巨人になった主人公が人類と共闘を始める……。

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 暇だったので書いてみた、需要があるかは知らない。


巨人になった男、人類と共に

 

 

人生というのは、全く、何が起こるのか想像も出来ない。

 私自身そこまで神様という存在は信じていなかった、或は世界のどこかにスパゲッティモンスターが存在していて、私達の目の前に現れていないだけなのかもしれないけれど。誰も観測できない世界の話をした所で、そんなモン知るかと一蹴されるのがオチなわけでー

 

 平たく言うと、死んで、そして生き返った。

 

 第二の人生である、或はセカンドライフとでも呼ぼうか。

 年齢的な意味でのセカンドライフではなく、正しい意味で二度目の命、死んだ覚えも無いし殺された覚えも無い。気付けば世界は風景をガラリと変えて、いつの間にか自分も自分では無くなっていた。

 胡蝶の夢か、明晰夢か、いやいや、私はこんな夢を見るほど空想に生きる人間では無いと言い聞かせる。けれど目の前の光景は変わる事がなくて。

 

「……なんで、よりによって進撃なんだよ」

 

 目の前でうじゃうじゃと蠢く巨人達に対して、そんな言葉を吐いた。

 

 

 

 

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 武藤(むとう) (さとる)

 この世界じゃないどこかの世界で生きていた男性、性格は至って合理的、しかし人情家でもある。現実は現実、アニメはアニメと物事を混同する事を嫌う。学生の頃から異種格闘技に興味を持ち、カポエイラを修めている。

 

 

 

 目の前でうじゃうじゃと群れる巨人、大きさは様々、生憎と私は進撃の巨人という漫画、アニメの存在を知っているだけで、その詳しい内容を語れる程は読んでいなかった。確か飛び飛びでアニメを見て、友人の家に遊びに行ったときに何度かパラパラと漫画を捲っただけである。

 しかしその程度の知識しか持ち合わせていない私でも、ここがその世界、或は進撃の巨人に準ずる世界だという事はわかる。あの小さな体に大きな頭、どこか奇形ばかりを集めた顔面、こんなのはあの作品以外ありえない。

 

 そしてもう一つ驚いたのは私自身の肉体である、まず先に言ってしまうと全裸だ。

 

 全裸である。

 

 大事な事なので二度言った。

 服一枚、下着すら纏っていない。このままここに突っ立っていれば警察に御用になる事間違いなし、この世界に警察が存在するかは知らないが。しかし心配はいらない、何故なら私は全裸で居ても問題無い理由を持っているからだ。

 

 私は巨人だ。

 

 故に幾ら全裸で会っても逮捕などされないし、周囲の野郎共もまたフルチン(ついてないけど)で闊歩している。だから仮に私がここでM字開脚しようがダンスを踊ろうが、人間様にとっては知ったこっちゃない事なのである。

 いや、しないけれど。

 

 自分の大きさがどの程度なのかは知らないが、少なくとも足元でちょろちょろ動き回る小さな巨人― 字面にするとなんとも矛盾しているが の頭をボール宜しく蹴飛ばせる程度には大きい。

 私と同程度の大きさを誇る巨人もチラホラ見かける、周囲を囲む町並みはさながら精巧な作りモノか。しかしその表面の罅割れ、ざらつき、汚れなどは現実そのものだ。解析度が落ちて見えるなんて事は無い、それはつまりコレがゲームでも何でもないという事で。

 

「……まぁ、いいか」

 

 私はそこまで考えて、思考を放棄した。

 実に楽観的である。

 我ながらなんと頭が悪そうな性格だ、しかしなってしまったモノは仕方ない。現在を生き抜く、或は元の体に戻る手段を見つける事が先決だと脳内の理性が決めたのだ。泣き喚いたり取り乱すなんてナンセンス、時間の無駄だ。タイムイズマネー、時=金なのだ。

 

 ふと、遠くに何やら異質な巨人が見えた。

 

「……なんだあのイケメン」

 

 イケメンであった。

 何と言うか、巨人が皆残念な顔面だからだろうか、その巨人の顔を遠目ではあるが視界に映した時、思わずそんな感想を抱いてしまった。長い髪に引き締まった肉体、そんな巨人がぼうっと突っ立っていた。

 しかし、イケメンだから目を惹いた訳では無い。どこか、あの巨人に見覚えがあった。

「あぁ、そうだ、確かエレンとかいう……」

 そんな名前の主人公が、あんな感じの巨人になっていたなぁ、なんて事を思い出していると、突然そのエレンが自分の顔面を思い切りぶん殴った。

 その力は凄まじく、大きく仰け反った彼は顔面の部位を撒き散らし、そのまま後ろの巨大な岩へと倒れ込んでしまう。ズズン、と地響きがここまで届いた。

「………」

 残念な奴なのだろうか、彼は。

 そんな事を思ってしまった。

 

 いやそうではないと、頭を振る。

 あの行動には見覚えがあった、確か自分の顔面をぶん殴って倒れるシーンがあった筈だ。何か自分の体を制御出来ないとか何とか、そんな理由で。

 そして次の瞬間に、エレンの居た近くの建物から着色された煙が上がる、発煙弾という奴だろうか。それを見た数人の巨人が覚束ない足取りで、ふらふらとエレンの方へと引き寄せられていく。

「………」

 これは、若しかしなくてもエレンがピンチなのだろうか?

 

 

 

 それから数秒考えた。

 この世界の事とか、漫画の事とか、今の自分の事とか。

 結果、良く分からんという結論に落ち着いた。

 そもそもこの世界が漫画を模倣した世界、あるいはその世界そのものだとしたらスパゲッティモンスターによってシナリオ通りの展開が繰り広げられるのかもしれない、いやきっとそうなる。先程の既視感は確かに、漫画のワンシーンから来るものだった。だとすれば、自分と言うイレギュラーはその展開を乱す事になるだろう。

 けれど、正直乱したからなんだという気持ちはある。

 元々物語が全て頭に入っているのならまだしも、全く知らない未読者である、既に私はこの世界に対するアドバンテージを失っている。それどころか、自分のという自我を持った巨人が存在している時点で元々のシナリオは破綻していると言って良い。このまま何も関与しなければ或はシナリオ通りになるかもしれないが、それは目の前の現実を放棄すると同義であった。

 

 つまりは、そう、私がすべきことはー

 

 

 

「オンドリアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 建物を踏み台にしてからの超回転踵落とし、自分と同じ大きさの巨人の後頭部に直撃した足が石床を踏み抜き、そのままグシャリと頭部を砕く。グロイ、あとこの体強い。

 

 元のシナリオなんて知ったこっちゃないし、困っている人が居たら助けるでしょう、普通。

 

 今は巨人ではあるが、元々お人よしの称号を持っていた私は迷わず飛び込んでいった。

エレンだか何だかの化けた巨人は未だ岩に背を預け、ピクリとも動かない。何やら小さい人間が騒いで、これまた小さな剣を突き出している様にも見えるが、ぶっちゃけ爪楊枝(つまようじ)レベルである。よくあんなモノで戦えるなぁと、現実になった漫画の世界の住人を素直に尊敬した。

 この主人公が起きるまでの時間、取り敢えず他の巨人はコイツを狙っているみたいだし、守ってあげようではないか。

 

 足元をうろついていた小さな巨人の顔面を鷲掴みし、前方へ投擲。そのまま別な巨人の顔面に直撃させ、次いで私に迫っていた同じ背丈の巨人のタックルを寸で阻止する。

 下がっていた顔に膝を入れ勢いを殺し、胸元を押して僅かに距離を空けた。

 後は持ちあがった顔面に怒涛の連撃を叩き込むのみー

「オラオアラオラオラオラオラァッ!」

 右、左、下、上、顔面が躍る。上下左右から繰り出される変幻自在な足技。巨人の顔面が幾度と無く弾け、口から血飛沫が舞う。そして最後の一撃とばかりに体を捻らせ、側頭部目掛けて回し蹴りを放った。

 ボン、と空気が弾けて、同時に巨人も横へ一回転。そのまま石床を顔面で削りながら現代アート宜しく、素晴らしい体勢で建物に突っ込んだ。

 カポエイラの型など遠の昔に忘れてしまったが、このハイスペックな肉体が格闘ゲーム宜しく想像するだけで現実へと反映してくれる。便利なことこの上無い、このスペックがあれば残業も余裕なのではないだろうか。

 いや、そもそも会社に入れないか。

「サビ残のストレス発散としては最高だな……おっし、ドンドン来いよォッ!」

 私の声に反応してか、あるいは元から集まっていたのか、建物の裏からワラワラと巨人が集結する。三、四、五、六……十を超えた辺りから数えるのを止め、連中目掛けて駆け出した。

 足元から這う様に接近してきた巨人の頭部を踏み砕き跳躍、前方に居た巨人の頭を速度と筋力を併せて蹴り飛ばし、着地と同時に蹴り飛ばされて仰け反った巨人の足を掴む。

「オ、グ、ヅアァアアア!」

 力任せの片手ジャイアントスイング、半円を描いた巨人が遠心力によって宙を走る、そのまま二人の巨人に衝突し諸共地面を転がった。

「オォアオオオオオオオオオオオオ!」

 投げ飛ばした隙に背後から巨人が組み付いて来るが想定内、肘で顔面を強打し、そのまま飛び上がって首元に足を引っ掛ける。後は筋力にモノを言わせて足を振り抜けば、顔面から地面に叩き付けられた。

「甘い甘い、角砂糖より甘い!」

 距離を詰めて来た巨人にはバク転と同時に蹴り上げで顎を砕く、そのまま背後に居た巨人の顔面を股で挟んで投げ飛ばす。体が思った通りに動くというのは何と気持ち良いのだろう、社会人になって久しく忘れていた高揚感、体を動かす快感を思い出した。

 

 そんな事を繰り返している内に、背後に居たエレンが何やら叫び出す。人間の頃に食らったら鼓膜の破れそうな程の声量に、思わず動きを止めて振り返った。

 見れば、何やら金髪の、男……なのだろうか。

 ソレがエレンの首裏にへばりついて何かを叫んでいた、一体何をしているんだろうかアイツ等は。しかも叫びによって更に巨人が集まって来た、仕事増やして何がしたいのだ、一応巨人状態とはいえ動くと疲れるんだぞ。

 そんな事を思っていると建物の上から跳躍した巨人が視界に入った、その口を突き出して飛んでくる巨人はさながら人間砲弾か。辛うじて反応出来た私は身を翻して巨人の突撃を躱す、石床を破砕しながら地面に叩き付けられた巨人の背を踏み、頭部を踵で砕く。

「一体何人殺したよ、いい加減多すぎないか……?」

 そんな悪態を吐きながら周囲を見渡せば、周囲を囲む巨大な壁の一ヵ所に穴が空いているのに気付いた。どうやらあそこから巨人が出入りしているらしい、今にも続々と巨人が雪崩れ込んでいる。

 そりゃあ、幾ら殺しても底を尽きないわけだ。

「アレを塞がないと……」

 さてどうしたものかと、襲い掛かる巨人を蹴り飛ばしながら考える。しかし穴を塞ぐ方法は元からあったらしい、咆哮と地面の揺れ、それは私の背後から。

 振り向けばエレンが身の丈もある巨大な岩を、正に持ち上げている所だった。

「……マジかよ」

 どう考えても持ち上げるのは無理な大きさだ、自分より巨大な岩を持ち上げられる怪力とか何だ、ドーピングでもしたのか。その光景にしばし言葉を忘れて見入っていると、周囲の巨人が小走りでエレンに向かい始めた。

 どうやらあの岩、丁度良い目印になってしまっているらしい、あの状態で攻撃、いや体当たり一つでも良い、食らってしまったらバランスを崩して下敷きだ。

「させるかッ!」

 丁度横をすり抜けようとした巨人の足を引っ掛け転倒させる、そのまま頭部を踏み砕きながら前進、エレンが進む方向に居る巨人に飛び蹴り。胸元に当たった足はそのまま骨を砕き百メートル近く巨人を吹き飛ばした。建物をぶち抜いて、そのまま何人かの巨人を巻き込んで絶命する。

「イカ、せ、んッ!」

 三体の巨人がエレンに向かって駆ける、二体はラリアットを掛けて地面に叩きつけ、もう一体には膝を蹴って関節を破壊する。そのまま膝立ちになった巨人の顔面に膝を叩き込んだ。その瞬間に前後左右から巨人が殺到する、もちろん私目掛けて。

「っ、おォ!?」

 建物から跳躍してきた小型の巨人、背後からは同じ背丈の巨人が、ラリアットで地面に叩き付けられた巨人が二人足元から飛び上がる。

 眼球が忙しなく動く、最も早く攻撃が届くのは足元から飛び上がる二人の巨人、その攻撃を背後に仰け反る事で避ける。反転した視界の中で拳を振り上げた巨人の姿、すかさずブリッチする形でバク転、振り抜かれた拳が目の前を通過する。

 まるで高跳びみたいだと思った。

 ポール ー巨人の拳を飛び越えた私はそのまま右足を思い切り振り抜く、頭上から真っ直ぐ振り抜かれた足が巨人の後頭部を強打し、そのまま巨人諸共地面に転がる。しかしクッションとなった巨人の上で素早く体勢を立て直した。

「あっぶな」

 顔を上げた瞬間飛び掛かってくる巨人共、一人の顔面を蹴り飛ばし、一人の首を殴り逸らす、しかし一手足りずに小型の巨人の飛び込みをモロに受けてしまった。小さい為衝撃は然程ない、しかし尖った犬歯がギチリと胸元の肉に食い込む、ピラニアかコイツは!

「こンの野郎ッ!」

 食い付いた小型の巨人の顔面を両側から殴る、内側で爆発した圧力が巨人の頭部を揺らし、ぐるんと白目を剥いて地面に落ちた。胸元から僅かに血が流れ出る、初めての負傷だった。

 血を指先で拭い、地面に横たわる巨人の頭部を踏み砕く、そして漸くエレンが壁の穴まで辿り着いた事を知った。

 とんでもない轟音と同時に風圧がここまで届く、そして次の瞬間にはエレンが倒れ込んで蒸気を吹き上げた。あれ、主人公死んだのか? 何やら黒髪の女と金髪の男が倒れ伏したエレンの元へ飛んで行く、あの移動道具良いな、なんかカッコイイ、立体起動装置だっけ?

「って、オイ!」

 そんな呑気な事を考えていると数人の巨人が倒れたエレンの元へ集まっていく、主人公が死んだ……ってそんな訳ない、それだったらシナリオはここで終わっている。つまりはそう、主人公はまだ生きている。

「待て待て待てぇェーッ!」

 石床を砕きながら疾走し、エレンに群がろうとした巨人を横一列に吹き飛ばす。捨て身の飛び蹴りは確かに直撃し、一番最初の巨人の左腕を粉砕しながらアバラ骨を砕き、そのまま三人纏めて建物に叩き付けた。

「オォオオオオオオオ!」

 そのままタックルする要領で建物に突っ込む、三人と私含め四人は幾つもの建物を倒壊させながらエレンから大分距離を離す事に成功した。そのまま倒れ込んだ巨人に追撃、拳を顔面に叩き付けて頭部ごと地面を破砕する。顔面が陥没して潰れる様は宛らトマトを潰している感覚に近い。

 三人の顔面をそれぞれ潰してー 顔面を執拗に狙うのは、脳を破壊して死なない存在は無いと思っているから 立ち上がると、耳元で確かに声が聞こえた。

 

「一体どういう理屈で動いてるんだ、コイツは?」

 

 思わず、と言った風に距離を取って構える、見ればすぐ近くの建物の壁に小さな男が張り付いていた。腰からアンカーが伸びて壁に突き刺さっている、他の人間と違って緑のマントを纏った男は私を観察する。その眼は得体の知れないものを見る目だった。

「おまっ、危ないぞ! 人間が近くに居ると全力で戦えないから! どっか行ってくれ!」

 小さな男はどうにも兵士らしいが、正直拳の風圧だけで飛んで行ってしまいそうな程小さい。私は彼の身を案じてそんな事を口にするが、男は顔を顰めるばかり。

「……何言ってるかサッパリだ、せめてマトモな言葉を喋れ」

「えっ、マジで」

 どうやら言葉が通じていない様だった。

 私は聞き取れるのに、男は聞き取れない、なんだこの会話のドッジボールは。

「兵長!」

 そんな事を思っていると、今度は別な男が足元から叫ぶ。男はマントを纏っておらず、良く見れば薔薇の様な紋章を付けていた。

「その巨人は、えっと、恐らく奇行種だそうです! 何でも、巨人とのみ戦い、人間には一切興味を持たないと! 寧ろ人間を守る様な立ち振る舞いをするそうです! その巨人には危害を加えない様お願いします!」

 そんな事を叫ぶ男、それに対し目の前の小さな男― 兵長とやらは舌打ちを零した。

「何だその不確定な情報は、下手に知恵がある分コイツはー」

「兵長!」

 兵長の言葉を遮る様に今度は金髪の男が飛んできた、確かエレンにへばりついていた男だ、うん、男……男だよな? というか千客万来だ、今巨人に襲われたら碌に動けない、コイツラ飛び散った瓦礫が当たっただけで死ぬぞ。

「……さっきの訓練兵か、何だ」

 仏頂面をしながら地面に降り立った兵長が、その金髪の男を睨む。どうやら話している途中に口を挟まれて不機嫌らしい。

「はっ! その巨人は我々人類を守り、多くの巨人を討伐した奇行種です! この巨人の力があれば土地の奪還も、いや、人類の活動領域の拡大すら可能だと考えますッ! ここは生かし、人類の栄達に貢献させるべきです!」

 何やら右手の握りこぶしを左胸、丁度心臓の辺りに当てながら叫ぶ金髪の男。その顔はどこか必死な様にも見える、というかコイツ等勝手に私の処遇を決めようとしているし、何だ人類の栄達に貢献させるとか、物凄い上から目線だなこの野郎。

「今こうしている時にも、襲い掛かって来ない事が証明になります、この巨人は我々の味方です!」

「いや別に、元々人間だから助けただけで……」

 あっ、これ言っても通じないんだっけ。

 それからも何やら兵長を説得しようと奮闘する金髪の男、しかし周囲には未だ巨人が僅かに残っている。見れば緑のマントを纏った人間が巨人達と戦っていた。(いささ)か、コイツラはのんびりし過ぎなのではないだろうか。チラリとエレンの方を見れば、何人かの兵士が誰かを担いで飛び去って行くのが見えた。どうやら主人公は無事らしい、今になって思い出したが、アレの中にエレンが居たのだった。別に外側の巨人が絶命しようが、人間状態のエレンは痛くもかゆくもない。

 蒸気を吹き上げながら消えていく巨人を視界に捉え、次いで周囲を見渡す。すると丁度緑のマントを纏っていない人間、薔薇の紋章を背負った人間が巨人に捕まり、もがいていた。

「やべっ」

 それを視界に捉えるや否や、私はその場から跳躍する。幾つかの建物を飛び越えて、一足跳びに巨人の近くへと降り立った。

「ッ」

 このまま蹴り飛ばしては人間諸共ミンチになる、しかし猶予は無い。大きく口を開けた巨人が人間を食らおうと迫った。その腕を掴み、同時に横合いからぶん殴る。大きく仰け反った巨人が建物に突っ込み、腕からすり抜けた人間を間一髪空中でキャッチした。

「早く離れてくれ、此処にいると多分死ぬぞ!」

 理解していないだろうけど、叫ぶ事は一応叫ぶ。そのまま呆然とこちらを見上げる人間を屋根の上に下ろし、忠告はしたぞとばかりに巨人へ突っ込んだ、その頭を踵落としで砕く。石床の破片が飛び散り、建物の窓ガラスが地面に散らばった。

 やはり人間にとって巨人は脅威、相手出来るのは同じ巨人である私か、エレンの様に巨人化できる奴だけ。そう思ったが、次の瞬間にはその認識が誤りであると知った。

 

(あなが)ち、嘘じゃねぇな」

 

 私の近くに居た二人の巨人の腕が、ほぼ同時に吹き飛ぶ。そして何やら細い糸、アンカーが一直線に通ったと思えば、高速回転した人間― 兵長が凄まじい速度で通り抜けた。瞬間、上がる血飛沫、飛び散る肉片。それがうなじであると理解する前に、巨人は地面に倒れ伏した。

 とんでもなく素早い、明らかに人間の動きでは無い速さだった。

 建物の屋上に着地した兵長は、「クソ、汚ねぇな……」と言いながら手をマントで拭う。その動作からは大きな余裕を感じられた、どうやら彼にとって巨人とは大した脅威ではないらしい。

「……確かに、人間を守りやがる、どういう理屈かは知らねぇが、奇行種に理屈を求めること自体が無駄だ」

 コイツを中央まで連れて行く、人間に興味が無いなら大丈夫だろう。そう言って兵長が先陣を切る、行く先々の巨人を斬り殺しながら、屋根に降り立つや否や私を見て。

 

「どうした、早く来い」

 

 いや、言葉が通じてるって何で分かるんだよ。

 

 




 続きを書く予定は無いです(´・ω・`)

 何か、こう、進撃の巨人系の話で主人公が巨人の話ってないなぁと思って。

 因みに助けた女性兵士がヤンデレます。

 誰か書いて下さい(切実

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