工廠に入ると、そこにはリーラとスコットがペペロンチーノ号の前で話している。アルは拓哉が用意した部品等を嬉しそうに見ている。
ナナミ「アル〜!父さ〜ん!」
トーマス「アル〜!」
アル「お〜トーマス!ナナミ!それにタクヤ!」
拓哉「相変わらず嬉しそうに機械とかを見るな。で、どうだ?俺からのプレゼントは。気に入ったか?」
アル「気に入ったもなにも、ホントにこんなに貰ってもいいのか?」
拓哉「ああ。いつかペペロンチーノ号にも恩返ししたくてな。それでスコットさん。もし許可を頂ければ、ペペロンチーノ号を此方で修繕や強化したいんですが」
スコット「ペペロンチーノ号をかい?」
拓哉「はい。勿論スコットさんとアルが立ち会ってもらう事を条件にします」
スコット「なるほど。確かにここ最近ペペロンチーノ号をまともにオーバーホールもできていなかったが」
拓哉「なら是非とも。勿論費用等は加藤家が負担しますので」
スコット「流石にそれは…」
拓哉「いえ、そこは譲れません。いくらかかってもウチが出します。ですので、ペペロンチーノ号をパワーアップしてやってください」
拓哉は真剣な顔でスコットに言う。
アル「スコット、ここはタクヤの顔を立ててやったらどうだ?」
ナナミ「父さん…」
スコット「…分かった。なら暫くの間はここにお世話になろう」
ナナミ「へへっ!やったぁ!!」
こうして、ペペロンチーノ号はパワーアップする事になったのだった。その夜、ジェームス達が作った夕食を食べ大広間でのんびりする一同。
ナナミ「美味しかった〜」
トーマス「そうだね。ジェームスさんのご飯美味しかった」
ジェームス「ありがとうございます」
スコット「リーラさんの手料理も久々だったな」
リーラ「恐縮です」
皆それぞれ雑談を楽しむ。
ルプスレギナ「拓哉様」
拓哉「ん?どうした」
ルプスレギナ「拓哉様やリーちゃんは、どうやって皆様と出会ったんですか?」
ルプスレギナが、拓哉とナナミ達との出会いを聞く。
拓哉「そうだなぁ。折角だしその時の話をするか」
そして拓哉は語りだす。
拓哉「あれは俺が14の時だ。まだ修行中で世界中を旅してた時だった…」
拓哉「ん〜!この島は気候が穏やかだな」
拓哉は修行の為世界中を旅している。加藤家に伝わる霊剣・荒鷹と途中で手に入れた初代斬鉄剣。そして、加藤家で生まれた時に作られる1本、三代鬼徹。その3本を使いこなす修行も兼ねている。
拓哉「さて、次の場所は何処にするかな」
地図を広げ次の目的地を決める。
「きゃああああ!!父さん!父さあああん!!」
拓哉「なんだ?」
拓哉は声が聞こえた方に走る。到着すると、1人の男性が倒れていた。
拓哉「おい!おい!!しっかりしろ!!」
「う…うぅ…っ」
拓哉「とにかく場所を移動しないと…」
拓哉は倒れてる男を担いで、場所を移動する。移動中に男は目を覚ます。
「…ここは?」
拓哉「気がついたみたいだな」
拓哉は目が覚めた男をおろし話しかける。
「君が助けてくれたのか?」
拓哉「助けたっていうより、あの場所から移動させただけだがな」
「そうだったのか。ありがとう」
拓哉「気にしなさんな。で、一体何があったんだ?」
拓哉は男から話を聞く。男は船で海の生き物の生体などを調べており、その道中遭難者を助け薬を買いにこの島に来た。そして、その遭難者を追っている組織に娘を拐われたと説明される。
拓哉「なるほど…で、あんたはこれからどうするつもりだ?」
「当然ナナミを助けに行く!」
拓哉「なら話は早い。俺も連れてってくれ」
「なんだと!?」
拓哉の言葉に男は驚く。
拓哉「確かに、お宅からしたら見ず知らずの俺が手助けする理由が分からないのは当然だ。だがな、親が生きてるなら…絶対に一緒にいなきゃいけない!それを他人の手で引裂き、誘拐までする連中に腹が立っただけだ。勿論報酬もいらない。頼む…俺も連れてってくれ」
「…分かった」
こうして拓哉は、男と一緒に男の娘の救出に加わった。
拓哉「そういえばお互いまだ名乗ってなかったな。俺は拓哉だ」
「私はスコット・シンプソンだ。海洋生物の調査の為旅をしている」
拓哉「よろしく、スコットさん」
スコット「こちらこそ、タクヤ」
お互い握手をする。そしてスコットの船にゴムボートで戻る。戻るとスコットは皆にナナミが拐われた事を説明した。
「クソッ…ナナミの奴が」
「ナナミの事も大変だけど、一緒に連れてきたこの子は誰なの?」
スコット「彼の名はタクヤ。ナナミの救助手助けしてくれる」
「この子が?」
「大丈夫かよ。腰に付けてるのは、日本のソードって事は分かるけどよ」
拓哉「ま、確かにそう思われても仕方ないがな」
拓哉はそう言うと、女性を睨み付けて威嚇する。すると女性は気を失った。
「お、お嬢様!!」
「お、おい!?」
拓哉「すみません。少しだけ威嚇しました。意力は弱めたつもりなんですが」
「威嚇だと!」
「お、お嬢様は大丈夫なんでしょうか」
拓哉「大丈夫です。気を失ってるだけですから」
その言葉に、女性の執事は安心するが、太っちょの男は終始驚きっぱなしだった。そして、ナナミを探して船は進む。しかし、どこにいるか手がかりがない。
拓哉「しかし、手がかりがないのも困ったもんだな」
そんな事を言ってると、シャチが突然暴れだす。
拓哉「な、なんだ!?」
スコット「…アル!後を頼む!」
アル「オーキードーキー!」
シェリル「どうしたの?」
スコット「ティコはナナミの場所を知ってるんだ!」
スルトスコットは、海に飛び込みティコに掴まって行ってしまった。
拓哉「へ〜。あのシャチ…ティコって言ったか?凄い賢いな」
アル「ああ。ティコとナナミは、小さい時から一緒だったからな」
拓哉「なるほど。最早家族だな」
アル「ああ」
そんな話をしてると、スコットが戻ってき船の進路を変えた。そして今ナナミが囚われている場所が分かったと聞かされた。
アル「それじゃあ、ナナミはその岩場に?」
スコット「ああ。いるのは間違いない」
シェリル「だったら、早く助けに行きましょうよ!」
拓哉「行ったところでどうする?相手は武器を持っているんだ」
ジェームス「そうでございます。ここはじっくり考えませんと」
シェリル「そ、それは…」
拓哉の言葉にシェリルは黙る。
拓哉(さて…どうするかな。相手は武器ありで、こっちは俺以外は武器なし。俺単体で乗り込めればなんとかできるが、それはスコットさんが許しちゃくれない)
『ペペロンチーノ号、聞こえるか?ペペロンチーノ号』
するとペペロンチーノ号に通信が入る。
スコット「こちらペペロンチーノ号。船長のスコットだ」
『俺の名はメタル・クロー。色々と楽しませてくれてありがとよ。スコット…』
シェリル「恥ずかしくないの!女の子を攫ったりして!」
クロー『明日午前9時、リオデジャネイロ沖8マイルの地点で待っている』
スコット「…承知した」
スコットはクローの案を承諾する。
クロー『では明日の朝、お会いしよう』
そしてクローからの通信は切れた。そしてスコット達は、ペペロンチーノ号の後ろにある部屋に入り、助けた男リチャードから話を聞く。拓哉は入り口前で壁にもたれる。話が終わり、スコットは拓哉達を集め、地図を広げ話し合う。
スコット「ここが、約束のリオデジャネイロ湾の沖、8マイルの地点だ。私は夜明け前に岩場の裏側から上陸して、陸路で奴らのアジトに接近する」
アル「1人でか!?」
シェリル「無茶よ!」
スコット「ナナミとデートの約束をしたんでね。邪魔をしないでくれ」
拓哉「……」
スコット「ペペロンチーノ号は、約束通り合流地点へ向かってくれ」
アル「おとりって訳だな」
スコット「うん。その間に私がナナミを助け出す」
その言葉にアルは黙る。
シェリル「フィルムを渡せばナナミを助けてくれる約束でしょう?ナナミを連れて来るんじゃないの?」
拓哉「それはないな」
拓哉の言葉に、全員が拓哉を見る。
シェリル「ど、どうしてよ」
拓哉「言っちゃ悪いが、そのナナミって子は向こうのアジトにいるんだろ?んで、おそらくその場所は写真に写ってた場所。なら、それを見たナナミが無事に帰ってくる保証は0だ。勿論写真を見た俺達全員もな」
スコット「ああ。タクヤの言う通りだろう。アジトを知ったナナミを奴等が簡単に返すとは思わない。アジトに残してくる筈だ」
ジェームス「なるほど。それが悪党のやり方というわけですな」
拓哉「ああ。俺は世界を回って、そんな連中を嫌というほど見てきたが、悪党連中に共通するのは、自分達の邪魔になるのは全て排除するって事だ」
シェリル「そんな…」
拓哉とスコット、ジェームスの言葉を聞いて、シェリルは唖然とする。
スコット「ジェームスさんから貴方に頼みたい事がある。とても大切な仕事だ」
こうして、スコットは作戦を立て朝日が登る前に決行される。
スコット「それじゃあ、後は作戦通りに」
スコットはそう言い残し、ゴムボートで岩場に向かった。
アル「さて、俺達も行くぞ」
ペペロンチーノ号は目的地に向けて出発する。指定場所のリオデジャネイロ湾沖8マイルの場所で待っていると、クローが乗る高速艇もやって来た。
クロー「フィルムはどこだ」
アル「ここにあるぜ」
クロー「おっと、ナナミを先に返せ」
クロー「フィルムが先だ!」
シェリル「いいえ、ナナミが先よ!ナナミ返しなさい!」
クロー「あの小娘がどうなってもいいのか?」
拓哉「……」
クロー「さ〜フィルムを渡せ。さもないと人質もお前達も殺すぞ!」
アル「ま、待て!今渡すよ」
アルはフィルムを渡そうとする。しかし拓哉が手で静止させる。
クロー「…なんの真似だ小僧」
拓哉「なんの真似もなにも、どの道フィルムを渡した瞬間、俺達を殺すつもろだろ?」
クロー「なに?」
拓哉「ナナミがあんたらのアジトを知ったんだ。フィルムを回収しても、それを見てる可能性がありアジトの場所を知ってる俺達をあんたらは見逃すはずが無いからな」
クロー「…フフフ…ハハハハハハッ!!」
するとクローは盛大に笑い出す。
クロー「その通りだ。アジトの場所や秘密を知られたお前達を生かして返す理由はないからな」
拓哉「だと思った」
それと同時に、空の方に照明弾が打ち上がる。
アル「合図だ!」
拓哉「ペペロンチーノ号を走らせろ!」
拓哉はそれと同時に、相手の船に乗り移る。
クロー「貴様等!なんの真似だ!!」
拓哉「こういう事だよ!てやあああああああ!!!」
拓哉は船を刀で斬り、そのままペペロンチーノ号に乗り込んだ。
クロー「くそ!追え!追うんだ!!」
シェリル「ちょっと来るわよ!!」
拓哉「安心しろ」
拓哉はそう言うと、刀を鞘の中に完全にしまう。それと同時に高速艇は真っ二つに切れた。
拓哉「はぁ…つまらん物を斬ったな」
『……』
高速艇が真っ二つに斬れた瞬間を見たアル達は、全員が言葉を失った。
アル「ホント…驚いたぜ」
シェリル「貴方からの提案だったけど、本当に船が斬れるなんて」
ジェームス「はい…本当に驚きですお嬢様」
それぞれの感想であった。そしてスコットとナナミがティコに乗って戻ってきた。
ナナミ「アル…」
アル「良かった…本当に良かった」
ナナミ「ありがとうアル…」
アル「やったな!スコット」
スコット「ああ」
シェリル「うふふ」
するとスコットは、シェリルと拓哉に手を出す。
スコット「ありがとう。君達にも随分と心配をかけた」
シェリル「うふふ」
拓哉「別にいいさ」
ナナミ「あたし、リチャードさんに知らせてくる!」
ナナミがリチャードの所に向かう。すると海からクローがペペロンチーノ号に乗り込んだ。
クロー「さぁ、フィルムを寄越せ」
スコット「貴様等に渡さん!」
クロー「ならば力づくででも貰うぜ!」
するとクローは、義手の右手の先を尖らせる。それをスコットに向けて振り下ろす。が…
ガキン!!
クロー「なに!?」
拓哉「ま、船をしずめた程度じゃ駄目だったか」
クロー「なんだと!?」
拓哉「悪いが、次は手加減なしだ!」
拓哉は素早く刀を抜き、クローの右手を斬り落とす。
クロー「くっ!!」
拓哉「ここにはシェリルや女の子が乗ってるから、斬るのは勘弁してやる」
すると拓哉は、思いっきり腕を振りかぶる。
拓哉「オールマイト直伝…」
そして腕を前に突き出した。
拓哉「
そう言い振りかぶると、物凄い風圧が生まれた。
クロー「くっ…!うおおおおおおおおおっ!!」
そしてクローは風圧で何処かに吹き飛んでいった。
『……』
拓哉「…ぐっ!やはり加減してもまだまだ修行が足りないか」
痛めた腕を抱えながらそう言う。
シェリル「大丈夫!」
シェリルが倒れそうな拓哉を支える。
拓哉「わ、悪いな」
シェリル「気にしないで。…助けてくれてありがとう」
拓哉「気にするな。ああでもしないと、シェリル人質になってたかも知れないからな」
シェリル「そう…」
そして拓哉は気絶した。
拓哉「…あれ?ここは?」
気絶していた拓哉は、目を覚まし立ち上がる。外を見ると海の上。
拓哉「進んでるって事は、ここはペペロンチーノ号なのか…」
すると部屋にナナミが入ってきた。
ナナミ「良かった!目が覚めたんですね。父さん!アル!シェリルさん!ジェームスさん!タクヤさんが目を覚ましたよ!!」
ナナミがそう言うと、操縦中のアルを残して全員がやって来た。
スコット「目を覚ましたか」
拓哉「ええ。今はどこに?」
スコット「リオデジャネイロから今はアフリカのザイール川経由でエーゲ海を目指している。君を残すか迷ったが、まだきちんとお礼も出来ていないからね」
拓哉「いえ、助かります。どの道船を降りてもまだ旅を続けるだけなんで」
スコット「そうか」
拓哉「もし迷惑じゃなければ、暫くの間世話になりたいんですが」
スコット「もちろんいいとも」
スコットからそう言われ、拓哉はスコットと握手を交わした。
ナナミ「あの…」
するとナナミが拓哉に話しかける。
拓哉「君は?」
スコット「紹介しよう。この子が私の娘のナナミだ。ナナミ、彼はタクヤだ」
拓哉「よろしくナナミ」
ナナミ「はい!よろしくお願いしますタクヤさん!」
ナナミとも握手をする拓哉であった。
スコット「さて、これから君が寝る場所を確保しないとな。しかしアルが寝ている場所は流石にこれ以上は寝れないな。とはいえ、私の部屋も二人は無理だ。どうするか…」
スコットが拓哉の寝場所について考えると、ナナミが手を上げる。
ナナミ「はい!私の部屋なら大丈夫」
シェリル「ナナミの部屋!?」
ナナミの提案に驚くシェリル。
拓哉「いや、流石に女の子と一緒だと…」
ナナミ「大丈夫!私のベッドは上だし、下の方なら寝れるわ」
スコット「ん〜…」
ナナミの提案にスコットは悩む。いくら拓哉に恩があるとはいえ、年頃の…しかも自分の娘と同じ部屋にする事を悩む。
ナナミ「駄目かな…父さん」
スコット「…いいだろう。タクヤ、すまないが君はナナミの部屋で寝てくれるか?」
シェリル「スコット!!」
拓哉「いいんですか!?」
拓哉とシェリルは驚く。
スコット「確かに自分の娘だが、ナナミ本人が言っているのを尊重してやりたい」
拓哉「……」
シェリル「だったら私の部屋で寝ればいいじゃない!」
ジェームス「いけませんお嬢様!いくらお嬢様頼みとはいえ、そんな事をすればわたくしは旦那様になんと言えばいいか」
拓哉「そりゃそうだ。けど、ナナミは本当に俺と一緒でもいいのか?」
ナナミ「はい!拓哉さんは、見ず知らずの私を助けようとしてくれた。それに父さんも助けてくれた。だから、せめてこれくらいはしたいんです!」
拓哉「……」
すると拓哉は立ち上がり、ナナミの頭を撫でる。
拓哉「ありがとう。それじゃあお世話になるよ」
ナナミ「…はい!」
そして拓哉は、今度はスコットの方を見る。
拓哉「スコットさん。貴方にこれを預けておきます」
そう言うと拓哉は、スコットに指輪を渡す。
スコット「これは?」
拓哉「その指輪は、ウチに代々受け継がれてる指輪です。それを持っていると、我が一族のトップに立つ人間とその妻が持つことを許されています。今回はそれは俺の旅を心配して祖母が持たしてくれた物です。その指輪に誓って、ナナミに迷惑をかけない事を約束します」
スコットは指輪を見ると、その家紋に見覚えがあった。
スコット「この家紋…」
拓哉「……」
拓哉は黙ったままスコットを見る。それを察したスコットはこれ以上何も言わなかった!
スコット「ありがとう。君の決意は感じた。けど、わざわざこの様なタイセツナ指輪を預けなくてもいい。ナナミと同じ、君を信じているからね」
そう言いながら、スコットは拓哉に指輪を返す。
拓哉「…ありがとうございます」
こうして拓哉も、ペペロンチーノ号の乗組員となり、スコット達の旅に同行するのであった。