Re:ゼロから寄り添う異世界生活   作:ウィキッド

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騎士の卵と、銀髪の魔女

「どういうことだよ、シャオン」

「……ロズワールめ」

 

背後から聞こえてきたスバルの声に反応する余裕もないほどに、シャオンの心は焦っていた。

まさか、こんな場でそんなことを言うとは今の今まで予想できなかったのだから。

シャオンの心も荒れているが、それよりも場はもっと荒れ果てていた。

 

「ほぉ、エミリア様の騎士ですか」

「……なぜ、今になって出てきたのだ」

「彼には先ほどのやり取りを隠す必要がありましたからね」

 

ロズワールに非難の視線が集まるが、彼はそれすらも心地良いとでもいいたげに笑う。

 

「とにかく、ヒナヅキシャオン殿。前へ来てくださいますか」

 

マーコスに誘導され必然的にエミリアの隣に並び出る。

拒否すれば、エミリアの王選に影響は出よう。否定するにも前に出るしかあるまい。

 

「後で殴ってやる。その白粉を真っ赤に染めるぐらい」

 

 その剣幕に対して「怖い怖い」とおちょくるように逃げ去るロズワール。その尻を蹴り上げたい気持ちを抑え、一歩前に足をだす。

 

「では、どうぞ」

「えー、皆さま。私の紹介をさせてもらう前に一つ、訂正させてください」

 

 注目が集まり、シャオンは心の中でため息を吐く。今から口にすることを考えれば憂鬱に、そして反応を想像すれば鬱になりそうだ。

何もかも、ロズワールのせいだ。

だが、甘くみてもらっては困る。いつまでも操り人形になっているつもりはない。

誰が思い通りになるものかーー

 

「――私は、エミリア嬢の騎士ではない」

 

発せられた言葉は大小問わず、この場にいるすべての人間に動揺を与えた。

それもそのはずだ。先程ロズワールが口にしたことを、数刻もたたずに否定したのだから。

 

「静かに」

 

だが、それはすぐにマイクロトフの一喝で収められた。

 

「それはどういう?」

「確かに私は師、ロズワール様から騎士の推薦を受けたことはあります」

 

屋敷に来て間もないころ、風呂場で体を休めていたときに言われていたことだ。

シャオンには才能がある。鍛えれば鍛えたほど身につき、天才であると評された。そしてそれはエミリアにとって大きな力となると。

 

「ですが、その際には断らせていただきました」

「なっーー」

 

始めに起こったのは驚愕の声、そしてその勢いを失わせることなく騎士達、文官達は怒りで顔を歪める。

 

「ふざけているのか! 騎士に選ばれるというその誉れを、なんと心得ている!」

「その道を諦めたものがいるのに……その者の気持ちを考えたことはないのか!」

「やはり、魔女の騎士はーー」

 

罵倒に野次、流石に先ほどの一件から抑えられてはいるが酷いものだ。

だが、それはほとんどが事実でシャオンは否定をする気はない。

一通りの罵倒が出尽くされても、シャオンは一切の反応も見せない。ついには罵倒している側が黙ってしまう始末だ。

 

「……理由をお聞きになっても?」

「勿論」

 

沈黙を破り、会話を切り出したマイクロトフの配慮に感謝し、頷く。

 

「二つ、あります。一つは、私が”騎士”という名を背負えるほど実力、そして血筋を有していないからということです」

 

先ほどとかわりない、いやそれ以上の動揺が広間を埋め尽くした。

 

「確かに御身は……近衛騎士ではございませんな? プリシラ殿の騎士のように、傭兵業をやっている風貌でもないですし」

 

「私は少し前に、エミリア嬢に拾われた、一市民です」

 

「一市民?」

 

「ええ、詳しい話は時間の都合上省略させていただきます。本題ですが、ロズワール様は私には騎士の素質があるとおっしゃいました。確かに私は魔法の勉学を始めて、まだ日が浅い。ですが先ほどの攻防を見ていただければ、実力はお分かりでしょう」

 

実際は一度防いだだけで結構辛く、次もあのようにスムーズな防御ができるとはおもえないが、そんなこと外からじゃわからない。

下手に謙遜してはエミリアに迷惑をかけるだろう。だったら、あえて利用することにしたのだ。

 

「武に関しても、それなりには心得がございます」

「なーぁにがそれなりだい。あの腸狩りを撃退したこと、忘れてはいないかーぁな?」

 

割り込むように声を上げたのはロズワールだ。余計なことを口にする彼はまるでシャオンを困らせようとしているようにも見える。用意していた道筋から外れた行動をとられた仕返しとでも言うのだろうか。

 

「腸狩り……といいますと」

「人の腸を狙う……傭兵でしたかな」

 

賢人会の反応をみるに、どうやらエルザの存在はそこまで有名なものではなく、単なる悪趣味な傭兵という名で一部のものが知っている程度らしい。

もしもこれが全国指名手配のような、有名人だったらシャオンの評価は嫌なほどに向上するだろう。

 

「本題からそれましたが……騎士の皆様、一つ、聞きたいーー」

 

一度下を向いてわざとらしく溜めを作り、

 

「ーー魔法に優れていれば騎士になれるのか? 武に秀でていれば騎士になれるのですか?」

 

顔を上げ、シャオンは広間にいる騎士たちに問いかける。

 

「違う、それは本質ではない。騎士はそのようなものではないはずだ」

 

最初は唖然としていた騎士たちも、大小はあるが賛同を示すかのように頷きが見られる。そして、それは文官達にも伝導していっているのがわかった。

 

「血潮に流れる歴史、主に尽くす忠誠心。日々の怠らない鍛練に……上を目指す意志。それらこそが、そのような揺るぎない力が騎士を形成するものなのではないのか!?」

 

シャオンの高らかな声に、騎士の一人が「そうだ」と、声をあげる。

それをみてシャオンもただ頷くことで示す。

 

「私には、それがまだ足りない。だから私は騎士にはなれない……そしてもう一つは――私が、エミリア嬢について何も知らないからです」

 

「え?」

 

急に話題に参加させられ、エミリアは驚きの声をあげる。しかし周囲が彼女に注目をしていると知ると慌てて口を閉ざす。

 

「私は彼女の出生も、彼女の好きなものや嫌いなもの、そしてなにより――彼女が王選に参加した理由すら存じておりません」

「それで、よく騎士の推薦をしたな、ロズワール」

 

ボルドーに睨まれるロズワールはどこ吹く風。正論を言われた彼はむしろ愉快な演劇を見ているかのように楽しそうに笑っているほどだ。

「そもそも、私と彼女は出会ってからそれほど時間がたっておりません」

 

死に戻りのせいでシャオンとエミリアとは"実際"には 忠誠心を置くほどの年月は経ていないのだから。

 

「それで騎士を名乗る、そんなことは私にはできません。それで信を置くことなどできるものでしょうか。保証された血筋もなく、それをフォロー出来るほどの力もなければ、主との信頼関係も特別優れているわけでもない……これで、騎士を名乗ることなど侮辱に当たる」

 

シャオンの口にした言葉は多少の誇大はあっても、嘘ではない。全て、事実であり、本心である。

ーーまだシャオンは未熟者だ、これで騎士を名乗ることは騎士の歴史に泥を塗ることになる。だから、

「以上から私は騎士と名乗るには未熟であり、その名を背負うことなどできない。騎士としてふさわしい人物は他にいるでしょう……ただ、私はエミリア嬢の友人として一つ言わせていただきたい。マイクロトフ卿、この場をお借りして、よろしいですか」

「構いませぬよ」

 

個人的に場を作ることを了承した、マイクロトフに感謝してシャオンは、声を張る。

 

「彼女の演説を聞き、どのような感想を抱こうと咎めません。恐れても、共感しても、なにも感じなかったとしても私は責めません」

 

瞳に、強い光を宿らせ、語る。これだけは言いたいことだったのだ。

 

「彼女を真に見ず、あらぬ噂だけで彼女を評価しようとするならば私は許さない。ありとあらゆるものを使って、それこそこの命を使ってでもーー後悔させる」

 

底冷えするような声に、周囲の人間の表情は驚くほどにーー覚悟に満ちていた。

そこには怯えもなく、侮りも怒りもそこからは感じられない。ただ感じられるのは、対等なものを見ているという強い意思だ。

 

「騎士でもなく、傭兵でもない。ただの友人からのお願いです」

 

それをみて、伝えたいことは無事伝えられたと判断。あとはーー

 

「エミリア嬢。いえ、エミリア様」

「は、はい」

 

今だ自信なさげにしている彼女の前に片膝を付き、頭を垂れる。

エミリアの浮かべる表情は見えない。だが、返事から伝わるのは驚いていることだけだ。

 

「この未熟者である私ですら、自らの意見を表に出せました。だから、貴方様ならきっとできます、諦めずに努力を続けてきた貴方様なら。だから誇りをもって、胸を張り、王を目指す理由を、掲げる思想をお聞かせください」

「ーーーー」

 

ゆっくりと面を上げ、エミリアの表情を見る。

鳩が豆鉄砲を食らったようなという表現が適した表情を浮かべるエミリア。

それをからかうように笑い、

 

「まだ、緊張なさっていますか?」

「……ううん、ありがとうシャオン。それにロズワールとパックも」

「それでは、改めてお願いできますかな? エミリア様」

 

マイクロトフの問いかけに、エミリアは頬を軽く叩き、視線を彼に、そして賢人会へ向けた。

 

「ーーはい!」

 

その返事から分かるように、緊張していた彼女などすでにそこにはなく、いつものエミリアがそこにいた。

ーー銀髪のハーフエルフ、エミリア。

彼女の帰還を得て、今度こそ、彼女の王選が始まる。

 

「……くそ」

 

ーー誰かの心に陰りを残したまま。

 

 

「まずは欺くような行為をした非礼を謝罪します、賢人会の皆様」

 

「いえいえ、見抜けなんだはこちらの落ち度。少しばかり、老骨が蛮勇を振るって大精霊様の温情に与っただけのことです。それに事は王選に関わる……使える手立ては全て用いて、己を訴えかけねばなりませんからな」

 

器が広いマイクロトフは笑顔でエミリア陣営の、正確にはロズワールの行いを許した。

それを受けて、彼女は再び頭を下げる。

そして上げた顔が、紫紺の瞳が彼を、賢人会を見据え、

 

「私の生まれはルグニカの王都よりはるか東――エリオール大森林。通称『氷の森』でした」

 

「エリオール大森林……!」

 

 エミリアが口にした地名に、複数名の驚きが重なる。

 その驚きがまさに想定通りだったとばかりにロズワールは彼女に代わって補足する。

 

「そーぅ、エリオール大森林。約百余年前に突如として氷に覆われ、出るものも入るものも拒んだとされる氷結の結界。そして、侵食する永久凍土」

 

「確か凍てつく風が周囲を時間をかけて凍らせてゆき、その凍土とした範囲を年々拡大しているという曰くつきの地のはずでしたな」

 

「凍りついた大地、植物、大気、生き物――それはつーぅまり、白い終焉ですよ。なにもかもが永遠に誘われ、そーぉのまま永久の眠りより戻ってはこれない」

 

 手を叩き、ロズワールは開いた手でエミリアを、そして今は輝石にいるであろうパックを指す。

 

「その氷の森の奥地で、ひっそりと暮らしていたのが彼女と大精霊様というわーぁけです」

 

「つまりエリオール大森林の永久凍土は……」

「ふん! それで? 力があることを誇示し、忌まわしくもそれを使って脅迫。さすがの半魔としか言いようがないがな」

 

 静かに考えるマイクロトフとは違い、ボルドーは鼻息荒く邪推を口にする。が、結果としてみればボルドーの言には一理あり、否定し切ることはできない。

 力を見せつける、という目的を果たすことはできた。だがそれは反面、武力をひとつのカードとして用いることができる、と他者に知らしめた結果に他ならない。

 それは無力である、無害である、と判断されるよりもよほど、王選のスタートラインに立とうとするエミリアにとって不利な起点になりかねない情報だ。

 そんな不利な状況に対し、エミリアは、

 

「――そう、私はあなたたちを脅迫しています」

 

 はっきりと、向けられた邪推を真っ向から逆に肯定してみせた。

 息を呑み、二の句を継げなくなるボルドー。そんな老人を見上げたまま、エミリアはその眼差しの輝きを欠片も揺らがせることなく、

 

「改めて、賢人会の皆様に名乗ります。私の名前はエミリア」

 

上品にかつ、礼儀正しく名乗り上げるエミリア。

緊張で噛むこともなく、どもることも、赤面することもなく落ち着いた声色で改めて名を口にする。

 

「エリオール大森林の永久凍土の世界で長き時を過ごし、火のマナを司る大精霊パックを従える、銀色の髪のハーフエルフ私を見て、森近くの集落の人々はこう呼びます」

 

 凛とした声で、歌うようにエミリアは言葉を紡ぐ。

 聞き入る聴衆の前で、ひとり舞台に立つ彼女は一度言葉を切り、

 

「凍てつく森に生きる、『氷結の魔女』と」

 

 魔女、その単語が出た瞬間に広間の空気がさっと変わる。

 誰もが彼女の風貌にそれを意識していながら、しかしあえて追及するまいとしていた世界最悪の災厄、その特徴そのままの姿、その呼び名を口にしたのだ。

 当然、誰も彼女に答えることができない。先程までエミリアを恐れていた賢人会の歴々も同様だ。ただひとり、その胆力の作り方からして違うと言わざるを得ないマイクロトフを除いては。

 

「――では、その氷結の魔女殿は我々になにを脅迫なさるおつもりですかな」

 

「私の要求はたったひとつ――ただ、公平であることを」

 

「……公平」

 

 質問に静かに応じるエミリアに、マイクロトフは口の中でその要求を繰り返す。

 

「ハーフエルフであることも、自分の見た目が忌まわしい魔女と同じ特徴を持っていることも、全ては変えられない事実。でも、それで可能性の目を全て摘み取られるのは断固として拒否します」

 

「つまりエミリア様。御身はこの王選に対し、一候補者として対等に扱えと?」

 

「この場でそれ以上を求めることは、私が尊く思う公平さに対する侮辱に他なりません」

 

 彼女の過ごしてきた日々の中で、悪意にされされた記憶はどれほど多いのだろう。

 ボルドーのように謂れのない罵声を浴びせられることも、ハーフエルフであるという一点だけで迫害されたことも、きっとあったに違いない。

 故に、彼女はただひたすらに、公平な目で扱われることをこの場で望む。

 

「私の人生を通して、私にとって公平というものはそれほど大事な位置になりました。だから私があなたたちに求めることはたったひとつ、公平に扱ってもらうこと。そして私は契約した精霊を盾に、王座を奪い取ろうだなんて行いは絶対にしない」

 

 その選択を、選ぼうと思えばエミリアは選ぶことができるのだ。

 だが、そんな選択肢は端から消してかかり、あえて己の意図したところにとっては不利になるかもしれない状況を望んでいる。

 

「ーー私の努力が王座に見合うかはわかりません。でも、そうあるために努力し続ける気持ちは本物です。その思いだけは、他の候補者にだって負けたりしない、負けたくない」

 

 だから、と彼女は言葉を継ぎ、壇上のボルドーを真っ直ぐに見上げて、

 

「公平な目で、私を見てください。家名のない、ただのエミリアを。『氷結の魔女』でもなければ、銀の髪のハーフエルフでもない。私を、見てください」

 

 最後の呟きは懇願だ。

 しかし、そこに込められた気持ちの強さは決して揺るがない。

 他の候補者に当たり前に与えられたそれを、エミリアは自分にも求めている。

 同じ位置から始まることを、ただ望む。

謙虚であるように見えても、彼女にとっては譲ることが出来ないこと。それを国をも滅ぼせる力を盾に要求しているのだ。

 

「なるほど……」

 

 マイクロトフの言葉を最後にしばし、沈黙が広間を包み込んでいた。

 言葉を生み出すことができないのではない。エミリアの問いかけに対し、答えが出るのを全員が身を固くして待っているのだ。

 やがて、彼女を否定したボルドーが長い長い吐息をこぼし、

 

「私の意見は決して変わらん。『嫉妬の魔女』を思わせる、そなたの外見が国民に悪影響を及ぼすのは間違いない。王選に関して、不利な立場にあることは依然同じだ」

 

 低い声で、これまでのエミリアの主張に真っ向から異を唱える。しかしエミリアの表情に変化は見られない、アメジスト色の瞳は彼を見据えているままだ。

 

「だが――人心にまで干渉することは何者にも許されない領域だ。故に、そなたがどう思われるかをどうにかしてやることはできない。それでも、先ほどの私の非礼は詫びよう。――否、非礼を謝罪いたします、エミリア様」

 

 席を立ち、その場に膝を折って、敬意を示す最敬礼をとって見せるボルドー。

 その行いに驚きが拡散する。その中で彼は顔を上げ、

 

「あなたは意に沿わぬ私を氷漬けにすることができた。にも関わらず、それをなさらずに公平さを求めた。――それは、尊い行いだ」

 

 穏やかな顔つきでそう語る彼の表情は理知的で、今さらながらにこの老人が賢人会とされる国の重鎮であるのだと納得する。

 そんな人間に言われたエミリアの表情には自然と認められた喜びで、明るくなる。唇が弧を描き、花が咲いたような微笑が生まれる。

それをみてわずかに照れながらボルドーは早口で続けた。

 

「いずれにせよ、苦難の道が続くことはわかりきっている。それでもなお、王位を望まれるのか」

 

「平坦な道のりじゃないことなんて、最初のときからわかってる。それでも、私は必ず王座に座る。そうしなきゃいけない理由が、あるから」

 

 覚悟を問うボルドーの言葉に、エミリアはもはや迷いのない声で応じた。

 その答えを聞いてボルドーは満足げに頷くと席に戻り、視線を向けてくるマイクロトフに全てを預けるとばかりに掌を差し向けた。それを受け、マイクロトフは長いヒゲを梳きながら頷く。

 

「少々、波乱含みとなりましたが、もう十分といえるでしょう。エミリア様も、シャオン殿もロズワール辺境伯も、語り残したことはありませんな」

 

「はい」

「問題ございません」

「わーぁたしの場合は本当はまだまだ喋り足りないんだけど、この場合……」

「では、ありがとうございーー」

「ーーちょいとまったぁぁああああ!」

 

マイクロトフの言葉を遮り、大きな声が締めの言葉を言わせまいと轟いた。

声の主は勢いよく叫んだからか、喉を痛めたように咳払いを数回し、喉の調子を整えていた。

その人物はーー

 

「スバルっ!?」

 

「シャオン、お前の気持ちは十分にわかった。エミリアたんも待たせてごめん」

「まって、スバル。なにをーー」

シャオンの驚きの声も無視し、エミリアの制止を抜け出し、スバルは前に出る。

奇しくも先程のシャオンと同じように。

 

「はじめまして、賢人会の皆々様、ご機嫌麗しゅう。この度は、ご挨拶遅れまして誠に申し訳なく思い候!」

 

 腰を落とし、右手を背中へ、左手を掌を上にして前へ出し、古式的な礼法に則る。

 足を広げ、腰の角度を傾け、左手は傾けた腰に、右手は高く天井を指差すようにして華麗にポージング。

 そして、

 

「俺の名前はナツキ・スバル! ロズワール邸の下男にして、こちらにおわす王候補――エミリア様の一の騎士!」

 

 叫び、それから掲げていた右手を下ろして指を鳴らし、

 

「どうぞ、お見知りおきをば、よしなに」

 

 場違いなスバルの参戦が始まる。

ようやく纏まった空気を壊して。

 




次回、自称騎士登場
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