――――――もう、こんな人形いらね。
ある少年が捨てた人形はその少年が昔から大切にしていた日本文化人形。その人形にはきちんと名前がある、ビビリアという名前が。この名前はもちろん少年がつけた名前。少年がそんな昔から大切にしていた人形を突然捨てた理由は・・・・。もらった時はきちんと目は見えていた、が今よく見ると前髪で両目が見えなくなっているのだ。髪が成長していた。それに気づいた少年は奇妙だと思いゴミ箱に捨てたのだ。ここからが・・この話の始まり。
「・・・ん・・ふふ・・やっと動けるようになっちゃった・・♪」
ビビリアは突如起き、クスクス笑い出した。動けるようになった理由はもう一度あの少年のもとに行って・・殺しに行くため。捨てられたことがあまりにも悲しく、最初はもう一度一緒に暮らしたいという思いだったが徐々に少年の自分への扱いを思い出したとたん、いらだちと殺気が芽生えてきた。その苛立ちと殺気の力でビビリアは動けるようになった。
「さぁて、昔よくゴミ捨てに付き合わされたからねぇ・・家への帰り方なんぞ覚えてるぜ・・」
と言い、立ち上がった。瞬間
「あなたも、私と同じく捨てられたのね――――」
背後から女の声がした。が自分は人形でありとても身長は低い。物凄く聞きやすい位置にあいてはいるのだ。つまり・・相手は人間ではない。と判断し、ビビリアは後ろを向いた。と、そこにいたのは人間の姿だが見た目は猫だった。首元には緑のマフラー、耳も人間と違い頭から猫耳が生えていた、猫だからもちろん尻尾も生えている。目は綺麗なエメラルド、何故か左目は髪の毛で隠されていた。何があったのかはわからないが、とにかく話しかけてみることに決めた。
「あんた、誰?同じくってことは、あんたも捨てられたの?」
「・・・ついてきなさい」
「は・・!?ちょ!人の話聞いてんの!?」
ついてきなさいと一言言ってその猫はすたすたと歩いて行った。ビビリアは何のことかもさっぱりわからず、意味も分からない誘いだったため足を動かさずその場で止まっていた。
「あたしはあいつを殺しに行かなきゃいけないんだ、そんな知りも知らないやつの言うことなんかどうでもいいや、さぁ・・て!?」
「とろいわね、さっさとついてきなさい」
いきなり頭に巻いている小豆色のリボンをつかまれ耳元で囁かれた。因みにそのリボンは捨てられた少年からもらった物だった。ビビリアは、とてもキレやすい性格。何故か彼からもらったリボンを引っ張られた途端とてもイラッと来た。何故かは自分でもわからない。けど今苛立っているのは自分でもやっとわかる部分だった。
「このリボンに触んな!お前何なの!?いきなり表れてついて来いだのなんだの!そんな知りもしないやつの言うことなんかどうでもいいんだよ!あたしは・・!!」
「あたしを捨てた少年を殺しに行く、でしょ?ふふ、もらった物をそんなに大切にしているんだったらあなたにそんなことはできない。だから、行く場所ないでしょ?」
猫はそう言いクスクス笑った。気づかなかったが・・ビビリアは内心まだ少年のことが好きだった。猫の言う通り、少年を殺しに行くなんてこと出来っこなかった。自分のことを何もかもばれてしまっているのが少し悔しかったが、言っていることはすべて当たっている。一つ、気になることはビビリアとあの猫の距離は結構あったのに何故か計画がバレてしまっていることだ。猫だから耳がいいのだろうか・・
「・・あたしを何処に連れてくつもり?さっさと案内して」
そういうと猫は踵を返し歩き出した、正直相手のこともまだ何もわからないがさっきの〖あなたも私と同じく捨てられた〗という言葉で相手を少しは信用できた。この猫も人に捨てられた、自分と同じ子だと思えたから。と歩いているうちに一つの小さな家に着いた。ドアも私たちにぴったりなサイズで、まるで私たちのために作られた家みたいだった。すると今まで無言だった猫はこちらを向き話しかけてきた。
「これからは、あなたはここで住みなさい?行くとこないんなら、断る理由もないでしょ?」
「ま・・待って。ここは、あんたの家なの?なんでこんな私たちのために作られたかのようなドアなの?」
と質問をしたが猫は無視をし家の中に入っていった。かなり無口なキャラだ。
「ちょ!!無視すんな!」
「質問は全部、後で聞くから取り敢えず入りなさい」
猫はこちらを向かずにそういった。こういうところがかなり多く、あまりそばにいたいとは思えないが今のビビリアには行く場所もないわけだから猫の言うとおりにするしかなかった。中は外見とは想像できないほど大きかった、家具もそこまでなく、あるのはテーブル、棚、クッション、こたつ、の上にみかんだけだ。でも一応キッチンはあり、フライパン等もあった。トイレは一応あるがその周りだけはほかの場所とは違いとても綺麗だった。猫だからトイレは使わないのだろう。ちなみにビビリアも人形のため、トイレは不要だった。なのでトイレがある理由は特にないと思う。とビビリアがあたりを見渡していると猫はクッションで丸くなり尻尾を振りながらこちらを向いてきた。
「で、質問は?」
「あ、そうだ。たくさんあるから、覚悟して聞け!まずあんたは誰なんだ?私と同じく捨てられたって言ってたけど、あんたも捨てられたのか?」
「そうね、過去のことを話すのも面倒だけど教えてあげる。私もあなたと同じく、人間に捨てられた。もとは見てわかると思うけど猫だった。私は主人に何もしていないのに突然毎日蹴られたり、食事を貰えなくなった。でへろへろで死にかけになっていた瞬間、いきなりででけって言われたの。そのあともとことこ歩けはしたけどすぐ死んだ。だって毎日蹴られて食事も貰えなかったんだからね、死んで当たり前。死んだあと遺体を主人に見つけられたわ、そこで何をされたと思う?」
と右目を細くし、暗い雰囲気で問いかけてきた。部屋も電気がついていなく、余計に暗い感じが出ている。外も雰囲気と合わせているかのように大雨で雷が鳴りだした。ビビリアはそこまで怖い話は苦手ではないがほんの少し怖いと思った。ビビリアが少し怖いとでも言っているかのような顔をすると猫は立ち上がり電気をつけた。少し暗く怖いということを察したのだろう。電気をつけると猫はもう一度クッションの所にに戻り話の続きを始めた。
「ふふ・・やっぱりわからないか、答えは・・解剖されたでした」
「か・・解剖・・?こわいな」
猫は口元を三日月のように歪ませ唯一見えていた右目は左目と同じく前髪がだらーんとしていたため見えなくなっていた。自分でも解剖という言葉は知っていた。ビビリアの少年も昔、『友達と一緒に※※解剖してくる!行ってくるねびびちゃん!』とお出掛けの時にいつも話しかけられたときに少年は解剖といっていた。何を解剖しに行くかはその頃は自分の感情や心をコントロールできていなかった時だったため聞き取れなかったが彼も友達と一緒に何かを解剖しに行ったことがある、だからその夜感想を聞かされたため人形だが意味もきちんと分かっている。だからビビリアでも怖いと思った。
「私、左目を前髪で隠してるでしょ?解剖の時に殺られたのが目だけ残って甦っちゃったみたいで、解剖の時おなかも裂かれたりしたけれどお腹は何の異常もないの」
と猫は服を捲り、お腹を見せてきた。確かに言う通りお腹は綺麗だった。猫だから体に毛が多いのかとも思ったが別にそういうわけでもなく毛は一本も生えていなかった、つるつるだ。
「あ・・あんたさ、猫なのにマフラーつけてるけど、そのマフラーはその主人からもらったの?」
「ふふ、人形のくせして怖いっていう感情がわかるのね優秀。そう、このマフラーは私が小さかったころ寒さで小さく震えていたらその主人がかけてくれたやつの、私猫なのにって思ったけれどあったかくて、気に入っちゃったから・・今でも一番大切。質問はこれだけ?」
やっぱり捨てられても殺されても元主人からもらったやつは誰でも大切にするものなんだと思った。ビビリアも昔少年につけてもらった小豆色のリボンを今でも大切にしている。最初はあんな奴からもらった物だからいらない、捨てようと思ったことがあるがその感情はすぐに消えた。あの少年をもし忘れてしまってもこのリボンがあれば絶対思い出せると思ったから。ビビリアは人形であり、そこまで物を記憶するのは苦手だった。もしかしたら今まで一緒に暮らしてきた少年までも忘れてしまうのではないかと思い捨てることをやめたのだ。捨てられてもまだ少年のことが好きだったから。猫も多分同じ気持ちなんだと思った。マフラーの話をしてからずっとマフラーを抱きしめながら丸くなっていたから。猫も主人に何されてもまだ好きなんだという気持ちが伝わってくる。ビビリアも全く同じ感情だ。この猫と共感できる場所はここだなと思い少し笑ってしまった。
「何笑ってるの?気持ち悪い・・。」
「気にするなー!そうだ、あんた名前聞いてなかったやなんて言うの?」
「ミント」
「おー!ミントっていうのか!よろしく!無口!」
「無口は余計、であなたこの家については何も聞かないの?答えるのは面倒だけど今日だけは特別に教えてあげるけど?」
「はは・・じゃあこの家はなんなのかすべて聞こうじゃありませんか!!」
指をさし、仁王立ちで質問をした。するとミントの表情は一気に変わり、声も出さずにキモイとでも言っているかのような顔になった。右目はさっきと同じく細くし、にらみつけれているかのような顔にもなった。そうとういらってきたようだ。
「なんかうざいけど・・答えてあげる・・。この家は私が何年もかけて作ったの、だからドアもいいサイズでしょ?猫は働く動物だから!因みにフライパンとかは主人がよく遊んでた子供用ミニフライパンを盗んできたわ。おもちゃではないからきちんと使えるし、便利よ。」
「ね・・猫なのに料理できるのか・・」
「作れるようになるにはとても時間がかかったけれどね。失敗した時期は主人の家にまだ残ってたサバ缶をいくつか盗んで食べてたわ。」
「お・・おう・・さすが猫・・」
「話はこれくらいかしら?私はもう寝るわよ」
と言いながら炬燵の中に入った。やっぱり猫だと思える瞬間だった。猫はこたつで丸くなる・・。まさにこの場面が、と。
「いきなりだな・・・じゃああと一個・・あたしはどこで寝ればいい?」
「適当に寝ときなさい、おやすみ」
「は!?待て!」
叫びながら炬燵布団をめくるともう既に遅かったらしくミントはすやすやと眠っていた。丸くなっている姿はかわいいと思うが起きているととても無口でちょっと嫌な感じのやつだなと思った。
「ったく・・仕方ないクッションで寝ますか・・」
そういいながらビビリアはクッションで丸くなった、浴衣の様な服を着ているため物凄く寝心地が悪いが眠ないことはないと思いビビリアはこれからこの猫と二人で共同生活をしなきゃいけないんだなと少し先のことを考えながら目を閉じ、眠りについた。
やっぱり前書き通り変な感じになってしまいましたが、気にしないでいただけると嬉しいです(笑)