この世界   作:シャト6

29 / 37
第29話

トーマスを運んできた拓哉は、早速束を呼び修理できるか見てもらう。

 

拓哉「どうだ束。直せそうか?」

 

束「う~ん…流石の束さんも、こんな機関車は見たことないね。いくらなんでも、これだけ古いと設計図とかがない限り難しいかな」

 

拓哉「流石の束でも無理か」

 

束「ごめんね。設計図か1度でも修理の仕方を見れたら、それ以降は束さんでも出来るけどね」

 

拓哉「となると、修理に長けていて尚且つ蒸気機関車に詳しい人間が必要か」

 

リーラ「しかし、そんな方直ぐに見つかるかどうか」

 

拓哉「だよなぁ」

 

リーラの言葉に頭を悩ます拓哉。すると、ロベルタがある提案をする。

 

ロベルタ「拓哉様、出来るかどうか分かりませんが、可能性がありそうな方に心当たりが」

 

拓哉「誰だ?」

 

ロベルタ「特車2課の整備班長の榊様です」

 

拓哉「榊さんかぁ。確かに榊さんなら、トーマスの事を直せる可能性はあるな」

 

ロベルタの提案は、今現在拓哉と所属している特車2課の整備班長である榊に修理を依頼するということだ。

 

拓哉「しかしなぁ」

 

大和「何か問題でも?」

 

拓哉「いや、俺の正体を知ってるのは香貫花さんだけなんだよ。第2小隊の連中は勿論、榊さんやシゲさん、南雲隊長に後藤隊長は俺の正体の事黙ってるんだよ」

 

ロベルタ「確かにそうですが、(トーマス)を直すにはそれしかないかと」

 

拓哉「……」

 

拓哉は悩みながらトーマスを見る。拓哉自身も出来るだけ早くトーマスを直してやりたいと思っている。

 

拓哉「…仕方ない。明日榊さんに話してみるか。リーラ、明日中に出来るだけトーマスの修理に必要な部品を集めておいてくれ」

 

リーラ「かしこまりました」

 

拓哉「ロベルタは、明日終わったら榊さんを連れてきてくれ」

 

ロベルタ「お任せください」

 

こうして、拓哉は榊にトーマスを修理してもらうように頼むことにしたのであった。翌日、特に大きな事件もなく、無事に定時の時間にあがることができた。

 

拓哉「すみません、今日はお先に失礼します」

 

遊馬「佐藤、今日は随分と早いな」

 

拓哉「はい。少し用事がありまして」

 

野明「そうなんだ」

 

拓哉「はい。それでは皆さん、お疲れ様です」

 

山崎「お疲れ様です」

 

進士「お疲れ様です」

 

第2小隊のメンバーに挨拶し、拓哉はロベルタとの待ち合わせ場所に合流する。すると既にロベルタと榊がいた。

 

榊「なんでぇ、俺に用があるのが佐藤か」

 

拓哉「すみません榊さん。ロベルタさんもありがとうございます」

 

ロベルタ「いえ、気にしないで下さい」

 

榊「で、俺に用ってのは一体なんだ?」

 

拓哉「はい。榊さん、つかぬことを聞きますが、機関車って修理したことありますか?」

 

榊「なに、機関車だと?」

 

拓哉の言葉に、榊は少し驚く。

 

拓哉「はい。蒸気機関車です」

 

榊「若ぇ頃に数回だが修理はしたことはあるが、それがどうしたんだ?」

 

拓哉「実は、昨日古い機関車を見つけまして、出来れば修理してあげたいんですが、残念ながら俺にはそんな技術もありませんし。ここで機関車を修理したことあるのは、榊さんくらいかなと思って声をかけさせてもらったんです」

 

榊「なるほど」

 

拓哉の言葉に榊は納得する。

 

榊「…よしいいだろう。1度その機関車を見せてみろ。俺で直せれば直してやる」

 

拓哉「ありがとうございます!勿論報酬は払いますので」

 

榊「報酬って、お前さんがか?」

 

拓哉「はい!」

 

榊「んな無理しなくてもいいっての」

 

ロベルタ「拓哉様、報酬の件は後程にして、取り合えず見えてからにいたしませんか?」ヒソヒソ

 

榊に聞こえない声で拓哉にそう提案するロベルタ。

 

拓哉「…確かにそうだな。そうするか。で、迎えのヘリは?」

 

ロベルタ「離れた場所で待機中です」

 

拓哉「なら取り合えず帰るか」

 

話が終わり、榊に話しかける。

 

拓哉「では榊さん、取り合えずその機関車がある場所にご案内しますので」

 

ロベルタ「車は此方で用意してますので」

 

榊「分かった」

 

そして拓哉達は、ヘリが待機してる場所に向かった。その様子を上から野明と遊馬が見ていた。

 

遊馬「佐藤の奴、おやじさんとロベルタさんを連れてどこ行ったんだ?」

 

野明「さぁ?」

 

遊馬「…後つけてみようぜ♪」

 

野明「ええ!いいのかなぁ」

 

遊馬「いいのいいの!」

 

こうして、野明と遊馬は拓哉達の後を追い掛けていった。目的地に向かって進み、途中で車を降り歩いてる拓哉達だが、後ろで野明達が尾行しているのにはすぐ気が付いた。

 

ロベルタ「…拓哉様」

 

拓哉「ああ、つけられてるな。ヘリまでの距離は後どれくらいだ?」

 

ロベルタ「直線距離で、約500mです」

 

拓哉「なら、どうせバレるし榊さんを背負ってくれ。バカ連中じゃないみたいだし、おそらく俺達を見て興味本意で尾けてきたウチの連中(第2小隊)だろうよ」

 

ロベルタ「おそらくは」

 

拓哉「なら撒くのも簡単だ」

 

そしてロベルタは、榊さんを背負いだす。

 

榊「い、一体何事だ!?」

 

拓哉「すみません榊さん。他の人にバレると後々面倒なので、少しだけ我慢して下さい」

 

そして拓哉達は、素早く路地裏に入ると、ビルとビルの壁を蹴り上に上っていく。

 

榊「お前さんら…一体何者だ?」

 

拓哉「それは、機関車を見てからキチンと説明しますよ」

 

そして拓哉達は、ヘリが待機してる場所に到着し、島に戻るのであった。一方、見事に撒かれた2人は…

 

野明「い、いない…」

 

遊馬「どこいった?確かにこの路地に入るのは見たんだぞ!」

 

野明「もしかして…空でも飛んだんじゃ」

 

遊馬「んなバカな話があるか!」

 

いきなり消えた3人の行方を探していたのだった。そして拓哉達はヘリに乗り、島に戻りそのままトーマスがいる工廠にやって来た。

 

拓哉「ここです榊さん」

 

拓哉は扉を開けると、中には既に修理するのに必要な部品とトーマスがいる。

 

榊「こいつか」

 

榊はトーマスをマジマジと見る。

 

トーマス「お願いします。もう一度走れる様にしてください」

 

トーマスにそう言われ、榊は少しだけ驚く顔をする。事前に拓哉に言われていたとはいえ、やはり機関車が喋ることに驚きは隠せない。

 

拓哉「榊さん、直せそうですか?」

 

榊「やってみねぇ事には分からねぇが、多分直る筈だ」

 

拓哉「そうですか」

 

その言葉を聞いて、拓哉達は安堵の表情になる。

 

拓哉「なら榊さん。すみませんが、束に直し方の方もお願いします」

 

束「よろしくね~♪」

 

榊「ハハッ。まさか、ISを作った本人に機関車の修理の仕方を教えることになるとはな。人生ってのは分からねぇな」

 

束を見ながらそう言う榊。

 

榊「ま、お前さんがアイツの孫で、次期当主と聞いたときは流石に驚いたがな」

 

拓哉「それは此方の台詞ですよ。まさか榊さんが、婆ちゃんと知り合いだったなんて」

 

そう。実は榊は拓哉の祖母であるかぐやと知り合いなのである。

 

榊「昔は色々とヤンチャしたもんだ」

 

拓哉「婆ちゃんがヤンチャ…」

 

リーラ「想像できませんね」

 

今のかぐやしか知らない拓哉達は驚きを隠せないのであった。

 

榊「さて、なら修理を始めるか」

 

束「お~!」

 

拓哉「それでは宜しくお願いします。トーマス、早く直ればいいな」

 

トーマス「はい!」

 

そして拓哉とリーラ、ロベルタは工廠を後にしたのであった。

 

拓哉「さて、トーマスの修理は榊さんと束に任せるとして…リーラ、鎮守府の工事は何処まで進んでるんだ?」

 

リーラ「はい。既に榊様達がおられる工廠は終わっており、今は艦娘達の宿舎を建築しております」

 

ロベルタ「束様のゴーレム等により、工事のスピードはとても順調です。後半月もあれば宿舎の建設は終了するかと」

 

拓哉「相変わらず束の作る物はオーバーテクノロジーだな。バビロンプロジェクトの連中達が泣くぞ」

 

ロベルタの言葉を聞いて、やはり束は天才であり天災だと、改めて認識させられた拓哉であった。

 

拓哉「もしまだ機械が増やせるなら、鎮守府の工事と同時進行で線路も直していきたいな」

 

リーラ「では後程、束に伝えておきます」

 

拓哉「ああ、頼むよ」

 

こうして、トーマスの修理も始まり一安心する拓哉であった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。