この世界   作:シャト6

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第35話

特地に来て1週間。今ではすっかり攻めてくる兵士達はいなくなり、自衛隊は門の近くに仮の軍用施設等を建てている。

 

拓哉「取り敢えず、なんとかウチの連中も慣れてきたみたいだな」

 

リーラ「そうですね」

 

特車二課の第二小隊も、最初は人が大勢死ぬ本物の戦争を見て気分が悪くなっていた。だが、徐々にではあるが普段通りに戻りつつある。まだ進士や山崎といった人はまだ立ち直れてはいない。

 

後藤「お〜い。今日の業務説明するぞ〜」

 

後藤が拓哉達に割り振られてるテントにやって来た。

 

遊馬「隊長、ひろみちゃんや進士さんはまだ無理だと思いますよ」

 

後藤「それは分かってる。取り敢えず今日は、自衛隊の人達と一緒に現住民と接触してきて頂戴な」

 

野明「現住民ですか?」

 

後藤「そっ。やっぱ政府の人達もさ、日本が略奪に来たって思われたくないのよ。んで、この地に住む人と接触して、あわよくば交流なんかもしたいわけよ。日本政府にしちゃ」

 

拓哉(爺ちゃんも頑張ってくれてるみたいだな)

 

後藤「んじゃ班分けだけど、篠原と泉は第2班で、香貫花と佐藤は第3班の人達と行動する。今回は現地住民との接触なのでレイバーは使わん。だが、何かあったらまずいので2号機パイロットの太田と、未だに気分が優れない進士と山崎は待機」

 

『了解!』

 

そして拓哉と香貫花、後リーラと加賀と長門がついてくる事となり、残りの金剛達は残って周囲の警戒をする。その間の指揮を拓哉は後藤に託したのだった。第3班に到着すると、既に自衛隊の人達は集まっていた。

 

「あ〜、特車二課の人ですね」

 

拓哉「はい」

 

「自分は、この班の隊長を務める事になった【伊丹耀司】二等陸尉です」

 

拓哉「ご挨拶ありがとうございます。特車二課、第二小隊所属の佐藤拓哉巡査です」

 

香貫花「同じく特車二課第二小隊の香貫花・クランシー巡査部長よ」

 

伊丹「よろしくお願いします。佐藤さん、香貫花さん」

 

拓哉「伊丹さん、拓哉で結構です。それに敬語もいいですよ」

 

香貫花「私も香貫花で構わないわ」

 

伊丹「あはは…じゃあよろしくね拓哉、香貫花」

 

再び挨拶する拓哉と伊丹。

 

伊丹「それで、後ろの人達は?」

 

リーラ「申し遅れました。私加藤家のメイドの【リーラ・シャルンホルスト】と申します」

 

長門「私は長門だ」

 

大和「大和といいます」

 

加賀「加賀です」

 

金剛「ワタシは金剛ネ〜!」

 

伊丹「マジか…本物の艦娘だ!」

 

伊丹と後にいる男1人が、長門達を見て涙を流していた。

 

拓哉「と、取り敢えず出発しましょうか」

 

「…そうですね」

 

「そうしましょう」

 

拓哉がそう言うと、隊の中にいる2人の女性隊員が賛同した。車を走らせながら、拓哉達は目的地の場所を確認している。自衛隊の車で目的の村に走っている。拓哉の車両には、拓哉、リーラ、長門、大和、金剛、加賀、香貫花、自衛隊の栗林、黒川がいた。運転は何故かリーラがしている。

 

黒川「すみません。本来なら私か栗林さんのどちらかが運転しなきゃいけないんですけど」

 

リーラ「いいえ、気にしないで下さい」

 

栗林「本当にごめんなさいね。黒川さんは看護師資格を持ってるから、万が一に備えて動ける様に。私は上から周囲を確認しなきゃいけないから」

 

拓哉「仕方ありませんよ。流石に自分達が周囲の確認をする訳にもいかないですし」

 

拓哉なら、助手席でも分かるがな。けど、一応自衛隊連中に任せないといけない。すると先頭を走る伊丹達の車両の会話が無線で聞こえる。

 

倉田『けど伊丹隊長!俺マジで感激ッス!』

 

伊丹『同志倉田よ。分かる…分かるぞその気持ち!俺も非常〜に感激している!』

 

倉田『ですよね!まさか本物の艦娘に出会えるなって…夢のようっす!』

 

伊丹『ああ!ああ!!その通りだ!!』

 

(盛り上がってるな〜。確かに、まさかゲームのキャラが実際に存在してたらテンション上がるわな)

 

しかし、長門を含めた女性陣達からは、凄い冷たい視線が無線に向かて放たれている。

 

栗林「うわ〜…ないわ〜」

 

黒川「まぁまぁ。いいじゃないですか。唯一の趣味なんですし」

 

言葉に棘があるぞ。黒川さんや。

 

長門「ふむ。私達に感動してくれるのは嬉しい事だが」

 

加賀「視線が嫌ですね」

 

金剛「テートク以外に見られるのは嫌ネ!」

 

大和「あらあら、金剛さん。そんな事言っては駄目ですよ。私達は拓哉さんのモノなんですから」

 

リーラ「その通りです」

 

(いやいや皆さん!?そんな言い方するとヤバイから!ほら!栗林と黒川の視線が冷たい!)

 

長門「その通りだ。提督がいなければ、今頃私達は死んでいたからな」

 

黒川「えっ!それは一体」

 

栗林「どういうことなの?」

 

『……』

 

すると全員が暗い表情になる。

 

黒川「す、すみません!」

 

栗林「何か、聞いちゃいけない感じだったね」

 

大和「いいえ、気にしないで下さい。実は…」

 

大和は金剛達の代わりに、あの時の事を話した。当然無線は繋がったままなので、伊丹達にも聞こえている。

 

栗林「…そっか」

 

黒川「そんな事が…」

 

金剛「で、でも!テートクのお陰で今はHappyネ!」

 

長門「そうだな。提督のお陰で、我々は今を生きている」

 

加賀「その通りね」

 

栗林「そっか…」

 

すると、栗林と黒川が拓哉を見る。

 

栗林「すみません拓哉さん。私…勘違いをして」

 

拓哉「気にしないで下さい。元々は金剛やリーラの言い方に問題があったんですから」

 

黒川「ですが…」

 

拓哉「私が気にしないでと言っているので気にしないで下さい。この話はお終いです!ね?」

 

そしてこの話を強引に終わらせた。そしてようやく目的地の村に到着した。伊丹が代表して、村長と話をしている。それにしても、空気が美味いな…

 

伊丹「皆!村長さんによれば、来た道の森にエルフが住んでいるそうだ。念の為そっちにも行く事になった」

 

『了解』

 

再び車に乗り、森に向けて出発した。辺りも暗くなってきており、森に入るのは明日にという話をしていたら、森に向かってドラゴンが火を吐いていた。

 

伊丹「おいおい…これは…」

 

拓哉「ドラゴンが森を焼いていますね」

 

倉田「あり得ないッスよ…」

 

「……」


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