クラスで真一は変人だった。
本名は、秋山 真一。
彼は軍オタで、兵器について語らせれば、小一時間は余裕で語れるような人間だった。
そんな人間でも、仲良くしようとする物好きは数人ながらいた。
近藤 譲
加藤 幸一
伊藤 守
以上の三名だ。
彼らは、いつも共に行動をし、互いを戦友と
呼びあっていた。
彼らは、クラスの中でもトップの変人達で、
あだ名は変人四天王と不名誉なものであった。
しかし、彼らはそのあだ名を大喜びした。
なぜなら、
彼らは厨二病だからだ。
桜が咲き誇る春の暖かな朝。
いつもと変わらない光景のなか、真一は譲、
幸一、守と共に教室で話をしていた。
「定刻となりましたのでこれより、作戦会議を開始致したいと思います。まずは、戦況報告から致します。先日、発生したリア充増殖事件に関してであります。本クラスで誠に遺憾ながら、リア充が誕生したとの一報を受け、本官率いる水雷戦隊が出撃致しましたが、敵伏兵(クラスの女性陣)の視線の砲撃を受け、戦況不利と判断、撤退致しました」
真一が言った。
「やはり奴らは伏兵を忍ばせていたか。となると予想以上に厳しい戦となるな」
譲が唸るように呟いた。
「我々の戦いはいつもそうさ。ここにいるのは、そんな中でも生き残ってきた精鋭ばかりだ。じっくりと締め上げれば、精鋭が揃うこちらが勝利する。なぜならこちらは失うものなど何もない。つまり防御を気にせず、攻撃できるのだから」
幸一が楽しそうに語った。
「されど、油断は禁物。油断があっては勝てる戦も勝てんからな」
冷静に守が言った。
彼ら、哀しいかな、全員が年齢=彼女いない歴の歴戦のアンチリア充達なのである。
彼らは、彼女を持たず 作らず 持ち込ませずの非彼女三原則の下、強固な連携を築いていた。
そんな話をしていると、ドアの近くがざわめき始めた。
「ドアが空かねぇんだが、誰かイタズラしたのか?」
ドの近くにいた金髪のチャラ男が言った。
彼の名は五十嵐 三郎。
二股をしている変人四天王連合の要注意人物である。
「これは我が連合軍を撃滅しようとする一派の仕業では?」
そう真一が言った瞬間、教室が青く光始めた。
「窓だ、窓から出られるかもしれん」
「ダメです!窓開きません!脱出不能!」
大騒ぎが教室で起きるなか、真一達は冷静だった。
「とりあえず、外と連絡が取れんか?」
「ダメだな、携帯は圏外になっとる」
真一と譲がそんな話をして、この異常事態に対処しようとしていた。
なぜなら、指揮官は何が起ころうとも冷静に対処しなければならないという、軍隊の知識が彼らを冷静にさせていた。
その次の手を下そうと真一が口を開いた次の瞬間、真一の視界は青に染まり意識が遠のいていった。
「う~ん」
真一は唸り声をあげながら、体を起こした。
すると、目の前に飛び込んできたのは、倒れたクラスメイトと謎の空間だった。
「何だ・・・これは?」
その空間は、異様なものであった。何かの部屋の中に居るのだが、自分達がいるのは部屋の中央に据えられた石段の上、その石段を囲うようにドーム状の半透明で虹色に光るスクリーンが配置され、そのまわりをローブを着た30人ほどの人が身動ぎ一つせず、立っている。スクリーンはスボンジのように弾力があり、どんなに力を加えても破壊は出来なかった。
するとクラスの何人かが、目を冷まし始めた。
「おい、どうなってんだ!出られないぞ!」
「俺、異世界キタァァァ!猫耳、エルフのハーレムゥゥゥ!」
「しっかりしろ、ほら起きんか!」
「えっ、何これ。私は教室にいたはず・・・」
・・・・・一人変なのが混じったようだが、精神上宜しくないので流すことにしよう。
回りの人を助け起こもの、自分の状況に困惑するもの、謎の雄叫びをあげるもの、皆、それぞれの反応を起こしていた。
真一達はとりあえず脱出、及び自分の置かれた状況を少しでも判断しようと情報を集めようとしたが、如何せん情報が少なすぎる。
すると、そこに一人の男が目の前に現れた。
「皆様、ようこそ、我がコットン王国へ!私は、コットン王国第三近衛魔法師団 副師団長を勤めております、マインバッハ フォン グールと申します。以後、お見知りおきを」
その男は、まるでお伽噺の中に出てくるような金髪碧眼のハンサムだった。
この瞬間、変人四天王は改めてこのイケメンを敵だと認識した。
なぜなら四人にとってイケメンというのは、撃滅すべき敵として定めるという盟約が決まっているからである。
もちろん、それは異世界に来ようが、地球にいようとも最優先に判断されるべき情報であることは、言うまでもない。
「どういうことだ?コットン王国とは何のことだ?我々は何故、ここにいる?」
そう発言したのは、佐藤 昌之である。
彼も四天王の最強の敵として認識されており、イケメンの上、性格も良く、勉強とスポーツ共に抜群にできるという完璧超人であった。
中でも許しがたいのは、ハーレムを築いていると言うことだ。これは追々語っていこう。
「詳しい説明は後ほどありますので、皆様にはこれより部屋を移動していただきます」
そうグールが発言すると、周りを囲っていたスクリーンが消え、外に出られるようになった。
そしてグールに率いられて、クラスメイト達は部屋の外へと出ていった。
「譲よ、何か分かるか?」
真一は長い廊下を歩きながら、譲に声を掛けた。
「いや、全く。あの男が話したこと以外はまだ、何も」
譲は困惑したような声でそう言った。
そんな話をしていると、一際大きい扉の前でグールが止まり声を張り上げた。
「第三近衛魔法師団 副師団長 マインバッハ フォン グール 参上つかまつりました!」
すると、扉が開かれ、真一達は中へと入っていった。