今回が初の投稿となります。拙い文章に原作ではありえない表現など出す予定です。
それらに耐えられる有難いお方はご覧ください。
今回は3G がベースです。
文中の依頼文に見覚えがある方もいるかもしれません。
「はぁ?人型のモンスター?」
「そうなのよ・・・っ・・・ぷはぁ!おっちゃん!おかわり!」
「あいよっ!」
タンジアの港、酒場にて。
いつも通りの1日を終え、夕食をとろうとしたとき、俺は幼なじみのカンナに捕まった。
「何でも、暗がりに赤い2つの光、だったの!絶対ナルガ様よ!」
「『暗くて赤くて光るもの』は全てナルガに返還されんのか・・・」
「それっ!タンジアビール一丁!」
「ありがとっ!やっぱりここのタンジアビールが一番だねっ!最高だよ!」
「ははっ、嬢ちゃん、誉めても安くならねぇよ?」
「えー、二割引くらいでいいからさー、お願ーい!」
「しょうがねぇなぁ、特別サービスだぜ!」
「きゃっほう!おっちゃん最高!」
・・・完全に宴会のオヤジである。独断で決めて店の利益は大丈夫なのだろうか?
カンナは今日は狩りに行っていないはずだが、見慣れたナルガシリーズを着用している。長めの銀髪に、すらりと鍛えられて無駄な肉のついていない身体がなかなかに似合う。ただ、狩り場でもないのにかなり際どい防具を着るのはいかがなものか。それも酒場で。
いつでも狩りに行く用意を済ませた、狩人として敬うべきハンターか、それともナルガ好きの変態か。周囲のハンターの目線は前者だが、生憎俺には後者にしか見えなかった。
普段着までもが、ナルガ素材の服ということを知らないからこその反応だろうか。
まぁ、今の俺の服も防具なため、説得してもあまり効果はないだろう。
ブナハシリーズ万歳。
「で?続けろよ。まさか終わりじゃないよな?」
「けほっ・・・調子乗った・・・え?終わりだけど?」
わかっていた気がする結末だった。
「ただ単に、誰かに聞いて欲しいなーって思ったから、アロンを読んだの。ダメ?」
「その辺で飲んでる連中と話せよ。さっきのおっちゃんでもいいからよ。何で俺なんだよ」
「あ、おっちゃんがいた。おっちゃーん」
「ん?どうしたよ?追加か?」
「おっちゃんってさ、昔ハンターだったんだよね?」
「おうよ!それなりに高い実力者だったんだぜ?」
酒飲んでいるのだろうか。まぁガタイはいいし、大剣を使っていたと言われても充分に納得はいく見た目だが。
「じゃあさ、人みたいなモンスターは見たことある?」
「人みたいモンスターか・・・ないなぁ・・・いや、」
ここでおっちゃんの顔が、初めて見る実力者の狩人の顔に変貌した。
「いや、あるかもしれない。ギルドマスターと見た」
「詳しく聞かせて?」
カンナが椅子を差し出す。用意がいいな。
「あれは妙に霧が濃い夜だった。その日俺は、狩り場から帰って、酒場で一人で飲もうとしたんだった。あまり芳しくない狩猟内容だったからな。そして、酒場に入ろうとしたとき、俺は背中に冷たい気配を感じたんだ」
「気配?」
「あぁ。お前らも分かるだろう?冷や汗が止まらなくなりそうになることぐらい、狩り場で経験したろ?」
「まぁ、分かるけど・・・」
「振り向くと、そこには少女がいたのさ。何か・・・古代の衣装でな。しゃべり方も古風だった」
「その少女に危険を感じたの?」
「多分な。今でも覚えている」
古代の衣装を身に纏った・・・少女。
これが、モンスター、と?
おっちゃんは続ける。
「その少女はな、あるクエストを依頼したのさ・・・月迅竜って、知ってるか?」
「月迅竜!?本当に!?」
カンナが食いつくように反応した。ナルガが絡むと明らかに変わるな、こいつは。
「月迅竜・・・ってのは、ナルガクルガ希少種だっけ?」
「そうよ!霧が濃い夜には、塔に現れる、不可視の迅竜。そう聞いたことがあるわ!」
「嬢ちゃん、良く知ってるな。そうだ、月迅竜だ。そのときには流石にあの酒好きのギルドマスターも真面目になってな。極秘で狩猟依頼を出したんだ。あんな顔も出来たのかと、驚いたものさ」
「それで!?依頼はどうなったの?」
「腕利きのハンターを急いで三人呼んでな。俺も含めて、四人で挑んだのさ」
「え?おっちゃんも?」
「あぁ。無理やり連れていってもらった、というのが正しいがな。俺はそのとき片手剣だったんだ。疲れを誤魔化しやすいからな」
片手剣は利き手で剣を振らないので、疲れを誤魔化しやすい武器ではないはずだが・・・ボウガンのほうがいいのではないか?
いや、そこまでして狩りに行く理由はなんだ?
気がつけば、周りの客は皆いなくなっていた。もう閉店時間は過ぎているが、おっちゃんは話してくれた。
「その狩りで受けた傷のせいで、俺はハンターを引退しなくてはならなくなったのさ」
「・・・え?他のハンターは?負けたの?」
「あぁいや、勝ったさ。結構皆満身創痍だったけどな」
「どんな狩りだったの?」
「霧のせいでただでさえ闇に溶け込む毛色なのに、ますます見つけにくくなるんだ。そこで、死角からの尻尾の叩き付け。もう生きた心地がしなかった。そんななかで、俺たちは少しずつ攻撃を当てていったのさ」
おっちゃんが立ち上がり、「来い」と手招きする。
素直についていくと、店の奥の店長室だった。
・・・おっちゃん店長だったのか。
おっちゃん改め店長は、壁にかけているモノを慎重に取り外した。
それは、数本の黒い刺が貫通した、見たことのない片手剣の盾だった。この刺の形状には見覚えがあった。
「これは・・・ナルガの刺・・・?・・・ということは」
「多分、考えている通りだ」
恐らく、尻尾の叩き付けと同時に、刺を飛ばす個体なのだろう。似たような個体に会ったことがある。
盾を貫いた刺はベルトにまで届いていた。ベルトが妙に赤黒い理由は想像に難くない。
「俺がハンターを辞めた理由だ。流石にこの腕じゃあ、武器を振ることは出来ない」
店長が服の袖を捲ると、痛々しい傷が残っていた。
だが、捲った腕の袖は左側だった。普通ハンターは、生きることを優先し、盾は利き手側で持つはずだった。大半のハンターが右利きの中で、左利きなのか?
「・・・店長は左利きなんですか?」
「そういうことにしていた、な。まぁ後々バレちまったし、ハンターを辞めたのはそのせいでもあるんだが」
そのおかげで、今も利き手は健在だし、そこまで苦労せずに生きられてるし、トントンなんだけどな。
店長はそう適当にまとめた。触れられたくないのかもしれない。
「その日は災難、と思いたかったよ。せっかく今まで積み上げてきたものが一瞬で瓦解したからな。それでも」
店長は語る。
「あいつと戦えたから、絶対に災難じゃあない。狩人としての最期が、あいつで本当に良かった」
おっちゃんは泣いていたように見えた。
「・・・ごめん、いい話の中悪いんだけど」
カンナが口を開いた。
「結局その依頼者は誰だったの?」
何を言っているのかと思ったが、確かに気になる問題たった。
というか、本題だった。
「あぁ、本題はそっちだったな。かなり逸れてしまってすまない」
おっちゃんが謝る。いや、別にいいんだけれども。
「俺たちは無事に狩猟を成し遂げた。帰ってきたら、ギルドマスターもいつも通りだった。一枚、この地域では絶対に見ることのないはずの鱗を持っていたことだけは、普段と違ったがな」
酒場に戻りながら、俺たちは話を続ける。
「それが依頼者の忘れモノ、と」
「うむ。俺はギルドマスターといっしょに依頼内容を聞いたんだが、口振りが妙でな。ある方に使えておる、とか、不躾な下郎に居座られておる、とか」
「それを少女が言ったんですか?」
「うん、確かに言った。誰かの遣いという考えもよぎった。だが、わざわざ少女に任せる理由が分からない」
「そうですか・・・いや、スルーしちゃったけど、鱗?鱗ってなんですか?」
「鱗だったと思うんだが・・・本人に聞くのが早いかもしらないな」
本人というのは、ギルドマスターか。果たして話してくれるのだろうか。
「ふー、今日も1日疲れたわい」
と。
酒場の扉が開き、外から小柄な老人が入ってきた。
ギルドマスターである。
「お、話をすれば。いつものでいいか?」
「うむ。今日は少し甘めで頼む」
「・・・いつもこのくらいに飲むんですか?」
「うむ。人がいないときに落ち着いて飲む時間というのは、案外バかに出来ないものであるよ」
「え・・・帰ったほうがいいのか・・・」
「いや、たまにはこういうのも悪かない。ここにいていいぞ。それに、小耳に挟んだしの」
「話ですか」
聞かれていたのか。聞きたくなかった話かもしれないのに。
「察しがいいな。将来が楽しみじゃ」
ギルドマスターはニヤリと笑った。
「あの少女はな、恐らく古龍じゃ」
古龍。この世界における、生態系の頂点ともいえる種。
様々な能力を持ち、自然現象さえ操るものもいるとか。
ギルドマスターは、その少女が古龍と?
「あくまで推測ということを先に言っておくがな」
そう前置きして話を始めたギルドマスターは、いつになく真面目な顔だった。
「さっきのあいつの話は正しい。あの話し方、内容、間違っていない。問題はその話の意味でな」
「意味?」
「ワシはクエストに出発したあいつらを見送った後、彼女から鱗をもらったのだ。『土産だ。取っておくがいい』と言っておった」
「その鱗が、古龍種のものってことですか?」
「どうなんだろうな・・・もうなくしてしまったしの」
・・・なくしたのか。そんか大切そう・・・なものを。
「問題点は鱗そのものではない。何故、あの少女はこれを持っていたのか、だ」
確かに疑問点はそこだ。口振りからすると、少女はハンターではないようだし、まずわざわざ霧の濃い深夜前を依頼時間に選んだかも気になる。
少女は月迅竜を知っていたのか?
知っていたのならば、どうして少女は月迅竜を不躾な下郎と狩猟を依頼したのか?
「塔に住まう雌の古龍は知っているな?」
思考を現実に引き戻す。
塔に住まう雌の古龍・・・確か、ナナ・テスカトリ・・・というのがいたはずだ。
それと・・・。
「ナナ・テスカトリ、ですか?」
「オノレは多分親父さんから聞いたことがあるだろな。その古龍のことも、今一瞬頭をよぎった黒い伝説も」
「・・・はい」
お伽噺の1つだった。黒龍伝説。
これがもしかしたら真実かもしれないと、幼い俺は親父に何度も考察を聞かされた。いつかいっしょに研究しようぜ、ってよく言われたものだ。
「ワシはな、その古龍のどちらかではないかと考えておる。もっとも、伝説に関しては白く姿を変えたと思っておる」
白い伝説も、知っている。
これも何度も聞かされた。
「月迅竜を不躾な下郎、などと言える人などいない。言えるとしたら、それ以上に強い存在だけだ」
まぁ、あくまで考察だけどな。
ギルドマスターはいつも通り高らかに笑って話を閉じた。
かなり適当な話の終わりだったが、俺は悪く思わなかった。
今日の話が人型のモンスターにつながるかと聞かれたら首を縦には振りにくいが、何も情報がないよりはマシだ。古龍は人の姿になれるかもしれない、ということを知らないのとは大違いだ。
「・・・」
窓から外を見る。今日はどうも霧が濃い。
おっちゃんたちが出会った夜も、こんな夜霧だったのだろうか。
ギルドマスターが来た時点で、既に寝ていたカンナの分まで勘定を済ませ、俺たちは店を出た。酔いっぱなしの相方はしょうがないから背負って出た。
さて、どうしようかねぇ。
今日はメインタイトル要素は皆無です。
主人公の変人ぶりは後々。
さて、読んでくださった方に、感謝を。
良かったら感想も置いていってください。
あれば、また次回。
ありがとうございました!