問に思いつつも攻撃の手を緩めることは無い。

 

 

「紫、もしかしてあの人、さっき幻想入りした...」

 

 

霊夢は今の現状から

幻想入りした人が今まさに

目の前で戦っている人なのでは

ないかと思った。

 

 

「おそらく...間違いないわ。

でも、幻想入りしたばかりの人間が

ここまで攻撃をかわすなんて...」

 

 

今もなお、攻撃をかわし続ける涼をみて、

とてもさっき幻想入りした人間とは

思えないと紫も霊夢も思っていた。

 

 

「かわしてばかりではそのうちやられますよ!」

 

 

かわされ続けるイマジンは

挑発をするように言葉を発する。

 

 

「そんな事言われても!かわすので!精一杯!」

 

 

 

文字通り、今の涼では攻撃をかわすので精一杯。

むしろなんでかわせているのか、

それすら疑問なのだ。

 

それでも、なんとか隙を見つけ、反撃を試みた。

 

 

「そこだぁ!」

 

 

やっと一撃!

そう思ったのだが...

何故か、上手く腕に力が入らなかった。

 

 

「...その程度ですか...?」

 

「え?ぐあっ!」

 

 

まったくダメージのないようで、

逆に涼が腹に拳をくらい、

そのまま後ろに転がる。

 

 

「かはっ!はぁ!はぁ!」

 

 

今までに感じたことのない痛みに

一瞬うまく呼吸が出来なくなる。

 

それでもなんとか立ち上がり、

向き直ることはできたが、

既に息が上がり、肩で息をしている。

 

そして何よりも、さっきの攻撃から

恐怖心が何倍にも膨れ上がってしまった。

 

もうあんな痛い思いはしたくない。

そんな感情が涼の頭の中を支配する。

 

体中が震え、攻撃をするための

接近すらできず、その場から動けない。

 

 

「くっそ...!こんな大事な時にビビりやがって...!」

 

 

なんとか紛らわせようと声を出すが、

それも意味をなさず、やはり動けない。

 

 

「あれ、もしかして震えているのですか?

それはそれは...滑稽ですね!」

 

 

震えている涼を見たイマジンは

それを理解した上であえて接近してくる。

 

1歩ずつ、ゆっくりと。

 

 

「───っ!!」

 

 

声にならない何かと、恐怖心で

後ずさる。

 

なにか、なにか手はないのか...!

 

必死になって考えていると

あることを思い出した。

 

自分のポケットからおもむろに取り出したのは

先ほどの拾ったカード。

 

『装着:デンオウベルト&ライダーパス』

 

使い方はわからないが...やるしかない。

 

 

「...!あれってまさか...!」

 

 

涼の行動にいち早く気づいたのは

紫だった。

 

あの時、落としたスペルカードの1枚を

涼が拾っていた。

 

そして今まさにそれを使おうとしている。

 

 

「誰だかわからないけど...頼むわよ...!」

 

 

もう涼に託すしかない紫と霊夢は

神頼みに近い状態ではあるが

そうするしかなかった。

 

 

「...いくぞ、『装着:デンオウベルト&ライダーパス』!!」

 

 

 

涼は高らかにカードを宣言。

 

すると、カードはまたも光を放つ。

 

 

「な!?なんですかそれは!?」

 

 

驚くイマジンは眩しさのあまり

手で目を覆う。

 

光がやんだ時、涼の腰にはベルトが

装着され、右手には謎のパスカード。

 

そして、どこか自信に溢れている。

 

 

「そ、それは...まさか!!」

 

 

どうやらイマジンはこのベルトに見覚えがあるようで

どこか焦りを見せていた。

 

涼は構わずに左手でベルトの赤いボタンを押し、

パスカードをベルトの中心にかざした。

 

 

「まずい!やめろ────」

 

 

「変身」

 

『ソードフォーム』

 

 

イマジンが行動を起こしてからでは遅かった。

涼の体を鎧がおおい、背後から

桃の形をした赤いパーツが流れてくる。

 

それぞれが鎧として装着され、そして...

仮面ライダー電王、ソードフォームが完成した。

 

 

「くっ!やはりか...早く仕留めなくては...!」

 

 

イマジンは接近戦に持ち込むつもりなのか

レイピアを構えて走ってくる。

 

イマジンが本日最高の焦りを見せている最中

腰についているパーツを組み立てる。

途中まで組み立て、そのパーツを接近してくる

イマジンに投げつける。

 

 

「ぐはぁっ!」

 

 

それに直撃するイマジンはその場に倒れ込み

のろのろと立ち上がる。

 

イマジンに当たった反動で返ってくるパーツに

また新しいパーツをはめ、完成したのは

片手剣のような武器。

 

途端に先端から赤い剣先のようなものが伸びる。

 

 

「こんなに綺麗に決まるとは思わなかった...

ありがとう、イマジンさん」

 

 

そういうと涼はイマジンに走って接近する。

さっきまでの涼とはうって変わって

恐怖心が感じられない。

 

接近してくる涼に気づいたイマジンは

咄嗟に額の針を飛ばす。

 

スパン!

 

しかし、涼の剣によって切り落とされた。

 

 

「はっ!」

 

 

涼は何も出来ずにいるイマジンに

構わず切りかかる。

それはもう、さっきまでの

あれこれの仕返しをせんとばかりに

ズバズバと切りまくる。

 

最後、思いっきり力を込めて下から

イマジンを切り上げる。

 

 

「とりゃ!」

 

「ぐは!!」

 

 

イマジンは一瞬宙に浮き、

地面へと転がる。

 

 

「はぁ、はぁ、なんだ...なんですかその強さは...!」

 

 

突然の変貌に驚きを隠せないイマジンは

地面に這いながらも問いかける。

 

驚くのも無理はない。

さっきまで恐怖に怯えていた人間が

ただ、変身しただけでこれだけの

強さを発揮しているのだ。

 

 

「そんなの、俺が一番聞きたいね」

 

 

イマジンの質問に適当に答え、

ライダーパスをベルトの中心に再度かざす。

 

『フルチャージ』

 

電子音と共にベルトから剣に

力が送られる。

 

涼は腰を下げ、剣を構える。

 

 

「くっそ...こんなところでやられるわけには...」

 

 

最後の力を振り絞り、

この場から逃げ出そうとするイマジン。

だが、涼はそれを逃がすつもりはなかった。

 

 

「じゃあね、イマジンさん」

 

 

剣先が独立し、涼が剣を振り下ろした瞬間、

剣先が逃げ出そうとしているイマジンに

直撃した。

 

 

「ガアァッ!!!」

 

 

────────────ッ!!!

 

 

そして、イマジンは爆死した。

 

 

「...やったの...?」

 

 

静寂が支配する空間の中、

目の前で起きたことを確認するかのように

紫は呟いた。

 

 

「...たはぁ〜」

 

 

一気に緊張がほぐれたのか

涼は勝手に変身が解かれ、その場に倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 




書き始めると止まらない

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