トーマスを運んできた拓哉は、早速束を呼び修理できるか見てもらう。
拓哉「どうだ束。直せそうか?」
束「う~ん…流石の束さんも、こんな機関車は見たことないね。いくらなんでも、これだけ古いと設計図とかがない限り難しいかな」
拓哉「流石の束でも無理か」
束「ごめんね。設計図か1度でも修理の仕方を見れたら、それ以降は束さんでも出来るけどね」
拓哉「となると、修理に長けていて尚且つ蒸気機関車に詳しい人間が必要か」
リーラ「しかし、そんな方直ぐに見つかるかどうか」
拓哉「だよなぁ」
リーラの言葉に頭を悩ます拓哉。すると、ロベルタがある提案をする。
ロベルタ「拓哉様、出来るかどうか分かりませんが、可能性がありそうな方に心当たりが」
拓哉「誰だ?」
ロベルタ「特車2課の整備班長の榊様です」
拓哉「榊さんかぁ。確かに榊さんなら、トーマスの事を直せる可能性はあるな」
ロベルタの提案は、今現在拓哉と所属している特車2課の整備班長である榊に修理を依頼するということだ。
拓哉「しかしなぁ」
大和「何か問題でも?」
拓哉「いや、俺の正体を知ってるのは香貫花さんだけなんだよ。第2小隊の連中は勿論、榊さんやシゲさん、南雲隊長に後藤隊長は俺の正体の事黙ってるんだよ」
ロベルタ「確かにそうですが、
拓哉「……」
拓哉は悩みながらトーマスを見る。拓哉自身も出来るだけ早くトーマスを直してやりたいと思っている。
拓哉「…仕方ない。明日榊さんに話してみるか。リーラ、明日中に出来るだけトーマスの修理に必要な部品を集めておいてくれ」
リーラ「かしこまりました」
拓哉「ロベルタは、明日終わったら榊さんを連れてきてくれ」
ロベルタ「お任せください」
こうして、拓哉は榊にトーマスを修理してもらうように頼むことにしたのであった。翌日、特に大きな事件もなく、無事に定時の時間にあがることができた。
拓哉「すみません、今日はお先に失礼します」
遊馬「佐藤、今日は随分と早いな」
拓哉「はい。少し用事がありまして」
野明「そうなんだ」
拓哉「はい。それでは皆さん、お疲れ様です」
山崎「お疲れ様です」
進士「お疲れ様です」
第2小隊のメンバーに挨拶し、拓哉はロベルタとの待ち合わせ場所に合流する。すると既にロベルタと榊がいた。
榊「なんでぇ、俺に用があるのが佐藤か」
拓哉「すみません榊さん。ロベルタさんもありがとうございます」
ロベルタ「いえ、気にしないで下さい」
榊「で、俺に用ってのは一体なんだ?」
拓哉「はい。榊さん、つかぬことを聞きますが、機関車って修理したことありますか?」
榊「なに、機関車だと?」
拓哉の言葉に、榊は少し驚く。
拓哉「はい。蒸気機関車です」
榊「若ぇ頃に数回だが修理はしたことはあるが、それがどうしたんだ?」
拓哉「実は、昨日古い機関車を見つけまして、出来れば修理してあげたいんですが、残念ながら俺にはそんな技術もありませんし。ここで機関車を修理したことあるのは、榊さんくらいかなと思って声をかけさせてもらったんです」
榊「なるほど」
拓哉の言葉に榊は納得する。
榊「…よしいいだろう。1度その機関車を見せてみろ。俺で直せれば直してやる」
拓哉「ありがとうございます!勿論報酬は払いますので」
榊「報酬って、お前さんがか?」
拓哉「はい!」
榊「んな無理しなくてもいいっての」
ロベルタ「拓哉様、報酬の件は後程にして、取り合えず見えてからにいたしませんか?」ヒソヒソ
榊に聞こえない声で拓哉にそう提案するロベルタ。
拓哉「…確かにそうだな。そうするか。で、迎えのヘリは?」
ロベルタ「離れた場所で待機中です」
拓哉「なら取り合えず帰るか」
話が終わり、榊に話しかける。
拓哉「では榊さん、取り合えずその機関車がある場所にご案内しますので」
ロベルタ「車は此方で用意してますので」
榊「分かった」
そして拓哉達は、ヘリが待機してる場所に向かった。その様子を上から野明と遊馬が見ていた。
遊馬「佐藤の奴、おやじさんとロベルタさんを連れてどこ行ったんだ?」
野明「さぁ?」
遊馬「…後つけてみようぜ♪」
野明「ええ!いいのかなぁ」
遊馬「いいのいいの!」
こうして、野明と遊馬は拓哉達の後を追い掛けていった。目的地に向かって進み、途中で車を降り歩いてる拓哉達だが、後ろで野明達が尾行しているのにはすぐ気が付いた。
ロベルタ「…拓哉様」
拓哉「ああ、つけられてるな。ヘリまでの距離は後どれくらいだ?」
ロベルタ「直線距離で、約500mです」
拓哉「なら、どうせバレるし榊さんを背負ってくれ。バカ連中じゃないみたいだし、おそらく俺達を見て興味本意で尾けてきた
ロベルタ「おそらくは」
拓哉「なら撒くのも簡単だ」
そしてロベルタは、榊さんを背負いだす。
榊「い、一体何事だ!?」
拓哉「すみません榊さん。他の人にバレると後々面倒なので、少しだけ我慢して下さい」
そして拓哉達は、素早く路地裏に入ると、ビルとビルの壁を蹴り上に上っていく。
榊「お前さんら…一体何者だ?」
拓哉「それは、機関車を見てからキチンと説明しますよ」
そして拓哉達は、ヘリが待機してる場所に到着し、島に戻るのであった。一方、見事に撒かれた2人は…
野明「い、いない…」
遊馬「どこいった?確かにこの路地に入るのは見たんだぞ!」
野明「もしかして…空でも飛んだんじゃ」
遊馬「んなバカな話があるか!」
いきなり消えた3人の行方を探していたのだった。そして拓哉達はヘリに乗り、島に戻りそのままトーマスがいる工廠にやって来た。
拓哉「ここです榊さん」
拓哉は扉を開けると、中には既に修理するのに必要な部品とトーマスがいる。
榊「こいつか」
榊はトーマスをマジマジと見る。
トーマス「お願いします。もう一度走れる様にしてください」
トーマスにそう言われ、榊は少しだけ驚く顔をする。事前に拓哉に言われていたとはいえ、やはり機関車が喋ることに驚きは隠せない。
拓哉「榊さん、直せそうですか?」
榊「やってみねぇ事には分からねぇが、多分直る筈だ」
拓哉「そうですか」
その言葉を聞いて、拓哉達は安堵の表情になる。
拓哉「なら榊さん。すみませんが、束に直し方の方もお願いします」
束「よろしくね~♪」
榊「ハハッ。まさか、ISを作った本人に機関車の修理の仕方を教えることになるとはな。人生ってのは分からねぇな」
束を見ながらそう言う榊。
榊「ま、お前さんがアイツの孫で、次期当主と聞いたときは流石に驚いたがな」
拓哉「それは此方の台詞ですよ。まさか榊さんが、婆ちゃんと知り合いだったなんて」
そう。実は榊は拓哉の祖母であるかぐやと知り合いなのである。
榊「昔は色々とヤンチャしたもんだ」
拓哉「婆ちゃんがヤンチャ…」
リーラ「想像できませんね」
今のかぐやしか知らない拓哉達は驚きを隠せないのであった。
榊「さて、なら修理を始めるか」
束「お~!」
拓哉「それでは宜しくお願いします。トーマス、早く直ればいいな」
トーマス「はい!」
そして拓哉とリーラ、ロベルタは工廠を後にしたのであった。
拓哉「さて、トーマスの修理は榊さんと束に任せるとして…リーラ、鎮守府の工事は何処まで進んでるんだ?」
リーラ「はい。既に榊様達がおられる工廠は終わっており、今は艦娘達の宿舎を建築しております」
ロベルタ「束様のゴーレム等により、工事のスピードはとても順調です。後半月もあれば宿舎の建設は終了するかと」
拓哉「相変わらず束の作る物はオーバーテクノロジーだな。バビロンプロジェクトの連中達が泣くぞ」
ロベルタの言葉を聞いて、やはり束は天才であり天災だと、改めて認識させられた拓哉であった。
拓哉「もしまだ機械が増やせるなら、鎮守府の工事と同時進行で線路も直していきたいな」
リーラ「では後程、束に伝えておきます」
拓哉「ああ、頼むよ」
こうして、トーマスの修理も始まり一安心する拓哉であった。