何故世の中にはこんな事が起きるのか。
そんな事を思いつつ、見ている自分に呆れてしまう自分がおる…
ままならない…
番外?
美紀男「……」
美紀男は、ちとせと健三の行為を見てその場を離れた。
美紀男「……」
何も言わない美紀男。しかし、ある男がそれをフォローする。
「あれ?美紀男さんじゃないですか」
美紀男「拓哉さん…」
それは、世界の3分の2を支配している加藤家の次期当主の加藤拓哉だ。彼とは偶々電車で乗り合わせ、意気投合したのだ。
美紀男「拓哉さん…俺…俺…」
拓哉「み、美紀男さん!?」
拓哉は泣き崩れる美紀男に駆け寄った。
美紀男「うっ…ううっ…」
リーラ「拓哉様、ここではなんですので、私達の部屋へ」
拓哉「そうだな」
リーラの提案で、美紀男を自分達が泊まってる部屋に連れて行った。
拓哉「…落ち着きましたか?」
美紀男「…はい」
拓哉「それで、一体何があったんですか?電車の中で、あれ程婚約者に会うことを楽しみにしていたはずじゃ?」
美紀男「はい…実は…」
美紀男から話を聞く。何でも、自分が大学の為上京した数日後に、雑誌取材があり、そのカメラマンに卑猥な行為をされ、挙句の果てにそれを風呂場で目撃したそうだ。
拓哉「なるほど…」
拓哉は腕を組みそう言う。
拓哉「リーラ、これは駄目だな」
リーラ「そうですね」
雑誌を見ながらそう答えるリーラ。写真のところには丁寧に撮った健三の名前が載っている。
拓哉「美紀男さん。こちらで弁護士を用意します。相手から慰謝料を取りましょう。それくらいしないと駄目です」
美紀男「で、でも…」
拓哉「そのちとせさん…若女将ですか?婚約者の美紀男さんがいるにも関わらず、迫られたとはいえ相手と関係を持っている。リーラ、この健三って男の事を調べろ。早急にだ」
リーラ「かしこまりました」
そう言うとリーラは出ていった。
拓哉「美紀男さん。私はリーラと温泉旅行に来たって言ったの覚えてますか?」
美紀男「…はい」
拓哉「それもあるんですが、本当はこの旅館の経営を確認しに来たんです」
美紀男「えっ!?」
拓哉「この旅館は違いますが、ここの土地は加藤家が所有してるんです」
美紀男「つまり…」
拓哉「ウチが土地の貸し出しを打ち切れば、この旅館は存続できなくなります」
美紀男「そ、それは…」
拓哉「流石に美紀男さん個人の関係で廃業にはしたくない…と思ってますか?」
美紀男「はい」
拓哉「確かにそれもあるでしょう。ですが、私は迫られたとはいえ婚約者がいるにも関わらず関係を持った人間に、これから先まともに経営できるとは思ってないんです。寧ろ、そんな相手は大嫌いなんですよ」
美紀男「!?」
そう言う拓哉の顔を見て、美紀男は生唾を呑み込んだ。
リーラ「失礼します」
拓哉「ああ。それで?」
リーラ「はい。あの男はここの若女将ちとせ様以外にも、妹である舞桜様とも関係をもち、過去には訴訟を起こされています」
拓哉「そうか…」
美紀男「そんな…舞桜ちゃんまで…」
拓哉「美紀男さん…それでもまだ迷いますか?」
拓哉がそう言うと、美紀男は顔を上げ真っ直ぐ拓哉を見る。
美紀男「…お願いします」
拓哉「承った。リーラ!早速頼む」
リーラ「お任せください」
拓哉は浴衣からスーツに着替えて、若女将のちとせに会いに行く。美紀男から貰った証拠を持って…リーラは健三を拘束する為動いた。
ちとせ「ようこそおいで下さいました」
拓哉「いえ」
ちとせ「それで如何でしたでしょうか?当旅館は?」
拓哉「ええとても素晴らしいです」
ちとせ「それはそれは」
嬉しそうに話すちとせ。これで旅館は存続できると思っているのだろう。だが…
拓哉「ですが、申し訳ないですがこれ以上貴方達にこの土地をお貸しする事は出来ません」
ちとせ「…えっ?」
拓哉「ですので、契約解除とさせて頂きます」
ちとせ「な、何故ですか!」
拓哉「ちとせさん。確かにこの旅館は素晴らしい。従業員の方達も」
ちとせ「で、でしたら…」
拓哉「ですが!上に立つ貴方がねぇ」
ちとせ「わ、私…?」
拓哉「ええ」
拓哉は、美紀男から受け取った証拠の動画を見せた。
ちとせ「こ、これって…」
拓哉「貴方の婚約者…いえ、元婚約者の美紀男さんから預かりました。聞きましたよ。あれだけ好きなのに、よくあんな男と…」
ちとせ「……」
拓哉「私はねちとせさん。迫られたからと言って、婚約者がいるにも関わらず、別の男と関係を持つ人間に、大事な土地をお貸しする事は出来ません」
ちとせ「違う…違います…」
拓哉「何が違うんですか?まぁ、姉が姉なら妹も妹ですね」
ちとせ「えっ?」
拓哉「姉妹揃って、あんなチャラそうな男に…」
ちとせ「……」
拓哉「ああ。それとあの男、貴方達以外にも関係を持つ人間がいますし、過去には訴訟も起こされてます。ま、慰謝料を払う貴方に言っても一緒ですがね。と言うわけで、今月でこの土地は返してもらいますので、従業員の方達の説明、お願いしますね。嘘偽りなく…」
ちとせ「あ…ああ…」
拓哉「さて美紀男さん。最後に元婚約者言う事は?」
ちとせ「!?」
拓哉がそう言うと、美紀男と縛られボコボコにされてる健三が入って来た。
拓哉「おいおいリーラ。随分とやったな」
リーラ「はい。あろう事かこの男は私にも迫ってきましたので」
拓哉「ああ…」
拓哉はそう聞いて納得した。
美紀男「……」
ちとせ「美紀男…さん…」
美紀男「ちとせ…本当にショックだったよ。婚約の約束をして、指輪も贈ったのに」
ちとせ「違う…違うんです…」
拓哉「何が違うんです?美紀男さんを見送って数日でこの男と関係を持ったくせに…」
ちとせ「そ、それは…」
美紀男「拓哉さんの紹介で、弁護士を雇うから、今後は弁護士を通して下さい」
ちとせ「……」
拓哉「んで、お前もお前で美紀男さんにキチンと慰謝料を払えよ?」
健三「……」
拓哉「あらら。気絶してるよ。では美紀男さん。行きましょうか」
美紀男「はい」
ちとせ「待って美紀男さん!」
美紀男「さようなら…ちとせさん」
ちとせ「あ…ああ…うわあああああああああ!!!」
そして、この噂はあっという間に広がり、ちとせは高校にもおれず自主退学。町からも白い目で見られている。健三は、美紀男に慰謝料を払うため、何処かの地下で強制労働しているそうだ。旅館も潰れ、ちとせは従業員に給料も払えない為、何処か遠い場所で風俗等をして、従業員の給料と美紀男慰謝料を払っている。妹は妹で塞ぎ込み、引き篭もりになったそうだ。美紀男は、拓哉の紹介で就職し、そこで出会った女性と幸せに暮らしているそうだ。
拓哉「美紀男さん、立ち直ってよかったな」
リーラ「そうですね」
拓哉「…早くあの案を通さないと、また美紀男さんや悟さんみたいな、不幸になる人を減らさないと…こうしてる間にも、似たような事は起きているんだからな」
リーラ「……」
拓哉「リーラ。言っておくが、仮にお前等がそんな事をした場合でも、俺は問答無用で制裁を行う。身内だろうがなんだろうがな」
リーラ「当然です。その覚悟は、一同できております」
拓哉「そうか…」
そう言いながら、拓哉は書類に目を戻した。
リーラ(拓哉様…拓哉様を慕っている、私を含めた者は、誰の拓哉様を裏切りません。もし…その様な輩がいた場合は…私が必ず…)