「どういうことだ!王国軍は撤退に成功したはずじゃぁ……」
「いずれにせよ、新庄の情報が正しければコットン王国はもうお終いですね。となると次の目標は我々になると」
司馬懿は落ち着いて言った。
「生産体制がまだ完全に構築されていないというのに……」
「しかし魔王軍は今回の被害を立て直すのに時間が掛かるはず。となればその間に少しでも弾薬を補給するしかありませんね」
「とりあえず、ハットラー総統にこれを伝えに行くぞ」
「お供いたします」
そう言って真一と司馬懿は部屋を出て行った。
「総統閣下、総統閣下!起きてください!」
「何だ、まだ朝ではないであろう」
「一大事にございます!コットン軍が消滅しました!」
「何!」
そう言ってハットラーは飛び起きた。
「真一様方が探らせていた情報網から王国軍消滅の報が入ったそうでありま
す!」
「うちのスパイはなんと言っている?」
「同じ報告を寄せてきておりますので間違いないかと」
「何故だ、何故あれほどの兵力が消滅など……」
城からの脱出の時点では王国軍は総数5万の兵力であった。(内1万が城を脱出した兵力で残りが各地に散らばっている王国軍の総数)その兵力が一瞬で消滅するとは考えずらい。
しかし、情報が嘘でないとすると魔王軍は何か想像もつかない手でこれを起こしたことになる。ハットラーは冷や汗が伝うのを感じた。もしそれが自分の国に向けられでもしたら、大変なことになる。
ハットラーは直ちにその原因を調査するよう命令した。
真一達はハットラーに謁見した。
「報告、ご苦労!」
「いえ、当然のことをしたまでですので。それから、一つ案を提示しに来ました」
「案とは何だ?」
「私が召喚した軍団に偵察隊を編制し、情報を集めさせていただけないでしょうか?」
「しかし、魔王軍はどこにいるのか分からんぞ。そんな危険な賭に出るのであればスパイ達に頼んだ方が確実であろう」
「しかし、私の部下が人手不足で情報を集め切れておりません。それを打開するためにもどうかご許可を」
「いや、今の段階では分からないことが多すぎて危険だ。そこに虎の子の君の部隊を送り込むわけには行かない」
「ですが、行方不明な者達の中には私の友人達もい……」
「そうやってまた部下を殺す気かい?」
「……っ!」
「話は聞いたよ。最初に召喚した部隊は情報不足のまま動いたせいでやられたのだろう!君もいい加減学ばないか!我々はゲームをやっているんじゃない、人の命を使った戦争を行っているんだ!指揮官ならば、私情などを抜きにして部下の犠牲をいかに少なくするかを考えろ!」
「……」
「一旦頭を冷やしてこい」
「…分かりました」
そう言って真一は部屋を出ていった。
(私は何と愚かな人間だろう、一度ならず二度も同じことを繰り返すとは)
自己嫌悪に陥る真一を見ながら、司馬懿は声を掛けることができなかった。
司馬懿は、こんな時に励ましの言葉を掛けられない自分を呪った。
「何やってんだい?」
そう聞いてきた中年の男の名はハインツ・グデーリアン。
機甲部隊の指揮官として召喚した軍人である。
「そんな冷めた顔をして隣に美少女がいるのに何故うれしそうな顔をしない?」
ただそれに首を振るばかりの真一を見て、これは何かあると睨んだグデーリアンは理由を司馬懿から聞いた。
「なあ、真一よ。指揮官ってのは何をする人物だと思う?」
グデーリアンは、真一の横に立ってそう問いかける。
「…それは軍の指揮を執る者でしょう」
「もちろんそれはそうだが、指揮官が一番やることは敵と味方を殺す人物だ」
「えっ!」
「指揮官は祖国のためにありとあらゆる手を使ってでも勝たなくてはならな。そ
れは軍人皆の職務だ。ただ、一般の兵と違うのは味方を殺してでもその職務を全うする必要があることだ。だから、いかに味方の兵を殺さないで、敵を多く殺すかが指揮官にとって大事なことだ。今まで、たくさんの戦をして気付いた」
「……」
「だからな真一よ。今までの失敗は考えるな。もし、あの場では犠牲が少なかったとしても後に多かれ少なかれ殺すことになっていただろう。早いか遅いかの違いだけだ。それに、彼らはもう死んだんだ。今は死んだ人間よりも今を生きる者達のことを考えろ」
「……分かった。ありがとう。少し元気が出たよ」
何かを決意した漢の顔がそこにはあった。
「良い顔してんじゃねぇか、我らが指揮官殿よ!」
そう言って真一の背中を叩いたグデーリアンは、ぱたぱたと手を振りつつ離れていった。
それを見ていた司馬懿は嬉しかったのだが、どこか自分がいらないような気がして不安な気持ちになり、複雑な心境だった。
二十日後、魔国とジーマンとの国境で爆発音が鳴り響いた。それぞれで高まっていた戦争の機運がついにピークに達し、戦いの火ぶたは切られた。
科学の力と魔法の力が衝突し合う大きな戦の序章はこうして始まったのだ。
それは、魔国とジーマンの間を流れる小さな川、ドニエパル川で起きた。
いつもと同じ国境の監視の任務についていたジーマン陸軍のキッド一等兵は、ドニエパル川の岸辺を車で上官のホッパー兵長と走っていた。
最近は魔王軍からの挑発行為が多く、つい先日も魔王軍が越境寸前の位置まで進軍をしているなど日に日に挑発の仕方は過激になっていた。上層部からは絶対に挑発に乗るなとの命令が出ていたが、我慢も限界に近づいていた。
「今日も魔王軍は何かやってきますかね?」
キッド一等兵はホッパー兵長に尋ねる。
「分からんよ。ただ我々はその挑発にさえ乗らなければいいだけだ」
落ち着いた口調でホッパー兵長が答え、対岸を双眼鏡でのぞき込んだ。
すると、視界の端で何かが光った気がした。
ホッパー兵長はそれが何かを理解する前に体と口が動いていた。
「伏せろっ!」
横にいたキッド一等兵を車のハンドルに叩付けるように伏せさせた。
すると、二人の真上を魔法が通り過ぎて、すぐ真横で爆発して大きな土煙を上げた。
反動で車は横転しかけたが、かろうじて持ち直した。
「くっそ!」
ホッパー兵長はすぐに前にある無線機を引っつかみ、叫んだ。
「第5国境監視班より第5師団司令部へ!第5国境監視班より第5師団司令部へ!魔王軍の攻撃を受けつつあり!繰り返す魔王軍の攻撃を受けつつあり!」
しかし、無線機は先の衝撃の性か全く動かない。
「くそったれ!キッド、すぐに待避壕へ迎え!ここにいては危険だ!」
ホッパー兵長がそう言っている間にも魔王軍の攻撃は続く。
次は車の前と右側をかすめように魔法が飛んでくる。
「そんなことじゃ、この車は捉えられんよ!」
そう言いながらキッドはハンドルを切り、全弾避ける。
そして、脇にあった待避壕への道に飛び込んだ。
魔王軍との最前線に配備されているジーマン陸軍第5師団は、魔王軍進行の報を受けると同時に兵員に非常呼集を掛けた。魔王軍の攻撃をあらかじめ近いと予測し、兵員の外出を極量控えさせていた第5師団は1時間で全員の収集が完了した。
第5師団の司令部は直ちに偵察隊を編制。敵の規模を調べに行かせた。
既に、最前線の部隊が魔王軍との交戦に入っているらしく前線からは、しきりに味方のトーチカに備え付けられた75㎜砲の砲撃音と魔法の着弾する音が聞こえ、電話線を通して味方の状態などが刻一刻と伝えられている。その報告によると敵の兵力は8万ほどらしく、前線の陣地のほぼ全てが交戦に入ったとみられている。偵察隊からのさらに詳しい報告を待ち、司令部の全員は机の上に置かれた地図を睨んだ。
待避壕へとたどり着いたホッパー兵長とキッド一等兵は、すぐに近くに備え付けられた7.7機関銃に弾を装填した。国境監視隊は、軍の偵察隊の中に組み込まれているため有事の際には、兵士として戦うことになる。
待避壕は任務に出てた国境監視隊が戦闘に巻き込まれた際に飛び込む場所である。また、ちょっとしたトーチカの役割をしており、外にいるよりも断然安全と言えた。
二人は中から外にいる敵の様子を窺いながら、7.7㎜機関銃を構えた。壕には銃腔がいくつか備わっており、そこから敵を攻撃することができる。敵の攻撃が待避壕の上部に当たっているのか、たまに壕が揺れて土が上から降ってくる。
このまま、押しつぶされるのではないかといういいようのない恐怖感に二人は襲われる。さらに、ある程度広いこの壕に二人しかいない虚無感が二人をさらなる緊張の極みへと駆り立てていた。
しかし、兵士である以上勝手に逃げ出すわけにも行かない。二人は敵をひたすら待ち続けた。
しばらくすると、敵の先鋒が見えた。敵は待避壕に気付いていないらしく、まっすぐにこちらに向かってきている。無防備にも体を伏せることなく、突っ込んできているが撃ったりなどはしない。彼らの40mほど前方には防護魔法の壁があり、堅さは様々だが7.7㎜の弾などは簡単に弾いてしまうため、それより接近させる必要がある。
「「ごくっ!」」
二人とも生唾を飲み込む。こうしている間にも敵が待避壕の存在に気づき、一気に魔法を放ってくるかもしれない。そうなれば、二人は敵に一発の弾も浴びせられないまま死ぬことになる。完成度はかなり高く、戦闘前ならば気にならなかった壕の隠蔽ですら気になってくる。
敵との距離が20mをきる。
「撃ち方始めっ!」
大声でホッパー兵長が叫んだ。
キッド一等兵が撃ち始め、前方の敵兵が朱に染まりながら、倒れていく。
「敵襲!」
そう叫ぶ敵兵の声が聞こえる。
すぐに敵もこちらに気付いたのか、伏せながらこちらに魔法を放ってくる。敵は先ほど使っていたような爆発系の魔法ではなく、雷撃のような魔法でなぎ払うように撃ってきた。
バリバリ!
まるで何かを引き裂くような音を出しながら、銃腔の上、ギリギリをかすめていったから良かったものの、もし当たりでもしていたら二人とも丸焦げになっていただろう。
「撃て撃て!」
1,2時間ほどたったろうか。もしかしたら1,2分の出来事かもしれない。二人にとっては永遠に近い時間が流れたように感じるほどの時間、銃を撃ち続けていた二人だが、敵は形勢不利と判断したのか引いていった。
「砲身を冷やせ!それから、弾持って来い!」
二人は休む間もなく、機関銃を冷やしたり、弾を込め直したりしながら次の攻撃に備えた。
しかし、いつまでたっても敵は攻撃をしてこない。不思議に思って前方を見ていると何やら巨大な戦車のような物がこちらめがけて突っ込んでくるのが見える。7.7㎜機関銃を撃つが、全く効いてる様子がなく迷い亡く突っ込んでくる。
「退避!」
叫びながら、二人とも壕を飛び出た。間一髪、敵の謎の兵器が壕を潰していくのが見えた。二人とも安堵する暇もないまま、近くに隠してあった車に飛び乗り、その場を後にしようとした。
次の瞬間、敵の兵器が再度反転して車ごと潰そうとしてくる。エンジンを掛けてギリギリでそれをいなす。
「悪いな、四輪の方が機動力は高いんだ!」
そう叫びながらその場を走り去った。その兵器は車よりも遅いらしく徐々に距離が離れていく。
「どうやら、これで……」
そうキッドが言いかけた時、兵器の砲に当たる部分が旋回し自分たちの方を向いたかと思うと電撃魔法を放ってきた。
「電撃魔法程度ならば、この車両は耐え……」
言いかけたとき、ホッパーは電撃魔法が車両の後部を打ち抜くのが見えた。
次の瞬間、意識が暗転するのを感じた。
ホッパー達の車両を魔王軍の兵器が爆散させた瞬間だった。
各偵察隊から報告が入り始め、敵の全容が分かり始めた。
敵は魔法兵を根幹とする4個師団であり、そのうち戦車とおぼしき機動力を持つ新兵器を敵は20両ほど装備している物と思われる。この兵器を仮に戦車と呼称しよう。戦車は7.7㎜機関銃はまるで効かず、75㎜榴弾砲を用いてようやく、沈黙させることができる。この戦車の主武器は砲塔にある魔法の発射する物で、強力な爆発魔法と電撃魔法を放つことができる。今のところは先遣隊1万ほどの兵力しか送り込んでいないが、その後方20km地点に本隊が補給隊と共に待機しているとのことであった。
敵は基本徒歩での進撃となるため、機動力はあまりないが確実にこちらの陣地を潰すながら来るため、厄介である。
それに対して第5師団は総数2万で兵力の大部分は歩兵である。
師団内では短口径の56㎜砲を搭載した旧式の戦車が10両、最新の貫通力を高めた長砲身の56㎜砲搭載の戦車が20両。その他、75㎜榴弾砲が20門備えてあった。
このように、敵はなかなか強力な部隊を送り込んでおり、正面切っての戦いではかなり第5師団は苦戦するものと思われた。
そう、正面切っての戦いでは……
魔王軍は先ほどまでの激しい戦闘が嘘のように静まりかえった平原を進軍していた。
「敵はどこへ行ったんだ?まるで幽霊のように消えたが…」
「どうせ我々の兵力に怖じ気づいて逃げたのさ」
ジーマ軍は武器どころかトーチカなどのような陣も無傷な状態で自爆すらせずに置いたまま逃げ出したのだ。撤退にしてはお粗末すぎる行動に、誰もがこの戦いは思ったよりも早めに終わるかもしれないと考えていた。捨て置かれた兵器は鹵獲し、陣地は魔王軍により占拠された。
そして、川から10kmほど進んだ地点で日も暮れ、魔王軍の先遣隊は休息を取ることにした。
歩哨以外の誰もが寝静まった魔王軍先遣隊の陣地で突然、爆炎が上がった。
突然のことに驚きながら天幕を出ると自分たちの陣地の遙か後方(川側)に何かが煌めくのが見えた。すると、またも陣に激しい火炎が踊った。数人の兵士が炎に焼かれ断末魔を上げる。しかし、後方は魔王軍が押さえているはずだと誰もが混乱していた。すると、その謎の攻撃の主は聞いたこともないようなエンジン音を轟かせながら、突っ込んできた。
その時、誰もがこんな声を聞いたような気がした。
「Pnzer vor!」
この襲撃は予測のついている方も多いと思うが、真一達が召喚した部隊によるものだ。
では、時を遡って彼らがどのようにして魔王軍を襲撃するに至ったか描いていこう。
「ハットラー総統、前線から緊急電です!魔王軍が攻めて参りました!」
副官が扉を蹴飛ばすようにして、と言うかマジで蹴飛ばしながら入ってきた。
ドアはそのまま美しい慣性の法則に従って飛び、ハットラーの頭に直撃した。
「ぎゃ~~~!」
そのまま、ハットラーの魂まで慣性の法則に従い飛んでいきそうになったが、彼の精神力が摩擦となり、辛うじて体の背中付近で停止した。
「申し訳ありません!大丈夫でしょうか!」
慌てて副官がハットラーを助け起こす。
齢60が近づいてきた老体にこの攻撃は堪えたが、報告が報告なだけにもたもたはしていられない。
「て、敵の規模は?」
まるで、前線で将軍が敵弾に倒れ、それを介抱する副官の様相を呈している。しかし、ここは戦場ではなく、総統執務室である。
「敵は8万ほどの軍勢の模様!既に前線の第5師団は非常呼集を掛け、撤退の準備をしております!」
半泣きになりながら副官は答える。
その涙は自分のしでかした罪に対してではなく、蹴っ飛ばしたときの足の痛みから来ている。
「そうか。ならば第1独立師団に出撃命令を出せ。作戦目標は第5師団の撤退の支援、並びに魔王軍先遣隊の撃破だ」
そこまで言い終えると力尽きたようにハットラーは気を失った。
「分かりました。真一達にしかと伝えます!」
そうハットラーの顔を流れ出る涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら副官は部屋を駆け足で出て行った、色々、大惨事のハットラーを残して。
「とうとう出撃命令が下ったな」
真一はため息をつくように呟いた。
「ええ」
司馬懿は主の姿を心配しながらも覚悟を決めたようにいった。
近代兵器についての知識がない司馬懿は、ジーマンに来てからしばらくは近代兵器に関する情報を頭に詰め込んでいた。しかし、さすがそこは司馬懿である。あっという間にほとんどの戦法をマスターし、師匠であるグデーリアンには及ばない物のそこら辺の将軍などとは比べものにならないくらいの戦車戦のエキスパートになっていた。
故に、万が一グデーリアンが指揮を執れなくなったときは司馬懿が執ることになっている。
しかし、公に対しての最高指揮官は真一達である。つまり、何かしらの責任問題が起きると真一達の責任になるのだ。その点において、前回のようなことが起こらないか司馬懿は心配であった。
(今回はグデーリアンなどもいるし、情報などできることは全部やった。ただ、失敗の確率が0にはならない。もし、失敗したら……)
そんなことを考ええていた司馬懿は後ろから忍び寄る影に気付かない。
わしゃ、わしゃ!
影は、そんな効果音が出そうなほど司馬懿の頭を撫でてきた。
「きゃ!な、何!」
珍しく悲鳴を上げた司馬懿は後ろを振り返った
そこにはニヤニヤしながら頭を撫でる真一の姿があった。
司馬懿はしばし呆然とした後、顔を下げて震えだした。
真一は、これは殴られると覚悟し、目を閉じて体内の総員に向け、総員衝撃に備えよ!と怒鳴った。
しかし、いつまでたってもその衝撃は来ない。
不思議に思ってそうっと目を開けるとそこには笑顔の司馬懿がいた。
「真一さん」
そう甘えたような声で言ってくる。
真一は、これは惚れた!と確信し手を思いっきり広げ、司馬懿に抱きつくよう構えた。
「真一さん!」
そう言いながら司馬懿は真一の懐に飛び込んできた。
右手でチョキを作り、真一の目に突っ込ませながら。
この時、ベラリン全体に不思議な声が響いたという。この声はその異常性から歴史書に描かれるほどで、その憶測が歴史家の間でも議論されている。空襲警報の誤作動だとか、神のお告げだとか様々な説が囁かれており、歴史上最大のミステリーの一つとも言われている。
一様、真一達が召喚した部隊は第1独立師団として総統直属の部隊で軍とは別格の指揮系統を持つ。これは、軍の中に組み入れてもその先進性に誰も指揮を執れない上、他の部隊との連携も第1独立師団の足を引っ張るだけだと判断されたために、このような措置となった。
故に、第1独立師団に出動の命が下せるのはハットラーだけとなる。このことから、先ほどハットラーが出撃を直接…と言うか直接に限りなく近い間接的に命令を出したのだ。
さて、こうして出撃の命を受けた第1独立師団は、すぐに非常呼集を掛け30分後には出撃体勢を整えていた。
そこへ守と司馬懿が入ってくる。他の3人は今回は出ても意味がないことと物理的に出撃できない者が約1名存在することから、待機となる。
「皆、今回は初の実戦だ。日頃の訓練の成果を存分に発揮してくれ!君たちの活躍ぶりに全世界は息をのむだろう!」
訓示を守が述べた。
今回出撃するのは補給の関係もあり、戦車20両 歩兵が2千(内榴弾砲10門、トラック300両)である。
今回の作戦は敵に破棄させたと思わせたトーチカを使い奇襲を仕掛ける。
と言うのも、このトーチカは敵の攻撃ではなく、敵を背後からつくための拠点として存在している。これには隠し扉が存在し、そこから坑道が伸びていて、ベラリン郊外の森に直結している。万が一敵に見つかった場合は、坑道全てを一気に吹き飛ばせるだけの爆薬を蓄えてあった。今回はこの坑道を使い、敵に奇襲を仕掛けるのだ。もちろんこの坑道は戦車が通れるだけの大規模な物である。
こうして、敵を背後から襲い、痛打を浴びせる作戦が開始されるのであった。
この作戦は守の訓示通り、全世界を驚かせることになる。そして、後の歴史の転換点として語られるジーマン軍戦車隊の最初の作戦となるのであった。