ポケットモンスター ~0 RAdiant Story~ 作:ザパンギ
ミシロでの暮らしについてさほど考えていなかったミオリ。しかしなんとなくこれまでのトレーナーたちのように旅に出るというビジョンは見えていた。あとは両親に許してもらうだけなのだが————
これまで当たり前のように家族と暮らしていた一人娘が突然旅に出たいなどと言い出したら、両親がどのようなリアクションをするか。想像するまでもない。
ソファでテレビを見ていた母は帰宅したミオリとアチャモに何事か叫びながら突進してきた。興奮で言語が追い付いていないらしい。
「はわあああ! このコがアチャモ? 可愛いわあ。食べちゃいたい」
「食べないで」
ミオリはアチャモを抱き上げて猫かわいがりする母に呆れながらも旅に出たい旨を切り出す。
「あら、いいわね」
「いいの!?」
「もちろんよお。なんなら私が代わりにずかんを持って旅に出たいくらいなんだから」
あっさり。第一関門の母はフリーパスだった。
「あと、パパから伝言。『渡したいものがあるからトウカのジムに寄って行きなさい』って」
「えっ」
つまり父もオーケー。第二関門はもはや出来レースだった。それなりの交渉が必要になると思っていただけに驚きを隠せない。
(善は急げって言うしね)
旅の準備はずっと前から済ませていた。必要なものはすべてリュックにある。
「それじゃあいってきます」
「いってらっしゃい! 楽しんできてね」
ミシロを出て101番どうろに入った。ここでさっそく捕獲に挑戦しようとミオリはモンスターボールを構え、アチャモを呼び出す。
「とりあえずドンドン捕まえてみよう」
わかった、といわんばかりにうなずくアチャモ。
意思の疎通が図れたところで草むらから野生のポケモンが現れた。
「ジグザグマか。捕まえるよ!」
ユウキのところに行くまでに相当な数のジグザグマを蹴散らしていたのでいやでも覚える。
ジグザグマとしても本能に従いアチャモに挑まねばならないのだが、さすがに相手が悪かった。
「ひっかく!」
この一撃で体力を大きく削ったとみてミオリはボールを振りかぶった。
「お願い!」
ボールはへろへろとジグザグマに命中し、その体を一瞬で吸い込んだ。
ボール中央部分が赤く明滅する。
「とりあえず捕獲の流れはこんなかんじだったはずだけど……」
結論からいって心配は必要なかった。明滅が止まり、ミオリのポケモンずかんにジグザグマが登録された。
「初捕獲だよ! アチャモ、この調子でホウエンのポケモンコンプリートいけるんじゃない⁉」
能天気に喜ぶミオリ。種類を考えれば並大抵の作業ではないはずだが、人間の言葉を発しないアチャモにはそれを伝える手段など存在しない。
「それじゃ早速。ジグザグマ!」
捕獲したてほやほやのジグザグマを繰り出した。
いきなりボールに吸い込まれるという突然の事態に戸惑った様子だったが、すぐに状況を把握したようだ。
「とりあえず残りのポケモンを捕まえつつ、104番どうろへ向かおうか」
目指すはトウカシティ。ミオリは本格的にトレーナーとしての一歩を踏み出した。