『この女神にメイドが祝福を!「ずっと目覚めなければよかったのに」「やめてよね!?」』 作:ひきがやもとまち
実は最新話書こうと思ってたら、前回のを書くときに候補として途中まで書いて放置してたのを偶然発見しちゃいまして。勿体なかったので継ぎ接ぎで繋いで完成させたのを出しておきます。次の本命を書くつもりでいたため今回のは短めです。
次の予定はベルディアさんが登場する話です。(あくまで予定ですが・・・)
秋。異世界の秋。キャベツの収穫が迫っているこの時期に、駆け出し冒険者の街アクセルは当然のことながら冒険者たちで賑わっています。
この時期に合わせて遠征から帰ってきてたり、レベル上がって出世して次の街へ行ったりしていた人たちなんかも里帰り気分で戻ってきては旧交を温め合いながら近く訪れるであろう、予想された期間内のいずれかにくるキャベツ狩りに備えて力を蓄えるのが正しい冒険者の在り方というもの。
まぁ、要するに。
アクセルの街冒険者ギルドの建物はキャベツ狩り目的で集まった冒険者たちによって大忙しになると言うわけでーーーーーー。
「おーい、姉ちゃん。さっき注文したクリムゾンビアまだー? 今飲んでるのは空になっちまったんだけど~?」
「はーい、今入れてますから待っててくださいね~」
「あ、ソレこっちにも一本ちょうだい。久しぶりに飲みたいし・・・それから、ジャイアント・トードの唐揚げも追加で五皿ね~」
「はーい、すぐ揚げますから少し待っててくださーい」
「あ、あの! ルナさん! 今まで言えなかったんですけど雰囲気のある季節ですし、勇気を出して言います! 実は俺、前からルナさんのことが・・・・・・こ、今度二人で紅葉を見に行こうよう!」
「申し訳御座いません、お客様。この時期は仕事が立て込んでおりまして・・・とてもご満足いただける対応が出来ないと思うのです。思いを寄せてくださっている方に不快な気分を味あわせてしまうのはギルド職員として不名誉の極み。
どうか、お気持ちが変わらないようでしたら時間的余裕のある季節に今一度お誘いくださいませ(訳:この糞忙しいタイミングを狙って来るんじゃねぇ。アホか)」
・・・・・・と、ことほど左様に仕事の邪魔になって仕方がない。
冒険者ギルドはクエストの仲介業務などがメインのはずなのに、クエストしてないときの冒険者は日がな一日中ギルドに併設されてる食堂に入り浸っているしかしないから邪魔で邪魔で仕方がないのだ。
基本的に冒険者という連中はお祭り好きであり、騒ぐのは好きだが後片づけが苦手だ。と言うか嫌いだ。やって欲しいけど自分はやりたくねぇ。
派手に騒ぐのは大好きだけど、地味な祭りの準備とかには金をもらえないのであれば面倒くさがって手伝おうとしない。
ある意味、だからなのだろう。
地球の女神にして、異世界では駆け出し冒険者チームのリーダーを勤めさせられている新人冒険者アクアは、自分に仕えるメイドの九条みゆきによってギルドのバイト雑用係として扱き使われていた。
「めぐみん様。5番テーブルのお客様にジャイアント・トードの唐揚げを届けてきて下さい」
「ふっ。我は最恐にして禁忌とされる神成る秘術、爆裂魔法を操りし者・・・。その我が下賤な給仕の真似事に興じてやろうというのだ。相応の頼み方というものがあるであろう!?」
「今までのツケを全額纏めて払っていただけませんか? 最強の爆裂魔法を操りし者様」
「今すぐ持って行かせて頂きまっす!!」
「ダクネス様。これを6番テーブルのお客様に持っていって下さいませんか? その格好で」
「く・・・っ! この様に可愛らしいウェイトレス衣装を着て人前に出されるなど耐えがたい恥辱だ・・・いっそ殺せーっ! 恥をさらすより先に私を殺してくれぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「いいから逝け、この雌豚」
ぱっしぃぃぃぃん!!!
「はひぃぃぃっん!? 了解しました! 行ってきます! 逆らってお尻ブたれて悦ぶ、チョロいくっころ女騎士イッてきまっしゅ! だからお願い! もっとブッて!
デカいだけが取り柄の雌豚マゾ騎士デカヒップ、もっと叩いて女王様~ン♡」
・・・安時給でこき使われてる割に、意外と嫌がらずキチンと働いてる辺りがギルド職員から好評を博しながら。
「アクア様。このジャイアント・トードの唐揚げ5人前と、クリムゾンビア10杯を持っていって下さいませんか?
あと、あちらのテーブルが空きましたので上に乗って宴会芸でも披露して来て下さい。三秒以内に」
「無理よ!? 人間の限界超えすぎてるでしょ、その無茶ぶりは!! だいたい私の腕は二本しかないの! どう考えたって人の体が持てる数の限界超え過ぎちゃってるからその注文! ヘカントケイルにでも転生しなきゃ絶対に無理なんですけども!?
あと、私の宴会芸スキルを客寄せ目的で見世物に使わせようとしてんじゃないわよーっ!!」
「では、一度死んでヘカントケイルに生まれ変わってきて下さい。二秒以内に」
「世界最大の悪魔的独裁者を超えた!? お前は悪魔を統べる魔王か大魔王か!!」
「出来ないなら無駄口叩いてないで、とっとと料理を届けて見世物になってきて下さい。役立たずな世界を統べているはずの女神アクア様。それとも一人だけクビにされたいのですか?」
「くぅっ! こっちの弱味を握ってるからっていい気になってくれちゃってぇぇ・・・っ!!」
目に涙を溜めて握った拳を震わせるアクア。
彼女たちは近く訪れるであろうキャベツ狩りに参加して一攫千金を目論んでいたのだが、それを逆用されて借金未払いを口実とした参加条件『当日までの接客業務のバイトをヘルプでの依頼』をこなしていることを課せられてしまっていたのである。
ツケが貯まりに貯まっている彼女たちに拒絶する選択肢など、有るようで無い。事実上、死の選択に等しいため誰一人として選びたくはない。
・・・若干一名、個人的趣味趣向から強制労働を愉しんで励まされている者も居るにはいたが超少数例なので例外中の例外として処理させて頂きます。
「アンタ! 自分の仕える主を働かせて自分だけ利益を独占しようなんてしたらタダじゃおかないんだからね!? ちゃんとお給料払いなさいよ!? 満額じゃないと絶対許さないんだからね!?
絶対に! 絶対に!! ぜぇぇぇぇぇったいに許してやらないんだからーーーっ!!!」
「・・・ああ、失礼致しましたアクア様。注文内容で言い忘れていた部分がございます。追加してもよろしいでしょうか?」
「アンタちゃんと私の話聞いてた!? まだ増やす気!? まだ増やす気なの!? 私これ以上は絶対持てないんですけども!?
無理! 無理無理無理無理無理絶対に無理なのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
「そうですか。では彼には申し訳ありませんが、この注文はキャンセルと言うことで破り捨ててゴミ箱にでも捨てておきますね。せっかく良いご注文でしたのに・・・」
ビリリ。
ぽいっ。
「『宴会芸《花鳥風月》を一回披露してくれるごとに料理一皿か、おひねり十万エリス』。
今回のキャベツ狩りを見物するため遠くの街からいらしたらしいご隠居様からの注文でしたが、仕方がありませんね。これから私が謝罪して参りま―――」
ガサゴソ!ガサゴソッッ!!(ゴミ箱を漁る女神さまの音)
「はーい♪ そこのダンディなお爺さまぁっ! 冒険者ギルドのウェイトレスで新人のアクアでーす♡ 今日はよろしくお願いしま-す♪ うっふん♡」
「おお、これは予想以上のベッピンさんが来てくれたものじゃわい! これは提示した料金が安すぎたかもしれんの・・・。
もし色々してもらえるなら料金はその都度、応相談にしたいのじゃが・・・?」
「お客様は神様です! 犬とお呼び下さいませご老公様! もしくはハチベエと!」
「おお、おお。なんと素直で老人を敬う今時珍しいよく出来た娘さんじゃ! うむ、安心致せ。
ワシャこれでも若い頃は紳士で通っておったからの。犯罪行為やセクハラが適用されるようなレベルまでは絶対にやらん!
法律で許されるギリギリの線を探し、相手が恥じらいはしても嫌がるまでは行かない境界線上を見極めることこそ我が人生! 我が生き甲斐!
必ずやお嬢ちゃんに嫌な思いをさせること無く、良い気持ちで就業時間を迎えられるようイジメてあげようではないか~♪」
「や~ん♪ お爺ちゃまったらエッチなんですから~もう! そんなこと言って許せる範囲超えちゃったりしたら、ゴッドブローでお仕置きしちゃいますからね☆」
「ふっふっふ・・・望むところじゃ! リスクなく愉しめるエロなどエロに非ず! 失敗するかも知れないドキドキあってこそ美女美少女との戯れは愉しめるもの・・・では征くぞ!!
良いではないか~♪ 良いではないか~♪」
「あ~ん♪ 《花鳥風月・大乱舞》~~~っ♡♡♡」
・・・文字だけで表現すると変態的だが、実際にやってることはR15ぐらいの本気で少年向けな笑えるエロしかやろうとしない、させもしない変態だけど紳士な老客を相手にしたアクアは無事、労働を最後までやり遂げてキャベツ狩りの参加資格を得られたのである。
この事で彼女は自分のメイドに多少は感謝しようかどうしようか迷うことになるのだが・・・。
主に背を向けて掃除をするメイドが口元を微妙に歪めていたことを、全知全能であるはずの女神アクアはまだ知らない。
「・・・次はキャベツ狩りですか・・・。
今回よりかは愉しめると良いのですけどね―――」
天使のような(見た目だけ美少女メイドの)悪魔の笑みは、終わらない。
つづく
本当はクリスとかエリス様も出したいのに出せないでいる精神的抵抗感。
・・・やはり別作でキャラ壊しまくったことで罪悪感が凄いのかなぁ・・・。
早めにあちらも回復させてこちらにも出せるようになりたいものです。