紅西山 麓 出入り口
「やっと出てこれた。」
「徹夜の行軍なんて二度とやらない、やりたく無い。」
「朝日が眩しい。」
前回、ゴーレムを倒した後、ワードッグ達にお礼として珍しい鉱石を貰い近道を教えて貰ったのは良かったんだけど。
まさか夜間行軍する羽目になるとは思わなかった。
近道だからって聞いていたけど、まさか紅西山の麓の出入り口までの近道って事だったわけね。
でも一日短縮出来たんだから、結構得した。
けどリスクも大きかった。
徹夜なんて久し振りだから、死ぬ程眠い。
其れに、夜になると凶暴化する魔物も出て来るから常に緊張状態が続いて精神的にボッロボロ。
「皆頑張れあと少しで中継キャンプだ。」
僕達は倒れそうになりながらもキャンプ場を目指す。
中継キャンプ場 テント内
ピピピピ
「おかしいな。」
今携帯のアラームが鳴っている。
僕は朝の午前六時半に鳴る様にセットしている。
山の迷宮から出たのは午前七時過ぎ。
これが何を意味するか、其れは、
丸一日寝過ごした事。
中継キャンプ場 食堂
取り敢えず朝食を取るために、食堂に向かった。
多分海音も李君もそこにいると思う。
「おはよう、歩。」
「済まないな、気持ち良さそうに寝ていたから起こし難くてな。」
「いや、大丈夫だよ。
むしろほぼ一日中眠ってた方にびっくりしている。」
「精神的に疲れていたと言うことだよ。」
「お前は結構デリケートだからな。」
「ありがとう。」
その後僕達は朝食を食べ、
目的の町に移動した。
川の森林 語り部・作者
ここ、川の森林は観光名所として有名な数少ない迷宮。
ここに生息する魔物も、小型で大人しくなおかつ人懐っこく。
別名『天然動物園』とも呼ばれている。
「見て見て海音。リトルファイアフォックス。」
「かわいいね。」
「でしょでしょ。」
「歩、海音、俺達は遊びに来た訳じゃ無いぞ。」
カップル感覚で行動している二人に対して李はそう言うが、二人は自分達の世界に入ってしまっていて聞く耳持たない。
その様子に李は呆れるも、独断行動するとど突かれると思い、自分も少し観光することにした。
ただあの砂糖まみれの空間にはあまりいたくないので、少し距離を取ることにする。
移動中に20歳前後の男性と肩をぶつけてしまう。
「ああ、すいません。」
「いや、俺の方こそ。少しよそ見をしていた。」
お互いに謝りあった時に男性は何かに気がついた様な表情をした。
「君は等覚の生徒なのかい?」
「ええ。」
「亜近田の依頼で此処に来たのか?」
「そうですけど、もしかしてあなた。」
亜近田の依頼と言うセリフで李は彼が自分たちの探している人物(ジャック・ランスペード)が彼だと言うことを理解した。
「自己紹介をしよう、俺の名は『ジャック・ランスペード』亜近田とは高校の時からの友人と言う関係さ。」
おまけ
「ジャック〜、ジャック〜。」
歩と海音の近くに10歳くらいの女の子が近づいた。
迷子になってしまったのか。心細そうに涙目で『ジャック』と言う人を探している。
「ねぇ、どうしたの?迷子?」
その様子を見た歩が女の子に近づき声をかける。
「うん、ジャックがいないの。」
「ああ、泣かないで、お姉さん達が一緒に探してあげるから。」
其れを聞いた女の子はパァっと笑顔になる。
「本当?」
「本当。」
「ありがとう!」
「どういたしまして。」
そう言うやり取りを聞いていた海音が近づいた。
「ああ、自己紹介するね。僕は歩、『神雷 歩』。彼は僕のパートナーの『音恩 海音』。」
「私の名前はフレイ。」